NUBIA ヌビア~ナイルの古代王国~(ボードゲームプレイ感想編)

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【登場人物】

与力藩の買掛担当。ピラミッドと言えば? 「ファラオ・スフィンクス」

奉行藩の決裁担当。ピラミッドと言えば? 「マイティボンジャック」

ヌビアってどこですか?

奉行えー、なになに。説明書を参照すれば、『紀元前3000年の古代エジプトのうち、ナイル川中流域にあった王国の地域』ということらしいが。

与力より具体的には『エジプトのアスワン南の第一急湍からスーダンのハルトゥームあたり、紅海からリビア砂漠までの範囲を言う』(『角川世界史辞典』角川書店,2001)そうです。

奉行いきなり世界地理の勉強から始まったが、要はナイル川の中ほどである、と。そう考えればよいな。

与力ヌビアがどこか分かっていないと、勝てないゲームってことではないですけども、背景としては押さえておきたいですね。

まず、ゲームの準備です。各プレイヤーはスタート建物カード4枚を受け取り、手札とします。テーブル中央に補充ボードを置き、その周囲に指定されたように山札、兵士トークン、ゴールドチップ、ピラミッドカード、貴族カードを配置していきます。最後に神カードを各プレイヤーに1枚ずつ配布します。受け取った神カードは表裏で異なる能力を持つので、使いたい方の面を向けて、自分の前に縦に置きます。以上で準備は終了です。

『NUBIA』(COLON ARC)
補充ボード遠景。
『NUBIA』(COLON ARC)
初期の手持ち。スタート建物カードの内容は全員同じです。

与力注意したいのは、遊ぶ人数によってカードを使う枚数が変わることですね。建物、ピラミッド、貴族の各カードそれぞれ枚数が指定されているので、その通りに準備しましょう。

奉行ふむふむ。なるほど。

与力あと、ゲームを始めるスタートプレイヤー以外は、最初にトークンなどを受け取れますんで、それも忘れずに。それが終わったら、スタート建物カードの中から1枚を自分の前に一斉公開して、それが最初の土地と建物になります。

カードをピラミッド状に組んでいけ!

『ヌビア』は、高得点を目指してより効率的にカードを並べていくゲームです。ゲームは山札が無くなるごとに世代が進み、3世代の終了時に得点計算を行って、勝者を決定します。

与力んで、ゲームは主に「建築フェイズ」と「補充フェイズ」の2フェイズを繰り返して進めていきます。

奉行ふむ、建築で建物カードを並べ、補充で手札を増やす、という感じじゃな。

与力では一つずつ手順を追ってみていきますか。……ええと。

奉行何やら難しそうじゃな?

与力カードの表記に慣れるまでは、ルール間違いしないようにしないと、です。

領土を広げろ! ――建築フェイズ

『NUBIA』(COLON ARC)
さて、どう広げていこうか……

建築フェイズでは、手札の建物カードを自分の前に並べていきます。この配置されたカードが、最終的な勝者を決める得点となります。

与力まず、カードの右肩に丸で囲まれた数字が大切です。その数字は、カードを置ける“段”を示しております。

奉行段とな?

与力建物カードはスタートの建物1つの状態から、どんどんピラミッド型に上に並べていくと高得点が狙えるんですが、その数字以上の段にのみ配置できるんですね。まずこれ、覚えておいてください。

①土地のコスト支払い

この建築フェイズに、カードを配置したい場所の対価を支払います。

奉行まず土地を買うのか。最近は建売住宅が多くなっておるが……

与力このゲームでは更地から買わないとダメです。で、土地代は何段目に建物カードを置きたいかによって、替わります。これはまあ単純で、段数=値段ですね。

奉行ふむ。つまり1段目なら1、3段目なら3といった塩梅だな。で、金は何で払う。そのチップか?

与力いえ、手札です。さっき見てもらった丸で囲まれた数字、あれがそのままそのカードの価値を示してます。1なら1、2なら2と、見たそのままですね。

奉行ああ、だから金の丸の中に数字が書かれておったのか。

与力注意点はお釣りが出ないことだけですかね。余分に払ってもその分のカードが引けるとか、そういうことは無いです。

②建物カードの配置と建物の効果発生

購入した土地に建物カードを立てます。段数の条件に適合するカードを、先ほど対価を支払った土地に配置するのですが、この時、そのカードから下へハの字状に建物の効果が発生します。

奉行むむむむ?

