『昆虫ゲッチュ!』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。捕まえたい昆虫といえば?「トンボ。すいーっと飛んでいくのを見ると、ささっとやりたくなる」
与力藩の買掛担当。捕まえたい昆虫といえば?「クワガタ。特にヒラタクワガタなら最高です。あの荒々しいところがたまりません」
最初から大興奮
奉行へー、初回特典。世界最大のカブトムシがゲットできて、なんか嬉しいな。
与力いいですかお奉行。
奉行あ、はい。
与力仰る通り、これが世界最大のカブトムシと言われているヘラクレスオオカブトです。色的にはヘラクレスヘラクレスってヤツですね、たぶん。
奉行あ、はぁい…。
与力生息域で学名が違うんですよ。『ムシキング』辺りで昆虫ブームが過熱した時とかは、結構飼育してる人がいましたねえ。ちょっと安価で取引されてたヘラクレスリッキーはかなり見ましたよ、ええ。
奉行えーと。君も昆虫は結構好きだったけれど、飼ってたのかい?
与力いやあ、海外産カブトはどうしてもスペース取りますんでね、私はクワガタ派でした。実は一番飼いやすい国産オオクワガタと、アゴのカッコいい離島系ヒラタを何種類か…。
奉行ああ、また余計なスイッチ押してしまったなぁ…(遠い目)。
与力ちなみにヘラクレスは一部飼育個体が逃げ出して野生化した?なんて噂も出てましたけど、実際のところはどうだったんですかね?
奉行知らんがな。早くゲームの説明をせんかい!
『昆虫ゲッチュ!』は、3人1組の虫取りチームを操って「虫取り大会」を戦い、他プレイヤーよりも高得点を得て優勝を目指す、というゲームです。
奉行なかなか草野球のチーム名みたいだな。
与力微笑ましいでしょ。じゃ、ゲーム準備です。
各プレイヤーは、好きなチームを1つ選び、メンバーカード3枚を受け取ります。
続いて虫カードを全てよく混ぜ、プレイ人数に合わせた規定の枚数を、各プレイヤーに裏向きに配ります。このカードは表にせず、山札として自分の前に置いておきます。
余った虫カードのうち、1枚を表向きに配置し、スタートカードとします。残ったカードは裏向きのまま、箱に戻しましょう。これでゲームの準備は完了です。
与力我々は2人プレイなので、それぞれ1チームではなく、2チームを担当します。
奉行チーム採取バトルを行う、といった趣向じゃな。
昆虫を取り囲め!
奉行よし、で、昆虫を捕まえるにはどうすればよいのだな。
与力ごくかいつまんで言うと、「虫カードの周りに必要な人数の人間がいる」と、誰かが捕獲に成功します。
奉行捕獲とかいうと、猟みたいじゃな。採取と言おう、採取と。
与力で、そのためにはカードを並べていくわけです。てことなので、プレイヤーがやれることは、「カードを場のどこかに置く」だけなんですよ、実は。
各プレイヤーは、自分の手番になったら、2つのカード配置アクションのうち、どちらかを選んで実行します。
- メンバーカードから好きなカードを1枚選んで、表向きに場に置く。
- 自分の前にある虫カードの山札から1枚引き、表向きにして場に置く。
どちらを選んだ場合でも、すでに置かれているカードと最低「どこか一辺」が接するように置かなければなりません。斜め配置はダメです。
与力これはみんなが捕まえたいヘラクレスオオカブトがスタートカードになってしまったため、メンバーが集中してしまっている訳ですが…。
奉行ともかく、こういう形になっていくわけね。メンバーは狙って置く、虫はランダムに出てきたのをうまいこと置く、と。
与力どちらもよっく考えて配置しないといけないのは、共通していますね。
これを繰り返し、全プレイヤーが手札と山札を使い切ったら、ゲームは終了し、得点計算に移ります。
その虫は誰の虫なのか
奉行で、無事終了したのはいいんだが、どうやったら虫を捕まえられているのか、その説明が抜けておるな。
与力抜けてますね。ていうか、そもそもそこが分からないとカードが置けませんから。
奉行しっかり頼むぞ、おい。
まず、虫カードの右下には、グレーの人型が描かれています。これは、「この虫の周りに何枚のメンバーカードが隣接していると、採取できるのか」を示しています。
与力メンバーカードは「チーム関らず」です。誰のものでも、とにかく合計でこの人型と同数のメンバーカードが隣接していれば、この虫は誰かしらが捕まえたことになります。
奉行ふむ、では肝心の誰が捕まえたか、ということじゃが。
与力はい、そこで各チーム、メンバーの誰がそこにいるのか、というのが大切になってくるんですね。
メンバーカードの左上には六角形が白ヌキで描かれています。これが各メンバーの採取の「腕前レベル」です。3人のメンバーは、1~3の腕前を持っています。
奉行そういやメンバーは全員固有ネームが付いているんだっけ…ん? 大阪桐蔭…? あの学校、虫取りも強かったのか…?
与力冗談です、冗談。さっき草野球チームっぽいとかおっしゃるので。
奉行なんだ、余計な雑音を入れよってからに。
与力大切なのは『腕前の合計値』です。対象となる虫カードに隣接している各プレイヤーのメンバーの『腕前』を合計し、もっとも大きかったチームがその虫をゲットする、といった塩梅になるのです。
奉行ほほう! つまり、「虫を発見する」までは全プレイヤーの利害がある程度一致し、「採取する」段になって互いが競うことになると。最後でばさーーっと網を振るうという感じだな。
与力ですから、先ほどの最終盤面の写真で行きますと、ヘラクレスオオカブトは、赤5(3+2)に対し、黄&青6(3+3、黄と青は2人用ルールで同一プレイヤーが使うため、合計できる)なので、黄&青が採取、ゲットしたことになります。
奉行ふむふむ…バッタは赤(3)、ホタルは赤&紫(3+1)と青(1)で、赤&紫…。おや?
