第二十四回 東征の始まり
1579年の二条城 ―1577年と78年の追憶―
なんか、このごろ忘れっぽいんだが、どうしてかここ2年くらいの記憶がすっ飛んでるな。
角隈石宗「なんと、御屋形様も左様でしたか。実はわたくしも同じようにここ最近の記憶がございませんで」
龍造寺隆信「お、奇遇だな。実はこの俺も、今一つ記憶がはっきりしないんだなあ。やっぱ歳のせいか?」
甲斐親直「歳ばかりはどうにもなりませぬ、事は深刻ですな」
黒田官兵衛「……思い出せぬのに皆様の歳は関係ありません。ここ2年ばかりのスクリーンショットの保存が失敗していただけにございます」
なぬ、なぜそんな事態に。
官兵衛「分かりません。恐らく保存係がボーっとしていたのでしょう。ということなので、この二年で起きたことを、この方に振り返ってもらいましょう。では、どうぞ」
本願寺顕如「まったく、なぜ田舎からのこのこ出てきた、偉そうなツラをしておる切支丹入道めが良い気分になるような話を、拙僧がしてやらねばならぬのか。まこと、人の下風には立ちたくないものよ(それでは恐れながら、不肖この本願寺顕如が、自身もったいなくも御屋形様の家臣として御取立ていただいた経緯なども含め、お耳汚しの話をさせて頂きたいと存じまする)」
こらこら、心の声が漏れてるってば。
1. 1577年前半
- 蒲池、高橋両軍団、毛利領を蹂躙。
- 毛利隆元、反大友同盟を結成。
- 近畿の直属軍、本願寺領を攻略。
顕如「……以上です」
あー、あったな、三度目の反大友アライアンス。しかし、毛利はほぼ全ての城が火だるまになってる中、リーダーになって何ができると思ったんだろう? 乗ったのは織田と徳川と浅井だっけ? 全部こっちが抑え込んでいたしなあ。
龍造寺「確かにあの動きはよく分からなかったな」
角隈「ほぼ予定通りに進展したので、特に驚くようなことはそのくらいでありましたか」
官兵衛「北畠攻めを焦った立花軍団が、織田・北畠連合軍に大敗した、ということはありましたな」
甲斐「あれは道の普請もせずに兵を進めようとした結果にござる。いかに道が大切か、改めて身にしみましたな」
そうね。しかし確かそのせいで、大垣の守りを突破して濃尾平野へ突入するプランのリスケを余儀なくされたのは覚えてるよ。でも慌てるもんではなかったね。
2. 1577年後半
- 毛利家滅亡
- 浅井攻略失敗
顕如「……と、いったところです」
龍造寺「毛利は最後はあっけなかったな」
角隈「まあまあ、御屋形様のあらかじめ用意しておられた策が、毛利の挙兵を軽挙に変えたということ」
甲斐「そういえば、盟主を滅ぼすと財物が手に入るのは意外でしたな」
あれね、どういう仕組みか分からなかったけど、面白かったね。で、旧毛利の武将をリクルートしたっけ。毛利三兄弟は優秀、今後出番が巡ってくるんじゃないかな。そろそろ人材も飽和状態だし、そんなには要らなくなってきたけど……。あとは、鎌刃城だから、えっと浅井攻撃をミスしたっけね。あれは、なんでだったっけ?
官兵衛「浅井の戦力を低く見積もったためです。近畿に残していた三万程度の兵を攻略に繰り出したところ、織田の六、七万の軍勢が浅井の救援に駆けつけ、木っ端みじんに粉砕されました」
顕如「ぷっ、調子に乗って慢心した采配を振るうからじゃ。武将の風上にも置けぬわ(織田があれほど戦力を残していたとは、まこと意外にございました)」
だから全部喋ってるってば。で、結果的に伊勢攻撃と美濃攻撃、パラで進めることにして、織田勢の反応を二分することにしたんだね。しかし、濃尾平野も近畿に引き続き城の密度が濃いから、ゲーム難易度が高いと、敵の戦力が次々回復して困ったね。攻略が厄介なエリアだと実感しました。じゃ、顕如くん、続き。
3. 1578年前半
- 浅井家滅亡
- 大垣城攻略
龍造寺「まあ、浅井に関しては油断さえしなけりゃ何にも問題なかったな」
甲斐「そしてその余勢を駆って、大垣城の攻略に成功しました。これで濃尾平野への入り口が切り開けましたな」
角隈「そういった意味では、特に不思議もない半年であったと申せますな」
官兵衛「では、引き続き後半へ」
4. 1578年後半
- 清州城、長島城、名古屋城、亀山城、稲葉山城攻略
いやあ、なんとも名だたる名城を攻略できたもんだ。結構あっさりだった?
角隈「これは、織田の家中に少し問題があったやに思われますが……」
甲斐「そうですな。領土が減少し、城の数が減っておるのに武家の数はそう減っておりませんでしたので、反撃に出てくる軍勢がてんでバラバラに動いておりました」
龍造寺「船頭多くして船山に上る、ってやつか?」
CPU大名は早めに武家を作りたがるからねー。たしかに忠誠度の維持とか考えるとそれもいいんだろうけど、実際には軍をまとめづらくなるから、私は武家は多くしたくないんだよなぁ。
官兵衛「さて、以上がここ二年の状況です。これからの御屋形様のお考えをお聞かせください」
そうさね。とりあえず織田は……てこずらせてはくれたけど、もうおしまいだなあ。完全に掃討戦だ。で、織田がいなくなると……もう、終わりじゃない? 我々の戦力はもはやインフレ気味にどんどん積み上がっていくのに対して、残りの大名は我々に対抗しようと勢力拡大を考えれば、トータルで見るとカニバリゼーション引き起こして、我々を利することになるんだから、詰みじゃない?
角隈「いかにも、局面局面では苦戦はあるかもしれませんが……」
甲斐「粛々と兵を押し出し、淡々と城を落としていけば、勝負は見えておりますな」
龍造寺「どうやら、あとはきっちり戦を終わらせていくことを考える段階まで来たようだな。なんか、少しだけ肩の荷が下りた気もするぜ」
よしよし、じゃあ、今年も頑張って参りましょうか。