リアクションサッカーでもブーイングは勘弁
1591年12月 海津城要塞化計画
おっ。皆さまご機嫌いかがでございましょうか。真田源三郎でございます。前回の最後では勢いよくあんなことを申しておりましたが、いきなり合戦とはいかぬもの。機会を待っておる只今は普請の真っ最中でございますゆえ、ちとバタバタしておるのはご容赦願います。
河原綱家「またずいぶんと予算を投入して備えを固めておられますな。何かございましたか」
高梨内記「何もないが、転ばぬ先の杖ということなのであろう」
…うーん。家臣たちは左様に言っておりますが、実は何もなかったわけではございませんで…
周辺の大勢力がしきりと私に誘いをかけてくるのですな。これは明らかに真田攻めの布石と見てよろしい。露骨すぎるくらい露骨です。となれば、近々大合戦が起きてもおかしくない、いったいいつ敵が攻めてくるか…。
という訳で門と櫓を改修中です。城の設備を改修しますと、城全体の耐久度が強化され、また立てこもって戦う我が方の軍勢の能力も強化されます。だいぶ金も資源も使いますので、なんでもかんでもという訳には行きませんが、籠城戦が基本戦略な我らとしては、城の強化は生き残りのためには必須。また、私の高い内政能力をもってすれば、工事の完成も早まりますので、悪い選択ではない、とは思うのです。ただ、基本相手のアクション待ちで受けの姿勢が続くのはつらいですし、ブログ記事的にもダイナミックさに欠けてしまいますから、ちょっとアレがナニですわね。ええ。
河原「誰と何をしゃべっておられるのであろう…」
高梨「独り言が増えるのは、精神衛生上あまりよろしくない、と聞くが…」
ほっとけ。
1592年6月 真田の時間
うーん(いつもの情報収集中)。諸国で大合戦になっておるなあ。徳川は近畿にご執心、上杉は最上と争い、柴田勝家亡き後、衣鉢を継いだ前田利家は、北陸から近江を目指している…なんとなく、この北信濃は真空地帯になっているような…。ここが好機か。
鈴木重則「源三郎様!」
むっ、やはり油断大敵であったか! どこが攻めてきた?
重則「あっ、いえ、上田の殿が、3000あまりの手勢を率い、上杉の根知城へ攻め懸かりました…」
…そうか、先にこの辺りが打って出る好機とは申し上げておいたが、こういう一か八かの勝負をさらりとやってのけられるのは、博打師の面目躍如というところ…とはいえ 確かに上杉は最上との戦で兵を消耗してはおるが、父上の手勢だけでは五分の勝負には届かぬ程度の戦力を持っておるはず。よし、まさしく勝負どころだ、ここは予定通りひと働きしてみせるか!
我が軍勢が兵の少ない飯山城を攻めると見せかければ、春日山におる上杉本隊は、根知城と飯山城のどちらを助けるか、二択を強いられる形となる。で、結局こちらに食い付いた。これで戦は楽になろう。
鈴木忠重(以下右近)「根知城攻めが始まったようですが、善光寺衆の参戦もあり、我が方有利に推移しておるとか」
ふー…。海津に入ってよりこっち、善光寺衆を手なずけるのには随分苦労させられたからな。ここで働いてくれてなによりだ。…戸隠衆はまだ我らを信用してくれぬようだが。
そういえば父上は最初から根知城を欲しがっておったが…あんな場所の城、どうやって守るのであろ。
1592年9月 調子に乗るオヤジ
河原「源三郎様、源三郎様!」
おう、綱家。無事、根知城は落ちたらしいな。弟の信勝が城将として入ったらしいが…まあ重畳だろう。うむ。
河原「いや、実はですね、上田の殿なのですが…」
高梨「根知城を落とした余勢を駆って、飯山城にも攻め懸かられる様子なのです」
おっ、飯山も一気にいこうというのか。「戦は時の勢いが肝心」とは日頃の口癖でおられたが、ここでそうきたか…。
高梨「いかが、なされまするか」
飯山まで戦線が伸びてしまうのは、若干うれしくはないな。もともと小城だから、取れたとしても、集められる兵の数もたかが知れておるし、守るのに苦労する城だ。だが、上杉が取り戻しにくれば、当然防がぬわけにはいかぬから、こちらの戦力が消耗する…。
河原「大分、後ろ向きですな」
まあな。悪い事ばかり考えればそうなるのだが、どうせ我らは小勢力、弱小大名よ。多少の無理は重ねて、どこかで突破口を見つけねば、どうしようもあるまい。この飯山攻めが、意外とそうなるかもしれんぞ。
高梨「では?」
うむ、おれも出るぞ。陣触れだ!
根知城の信勝もご苦労なことだな。飯山から迎撃に出てきた敵将は、父上の敵ではない。任せておけばよかろう。
右近「我らはいかがいたしましょうか」
そうさな、春日山から援軍が南下してくるやもしれぬが、数はこちらが上。飯山城まで到達して父上の城攻めを邪魔せぬように、このあたりで睨みをきかせておけばよかろう。
…上杉景勝自身が打って出てくるとはなあ。数が少なくとも、あれと正面から戦えば、こちらの損害も馬鹿にはならんところであった。
重則「結局、飯山を攻めておる殿のところまで追い込んで、挟み撃ちにしてなんとか撃退する、という形になりましたな」
ま、戦は頭よ。やれ、飯山ももう落ちそうだ。
河原「まさか、北信濃一円を我が真田家が支配することになろうとは」
高梨「なんとも目出度い限りにございます。おめでとうございます!」
…そうだな。まあ、目出度いは目出度いが、この展開があと五年早く訪れていればなあ、と思ってしまうな。今はもう、周りが強くなりすぎておるゆえ、北信濃程度で小ゆるぎもせん敵ばかりだ。さて、これからどうやって生き延びていこうか?