『ラビリンス』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。よく迷うものと言えば?「昼食のメニュー。俺の腹は、いま何腹なんだ…」
与力藩の買掛担当。よく迷うものと言えば?「ゲムマ会場内でそのゲームを買うかどうか決める時」
迷宮組曲
奉行うわあ、ザ・海外ゲームって感じの箱絵だな。このオバケとか、日本人はなかなか描けんと思うよ。
与力ええ、なおかつザ・レトロゲームな絵柄でもありますよね。実際、発売が1986年というロングセラー作品ですからね。
奉行おお…「自分が生まれるより前です」って声も全然珍しくないな、それ。
与力そして、レトロだからこその面白さというものがあります。
奉行では、張り切って遊んでみるとするか。
ゲームの準備を開始します。迷路カードをよく混ぜ、ゲーム版の空きスペースの上に裏向きに並べます。1枚余るカードは、スタートプレイヤーが持ちます。全て並べ終えたら、表にして迷宮の全容を明らかとします。
続いて、宝物カードをよく切り、各プレイヤーに均等になるよう配り切ります。プレイヤーは自分の手元にきた宝物カードの内容を見ず、自分の前に山札にして置いておきます。
その後、各プレイヤーは自分の担当色を決め、その色のコマを所定のスタート位置に配置します。これで準備が終わりました。
奉行ふむふむ。これでつまり、この手元に来ている宝物カードで指定された宝…宝じゃなさそうなのも混じっているが、そこへいってゲットしてこい、みたいなことだな?
与力ご明察です。勝利条件は、「一番最初に宝物をすべて集め、スタート位置に戻ること」ですね。
奉行なるほどなるほど。それで何を集めるか全容が分からないというのもミソか。
与力そうです。全ての計画を事前に立てることができない、と。まあ、立てていたとしても、ワヤになるとは思いますが。
奉行そこは迷宮に仕掛けがあるという寸法じゃな。
上下左右ループ
奉行でだ。宝物へ至る道が壁でふさがれているのだが、これはカッパーマトックとかで壁を壊せということかな。
与力『ドルアーガの塔』じゃないので、そういうアイテムは無いです。そこはこのゲームの面白いギミックを活用して解決していくのですよ。
手番プレイヤーは、まず手元にある宝物カードの1番上のカードの内容を見て、山札に戻します。これで自分が最初にどこへいけばよいのかが分かりました。
続いて、1枚余っている迷路カードを取り、ゲーム盤の黄色い矢印が描かれているところから迷宮の中へ向かって押し込みます。
迷宮の列が動き、押し込んだ反対側の迷路カードが押し出されてきます。この押し出されたカードは、次の手番のプレイヤーが迷宮を動かす時に使います。
奉行なるほどなぁ。迷宮の中には縦横それぞれ動く列・動かない列があるのか。それで迷宮をずらして道を作っていくのだ、と。
与力左様でございます。16枚の迷路カードがゲーム盤に固定されているので、そこが動かないよというのがミソですね。
奉行しかし、大変面白いんだが…これ実際に迷宮にいる人の視点を想像すると、とても怖いな。挟まりそう。
与力ゴッ〇オブウォーなんかでありませんでしたっけ。さておき、宝を取るためにタイルを押してみましょう。
迷路を動かしたら、コマを動かします。コマは、道がつながっているかぎり、迷路カード上を好きなだけ動かすことができます。動かなくても構いません。
動ける範囲内に自分の探している宝物があったら、その上までいって移動を終了し、獲得します。該当の宝物カードを表にして横へ置き、次の目的となる宝物カードの内容を確認しておきます。
迷路、コマ両方の移動が終了したら、次のプレイヤーの手番となります。
奉行移動は動ける範囲なら好きなところで止められる、と。つまり、次の手番を見据えて、有利な場所で止まっておくというのも一つの手ということか。
与力そうなります。あと、基本ルールでは、他のプレイヤーのコマがいる迷路カードを通過したり、そこに止まることができます。上級ルールだと、通過ができなくなりますね。
奉行ふむふむ。ところで、迷路の移動の時に、こういう状態が発生したらいかがいたすのだ?
与力この場合、コマはその列の反対側、つまり「今押し込まれた迷路カードの上」に自動的に移ります。
奉行えっ、ループしておるの、この迷宮?
