パンデミック:イベリア(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

『パンデミック:イベリア』を遊んで見た

【関連記事】
パンデミック:イベリア 開封編/プレイ感想編1(この記事)/プレイ感想編2
【登場人物】

与力買掛担当。スペインの地名は、リーガ・エスパニョーラでなんとか知っているような。

奉行決裁担当。イベリアと言われても、イベリコ豚くらいしか連想できません。

正統派スピンオフ

奉行またもパンデミックか。このところパンデミックばかり遊んでおる気がするが。

与力いいじゃないですか、面白いゲームなんですから。今回は19世紀のスペイン・ポルトガルで、4種類の疫病と戦います。

奉行なんだかあまり良さそうではない時期のイスパニアとポルトガルじゃな。だがまあ、狂信者と戦うよりは心の平穏が保たれそうではある。

『パンデミック:イベリア』のセットアップは、『パンデミック:新たなる試練』と手順はほとんど同じです。パンデミックシリーズに慣れている人は、特に迷うことなく始められると思います。

与力違いは、スタートする都市が決まっていないことくらいですかね。

奉行ほう、一斉スタートではないのか。どうやって決める?

与力手札として配られているカードに描かれている都市の中から、好きな都市を決めて、そこからスタートです。

奉行ほお。多少は融通が利くようになったな。

与力最初のスタートプレイヤーも手札で決めますよ。書かれている都市の“設立年”がもっとも古いカードを持っている人からスタートです。

奉行ふーむ、古代ローマとかそれ以前くらいからの都市が古いのであろうのう。

与力ちなみに、紀元前は数字が大きいほど古いですからね。

奉行いくら何でもそれくらいは知ってるぞ!

求められることは、大体いつも通り

さて、『パンデミック:イベリア』の勝利条件と敗北条件も、『パンデミック:新たなる試練』と同じと考えて構いません。

勝利条件
・4種類の疫病すべてを研究する。

パンデミック イベリア
これを目指します。

敗北条件
・8回目のアウトブレイクが発生してしまった。
・疫病コマを配置する指示があったときに、ストックにコマが残っていなかった。
・プレイヤーカードを引くときに、山札が尽きていた。

パンデミック イベリア
アウトブレイクの連鎖、ダメ、絶対。

奉行お馴染みの勝ち方と負け方じゃな。

与力たーだですねえ、今回、勝ちに至る上でちと厄介なのが、「治療薬の開発」ではなく、「疫病の研究」を進めるのが勝利条件になっていることです。

奉行む? 何か違うのか?

与力治療薬が開発されるわけではないので、治療を行った際に1アクションで今いる都市の全ての疫病コマを取ることはできない、ということと、治療薬開発済みの疫病コマが全てボードから排除された時の、“根絶”が起きません

奉行うぬ、ということは、疫病が広がる速度はさして変化せぬ、ということか。

与力研究が進めばプレイヤー有利になることは確かなんですが、劇的な効果を期待できるかは、なんとも…。

ゲームが始まったら、手番プレイヤーは4アクションを消費して行動します。行動が終了したら手札を2枚引き、新たな疫病コマが置かれる都市カードを感染率に準じた枚数だけ引き、次のプレイヤーの手番となります。

パンデミック イベリア
感染率はエピデミックが起きた時に上昇します。

奉行で、手札を引くときにエピデミックカードが出現したら、大惨事。この辺は全く変わりなしだな。

与力はい。ただし、選択できる行動の中身がかなり変わっているので注意です。

パンデミック イベリア
なお、ボードにも手番の進め方が書いてあります。

ライト兄弟はまだいない

≪移動≫船と鉄道による移動

パンデミック イベリア
ついつい電車と言ってしまう…まだ蒸気機関車の時代。

19世紀スペインには飛行機が無いため、指定の都市に直行するチャーター便などの移動ができません。その代り、ボード上の都市の横に『いかりマーク』が付いている“港湾都市”間で、移動先の都市と同じ色のカードを消費して移動できる「船による移動」と、鉄道トークンでつながっている都市間を一気に移動できる「鉄道による移動」が可能となっています。

奉行そうか、飛行機の初飛行は1903年とか言っておったな……。空の移動が使えないのはつらい……。

与力ということでその分、鉄道が重要になってきます。危険な地域に素早くアクセスできるよう、鉄道を敷設しておけば、ダイレクトな移動にも手札を使う必要がなくなるので、結構便利ですよ。