与力どうかなさいましたか?
奉行この左下のコガネムシ? カナブン? は、どちらなのだ? 腕前は3対3じゃぞ?
腕前の合計が同じ場合には、「隣接しているメンバーの枚数が多い」プレイヤーが、その昆虫をゲットします。それも同じであれば、その昆虫は誰も採取できなかったことになります。
与力…と、いうことです。
奉行ふうん、チーム同士のバトルが過熱するあまり、同時に網を振るって、お互いの頭にすぽっと入る?
与力それで虫は逃げちゃって、というギャグ漫画チックなパターンですか。
奉行さておき、人数をかけることでなんとかなる場合もある、と。
誰がどの昆虫を採取したかが決まったら、得点計算を行います。得点は、虫カードの左上に書かれている数字を合計しますが、採取の内容によっては「ボーナス点」が手に入ります。
奉行ボーナス点?
与力得点の数字を確認しましょう。数字の背景に色のついた図形が描かれたカードが有りますね。
奉行おう、アゲハチョウとアブラゼミには金色っぽい丸が描いてあって、カマキリには緑の四角じゃな。
与力この図形が一致する虫カードを2枚ゲットしていれば1点、3枚なら3点の追加ボーナスが手に入ります。似たようなグループの虫を手に入れると、高得点になるって感じですね。
奉行ほほお、てことは、お主は1点入るのか?
与力残念ながら、2人プレイの場合には3枚3点だけなんです。なので…17点ですね。
奉行ふっ、ハチの-3は結構でかいな。わしは…9点かな? ホタルを採りたかったなあ。
奉行タマムシ、意外と飛ぶのが鈍重なのよな。
与力可愛いですよね。
『昆虫ゲッチュ!』【ここがイカス!】
奉行さすが、プレイの選択肢が少なくて、そして遊びやすい。
与力どっちにしてもカードを置くだけですからね。説明しやすいですね。
奉行でも、お手軽お気楽ゲームという訳ではなく、一手ずつ局面がスピーディに変化するから、手番ごとによく考えてカードを置く必要がある。
与力ポップな絵柄、親しみやすいテーマ……でも実は、理論的な思考が求められますよね。とはいえ、どんな虫が次に飛び出してくるのかは分からないので……。
奉行そう。時として有力なメンバーを出動させる思い切りも必要だし、様子見で虫カードを配置することもまた大切だし。先がハッキリしないところで、それを天秤にかける悩ましさもあるな。ジレンマってやつか。
与力様子見のつもりが、カブトムシ引いちゃったりして。
奉行うん。最終的にはそういう昆虫が現れるランダム性が、必ずしも強い人が常に勝つ訳ではない、いい感じの運要素を作り出しておるように思うよ。
与力全体として悩みどころはあれども、スピーディにゲームは進みますね。
奉行そうね。人数が増えるとどうかは分からないけど、2人プレイでは15分前後だったかな? もうちょっと悩んで遊べばよかったかも。
与力ちなみに、相手の邪魔ができるのと、心理戦要素を追加するヴァリアントルールも準備されています。
奉行ゲーム慣れした人同士なら、白熱する要素になるのう。いずれ試してみたいものだ。
『昆虫ゲッチュ!』【ここはちょっと…】
奉行意外と集中力は必要。よく場を見ておかないと、配置すべき勘所を見逃してしまう。
与力『アタック25』で「おや?」みたいなパネルにいってしまう的な?
奉行そうなのかね。まあ、わしはなんか虫の絵を時々誤認するんだよな。似てない? 特に甲虫。
与力注意力不足…(ボソッ)。
奉行あと、熟考できる同士だと、結構ガチガチなゲームにはなるかも知らん。ビギナーにとって『カルカソンヌ』はタイル1枚引いてキャーキャーいうだが、世界選手権者とかになると全く違う勝負になるのに近いような。
与力深いですね…。
奉行カード構成を暗記した人と、そうではない人との差が明確に出たりするかもね。分からないけど。
与力全部の昆虫が出る訳ではない、とシステムによる予防策は取られていますけどもね。
奉行あ、2人プレイは互いに腕前3レベルを2枚持っているだけに、その2枚を組み合わせて、どれだけいい昆虫を囲い込めるかになるよねえ。その点で、ちょっと虫カードの運要素が強くなるかな?
与力3人以上でのプレイと比較してみたいものです。
奉行ま、総じてプレイ時間の短さ、考えどころと良好なバランスだし、何よりシンプルルールなので、誰でも遊びやすいジレンマを感じられるゲームだと思う。ジレンマといえばクニツィア博士の砂を食むようなジレンマもあるが、あれが楽しさを通り越して辛いわしにとっては、このくらいが好きだな。
与力お奉行は博士との相性の悪さはちょっと…。私はあれですね、追加昆虫カードに期待したいですね。海外産のオオヒラタとかですね、シカクワガタとか、ギラファノコギリとか、格好いいフォルムのクワガタを豊富にですね、こう、取り揃えた拡張パックを…。
奉行『クワガタゲッチュ!』 になるだろうが、それじゃ!
与力いいじゃないですか!
奉行そういえば“ゲッチュ”で年齢を感じさせる話題を出さなかったな。
与力サルですか? ブルーな稲妻ですか?
奉行スッと出てくるあたり、やっぱり年齢を感じるよな。