『ラマ(L.A.M.A)』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。アンデスと言えば?「メロン……は関係ないのでトウモロコシ?」
与力藩の買掛担当。アンデスと言えば?「コンドルは飛んでいく、ですかね」
ラマはラクダの親戚らしいです
奉行うおう、クニツィアジレンマかい。
与力いきなり後ろ向きですね、お奉行。本当にクニツィアジレンマが苦手なようで。
奉行どうしてもなあ……なんかこう、真綿で首を締められるようなゲーム展開だろう? 勝てた時は嬉しさより開放感が先立つあの重荷……。
与力ちょっとちょっと、そんなに最初から微妙な顔をしなくても。
奉行あと、このラマの顔。チケライの箱の少年以来のイラつきをやや覚えるのだが。
与力そろそろ変な言いがかりはやめて、ゲームしましょうよ。
ゲーム準備はごく単純です。全てのカードを混ぜ、各プレイヤーに6枚ずつの手札を配り、残りは山札とします。山札の1番上のカードをめくり、最初の捨て札としたら、もっとも若いプレイヤーからゲームを開始します。
出すか引くか降りるか
与力このゲームはラウンド制です。ラウンド終了時に各プレイヤーは失点をする可能性が有ります。
奉行ふむ? いきなり残念な説明からだな。
与力それでプレイヤーの誰かの総失点が40点に到達したラウンドで、ゲーム終了となります。その時に最も失点が少ない人が、勝者ですね。
奉行今回はわしとお主の2人だから、どっちかがマイナス40に到達したら勝負あり、と。
与力ですね。で、失点なんですが、毎ラウンド終了時に手元に残っていた手札の数字が、全て失点となります。
奉行なんだと? つまり、この6枚のカードを何とか出してしまいたい、と。そういうことか?
与力基本的にはそうです。ただまあ、一筋縄ではいかない訳でして。
手番が回ってきたプレイヤーは、以下の3つの選択肢から1つを選び、実行しなければなりません。
・カードを1枚プレイする。
・カードを山札から1枚引く。
・降りる
-カードをプレイする-
与力「カードをプレイする」ってのは、要は捨て札の山に手札を捨てるってことですね。
奉行うん、まあよくあるプレイだ。
与力このゲームの場合、捨て札の山の1番上になっているカードの数字によって、捨てられる手札が変わってきます。
奉行なんでも捨てられるって訳じゃない、ということね。
与力「同じ数字のカード」か「1つ上の数字のカード」なら捨てられます。
奉行「2の後なら同じ2か、3を捨てていい」ということね。なるほど。
与力そうです。そしてラマは、6の後に出すことができて、ラマには1を出すことができます。
奉行ほほう。ラマでループするんだな。
-山札から引く or 降りる-
与力となると、手札からカードを出せないケース、あるいは出したくないケースが出てきます。その時の手段の1つがこれ。「山札からカードを1枚引いて、手札に加え」ます。同時にプレイはできません。
奉行次回の手番からカードを出していけるように何とか……みたいなことだな。
与力もう1つの手段が「降りる」ことです。手札を裏向きに自分の前に置き、これ以上カードを出さないことを宣言します。
奉行ふむう? 山札から引いて手札を出せるようにした方が良さそうな気もするが……。
与力そう思いますでしょ。実は第一のアヤがですね、「他プレイヤーが全員降りてしまい、1人だけになったプレイヤーは、カードをプレイすることはできるが、山札から引くことはできなくなる」というものなんです。
奉行むむむ? すると、下手に山札から引いて、出せぬカードが増えるだけというような状況で降りられてしまったら……。
与力そういうことです。下手すると、大量失点のピンチになるんですね。
ラマの糞は燃料になるそうですよ
誰か1人が手札を全てプレイしきるか、全てのプレイヤーがラウンドから降りた場合、ラウンド終了となり、失点の計算が行われます。
与力基本的には、カードの数字を合計するだけです。ちなみに、ラマは10点なのででかいですよ。
奉行うへえ。この残り手札だと、手前のわしはマイナス2点、お主はマイナス10点か。
与力さて、この計算にもちょっと仕掛けがありまして、これが「降りる」選択肢を選ぶ第二のアヤになります。
奉行ほほう?
与力この場合、単純に合計すればマイナス17点ですよね。
奉行そうじゃな、かなり豪勢に失点したと言えるのではないか?
