おかしい、楽をしたかったはずなのに
1605年の情勢
はいどうも、徳川家唯一の軍団長、真田信幸です。唯一の軍団長として東北・関東を押させる二大勢力である伊達、最上の二家を相手に戦わされています。「戦力差でいくと圧倒的不利なんですが」と浜松に問い合わせたところ、「がんばれ」とだけ言われました。どういうことでしょうか。
高梨内記「愚痴はまた別の機会にお願いいたします。最上に包囲された春日山城の状況はいかがなっておるのですが」
河原綱家「深志やら小諸からもなけなしの援軍を送るよう、指示されたと聞き及びましたが…」
そりゃまあな、兵力差もなんだが、最上義光自身が無茶苦茶強かったんでな。こちらの兵力はほとんど払底したよ。でもその甲斐あって…
これで最上も相当の兵力を消耗してしまったはず。逆襲に転ずる好機なのだが…我らも兵を失い過ぎた。これから1年くらいは、兵の回復と練度の向上に専心せねばならない。
高梨「ではしばらく動けませんな」
河原「ここで伊達がさらにもうひと押し…なんてことになったら、詰むかもしれませんな」
そういう怖いことは言わないでくれ。伊達を刺激しないよう、そっと過ごそう。そっと。しかし、その間はどうすればよいか…
佐竹義重「お、悩んでおるな軍団長。まあ、信濃の国人上がりで大名の何たるかを経験したことが無ければ、その悩みは当然」
いちいち引っかかる言い方しかできんのか、このおっさんは! しかしどうせ何か助言したいことがあるのだろう?
佐竹「おう、まあ、そうだな。まずは内政。そして城の改修だ。城を改修することで、人口が増え、兵の強さが向上する。あとは政策の実行かな。特に“軍役衆配備”などができれば、常備兵の数が増えるから、動かせる兵力は一段と増すぞ」
ふむ、政策…
佐竹「ただ、政策は主義によってできるできないがあるからのう。現在当家の主義は中道のようだ。より強力な政策を実行するには創造に主義を寄せていく必要があるが、昔気質の保守系武将は反発するであろう。まあそこをうまく調整するのが手腕というやつじゃよ」
バランス取りというか、根回しというか…そういう調整の役回りが軍団長の仕事なのか。なにか華々しさに欠ける…
佐竹「華々しさなんか求めたら上には立てんぞ。あとは伊達や最上の武将に少しでも調略でもかけておけばよかろうよ。戦が楽に運ぶかもしれんからな」
はい、助言どうも。まあそうさな、おれの前世の記憶も「調略をするのです…」とささやいているし、調略と国造りに専心しつつ、今年一年は敵に攻められないよう、諏訪大社に参詣しておくとしようかな。
1606年の情勢
うむ、一年の雌伏期間を経て、調略で小幡景憲など中々に優秀な武将を確保できた。さらに人口も増え、兵は順調に回復しておる、と申したいところだが…実際はなあ。
鈴木重則「はい、新年早々に状況はなかなか厳しいものがございます」
鈴木忠重(右近)「まず一つは…」
永井直勝「敵戦力は20000程度で既に撃退済ではありますが、中々容易に引き下がってくれなかったため、せっかくの兵を大分消耗してしまいました。ゆえにしばらくは越後の軍勢はまた回復を待たねばなりません」
右近「さらに最上は坂戸を越えて国峯へ押し寄せています」
国峯には最上義光自身が攻めてきているな? よし、小諸の源次郎に命じて迎撃させ、国峯に引き付けさせるのだ。その間、おそらく越後の兵は減っていよう。上田城の本多忠勝殿の軍勢を軸とし、最上領を攻撃するよう繰り出すのだ!
よしよし、北条城は切り取りを許された伊達領ではないため、我が城にはならなかったが、いずれどこかのタイミングで拝領すればよかろう。今は脅威を少しでも遠ざけるのが先。そして…
小幡殿はもともと上州の出で我が真田との縁も深い。華の相手には相応しいお方だ。
小幡景憲「以後、よしなにお願いいたす。我が軍略の才をもって、父上をお支えしますぞ」
うむ、頼んだぞ。しかし、三女以下にもよい相手を見つけてやらぬとなあ。浜松辺りでよい縁談があればよいのだが…
真田幸村「兄上、兄上! 楽しそうに酒を飲んでいる場合ではありません!」
おや源次郎。どうした、最上がまた国峯に押し寄せてきたか?
つ、ついに来たかぁ! 敵の戦力はいかほどだ!?
幸村「しかとは分かりませぬ、ただちにそれがしが援軍に向かいますが、果たして支えられるかどうか…」
いかんな…。よし、佐竹のおっさん、深志の軍勢を率いて信濃を横断し、国峯への助勢を頼む。
佐竹「それは構わんが…伊豆守どのよ、おぬし、また敵の力量を見誤っとりゃせんか?」
んん、そうかもしれんが、国峯を失う訳にもいかぬだろう。あそこを上州への足掛かりとして、滝川の箕輪城を取り込むのが来年の目標だったんだから。
佐竹「ほう、そんな目的を…わかった、できるだけやってはみるが、期待しなさんなよ」
期待させてくれよ、頼んだぞ!あとは任せとけ!
右近「伊達勢約30000、この小田原目指して進軍してまいります!」
やはりな。北と南を同時に攻撃してくるとは思っていた。だが、早々に伊豆・駿河の助勢軍を小田原に招集してある。さらに浜松にも援軍を頼んでいる。さて、伊達勢には改めてこの小田原城の堅固さを味わってもらうとしよう。
幸村「兄上、とても支え切れる数ではありません、撤退の御指示を!」
佐竹「このままでは全滅しかねん。余力があるうちに小諸まで防衛線を下げるのだ、急げ!」
いかんかぁ、粘れんか、さすがにこの数は!
永井直勝「申し上げます、伊達政宗が軍勢、お味方の北条城に攻めかかりました!」
げっ、本人が出てきたか!
…よし、年末だし、状況をまとめようか。
重則「まず小田原に攻め寄せた伊達勢は城を利用して撃退しました。浜松からの援軍も着陣し、我が方の士気は上がっております」
右近「国峯城は伊達の物量に押し切られました。源次郎様と佐竹様は、一旦小諸城まで引いて、迎撃の準備を整えておられます」
小幡「越後では伊達政宗がお味方の北条城を陥落させました。余勢を駆って、我が春日山城をも攻略する勢いのようです」
伊達の軍勢、おそるべし。だが、絶対にスキはどこかにある。そこから少しずつ食い破っていくのだ。父譲りの狡猾な戦、見せてやるぞ!