エルドリッチホラー拡張 狂気の山脈にて 原題:『ELDRITCH HORROR Mountains of Madness』(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

エルドリッチホラー拡張 狂気の山脈にて(原題『ELDRITCH HORROR Mountains of Madness』)を遊んで見た

【関連記事】
エルドリッチホラー拡張 狂気の山脈にて 開封編
【登場人物】

与力藩の買掛担当。エルドリッチホラーの新しいものを開ける度に、全集を引っ張って読みそうになるので、なかなか内容確認が終わらない。

奉行藩の決裁担当。ラヴクラフト全集は途中挫折。翻訳文学はちょっと苦手ですが、クトルゥフゲームは楽しんでます。

サイドボードの置き場に困るところから

奉行それでなくとも場所をとるというに…

与力まあ、いいじゃないですか。なにせ南極ですよ南極!

奉行左様に心浮き立つ場所なのか、南極は?

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて
キーとなる南極

とはいえ、必ずしも南極ボードを使う訳ではありません。この拡張セットを使う場合に必ず使用する「導入カード」が特定のものである場合か、エンシェントワンが「古のものどもの再来」である場合にのみ、南極への道は開けます。

奉行開けた方がよいのか?

与力そうですねえ、まあ、有ると有利になる可能性も…ってとこですか。

奉行ところで、「導入カード」とはなんぞや?

与力えっとですね、ゲーム開始時に追加する準備の内容が指示されているカードですね。まあ、スタート時点でボード上にアイテムが出現するとか、クルートークンが貰えるとか、少しだけプレイヤー側に力を与えてくれるような内容が多い…と、思います。

奉行歯切れが悪いな?

与力有利必ずしも有利ならず、がこのゲームの原則です。

それ以外は基本ルールの手順に従い、準備を行います。

戦いの幕は開く

さて、2人のキャラクター選択は、というと…

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて キャラクター
奉行は新米警官のトミー・マルドゥーン

奉行やはり治安を守るということに共感を覚えるな。最初からカービン銃が使えるの魅力だ。

与力お奉行は勘定方でしょうに…

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて キャラクター
与力はバイオリニストのパトリス・ハサウェイ

与力呪文が中心になる美女です。

奉行呪文は使いづらい、という印象だが…

与力正気度失いがちですからね。

奉行わしが「脳みそ筋肉」だから呪文が苦手なわけではないぞ!

与力そのようなこと、誰も言ってませんよ。

エンシェントワンは、せっかくなので南極ボードが使える「古のものどもの再来」にしました。南極ボードはゲームにどう関わってくるでしょうか。

奉行とはいえ、「エンシェントワンのクエストを解決する」ことを目標に立ち回っていくのに変わりはなかろう?

与力たぶん、そうなると思います。ゲートの閉鎖とクルートークンの回収を中心に動きたいところですね。

「古のもどもの再来」を撃退するためにクリアすべきクエストは、そのほとんどが南極ボード上にイベントが配置されます。従って、どうしても南極へ行かなければなりません。南極に行くためには、まず、メインボード上の「南極」マスへ移動します。その後、サイドボードへの移動を宣言すれば、アクションを消費することなく、移動が完了します。

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて ミスカトニック基地
移動先はミスカトニック基地

南極マスにはそれぞれ、特別な効果がありますので、上手く活用すると、ゲーム全体を上手くコントロールし有利に運べるようになる、かもしれません。

奉行「雪の山脈」に籠っておると、スキルがレベルアップできるのか…。山籠もりにしては過酷に過ぎる気もするが。

与力「古のものどもの都市」では、クルートークンや、アーティファクトが入手できます。能動的にクルートークンを獲得にいけるのはいいですよね。

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて 追加カード
南極用のカードセット。

与力この写真でいうと、一番右にあるのが「南極冒険カード」ってやつなんですが、これを使うように指示している特定の導入カードをゲーム開始時に引いていた場合、南極でステキな冒険が楽しめるんですよ。

奉行ステキ…?

与力カードに書いてあるイベントを上手くクリアできると、破滅トークンを戻したり、エンシェントワンのクエストを進めたりすることができるという、実にお得なものです。

奉行「クエストを進める」?

与力はい、この拡張から追加された概念で、エンシェントワンのクエストが「カードの上にトークンを置け」という指示をしていた場合、トークンを置いたり、「特定のモンスターを倒せ」であれば、モンスターの体力を一定だけ減らすことができる、というものです。端的に言えば、クエストカードが要求する行動以外の行動で、クエストを解決できるようになる、ということですね。

奉行そういうことなら積極的に南極を探索してまいりたいものだが、どうせ無理難題ばかりなのであろう?