与力例えば、まあこんなことです。

『NUBIA』(COLON ARC)
二段目に建物を建設

与力この二段目のカードが配置されたとき、その右下と左下のカードに大きく書かれているアイコンの効果が発生しています。右下のカードからは「小麦」、左下のカードからは「兵士」が出現するという効果です。

奉行ああ、そういえば建物カードにはいろいろアイコンが描かれておるが、ここでその意味が出てくるのか。

与力ハの字に広がっていくので、上の方の段に置けば置くほど、複数のカードの効果が一気に発動する訳ですね。

奉行ピラミッド構造にはそういう意味があったのじゃなあ。だが、上に置けなかった場合はどうなる?

与力あ、はい。一段目にしかカードを置けない場合、置いたカードの左の建物カードの効果が発生します。

奉行ちょっとだけ発動する感じじゃな。

与力ま、そういう訳なんで、上の段に置く時に、右下と左下にきちんと建物カードが配置されていないとダメってことにもなります。これ、建物配置のルールですね。

奉行で、発生した「小麦」やら「兵士」は何の役に立つのじゃ?

与力「兵士」や「金」はトークン、チップの形で手元に置きます。「小麦」をはじめとした資源は、次の手順で使用します。

③建物コストの支払い

このターンで配置したカードに書かれている建設コストを、指定された資源で支払う必要が有ります。

与力丸数字の下の小さなアイコン、これが建設コストです。これをさっき発生した資源で支払います。

奉行おお、なるほど。先ほどの写真であれば、「小麦」1が必要であるが、右下の建物から「小麦」が発生しておるので、それで支払える、ということじゃな。

与力はい。んで、「兵士」と「金」以外の資源は持ち越しできないので、配置した建物カードの支払いに充てられないのであれば、消滅します。

奉行おお、それはまた賞味期限切れの早い資源じゃな。つまりまあ、上手く必要なコストを支払えるような所に土地を買って建設していけ、ということなんじゃろうな。ところでだ。

与力はい?

奉行そうそういつも必要な資源が出るとは限らん。そういう資源が払えない時は、如何すればよいのか?

与力あ、その時は足りない資源1つにつき、所定の対価をカードや「金」チップで支払えば大丈夫です。

奉行なるほど、地獄の沙汰も金次第、じゃな。

配置はこのように行われます。全てのコストが支払えるのであれば、同じ手番中に、さらに建物カードを配置していっても構いません。

次に備えるだけじゃない? ――補充フェイズ

補充フェイズでは、手札の補充や、勝負のカギを握るピラミッドカード、貴族カードの配置などを、2回まで行うことができます。

与力まあ建物カードの補充が基本ですかね。「補充ボードの周りに表にして置いてある3枚のカードのうち、1枚を引く」か、それをした後に「山札から2枚引いて、欲しい方を手札に、もう1枚を表にして補充ボードの空いたスペースに置く」で手札は手に入ります。

奉行そう聞くと、大体その2つが一体になっておるようだ。で、貴族カードとかピラミッドカードというのは、なんの役に立つのか。

『NUBIA』(COLON ARC)
このカードたち。

ピラミッドカードはそのまま勝利点となり、貴族カードは、ゲームを有利に運ぶ特殊効果を使えるようになります。どちらも積極的に配置していきたいですが……

与力このカードは、どちらも建物カードを積み上げていくのとは逆、つまり1段目の下に配置していきます。配置のルールは同じですけどね。

奉行はあ。つまりまず土地を買い、配置すると逆ハの字にカードの効果が発生し、んで必要なコストを支払う、と。そういうことだな?

与力ですね。一部、コストをカードで代用的ないものもありますから、そこは要注意ですかね。

『NUBIA』(COLON ARC)
こんな感じで配置。これは神官で、山札をチラ見することができます。

奉行ところで、この神カードってのは、いつ使えるのだ?