与力なんですが、このゲームの得点計算では、『同じ数字のカードの数値は1回しか数えない』んです。ですから、実際にはマイナス10点ということになるんですよ。
奉行ああ、そうか! てことは、手札に5が3枚とか4枚とかあってラウンド終了になっても、マイナス5点で済むということなんだな。
与力はい。ですから、例えば仰るように『手札に5が3枚、それで捨て札の1番上が6』といった状況の時に「山札から1枚引いて手札に加えるのは損なのか得なのか?」ということです。
奉行ふうむ、うかつに引いて他のプレイヤーに降りられたら、目も当てられんな。
与力ただ、手札を出し切ってラウンドを終了させられたプレイヤーは、失点として持っているチップを、1枚捨てることができるんですよ。
奉行それは大逆転のチャンスじゃないか。ゲームが中盤以降になってきたら、負けているプレイヤーはなんとか出し切って勝利したいよなあ。
与力ところが使い切りを焦ると……という感じですね。
奉行ううむ、相変わらずの悩ませデザイナーじゃな、クニツィア博士は。
与力ラウンド終了後はゲーム開始時と同じ準備をして、前のラウンドで最後に手番が回って来ていた人からプレイをスタートしますよ。
で、ゲームの実プレイは奉行が与力に2連勝で終了です。
奉行ぐちぐち言いながら始まってしまったが、案外と思い切ったプレイで勝てたわい。
与力手札が詰まってしまい、立て直すことができませんでした……。
『ラマ』【ここがイカス!】
奉行非常に分かりやすいルール、軽いプレイ感……それでいて絶妙に悩ましい。確かにこれはいいゲームだ。
与力お、よかった。楽しかったですか。
奉行面白いぞ。悩みどころも分かりやすいしなあ。そのラウンドで頑張ってカードの出し切りを狙うか、被害を許容範囲で食い止めるために降りるか。
与力ある種、欲張るか諦めるか的な、そんなところですかね。
奉行その見極めが面白いんだよなあ。降りることで相手を追い詰めることもできるし、逆に速めに降りてみたら相手がスパッとカードを出し切ってしまって、意外と失点してしまったり。
与力適度に予想が外れて、盛り上がることがありますよね。
奉行手札出し切りで失点を減らせるシステムもまた、降りずに粘ったおかげで10点減らせた!とか、ますます被害を大きくしてしまうとか、プレイヤーに悲喜こもごもをもたらしてくれるな。
与力そうそう、何点ではなく、チップ1枚を捨てられるというのがね。
奉行うむ。10点の失点チップを捨てるのもアリだからな。一発形勢逆転があるだけに、出し切って勝つというチャレンジをしたくなる。
与力……で、焦げつくと。
奉行お主のさっきの敗因はそれじゃったろ。
『ラマ』【ここはちょっと……】
奉行ただ、2人で遊ぶゲームではないかなあ。面白くないという意味じゃなくて、もったいない、だな。
与力あれ、そうですか。
奉行もっとプレイヤーを集めたい。2人だと自分に戻ってくる数字が大体予測つくからな。そんなに「うわあ」みたいな展開が無い。
与力確かに興奮度に欠けやすいですよね。
奉行うん。見通しが良くなってしまう分、リスクヘッジが上手くいく可能性が高まる。イマイチ失点が伸びなくてジリジリした展開になるシーンもあった。
与力最終的には私が大量失点しましたが……。
奉行初期配布の手札運が分かれ目だったと思うぞ。プレイヤーが何人かいれば状況変化が起きるので、意外なカードが出せる可能性も上がってくるが……2人では手詰まりだったら、山札の引き運で何とかするしかないような気がする。
与力やっぱり4人くらいで遊びたいですかね。
奉行そうそう。その方が盛り上がることは確実だと思うよ。
奉行で、結局なんでラマなんだ?
与力ちょっと検索してみましたら、ドイツ語で「全てのマイナスを取り除け」とかそんな意味の文章(「Lege alle Minuspunkte ab」)の各語の頭文字を並べると、『L.A.M.A』になるってことらしいです。だからピリオドが打たれてたんですね。
奉行うへえ、DAIGOみたいなことだったのか……。
与力なお、輸入販売元のメビウスゲームズさんが日本語版を企画しておられるようなので、近々入手性が大幅に向上しそうです。期待大ですね。
奉行確かにむこう10年くらいのゲームシーンで定番ゲームになり得るポテンシャルは有りそうだものな。うん。