第24節 見えてきた頂点
- DATE
- 5月2日 プレミアリーグ第34節
- VS
- エバートン(H)
- SCORE
- 2-0
- GOAL
- ’16 ジャカ(ARS)
- ’32 内藤(ARS)
マンチェスター -オールド・トラッフォード-
秋山信友「おっ、来たね、月間MVP」
あれっ、なんで君が……って、記者証か。取材か。まあお陰様で月間MVPもらえたよ。週間MVPはよく貰えていたが、月間はわりとレア体験ですよ。
秋山「記者の特権だよね、こういうところまで入れるのは」
黒田官兵衛「試合はもう間もなくに迫っておりますので、取材の方は手短に」
秋山「んー、そうだね。どう? CLでのユナイテッド戦ってのは」
まあ、普段とそんなに変わらないよ。中盤の選手が強烈だから、あんまり無理しないで、再度でヒラヒラしてようと思うのもいつも通り。
山本勘助「ポグバ殿のフィジカルは侮れませんな」
官兵衛「彼が好調の時は、難攻不落の中盤ともいえます」
秋山「じゃあ、ユナイテッドの強みは避けて戦いたい、ってことね。ガチに行くんじゃなく」
孫子曰く、“凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ”。敵の望む戦いではなく、その意表を衝くことができれば勝利を手にできようと思う。
秋山「なんか妙に名将っぽいこと言い出したね」
勘助「落ち着きが感じられます。また何か思い出されましたか」
官兵衛「常に落ち着いていないところが、大きな欠点でしたからな」
ちょっとは素直に感心したらどうなんだ、君たち。それじゃ、いってくる。
秋山「……だが、あまり元気は無いな」
勘助「先のエバートン戦から中2日、しかもその試合も50分過ぎに交代。回復のいとまが有りませぬゆえ」
秋山「あららまあ。それは厳しい」
官兵衛「連戦の厳しさ、ここに極まれり、ですな」
- DATE
- 4月21日 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント準決勝1stleg
- VS
- マンチェスターユナイテッド(A)
- SCORE
- 1-0
- GOAL
- ’77 オックスレイド=チェンバレン(ARS)
ロンドン -アーセナル練習場-
ふぅ……。応えるのぅ。世界の一流プレイヤーは、毎年こんなスケジュールをこなしておるわけか。
勘助「“寝だめ、食いだめも武士のたしなみ”とはよく言ったものです。よく寝て、よく食べて、常に万全の体調でなければ、フットボールにても功名を立てることはできませぬ」
官兵衛「さて、今度は中3日でリーグ戦、チェルシーとの勝負ですぞ」
チェルシーかぁ。この後のリーグスケジュールは……
- 5月17日 第36節 スウォンジー
- 5月20日 第37節 ワトフォード
- 5月24日 第38節 ボーンマス
残り試合は、みな比較的下位チームに偏っておる。これは、このチェルシー戦が最後の山場になりそうだな?
官兵衛「左様ですな。油断はいけませぬが、その認識で間違いはございますまい」
勘助「まこと、あとひと踏ん張りというところです」
よし、チェルシー戦を勝って、まずはリーグの趨勢を決定づけてしまおうではないか。この試合もわしがやらねばなるまい!
官兵衛「その意気です。そしてまた中3日でCLの準決勝2試合目がやってきます」
勘助「先々をよう考えて、余力を残しつつ全力を振り絞ってください」
いや、それは無茶だって。矛盾してるじゃん!