『NUBIA』(COLON ARC)
あたしゃ神様だよ

与力自分の手番中の好きなタイミングで使ってください。使ったら横向きにして、使用済み状態になります。

奉行とれーでぃんぐかーどげーむ風に、横にな。

ナイル川に消える国土

以上の手順を繰り返し、補充ボードの横に表向きに配置されているピラミッドカードが無くなるか、建物カードの山札が尽きたら、世代が終了したことになります。

与力世代交代になると、ピラミッドカードが新しくなったり、山札が作り直されたりするんですが、一番大切なのは、隣国かなんかが攻めて来たり、ナイル川が氾濫を起したりするんで、それを防ぐという作業ですね。

奉行むむ?ということは、ここは「兵士」トークンの見せ場か?

与力はい。山札を作り直したら、現在の世代に応じた枚数のカードを引き、その丸数字を合計します。それと同じだけ兵士トークンを支払ってください。

奉行足りなければ?

与力自分の配置した建物カードのうち、いちばん上の段にあるカードを捨て札にしてください。流されたか、略奪されたかってことになるんだと思います。

奉行なるほどのう。国防も疎かにできんな。

与力これで世代交代ってことで、2世代目、3世代目とゲームが進みますが、そのたびに神カードが使えるようになりますよ。使う面もこの時に変えることができます。これ、意外と重要だと思います。

以上の手順を繰り返し、3世代目が終了したら得点計算に入ります。

『NUBIA』(COLON ARC)
与力「しまった、木材が全然足りないじゃないか……」

奉行与力が苦しんでおるようだが……これがこう発動して、こうなるから、ふむ。じゃあ……

『NUBIA』(COLON ARC)
与力「結局、なんなんだろう、この悲しい国土は」
『NUBIA』(COLON ARC)
奉行「むふふ。配置を我慢しきれず、無計画に段を積んだのがお主の敗因よ。とはいえ、わしもピラミッド作らんかったな」

優れた計画性を発揮した奉行が勝利。与力は1段目を十分に伸ばせなかったのが敗因だったと語ります。

『ヌビア』【ここがイカス!】

奉行えらい考えさせられるな。この、ハの字に効果が発動するから……というのをよう考慮せねばならぬので、最も効率的な配置を模索したいのだが……

与力カードを手元に貯め込んでいった方が良かったんでしょうか?

奉行うーん、かといって溜め込み過ぎてもな。世代が若いほどピラミッドカードの価値は高いし、できればホイホイと建物を建てていきたい。

与力むむむ。練習が必要ですね、これ。

奉行そうさな、一人遊びもできるようだし、コツをつかめるまではひたすら鍛錬に明け暮れてみるのも手かもしれん。そういった意味では、自分の道を突き詰めていく系ゲームだな。

与力スパイダーソリティア的な?

奉行なぜそっちが出てきたのかはしらんが、いずれにせよ高得点目指して何度も挑んでみたくはなる。

『ヌビア』【ここはちょっと……】

奉行なにをどこでなにで支払うのか、一度で覚えるのは厳しいのう。

与力それはもう慣れですかね。

奉行正直、アイコンの意味を把握するのも十分にはできなかったな。

与力必要な情報はアイコンで全カードに記されていますから、スッキリしていていんですけどね。さして複雑ではないと思いますよ。

奉行でもわし、途中までこの丸数字の意味を正確に把握しきれていなかったような気がする……誰だ脳みそミジンコと言ったやつは?

与力誰も言ってませんって。

奉行という訳で、最初は戸惑うことも少なくない。コンパクトな見た目に反して、ルールはしっかり読まにゃならん。手軽に遊びたい時なんかには要注意だな。

与力結構手強いゲームってとこは、標準プレイ時間が物語っていますからね。何度か遊んでしっかり慣れれば、付属のプレイエイドとサマリーだけで遊べます。

奉行あとはなんか有ったかな、あ、結局建設フェイズの「パス」はアリなのか?

与力どうやっても配置ができない手札になることもあったので……アリなんじゃないですかね?

『NUBIA』(COLON ARC)
神カードの使い道は……

与力なんか私、2世代目と3世代目で神カードを使うタイミングを逸して、使わずじまいになっちゃったんですよね。

奉行お主がラストエリクサー病なのは存じておるが、この神はいつでも恩恵を授けてくれて、随分と慈悲深いぞ? それではわしに負けるのも納得じゃのう。