想像以上に島津はやばい
(ある宣教師の手紙)
府内館 第二回重役会議
はい、それでは重役会議を始めます。よろしくね。
戸次鑑連「……御屋形様、まずは秋月・阿蘇攻略、誠に祝着至極にございます。我ら一同、お祝いを申し上げまする」
高橋鑑種「じゃが、大内の介入は余計なことでございましたな。八郎様(=大内義長。義鎮の弟)も、御屋形の後押しで大内当主となられた上は、大友家のこともよう思案下されるが、よろしゅうございましょうに」
ま、そこは仕方ない。大内を島津との最前線に引っ張り出したと考えよう。我々にとってのビッグイシューは、あくまで島津との対決。本格的な対決が始まる前に、どれだけ有利な状況まで持っていけるか、が勝負だから。
土持親成「なれば、是非とも我が家の日向経略に、より一層の後押しを願いたい! 島津が伊東を併呑すれば、すぐに御府内まで迫れる道理でございますれば!」
臼杵鑑続「(土持は、領地への野心が見え透いておる……分かりやすいといえば分かりやすいが……)」
志賀親守「(不平不満の多いこ奴を、どう処遇していかれるか、御屋形の腕の見せ所であろうな)」
ん、それはその通り。日向には私と臼杵家がしっかり目を光らせておくから、オポチュニティマネジメントはしっかりやりますよ。OK?
土持「……ははっ(何いってんだ、この御屋形は)」
蒲池鑑盛「当面は日向攻めの算段、ということにござれば、我らは街道の整備など行い、軍勢の移動を容易たらしめるよう、働きまする」
角隈石宗「では、しばらくは各家とも戦力の充実に努めつつ、伊東攻めのお下知を待つ、ということでよろしゅうございましょうか」
そうね、今んとこオンスケできてるから、焦る必要はないけども、かといって楽観視もできないよ。皆さん、目標に対してはしっかりコミットして下さいね。
一同「ははっ(……何を言われたのだろうか……)」
府内館 ―1553年からの戦略進行―
はい、MTG始めるよ。最初に、新しいプロジェクトメンバーの紹介ね。親直さん、あいさつよろしく。
甲斐親直(元阿蘇家重臣)「甲斐親直でござる。以後よしなに」
はいどうも。島津に対抗するには、連中に負けない人材のクオリティを持つことが重要だからね。大いに期待してますよ。さて、現在優先しなきゃいけないタスクはある?
吉岡長増「阿蘇家を併呑し、甲斐殿はじめ、旧阿蘇家臣団を配下に加えましたが、いずれもみな、御屋形様へ忠義を働くかは不透明ですのじゃ」
一萬田鑑実「当家は主家を滅ぼした仇敵。それにいきなり忠義を期待するのも難しい、とは存じますが……」
吉弘鑑理「とは申せ、御領国を広げなさるにあたっては、城を守る人手が大切にござる。連中を召し抱えねば、思うに任せぬことになりかねませず」
……うーん。彼らは基本の考え方が「保守」で、私は「創造」と、主義が違うから、お互い理解しあいにくいんだよね。まあ、そこは何とかしないとね。ちょっと申し訳ないけれど、戸次家に頑張ってもらおうか。他には?
一萬田「土持家は日向攻略に気炎を吐いておりますが、思いの外、伊東の軍勢が手強く、率直にいって戦力が足りておりません」
吉弘「臼杵家は土持家を後押しするにあまり積極的ではなく、御屋形様のご出陣が肝要かと思われます」
やっぱ土持・臼杵と伊東では、ミスマッチになっちゃったね。でも、たぶん高城を取れば、戦力バランスは崩れるから、その後はいけると思うんだ。ただ、伊東は東九州における島津とのバッファでもあるから、あんまり早くがっつくと、日向がレッド・オーシャンになりかねない。欲を言えば、もう少し戦力拡充の時間が欲しかったけど…
吉岡妙林「悩まれるお顔も素敵ですわ、義鎮様!」
ハハハ、照れるな。とりあえず鑑実、戸次にメール送るよ。それから、出陣の支度もしておいて。いつでも日向を攻撃できるように。
甲斐「(……大友家の家風は万事斯くの如しにござるか?)」
角隈「(……御屋形様は万事この調子でござるが、家全体がこう、という訳では…)」
甲斐「(ご苦労が、しのばれますな)」
⇒旧阿蘇家臣を戸次家与力とする。
戸次「……?」
由布惟信「動向不確かな連中を全部押し付けてきた、ってだけじゃないですか。厄介ごとを抱え込まされましたぜ、こいつは」
戸次「……よい。わしやそなたの振る舞いを見ておれば、己の生きる道は自ずと悟るであろう」
由布「(うちの殿様はホント馬鹿が付くほど生真面目な忠義者だ……でも、言ったとおりにしちまうのが、すげぇとこだよな)」
南から島津につつかれていたらしい伊東家に、戦力的余裕はなくなっており……
よし、これで日向はほぼ手中にした、といってもいいだろう。高城は……土持家の知行としようか。以後も頑張ってください。
土持「ははっ、有難き幸せ(ようやく苦労に見合った褒美が得られたわ)」
では、ここからは南肥後の相良家の領地を……あれっ?
しまった、相良家は持たなかったか。これで我らは肥後と日向で島津とコンペティターになってしまった。想定より早い!
一萬田「いかが、なされまするか」
うーん、いったん府内へ引き上げ、再MTGだ。高橋以下、北九州の戦力を南下させられるか、考えてみよう。
角隈「ただ、ここから無事に引き上げさせてくれれば、よろしゅうござるが……この状況、わしならば見逃しませぬ」
甲斐「いかさま。取ったばかりの城ほど、守りづらいものはない」
なるほど……確かにその通り。仕方がない、戸次家には苦労をかけるが、戦力をこちらに回してくれるよう、メールを出そう!
戸次「……大内が、むやみやたらと日向まで踏み込んでくれて助かり申した」
由布「大内勢に引き寄せられて、島津の兵が二分されたからな。あれがなければ……ふう」
大内も何とか役に立った、ということか……。もう少し準備時間が欲しかったのだが、しょうがない。リスケだ!