第17節 弱いメンタル
ロンドン ‐アーセナル練習場-
いやあ、ロンドンの冬は面白いのう。信濃、上野と比べて寒さはないが、風が厳しい。そして日が差さぬな。お天道様の出ている時間が短いわ。これは中々に気が滅入る。空もどんよりと垂れ込めておるしのう。
黒田官兵衛「まるであなた様の胸の内のような空模様だ、ということにございますかな」
山本勘助「そう仰られたとしても、已むを得ますまい。12月13日のヨーロッパリーグ以降、3試合連続でメンバー落ちにござる」
最近はスタジアムのいい席でプレミアリーグを観戦するのが仕事の人、みたいな感じだな。こないだのウルヴス戦なんか、サンチェスが5点取ったのを見たぞ。あれは中々出来るものではない。さすがはチリのエースといったところよ。
官兵衛「何度目かのやけくそ期ですな、これは……」
やけくそにもなるぞ、官兵衛。優先起用されておるラカゼットめ、リーグ戦ここ最近ずっと無得点記録を更新しておったのだぞ。新聞にでかでかとニュースが出て、ようやく気付かされたわ。それなのに、わしはようやく明日のサウザンプトン戦でそのラカゼットが疲れているから、という代役でメンバー入りという始末だ。そもそも、わしの得点率をよくよく考えて起用してほしい。もはや冬の市場での移籍は待ったなしだ。一部でわしを引き留める動きがあるやに聞くが、左様なものに耳を傾けておられるか……
勘助「(荒れておられますなあ……)」
官兵衛「(左様ですな。しばらく収まりますまい)」
-試合ダイジェスト-
- DATE
- 12月31日 プレミアリーグ 第18節
- VS
- サウザンプトン(A)
- SCORE
- 1-0
- GOAL
- 68’ 内藤(ARS)
- DATE
- 1月7日 プレミアリーグ 第20節
- VS
- WBA(H)
- SCORE
- 2-0
- GOAL
- 10’ ラカゼット(ARS)
- 33’ 内藤(ARS)
- DATE
- 1月12日 FAカップ3回戦
- VS
- リーズ(H)
- SCORE
- 2-1
- GOAL
- 64’、88’ 内藤(ARS)
- 74’ アリオスキ(LDS)
- DATE
- 1月19日 プレミアリーグ 第21節
- VS
- エバートン(A)
- SCORE
- 0‐0
- DATE
- 1月28日 プレミアリーグ 第22節
- VS
- サウザンプトン(H)
- SCORE
- 0‐0
ロンドン -アーセナル練習場-
どうやらプレミア特有の年末年始詰め込みスケジュールのおかげで、ターンオーバー要員であったわしにもだいぶ出番が回ってきたが……これは徐々にラカゼットからポジションを奪いつつあるのやもしれぬ。だが、なんだろうな、このすさまじい尻すぼみ感。なにより、短期間にサウザンプトンと2試合やったが、大晦日の試合はなんとか1点もぎ取って勝てた。だが、1月末の試合では、わしのところにほとんど全くボールが回ってこないという展開になった。時々こういう、味方が完封されてしまう試合があったりするような。
官兵衛「チームがダメなときは何をやってもダメだったりしますが、できればそこを独力にて何とかしていただきたいものですな」
勘助「ふむ、FAカップのリーズ戦では2ゴールと活躍なさいましたが、相手は下部リーグのチームにござる。それでいてリーグ戦では活躍しているようなしていないような」
そんなにハッキリと違っているかね、やはり。
勘助「リーズ戦の評価は8.6、リーグ戦4試合の平均は6.2。いかんせん、リーグ戦は1得点どまりが多く、それでは試合中に所在無げにウロウロ歩きしてしまう、相変わらずの動きの悪さをカバーできるほどは、評価が上がりませぬ」
世知辛いなあ……
官兵衛「このままでは本当に“雑魚専内藤”の異名を奉られてかねませんな」
勘助「一たび左様な無器用という名がつきますと、たといビッグゲームで活躍したとしても、まぐれ当たりと思われてしまい、継続して起用してもらえるかどうか。朝倉宗滴殿も強く戒められたところです」
普段から「あいつは点を取るぞ」という評判を得ておくことこそ肝要、という訳じゃな。よし、次のリーグ戦では、必ずやよい所を見せ、格下相手のカップ戦ばかりが活躍の場ではない所を、第7節のバーンリー戦の如く、いま一度示そうではないか。
官兵衛「その意気です。幸い、次のFAカップ4回戦はメンバー落ちしておりますゆえ」
