前世から調略が上手ってよく言われてました
1609年の情勢
毎度どうも。伊達・最上と真っ向からわたり合っている真っ最中の真田信幸でございます。味方が西から時々手助けに来てくれるとはいえ、基本的には信濃・甲斐・相模のラインだけで圧倒的多数の敵に対抗しなければならない訳です。まったく頭が痛いことで。しかし、これを鮮やかに切り抜ける手はあります。そしてそれを実行できるわし凄い、ってお話なのですよ、ええ。
佐竹義重「絶妙にうざい本題への入り方をしたな、おぬし」
いいじゃないか、このくらい言わせてくれというのだ。それより、前回のおっさんの話の後、どんな展開になったかの説明を改めて頼むよ。
佐竹「おう。越後がねらい目である、という話だったな。簡単に言うと、徳川家直轄であった北条城が、以前伊達の手に落ちていたわけだ」
そうじゃな。玉縄城と同じく、いったん敵の手に渡して……と言えば聞こえは良いが、あの時は伊達の攻撃をどうしようもなかった。
佐竹「で、北条城は伊達領となり、城主として矢作重常が任命された。こやつが、伊達家であまりよい待遇を受けておらんかったわけだ」
これはあれだな、CPUは城主・城代を立てる時にあまり忠誠度を気にしている様子がないことに助けられた現象だな。おれなら絶対に忠誠度が赤表示のやつに城を任せはせんよ。
高梨内記「いずれにせよ、これで越後は春日山と北条の連携で守れるようになり、動かせる兵の数も増えた訳です」
河原綱家「この状態で最上領に探りを入れてみました。結果、坂戸城主・田村宗顕は不満タラタラで容易に不戦に応じますし……」
河原「さらに北の新発田城主である成沢道忠も、調略に応じそうです」
佐竹「以前から最上の結束の弱さは狙い目じゃと思うておったからな、春日山の永井直勝殿に働いてもらって、最上の武将たちには片っ端から調略を掛けてもらっておいたのだ。ということで、この仕掛けを動かせば、越後の最上領は一気に徳川家のものとなるぞ」
はい、ということだった訳なんです。ただ、問題があってですね。最上領を何とかしても、おれの軍団に編入されないってことだけがですね。
佐竹「ま、そこは敵の数が減るだけよしとせい。いずれ展開次第で手に入れることができよう」
ま、そうなるといいですね。ただ、実はですねえ。越後はその調子でいいんですが、今現在は他所でちょっと困ったことになっておりまして。
真田幸村「兄上、この国峯城はどうなさるおつもりです!?」
うん、城主ごと寝返らせた国峯城が、関東中の伊達軍に攻められておる。あ、関東中はちょっと言い過ぎだが、まあ武蔵より北の伊達勢はだいたいここに集中してきている。
幸村「大合戦で敵を少しでも蹴散らしてきましょう……!」
現状、源次郎は頑張ってくれているが、これは再び国峯城の失陥は免れんかも知らん、といった感じ。そして……
鈴木重則「南関東の伊達勢は、玉縄城を攻め落とした勢いで、この小田原まで攻め込んでくる構えです」
鈴木忠重(右近)「ただ、幸いにお味方が援軍に駆けつけております。相当やる気の援軍ですので…」
なるほど、また家康様が自分で来てるだろ。
右近「よくお分かりで」
やってるなあ。どれだけ率いてるの、これ?
佐竹「これはもう、あの人に任せておけばよいのではないかな」
そうします。おれは小田原で見てることにしますよ。他に用事もあることだし…
相馬利胤「最上から寝返ったばかりのそれがしが、かかる厚遇をもってお迎えいただけるとは誠に思いもかけぬことにございます」
まあ、そういいなさんな。これからよろしく頼むよ。(年が若く、能力のバランスもいいから、育てば長く最前線を支えてくれるだろう。よい婿が来てくれたものだ)
佐竹「……心の声は絶対に漏らさぬようにな」
ぎくっ。な、なんだよおっさん、変なこと言わないでくれよ、このめでたい席で。あっ、そうだ。目出度いついでに…
がら空きになっていたから、八王子城を奪い取ってやったわ! わっはっは!
1610年の情勢
佐竹「で、もう新年だが」
実はあまり状況は芳しいとは言えないのよ。結局、国峯城は落とされてしもうたしな。源次郎と月が小諸城で頑張ってくれているから、そこから先に踏み込ませず、なんとかなっている感じはあるが。
最上が全力で北条城へ攻め込んでくるらしいんだよね。直勝殿以下、越後と北信濃の軍勢は万全の体勢であるとはいえ、それでも結構分が悪いかもしれない。ギリギリ、かな?
で、そんな中、息子が元服したんですがね……こいつは扱いが難しい。正直、即戦力ではないし、この年代に出てこられても、成長を期待するほど時間的余裕がある訳でもない。
佐竹「長男で血縁武将というだけか。確かにお主の息子にしては…」
小幡景憲「気長にお世継ぎとして育てられませ」
その暇があるかどうか……。
重則「ところで、越後には他に援軍を?」
ううん、小諸一帯の軍勢は動かせない。伊達の兵が一気に信濃に流れ込んでしまうかもしれないからな。一応、余裕のある深志城から兵を送っておこうか。あとは直勝殿がやりくりして何とかしてくれるだろう。
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永井直勝「なあ、小田原は我らの苦境を分かっておろうな?」
真田慶「当然です。父上は必ず我らを案じておられましょう。すぐに、大軍を送ってくださいます」
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佐竹「……ほんとうに大丈夫であろうな?」
……多分ね。ただ、楽観するつもりはないぞ。信濃の軍勢にさらに余裕が出るよう、国峯城を取り戻してしまうとしよう。
佐竹「小野寺が政宗と折り合いが悪いのを見逃さなんだか。なかなかに達者なものだのう、伊達もたまったものではあるまい」
忠誠度に無頓着なCPUの特徴は、最大限につけ込んでいかないとね。これで、また信濃と上野の間にはワンクッション確保できたことになるんだが…
右近「申し上げます! 伊達の軍勢およそ90,000、八王子城へ攻めてまいるとの報せ!」
来たか! しかし、ここは逆に好機になるやもしれぬ。戦の準備をいたせ。狙いは玉縄城だ!
佐竹「お、アグレッシブじゃな。よいぞよいぞ」