第20節 まだちょっとだけ続くのでござる
サウジアラビア・リヤド -チーム宿舎-
えー、無事2019-2020シーズンがはじまりました。ただいまはプレシーズンのツアーでサウジへ来ております。プレシーズンのキャンプは中国とか中東もあるけど、やっぱりアメリカでのシーズン開幕前調整が、一番やりやすそうなイメージは有りますね。でも来ちゃったね、砂漠に。
山本勘助「今シーズンもひたすらに訓練、そして目指すバロンドールをつかみ取りましょう」
黒田官兵衛「なお、バルセロナとバイエルン・ミュンヘンがあなた様の獲得に興味を示しておるそうですな。具体的なオファーは何もないのですが」
そうか、流石に1シーズンの補強予算の大半を費やすに足る選手かどうか、見極めたいものな。ところで……
官兵衛「なんでしょう、何やら深刻な顔をしておられますが」
勘助「我らで相談に預かることができる話であれば、何なりと」
いやさ、これ(https://www.easports.com/jp/fifa)の話なんだけども。EAスポーツ謹製のサッカーゲーム最新作『FIFA19』が堂々の新発売なんですよ。それでどうする?って話。まだこっちで続けるの?
官兵衛「スポーツゲームはこれがあるから恐ろしいですな。毎年度ごとに新作に切り替わりますからな」
勘助「しかし今作ではついにチャンピオンズリーグが遊べるそうになったそうですぞ」
官兵衛「ゲームオリジナル選手であったアレックス・ハンターの旅もどうやら最終章のようですし、これは要チェックでありましょうな」
いや、宣伝をしろと言ったわけではないんだよ。あの、『FIFA19』新発売で盛り上がっている中、『FIFA18』でヨロヨロと選手人生を歩む記事は続けていいのかなあって、そういう相談なんだが。
官兵衛「そうですね。ご懸念はごもっともです。ですから、とっとと決着つけてください。このシーズンでバロンドールを取ること。よいですな」
勘助「おっ、目標ができましたな、内藤様」
いやいやいやいや、なぜそういう話になる!?
官兵衛「ほらとっとと練習にかかってください。我々はあなたがバロンドールを獲得してスピーチするシーンとか見たいんですよ。そのためには努力努力アンド努力です。ほら早くしてください」
勘助「そうですな。目標が決まった以上、それを目指すだけです。頑張ってまいりましょうぞ」
誰がそんな目的を勝手に定めろと言ったよ! どう考えてもおかしいでしょうに!
-試合ハイライト-
- DATE
- 7月3日 インビテーショナルカップ
- VS
- ボルシア・ドルトムント
- SCORE
- 3-2
- GOAL
- ’16 ロイス(BVB)
- ‘21、’52 内藤(ARS)
- ’58 ラカゼット(ARS)
- ’90 ロデ(BVB)
- DATE
- 7月7日 インビテーショナルカップ
- VS
- エスパニョール
- SCORE
- 4-0
- GOAL
- ’42 ホールディング(ARS)
- ’59 内藤(ARS)
- ’74 ラカゼット(ARS)
- ’78 チェンバース(ARS)
- DATE
- 7月10日 インビテーショナルカップ
- VS
- マルセイユ
- SCORE
- 2-2
- GOAL
- ’41 内藤(ARS)
- ’60 ラカゼット(ARS)
- ’63 カベラ(MSL)
- ’86 ジェルマン(MSL)
- DATE
- 7月14日 インビテーショナルカップ準決勝
- VS
- アル・アハリ
- SCORE
- 3-1
- GOAL
- ’34 ラカゼット(ARS)
- ‘45、’90 Oxl-チェンバレン(ARS)
- ’48 フェトファツィディス(AHL)
- DATE
- 7月17日 インビテーショナルカップ決勝
- VS
- ボルシア・ドルトムント
- SCORE
- 0‐1
- GOAL
- ’54 ロデ(BVB)
ロンドンのどこかで誰かが読む、雑誌の一ページ
-縮小するアーセナル攻撃陣-
2019-2020シーズンが開幕し、第7節までを消化したプレミアリーグ。いずれのチームもシーズンが始まるまで分からなかった長所・短所が相当に明らかになってきた。だが、昨シーズンのチャンピオンであるアーセナルは、別だ。シーズン開幕前から指摘されていたように、明らかな欠陥が、明確になっているだけだからだ。
しかし、現実にはその補強はなかった。特に、オリビエ・ジルー放出後の前線の硬直化は著しい。アダマをミドルスブラから迎え入れたのはヒットだったが、ラカゼット以外に頼れるストライカーがいないのは致命的だ。これは開幕前から指摘されていた、大きな問題だ。
-内藤という選択肢-
そこでファンなら必ず疑問に思うはずだ。「なぜ、内藤を起用し続けないのか?」。昨シーズン22試合で21ゴールを決めた若い日本人ストライカーは、左ウイングもこなせる利便性から、チーム内で一定の地位を自分のものにしている。ただ、彼が豊かな才能に恵まれている一方で、継続性に欠け、不安定なプレーに終始するがゆえに、監督の全面的な信頼を勝ち得ていないのも現実であり、そのためチームにとっては悩ましい存在であるとも言える。
しかし、それを差し引いても、今シーズンのアーセナルがリーグ戦、チャンピオンズリーグを含めて10試合を消化している今、彼がわずか4試合にしか起用されていないのは、少々異常なことだ。開幕2試合で1ゴールという結果は、決して期待通りではなかったのかもしれない。だが、彼以上に期待できる選手がベンチにいないのも現実なのだ。内藤を外した3節からの3試合、アーセナルは昨年とは比較にならない弱々しさで、勝ち点1をキープするのがやっとだった。スパーズ相手の第4節はともかく、格下のストーク・シティとアストン・ヴィラに―特に後者にはホームで―引き分けたのは問題だろう。アーセナルは明らかに得点力不足に陥っている。
今のアーセナルのメンバーをやりくりして、得点力不足解消を目指すのであれば、最も期待値の高い内藤を我慢して使い続けるしかないだろう。一方でそれをしないのならば、もう一つ彼を生かして問題を解決する方法がある。売却することだ。
夏の移籍市場でも内藤にはバルセロナ、バイエルン、PSGなど、国外のビッグクラブからオファーがあったと聞く。そして彼の持つポテンシャルからくる世間的な評価は極めて高く、今や世界最高峰と言えるほどの移籍金が発生する選手の1人なのだ。継続的に起用しないのであれば、むしろ売却して、その利益でよりチームにフィットするプレイヤーを数人確保するべきだ。それだけの移籍金が期待できる移籍になる。使うか、売るか。冬の移籍市場までに内藤を巡る方針を決めておくことが、アーセナルのタイトル防衛に向けた大きなカギとなるのではないだろうか。