勘助「練習時間はたっぷりありまするぞ」
- DATE
- 2月6日 プレミアリーグ 第23節
- VS
- ウルヴァーハンプトン(A)
- SCORE
- 4-0
- GOAL
- 17’ ラムジー(ARS)
- 28’、59’、85’ 内藤(ARS)
リーグ戦も折り返しを過ぎ、いよいよ優勝争いが加速していきます。リーグ戦ここ2試合スコアレスドローが続く首位のガナーズは、ウルブスのホーム、モリニューでの一戦を迎えました。
アーセナルでは起用が増えている内藤が、この試合もラカゼットに代わって3トップの真ん中に入ります。ハマれば爆発する日本人ストライカー。違いを見せつけたいところです。また、右サイドではオックスレイド・チェンバレンに代わってアダマ。中盤はラムジーとジャカで、メスト・エジルは今日もベンチから。ホームのウルブスは何とか早い時間帯での失点は避け、接戦に持ち込みたいところです。
しかしホームチームの思惑は早くも崩れます。17分、内藤のスルーパスからキャプテンのラムジーが冷静なフィニッシュ。アーセナルが先制します。
おぜん立ての次は自らゴールを狙う内藤。28分、左サイドから切り込んで、得意の左アウトにかけたシュート。見事に逆サイドネットに突き刺して見せました。アーセナルは早くも2点をリード。
調子の波が激しい内藤、いい時なら2点目、3点目が決まります。果たして今日はどうか。その答えは59分に出ます。ジャカとの細かいパス交換でエリアに侵入した内藤。1対1の場面は流し込むだけでした。冷静なフィニッシュで2点目です。
そして試合終了間際の85分にはミドルシュートを突き刺してダメ押しの3点目。今日の内藤は絶好調でした。いつもこんな活躍が見られるなら、スタメンは確実なのですが。ウルブスはホームでいい所なし。完敗です。
ロンドン -アーセナル練習場-
しかしまあ今は2018-2019だけどもさ。2017-2018シーズンを過ぎて、アストン・ビラ、フラム、それに先日のウルブスと、初期設定ではチャンピオンシップのチームが昇格してきているんだよね。この辺のチームのレベルってのは正直どうなんだろうね?
勘助「左様、先シーズンのプレミアリーグで降格争いに巻き込まれるであろう……という予想がされる7,8チームとは、それほど致命的なレベル差がある訳ではない……と存じまする」
官兵衛「ですから、リーグのクオリティに達していないのでは……などと考える必要はございません。ハットトリックは素直にお喜び下され」
そ、そうかな? ふふ、ふふふ。ま、まあもちろんシティとかユナイテッド、あるいはロンドンのライバルとの試合で活躍したいとは思っているけども……。そういえば最近、ジャカ君との連携がすごく深まっているような気がするよ。彼からいいボールが来るし、こちらもボールを出しやすい。なんかそういうパラメータってあるの?
勘助「どうですかな? 別のゲームモードである「UT」であれば、ケミストリーというのがありますが……」
官兵衛「アーセナルのフォーメーションにようやく慣れて、周りの動きが見えるようになってきた、という可能性の方が高そうですな」
そんなもんか……。いずれにせよ、久しぶりにリーグで勝てた。この調子でリーグ制覇まで再び突っ走っていきたいところだな。
勘助「気合が入りましたな。よろしゅうございます」
官兵衛「まあ、次節ウエストハム戦はベンチ外らしいんですけどもね」
なぬ。あ、中3日だからターンオーバーってことか……歯がゆいなあ! 調子つかみかけてるときは起用し続けてくれないかなあ!
戦国時代の武将で、朝倉氏の総大将として一向一揆などの軍勢と戦い、朝倉氏を支えました。彼が子弟に戒めとして残した『朝倉宗滴話記(あさくらそうてきわき)』の第63条に、「大将は、無器用と呼ばれてしまうと、以後は成功してもまぐれだと思われてしまうので、普段から注意しなさい」とありますので、それを引用した形です。
ケミストリー
2000年代を中心に活躍した男性ツインボーカルユニット、のことでは勿論なく、「FIFA ULTIMATE TEAM(略してFUT)」モードで適用される値のこと。選手個人の能力だけでなく、それぞれのポジション適性や選手同士の関係性によってプラス効果が発揮され、「全体のケミストリー値が高い=そのチーム全体の力が高い」ということを示すんだとか。