『ペーパーテイルズ 禁域への門』を遊んでみた
一筋縄ではいかなくなった100年間
奉行おう、また我らが至高の百年王国を建国する任務か?
与力それは「千年王国じゃないの?」というのと、「究極の百年王国と勝負ですか?」というツッコミと、どちらを期待してのご発言でしょうかね?
奉行たわけ、わしはお主ほどギャグ貧乏に陥っておらぬから、左様な下心は毛頭ない。それより早う準備をするぞ、準備を。
与力ははっ。
準備の手順は基本セットと大きな変化はありません(詳細を知りたい方は以前の記事をご参照ください)。追加される要素は、拡張で追加されたユニットカードを混ぜることと、手持ちの建物カードを毎回決定することの2つです。
奉行建物カードを決める? おお、もしや7枚付いてきたタイルはそれに使うのか。
与力はい。基本に入っていた5種類のうち、「城下町・酒場・鉱山・神殿」は固定で使用されますが、残りの「兵舎」と拡張で追加された6種類の中から、そのゲームで使う建物をランダムで3種類選び、合計7枚の建物カードを持ってゲームをスタートすることになるんですね。
奉行ということはつまり、ゲームごとに戦略に変化が生まれてくる……。
与力その期待、大ですよ。
以上の準備が終了したら、ゲームを開始します。進行についても変化はなく、「①雇用 ②配置 ③戦争 ④収入 ⑤建築 ⑤経年」の各フェイズを実行し、これを4回繰り返したらゲーム終了となり、もっとも勝利点を獲得したプレイヤーが勝利します。ということで早速ゲームを何度かやってみると、見たことが無いユニットが当然、混ざってくるわけで……。
奉行むむむ、わしを苦しめた新キャラだ。
与力2時間の推理ドラマで出てきた瞬間、犯人だなと思う人多数な顔してますよね。
奉行確かに絶妙な顔つきだが、戦力としてもそこそこ、そして金策能力も高い、ときた。
与力結果的にこいつのおかげで今回は勝てました。
与力うわあ、そのカード強そうだと思ってましたけど、やっぱり強かったですねえ。
奉行こういう変則的な戦い方がぱっとできて、凄く面白かったぞ。今回は残念ながら勝てなかったが。
与力出された時は「うわあ!」って思いましたよ。
奉行カウンターを操作できるか、多く出せるユニットとうまく噛み合わなかったからなあ。もっとカードについて熟知したくなる。
奉行ふむ、プレイ感は全然変わらん。が、ユニットが増えたから戦略の幅は格段に広がった。「どれ使おう?」とわくわくした。
与力ごくシンプルな、いかにもカードゲームらしい拡張ですが、ぐんと面白くなりました。
奉行ところでだな。基本セットにもコストが高いユニットがおったが、今回もいたな。高いやつ。
与力ああ、ちょっと組み合わせに困るやつですよね。
奉行いやもう、使い方が全然分からん。このカードをゲーム終了時に持っていたプレイヤーが勝利、とかだったらいいんだがなあ。
与力うん、ぜんぜん別のゲームになっちゃいますよね、それはね。
戦え、ソロモード!
奉行そういえば1人で遊べるらしいが、それはどういうルールなのだ? うちのようなプレイ人数に困るところにとっては、喉から手が出るほどありがたいんだが。
与力はい。2人以上プレイの場合には使わない、ソロモード専用のカードを使い、“リッチキング”というシステムと戦うことになります。
奉行死者の王か? なんかそれは『ルーンバウンド』で痛い目に遭ったやつの親類かね。
与力う、また辛い思い出を。黄衣の王と関係があるのかもしれませんよ。
ソロモード「リッチキングの軍勢」では、ラウンドごとに公開される条件で勝利点を獲得していくリッチキングに対して、プレイヤーはより多くの勝利点を獲得することが目標になります。
与力ゲームの進行は基本ルールとそれほど変化ないんですが、まず難易度の設定ですね。
奉行ほほう、難易度調整まであるのか。
リッチキングカードには、ソロモードゲーム中、リッチキングが勝利点を獲得する条件が記載されています。このカードを何枚使用するかでゲームの難易度が変化します。
奉行そりゃそうだな。得点パターンが多い方が強いに決まっておるわ。
与力はい、まあそういうことなんで、ランダムに1枚引いたりとか、3枚使ったりとかしましょう。次にゲームの進行なんですが、“雇用フェイズ”と“戦争フェイズ”が大きく違ってきますね。んで、それらは全てラウンドごとにオープンされる「ネクロポリスカード」と関係してきます。
奉行ネクロ……ポリス?