与力ちょっと1画面タイプのレトロアクションゲームを思わせる作りですね。で、注意したいのは、この迷路の移動によるコマの位置変化は、「コマの移動」処理に含まれないということです。ですから、計画的に活用すれば、一気に反対側に飛んで移動を開始することができるんですね。
奉行迷路のつくりを巧みに活用せよ、ってことね。ふむ、面白い。
与力あ、あと、前の手番のプレイヤーが押し出した迷路カードを、同じところへ戻すのは禁止ですね。迷宮が同じ状態を行ったり来たりするようにしてはいけない、ということです。
奉行千日手封じかな。そこも駆け引きのポイントになってくるか。
『ラビリンス』ここがイカス!
奉行シンプルに面白い。何より、ギミックがいいね。
与力ギミックですか。
奉行ゲームボード…ゲーム盤か。これが毎手番ダイナミックに動くじゃない。動かすのも楽しいし、目の前で状況が一気に変化するのを見るのも楽しい。予想通りでも予想外でもね。
与力そうですね。見た目に面白いポイントが分かりやすいというのは、このゲームの良さですね。
奉行そこに動かない列、カードがあるから、それを足掛かりにして計画性を持って宝物を取りに行くことも可能…まあ、1枚だけだけどね。
与力山札全体を把握できていないですから、最効率ルートは取れませんものね。
奉行とはいえ、毎度毎度宝物を指定されるたびに、効率的なルートを探るのは結構やりがいがあっていいね。事前に分かっていると、動く迷宮の魅力が半減するかも。
与力1ミッションごとにやり直しになる手間を楽しんでいくと。
奉行まあそれでもハマると一気に宝物獲得!ということもあるしな。相手が何を集めたいのかは察するしかないから。
与力妨害できそうなゲームですけど、明確に妨害できるのはスタート位置に戻ろうとしているプレイヤーぐらいですからね。他は、自分の手を伸ばす方向を考えていかないと、勝利を目指す上では立ち遅れてしまう感じはありました。
奉行そうな。結果的に自分の取った行動が相手の妨害になって、「なんだよー」みたいになるくらいがちょうどいい塩梅なのかもね。
『ラビリンス』ここはちょっと…
奉行ネズミとか人骨とかよく分からん妖精的なやつとかは、宝と呼べるのか?
与力ま、まあ「宝物や奇妙な生き物」を集めると説明書にも書いてありましたし…。
奉行に、してもなあ。人骨なんかどうすんだ? 『ダンジョンマスター』なら投げる武器としても活用できたが…。そういうイラストの微妙な所は、人によっては「ん?」と思ってしまうかもな。
与力ファンタジーになじみが有ればそれなりに咀嚼できるけど、って感じでしょうかね。
奉行うん。直感的に価値のあるものだ!ってなるかどうか。あとはコンポーネントね。迷路カードという名のタイルは質感いいけど、宝物カードがちょっと頼りない。
与力やわやわではあります。はい。
奉行あとは箱がもうちょい小さくはならんかったか?とか、そういう見た目の部分でちょっと心配になるけど、ゲームとしては今の時代に非常に分かりやすくてよいと思う。
与力分かりやすいですか。
奉行これは以前、リゴレの店長にインタビューした時に説明してくれていることがバチコリ腑に落ちたわね、実際に遊んでみたことで。
与力前の記事のアクセス稼ぎですね、わかります。
奉行いいこと言っているのよ、店長。こういう面白い部分の軸だけ残して、他はそぎ落としたゲームって言うか、逆かな? 面白い部分だけで枝葉をつけずに完成されたゲームっていうのは、ダイレクトに遊び手に面白さが伝わるのよ。だからこそ、長く遊ばれ親しまれるゲームとしての地位を確立しているのだろうね。いや、恐れ入った。
与力まさに温故知新ですね。
与力迷宮で宝探しというテーマがピンとこなければ、テーマを載せかえた派生型もあるので、そちらを試すといいかもしれません。手に入りやすいのは、『オーシャン』と『ジャパン』ですかね。
奉行ロングセラーゲームならではの選択肢じゃのう。より子ども向けにはムーミンがテーマの『ジュニア』もあるな。
与力6歳以上の子どもなら、「宝物カードの内容を全部見られる」ルールを適用してあげると、わりと大人と渡り合えたりはしてました。一応、ご参考程度に。