- DATE
- 5月9日 プレミアリーグ第35節
- VS
- チェルシー(A)
- SCORE
- 4-1
- GOAL
- ‘20・’80 内藤(ARS)
- ’24 サンチェス(ARS)
- ’33 D・ダロト(ARS)
- ’78 バカヨコ(CHE)
今節注目の一戦、アーセナルとチェルシーのビッグロンドン・ダービーは、チェルシーのホーム、スタンフォード・ブリッジから。優勝まであとわずかに迫った王者アーセナル。2位ユナイテッドを5ポイント差で引き離し、さらに試合数でも1つ有利です。この試合で勝てば、連覇はほぼ確実か。一方のチェルシーは6位と期待外れのシーズン。王者からポイントを奪って、1つでも順位を上げたいところ。
20分、アーセナルの左サイドには4月MVPの内藤。ドリブルに長けたストライカー、巧みにエリアに入り込んで得意の角度からシュートを放ちます。GKシレッセンは一歩も動けず。アーセナルがあっさり先制します。
さらに24分、今度はサイドの内藤から出たスルーパスに、チリ代表アレクシス・サンチェスが反応してシュート。シレッセンはまたもノーチェンスで、アーセナルがリードを広げます。
そして33分、またもサイドから切り込んできた内藤が得意の角度からシュート。するとこれがゴール前に走りこんでいた右SBのダロトに当たって角度が変わります。これがアーセナルでの初先発だった若いポルトガル人選手、もうけものでしたが、嬉しい初ゴールでした。
前半でほぼ試合が決まってしまい、空席もちらほら見えてきた78分、チェルシーはバカヨコが1点を返して意地を見せますが、そのわずか2分後。
中央にポジションを移していた内藤が、そのバカヨコのマークを振り切って強引なシュート。これが決まって4点目。ブルーズ、これで戦意を喪失してしまいました。3点差で大勝のアーセナル、次節スウォンジー戦の結果次第で、2シーズン連続の優勝が決まります。チェルシーのシレッセンにとっては悪い一日でした。ですが、きっと人生悪いことばかりではありません。
- DATE
- 5月13日 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント準決勝2ndleg
- VS
- マンチェスターユナイテッド(H)
- SCORE
- 2-1
- GOAL
- ’29 サンチェス(ARS)
- ’53 ムスタフィ(ARS/og)
- ’69 内藤(ARS)
いよいよCLも佳境、決勝進出をかけたイングランド勢同士の一戦です。ホームチームのアーセナル、明日バイエルン・ミュンヘンとの一戦に臨むチェルシーと戦った直前のリーグ戦で大勝し、勢いに乗っています。期待がかかるのは、リーグでも欧州でもゴールを決め続けている内藤。決勝行きを決めるゴールをもたらしてくれるでしょうか。
勝しかないユナイテッド、今日は左サイドにマルシアルを起用で、トップ下にはファン・マタ。注目のポグバはもちろん先発です。
激しいぶつかり合いが繰り広げられた前半、ゴールは一瞬のスキで生まれました。29分、内藤に意識が行き過ぎたユナイテッド、逆サイドのアダマへのケアが疎かになっていました。見逃さなかった快速ウインガ-、一気にサイドを突破すると、中央へ折り返し。待っていたサンチェスが軽く触ってデ・ヘアのゴールを破りました。今シーズン、ユナイテッドに負けなしのアーセナル、今日も先制です。
後半、ルカクめがけてロングボールを蹴る戦術に切り替えたユナイテッド。屈強なベルギー代表のことならよく分かっているはずのアーセナルDF、慌てずに対処すればよかったのですが。53分でした。
ルカクについていたドイツ代表ムスタフィ、ロングボールをクリアしそこねて味方ゴールへ蹴りこんでしまいました。ユナイテッドにとっては結果オーライ、少なくともこの試合を振出しにもどします。
これでさらに攻勢を強めるユナイテッドでしたが、69分、ガナーズファンが待ち望んていたゴールが生まれます。カウンターからペナルティエリア前でボールを持った内藤、DFの寄せが甘いところを切込み、低いライナー性のシュートをデ・ヘアの手が届かないところにズバリと決めて見せました。アーセナルが再びリードを奪います。
ポグバも前線に張り付いたユナイテッド、決死の反撃を試みますが、アーセナルも必死のディフェンス。このあと決定的なチャンスはお互いに生まれることは無く、タイムアップとなりました。アーセナルがエースのゴールで、ついにCL決勝進出です。
孫子の言葉。「敵と戦い始める時は定石通りの正攻法を用いるが、勝利のカギは奇策にあり」的な意味です。柔軟に戦いましょうということですかね。
“寝だめ、食いだめも武士のたしなみ”
なんかいつの間にかそんな風に言われているそれっぽい言葉です。なお、現代科学の力で「寝だめはできないし、健康にも良くない」という事実が証明されつつあるようなので、格言として掲げるのは良くないですね。毎日8時間半くらい寝る生活がしたいです。