雇用フェイズでは、プレイヤーが選ばなかったユニットは、全て“冥界”という場所に置かれます。雇用フェイズ終了後、リッチキングはネクロポリスカード左上に書かれている勝利点を獲得し、さらに冥界送りになっているユニットの内容を確認して、ネクロポリスカードの下部に書かれている「リッチキングが勝利点を得る条件」と照らし合わせます。条件に当てはまっていれば、リッチキングは勝利点を得ます。
奉行ふうむ。プレイヤーが選ばなかったカードが、リッチキングの勝利点につながってしまう訳だな。
与力その所も加味して、ユニットを選ばないといけない訳ですね。しかも、このネクロポリスカードは重複していきます。
奉行そうか、最終的には4枚のネクロポリスカードからリッチキングは勝利点を吸い上げるのだな。
与力そしてゲーム終了時用のネクロポリスカードってのもありましてね。そこでも即座に勝利点を得る訳ですよ。
奉行最後まで気を抜かせない。やり手だなあ……。
戦争フェイズでは、現在のラウンドと次のラウンドのネクロポリスカードに書かれている黒と紫の戦力をそれぞれ合計し、通常のルール通り、2回の戦闘を行います。
与力戦争で1勝するたびにプレイヤーは3点、リッチキングは1点を獲得します。
奉行そこはリッチキング側に若干不利なのかね。しかし戦力の予想がつかなさそうだな。
与力結構難しいかもしれませんね。ネクロポリスカードは各ラウンドとも複数枚用意されていますから、ゲームごとにランダムです。
奉行ともかく、リッチキングとネクロポリス、両方のカードをよく見て、相手に勝利点を稼がせないようなプレイングが必要なソリティアか。これもやりこみ甲斐がありそうだ。
『ペーパーテイルズ:禁域への門』【ここがイカス!】
奉行すでに述べたが、これはまさに、王道な拡張だな。
与力王道ですか。
奉行細かいルールを増やしてゲーム性を変化させるわけではないタイプ、という。そもそもが『ペーパーテイルズ』は、カードの特殊能力を組み合わせて楽しむゲームで、新しいカードが増えれば増えるだけ楽しみ方が広がるから、この手の拡張とは極めて相性がいい気がする。
与力そういった意味では、拡張が出しやすいゲームではありますよね。
奉行TCG的というか、ボードゲーム業界的には『ドミニオン』的と言えばよいか?
与力そうですねえ。『ドミニオン』も拡張がたくさん出てます。
奉行作る側としては、数字とか効果の調整はすごく大変そうなんだろうけどもなあ。
与力ああ。1枚妙なカードが入っただけで、ゲームバランスぶっ壊れかねないですからね。
奉行逆に言えばどのカードも何かしら輝く瞬間があるように設計されている、ということだな。そうすると、あの姫はどう使いこなしたもんか。
与力まだそこで悩んでおられましたか。
奉行そんな風に悩んでいると、ああいう高価かつ組み合わせを考えるべきユニットを上手く使いこなしている達人のプレイって、一度見てみたいと思う訳よね。なんか最近、同じことばっか言ってて申し訳ないんだけれど、それくらい見たい。名人戦。
与力ネットTVとかで対局番組やってくれるといいですけどもね。
奉行藤田社長が麻雀と同じくらいの熱で取り組んでくれたらいいのだがなあ。誰か社長をボードゲーム沼に引きずり込んでくれないだろうか。
『ペーパーテイルズ:禁域への門』【ここはちょっと……】
奉行基本セットの時にも思ったが、ユニット追加によって、最初は手探り感が増してくるな。やる前に見ろ!そしてやりこめ!もっと遊べ!と叱責されるところかもしれんが。
与力しっかりじっくり遊ぶなら、プレイ前にカードを全部見てから始める感じですかね。
奉行ってことなんで、初プレイな人と遊ぶ時は、まずは基本セットで遊んだ方が楽しめるんじゃないかと思った。
与力拡張全部入りになると、少々選択肢が多すぎて、何を選べばいいのか目移りしてしまいそうですからねえ。
奉行今回の拡張はまさに変則的な戦い方ができるカードが増えた分、うっかりすると「あ、これじゃうまく点数にならない」と唖然茫然立ち尽くすことにりかねないし。
与力お奉行、一回「ちょ、ちょっとごめん今のカードちょっと選びなおしてよいか?」とか叫びましたもんね。
奉行そういう事実は伏せておいてくれ、かっこがつかないから。基礎と応用とか勉強みたいにいう訳ではないが、基本セットの方をある程度遊んでみてから導入するのが、より味わえておすすめなゲームだと思う。
与力今まで恰好つけてたんですか? ともあれ、拡張入れたらゲーム性ががらりと変わるわけでもないですしね。個人的にこのゲームの場合、拡張の面白さは基本を楽しんだ先にある気がしました。
奉行うん。パッケージからも「更なる力を求めた王たち……」というストーリーが見えるから、『ペーパーテイルズ』が好きな人が、次の戦いを求めて遊ぶって感じだなあ。
奉行中敷き取っ払えば、基本セットの箱に全部収まるよな。
与力そういう片付け方もありますね。
奉行なお、カード、タイルを収納する用のジッパー付き小袋が付属していたが、右下に小穴が開けてあるというお気遣いがされておったよ。
与力ジッパー〆た時に空気入って袋が膨らんじゃって、「あれ、うまく箱に入らない!?」って、ちょいちょい体験しますもんからね。ありがたいです。