奉行鉄道トークンを上手く置く……。何やら『チケット・トゥ・ライド』のような路線拡大ゲームの様相を呈しておるような。

与力あと、イベリア半島は三方が海ですから、港湾都市は結構ありますので、船移動もかなり便利かと。

≪鉄道の敷設≫

鉄道による移動を行うため、1アクションを消費して、自分のコマが現在いる都市から隣接する都市に伸びている茶色のライン1つに、鉄道トークンを置くことができます。

奉行これを地道に続けていけば、スペイン横断鉄道や縦断鉄道、果ては山手線的な環状鉄道も作れるかもしれんな。

与力それだけトークンがあれば、の話ですけどね。トークンが尽きたら、新しい路線は作れなくなります。

奉行なんと。さすが、ままらないなあ。

≪病院の建設≫

自分のコマが現在いる都市で、その都市のカードを消費することで建設するという点は、以前と変わりありません。
しかし、『パンデミック:イベリア』では、疫病の研究を行う(カード5枚を出す)拠点となる病院は、色ごとに1つずつとなっており、病院と同じ色の疫病のみ研究することができます

奉行むっ、地味に痛いな。カードが集まり次第、研究拠点をその場で適当に建てて素早く研究、という訳にはいかぬか。

与力そうですね、ですので、病院の建設は鉄道の敷設と並行して、移動しやすい都市を狙って作りたいものです。

奉行とはいえ、狙う都市のカードが手元に来てくれぬとな。

≪水の浄化≫

自分がいる都市に隣接する地域に属する、いずれかの都市と同じ色のカードを捨てることにより、その地域内に浄化トークンを2個置くことができます。浄化トークンは、地域の都市に新たな疫病が発生するとき、代わりに取り除くことで疫病コマが置かれることを防ぎます。

パンデミック イベリア
キレイな水を飲んでいれば、アウトブレイクは起きません!

与力つまりまあ、予防ですね。

奉行今までになかった『地域』という概念がでてきたな。

与力ざっくりいえば、都市と都市を結ぶ線で囲まれたエリアってことですね。

奉行ふうん。

与力で、研究済みの疫病があった場合、それと同じ色の都市カードは、どこの地域でもこの“水の浄化”を行えるようになります。

奉行なるほど、特効薬で除去能力は上げることはできぬが、なぜ疫病が発生するか、原因を突き止め、罹患者を減らすことはできる、と、そういう訳じゃな。

与力さすがお奉行、ご明察と存じます。

それではまあ勝負してあげましょうか(余裕)

奉行だいたい分かった。では成し遂げて見せようではないか。

与力やりますか。では役割カードから……。

パンデミック イベリア
もちろん初めて見る役割。

奉行わしは船移動にカードが要らない「船員」だな。 

与力それがしは水の浄化がどのカードでもでき、なおかつプレイヤーカードの山の上から3枚の並びを変えられる「王立学院の科学者」です。

奉行長い名前だな。

与力いいじゃないですか。では、はじめましょう!

奉行うむ、イベリア半島のお手並み拝見とまいろうぞ。

パンデミック イベリア
開始直後…

奉行まあまあだな。とりあえずコマ3個の都市を治療しながら、鉄道でも敷いていくか。

与力北側に集中していますね。早めに病院も建てておきたい。

奉行そう慌てることはあるまい。なにせ難易度も初級にしてあるしな。

与力あっ、なんでフラグ立てるんですか?

パンデミック イベリア
無事、敗戦。

奉行おかしい……おかしいぞ。確かに、見事なフラグを立て、いつも通りおぬしが初手エピデミックを引き起こしたとはいえ。

与力引くカードの順番はセットアップで決まっていますからね、順番の問題ですからね。それはともかく、ぜんっぜん、疫病コマが減らないです。むしろ、増える。アウトブレイクしまくりましたよ。

奉行やむをえん、直ちに再戦するぞ!

パンデミック イベリア
2戦目の役割

奉行わしは隣接する地域1つに疫病を入り込ませない“予防トークン”を使える「看護婦」だ。

与力私は浄化トークンの置き方にいろいろと特典がある「農学者」です。

奉行となると、今回の疫病対処能力は低いなあ。浄化こそ鍵。できるだけ早く1つ疫病の研究を終わらせ、その色のカードを“どこでも浄化できるカード”に変えてしまう作戦で行くぞ!