与力ご明察にございます。まあ、そこまででもないですが。ゲームを進める選択肢が増える感じではありますね。

集中力を高めて、助けてもらいつつ

プレイヤーに新しいアクションも追加されました。「集中」アクションを行うと、集中トークンを最大2枚まで保有することができ、判定の際に、トークン1個消費につき、ダイス1個を振り直せます。

奉行お手軽クルートークンのようなものか? 大分有利になった気がするが。

与力ところがですね、そうとも言えないのですよ。

この拡張で追加されたイベントの中には、集中トークンを持っていないと悪い「状態」カードを引かされてしまうもの結構あるので(※個人の感想です。体感には個人差があります)、集中トークンは、キャラクターが悪影響を受けないように、できるだけ切らさずに保持しておきたいところです。

奉行休息アクションが使えなくなる「低体温」状態は、何とかならんかのう…。

与力南極だけに、かなり高頻度で登場しますからね。あ、また低体温だ。

プレイヤーを助けるものとしては、新たに「ユニーク助力カード」も追加されています。特に強力なのは“任務”に分類されるカードです。ゲートを閉じる、モンスターを倒すなど、ゲーム進行上、自ずとこなすことになる行動が完了した際に、破滅トラックを巻き戻したり、クエストの進行を進めたりすることができます。

奉行南極冒険カード同様、上手く使いこなせれば大きいな。トークンが枯渇していたり、上手く入手できないと、なかなか進まずにイライラさせられることがある。それを解決できるのは大きい。

与力とはいえ、必要な時に必要なカードが手元にあるかと言うと…

奉行だいたい、無いな。

さて、ゲームの顛末はというと…

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて

奉行お、斧ではないか!

奉行愛用の斧が出現。早速これを入手したマルドゥーン捜査官は、カービン銃と斧で武装した斬新なスタイルの警官に。

奉行これでモンスターは任せておけ。ゲートは任せる。

与力お任せください。ゲートを閉じます。

与力が操るバイオリニストのパトリスは、ゲート閉鎖と相性のよい任務カード&モンスターを排除する「送還」や、奉行にクルートークンを補充できる「奥義の悟り」といった呪文に恵まれる幸運。結果、クエスト進行が驚くほどすんなりゲームが進行して、あっさり勝利。

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて
捜査官最終形態。

奉行おかしい、なぜこんなに簡単に勝てたのか。

与力あ、それはですね。「難易度を変える」オプションルールを使ったからです。できるだけ易しい神話カードでデッキを作っておきましたので、あんまり脅威的な事態は発生しないようになっていました。

奉行なんとまあ。これが出来レースというやつか?

与力デッキだけに?

奉行……。

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて【ここがイカス!】

奉行南極はクトゥルー神話における一大スポットであったかと思うが、うまくその要素を生かしていると思う。エンシェントワンは土地と気象に関連した2体、南極を冒険している気分を盛り上げる冒険カードやユニーク協力カードは、タイトルに相応しい追加内容だな。

与力未知の南極を踏破していく感じはすごくわくわくします。かといって、展開次第ではあまり気軽に行ってみようか、という訳にもいきませんが。

奉行プレイヤーの行動の幅が広がったのも良いかもしれん。「集中」は若干議論が分かれるところはあるが、「クエストを進める」概念が生まれたことで、幾つかの方向からエンシェントワンのクエストに対して挑むことができるようになった。「直接クエストに挑むよりは、こっちの任務の方が上手く進められそう」といった感じで、キャラクターの特徴を生かした立ち回りに集中できよう。

与力違う形で全員が貢献するパターンができそうですよね。

奉行あと、クトゥルー好きは、カードに書いてある文章を読んでいるだけでゲームをせずとも楽しい時間を過ごせるな。

与力おかげさまで、ありがとうございます。

狂気の山脈にて【ここはちょっと…】

奉行最初の準備次第では南極が関係なくなる。

与力それは確かに驚きました。

奉行そういうものかな、と思うが、せっかくの南極ボードが使えないのは悲しい。

与力遊べる設定を準備して始めるしかないですね。

奉行ゲーム中に気になったのは…「状態異常」はちと何とかならんか。

与力「低体温」とか「飢餓」ですか?

奉行『失われた知識』の時も「毒」があったが、今回はかなり状態カード推しなのであろうな、とにかく状態異常になりまくった。

与力もちろん、展開次第ってとこでしょうけども。

奉行感想は個人差よ。最初に遊んだ「古のものども」はまだマシであったが、この後「イタクァ」を相手にした時には、ゲームを通してずっと低体温症に悩まされ続けた。おかげでエンシェントワンそっちのけで、寒さをしのぐサバイバルゲームと化したわ。

与力イタクァの犠牲者は、体温が極端に下がった状態になるとかなんとか、『風神の邪教』で読みましたなあ。

奉行その恐怖を忠実に再現したのかもしれんな。だが、足がらみ要素としては強すぎたので、展開次第では大きなストレスになるかもな。あとは何だな、その方、ルールを読み間違ったな?

与力アッハイ、スイマセン。

奉行正確にはクエストカードの内容であったか。少なからず要素が増えた分、すべてのルールをきちんと適用できるよう、心せねばならぬぞ。なにかルール上のつながりを忘れてしまうと、やたらと難易度が跳ね上がったりする。

与力申し訳ございません。

奉行あとは…遊ぶスペースだな。南極ボードだけで43×28cmほどある。これに基本のボードがある訳だから…

与力トークンやカードの置き場も考えると、ご家庭では床がベターな遊び場になりますかねえ。

奉行日本の家庭事情にやさしくないのは確かだな。

エルドリッチホラー 狂気の山脈にて イタクァ
対イタクァ戦。「風に乗るもの」逮捕のシーン。

奉行「連邦捜査局だ!捜査令状があるぞ!おとなしくしろ!」というところであろうが…

与力FBIの権力って、神話生物にも及ぶんですね。

【関連記事】