第25節 二 冠 達 成
- DATE
- 5月17日 プレミアリーグ第36節
- VS
- スウォンジー(A)
- SCORE
- 1-0
- GOAL
- ’72 内藤(ARS)
リバティスタジアムでスウォンジーとの一戦に臨むアーセナル、この試合に勝てれば、優勝が決まります。チームは現在好調を維持。さて、今日はどうでしょうか。
ホームのスワンズは、中盤を固めてアーセナルのパスワークの要、エジルを封じ込めに来ました。中でもアカデミー時代をロンドンの2チームで過ごした大ベテランのブリットン、年齢を感じさせない激しいプレーで、アーセナルの攻撃を停滞させます。子供の頃に着ていたユニフォームを前に、闘争心をかきたてられたか。
互角の試合を動かしたのは後半に入って72分、好調のチームにあって絶好調を維持しているこの男。内藤の正確なシュートが決まって試合終盤にアーセナルが先制します。そして試合はこれ以上動かず、アーセナル、今シーズンの優勝を決めました。
リーグ序盤は得点力不足に悩みましたが、第8節からラカゼットに替わって先発に定着した内藤が見事なゴールを量産。シーズンを通して決して選手層には恵まれず、補強に否定的なフロントには疑問の声も上がりましたが、若手からベテランまで使える戦力は全て使い切り、優勝を手にしました。
ロンドン -アーセナル練習場-
さて、優勝を決めたスウォンジー戦からさらに2試合をこなし、リーグ戦は終わったな。振り返ってみると……。
ま、下位チームとの試合は、力の差が出たな。これでプレミアリーグは全日程を終了したのだが、一つ気になっているところが有るのだ。
黒田官兵衛「何ですか。さほど重要なことでなければよいと思いますが」
山本勘助「大丈夫でしょう。内藤様は細かいことが気になってしまう性分ですから」
いや、そんなに細かくないと思うんだがな。個人タイトルの件だよ。
得点王なんか、2位のアルナウトビッチに27ゴール差だからね。こんなすごい選手なのに、なぜかベストイレブンには選ばれていない。これはなんで? ねえ、なんで?
勘助「ほう、そういうことですか」
官兵衛「うーん、発表されたメンバーを見ると、4-4-2システムをベースに選考されているような気がします。あなた様は5-2-3の左ですからな。当てはまらなかった、ということでしょうかね」
イ、イングランドの4-4-2信仰が、こんなところで……? リーグ最高峰の選手を差し置いてまで……?
官兵衛「うーん、何か終わった時にどうにも一つ足りないのは、あなた様の悪いクセです」
勘助「画竜点睛を欠くというか、広島旅行に出かけてお好み焼きを食べないで帰ってくるというか……」
これはクセとかそういう話ではないし、私が責められる筋合いの話しではないでしょうに。あと、なんでお好み焼き。
官兵衛「まあ、決まったものはもう仕方ありません。切り替えましょう。切り替え。次の試合ですね」
勘助「ですな。あと2つ、残っております。まずはFAカップ決勝のストーク戦」
お、おぅ。FAカップな。伝統と格式のカップ戦だ。日本で言ったら天皇杯というところだろうか。ストークとは今シーズンのリーグ戦で1勝1分け。負けてはいないんだが、どちらの試合でも必ず1点取られている。
勘助「と、なれば、ストークの方も、決して悪い感覚をもって決勝を迎えることは無さそうですな」
官兵衛「決してビッグクラブ相手の試合ではありませぬが、ゆめゆめ油断なされませぬよう」
そりゃ、油断して負けでもしたら、何言われるか分かったもんじゃないからな。絶対油断などせぬよ!
- DATE
- 5月30日 FAカップ決勝
- VS
- ストーク
- SCORE
- 1-0
- GOAL
- ’35 内藤(ARS)
イングランドのフットボールシーズンを締めくくる一戦、伝統あるFAカップの決勝は、ウェンブリースタジアムで行われます。リーグ王者アーセナルに挑むのは、準決勝で強敵リヴァプールを激戦の末破ってきたストーク。両チームのファンで埋まったスタンドはどちらも赤と白で一杯です。
アーセナルは久しぶりに十分な休養を取れたおかげで、ほぼベストの布陣です。左サイドバックはギブスではなく今シーズン出番を増やしたゲルスバッハ。
ストークは3トップの真ん中にデンマーク代表ブライトヴァイテを置き、左右にナイジェリア代表サクセスとスイス代表シャキリが並びます。中盤でのかじ取り役はジョー・アレン。生命線となる中央のディフェンスには、ショウクロス、マルティンス・インディ、ムニエサがイングランド代表GKバトランドと守りを固めます。リーグ43ゴール、FAカップでもここまで9ゴールで得点王の内藤を封じられるか。
タイトルへ向けて気力みなぎる両チームでしたが、スタートから上回ったのはストーク。得意の肉弾戦に、アーセナルはパスをつなげません。この後にはチャンピオンズリーグ決勝、バイエルン・ミュンヘン戦も控えるチャンピオン、故障者だけは防ぎたいという気持ちが、消極的なプレーにつながっているのか。
流れは完全にストークかと思われた35分、アーセナルの前線が動きます。サイドに流れたサンチェスに替わって中央へ進入していた内藤、正確なシュートでストークの堅い守備を粉砕しました。アーセナル、先制です。
この一撃で一気に試合はヒートアップ、と行きたいところでしたが、アーセナルはこの後、守備的な戦いに終始します。その上ストークの攻撃にも工夫が無く、結局アーセナルの守備を破れないままタイムアップ。アーセナル、リーグとの二冠達成です。この試合のマン・オブ・ザ・マッチ、大会得点王、さらには大会MVPまで獲得し、FAカップでもナンバーワンプレイヤーになった内藤。ですが、今シーズンが完全に彼のためのものだったかどうかは、チャンピオンズリーグ決勝の結果で決まります。