与力ハ、ハハーッ!

パンデミック イベリア
今度は勝利!

奉行ふうう。わしが疫病流行地域に突っ込んで拡大を予防しつつ、おぬしがが浄化トークンをばらまく策が上手くはまった。

与力なんとか回りましたね。それでもこれだけボード上に疫病コマが出てきてますけどね。

奉行そこは目をつぶってくれ。多分これ、この当時はこんな有様だったに違いないし。あとは、マドリードを中心に敷設した鉄道が役立ってくれたな。

与力そうですね、鉄道さまさまでした。科学バンザーイ!

パンデミック:イベリア【ここがイカス!】

奉行では一言。通常版に慣れてしまった人は買うと良いぞ! 以上だ。

与力ちょっと、ざっくり終わりすぎですよ。

奉行いや、もう一戦したくて。では少し喋るとすると……やはり『新たなる試練』から省かれたり、追加されたりしている要素が上手く効いているな。これまでと同じプレイ指針では苦戦は免れないようになっておる。単なる「イベリアマップ」ではない、ということだ。

与力ですねえ。19世紀という、科学は発展し始めているものの、まだまだハイレベルではない、という感じが上手く再現できているように思います。所々、ままなりませんものね。

奉行ほかの拡張とか『クトゥルフの呼び声』を持っていない方は、満足できるように思う。

与力ほほう。

奉行浄化トークンは『拡張:緊急事態宣言』で大佐が使える検疫トークンと同じだよな、扱いとしては。

与力お、それは確かに。

奉行それから、説明書にはあと2つ、追加ルールで遊べるチャレンジルールが乗っている。これは『クトゥルフの呼び声』にあったルールを少し捻ったような感じであったり、『拡張:迫りくる危機』の猛毒株チャレンジのような感じであったりするので、つまりは最初から拡張ルールが同梱されている、といっても良いようなものだ。一つですっごいお得、な気がしてこんか?

与力なるほど、それはなかなかお買い得?

奉行という訳で、是非多くのパンデミッカーに遊んでもらいたいと、切に願っておる。

パンデミック:イベリア【ここはちょっと…】

与力大分気に入っているようですが、何か気になるところはありませんかね?

奉行強いて言えば……『新たなる試練』と比較すると、プレイ感が若干重たくなっているのは、人によっては気になるところかもしれんなあ。

与力それはやっぱり、追加要素ですかね。

奉行まあそうだろうな。鉄道の敷設場所や、浄水トークンを置く地域のことなど、『新たなる試練』では考えずともよかったことを大分考える必要があるからな。

与力確かに悩む部分は増えました。が、これは仕方がない所ですかねえ。

奉行そうなんだよ。単純にルールが追加されている訳だからな、当然と言えば当然だ。が、『新たなる試練』の軽快なプレイ感には、ちと及ばないと思う。

与力なるほど。パンデミックに慣れているかどうかや、それぞれの好みで判断したら良さそうですね。

奉行あとはそうだな、つい先日発売された『クトゥルフの呼び声』と比較する人も多いかもしれんが、あっちの方がルール的には少々スリムでお手軽だと思う。ただ、やはり『パンデミック』シリーズであれば病気と闘いたい気がするので、その点は『イベリア』が勝っている。個人的にはそんな感じかな。

与力で、個人的なお気に入りの方は?

奉行『チケット・トゥ・ライド』がマイベストゲームトップ5に入るわしが、鉄道要素に惹かれぬはずがあるまい。ということで、わしは『イベリア』だな。

与力はあ。一応『クトゥルフの呼び声』にも“鉄道駅”という地名はありますよ。

奉行駅だけであろうが! 線路を敷きたいんだ!

パンデミック イベリア
製品版パッケージと、たぶんボツ案のイラストを比較

与力ボツ案の看護婦さんの方が、憂いを帯びた感じの美人というイメージで、いいんじゃないかと思うんですが。

奉行やはりラテンのお国柄では、母親の感じが出ていた方が安心感があって好まれるのではないかのう。

与力この看護婦さんに自分のお母さんのイメージを重ねる人が多いってことですか?

【つづきはこちら】
パンデミック:イベリア プレイ感想編2(チャレンジルール挑戦)
【パンデミックシリーズ】