『シンソクキネマ~合体映画上映祭』を遊んでみた
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与力藩の買掛担当。続編が面白かった映画といえば?「もちろん沈黙の戦艦からの『暴走特急』。キッチンで負けたことはないんだ」
なんどめだナウシカ
奉行これは新境地だな。今まで横に合体させたものが前後の合体に変わった。
与力『キャンバス』方式というか、『ミスティックベール』方式というか、『カスタムヒーローズ』方式というか……。
奉行どれも遊んだこと無いというのがナニでアレであるな。ともかく、この透明なカードというコンポーネントがある以上、「カードを重ねる」という技を駆使するのだろうな、というのはよく理解できた。それでは遊んでみようか。
ゲームを開始する前に、透明の「手前カード」をすべて付属のカードスリーブに差し込んでおきます。
そして「背景カード」「手前カード「お題カード」をそれぞれよく混ぜ、裏向きにして山札を作ります。背景カードの山の上から6枚を引き、表にして山札の横に並べておきます。
次に、各プレイヤーは手前カードとお題カードをプレイ人数にあわせた枚数分受け取り、手札とします、これで準備は完了です。もっとも最近映画館に行ったプレイヤーからゲームをスタートします。

与力ゲームの進行は、映画ポスターを作成する「制作フェイズ」と、得点を稼ぐ「鑑賞フェイズ」に分かれています。
奉行2フェイズ制ね。
与力で、鑑賞フェイズが2回終了した時点で、全員合わせてどれだけの映画を殿堂入りさせることができていたかで勝敗が決まります。実は協力ゲームなんですよ、これ。
奉行なに!? これはもしや映画制作プレイヤーと他プレイヤーのセンスの一致を試される系のゲームだったのか!?
与力そんな感じです。それでは私からゲームを始めますね。
①制作フェイズ
制作フェイズでは、場に出ている背景カードから1枚を選び、手札の手前カードと組み合わせることで、「映画ポスター」を作成します。この「映画ポスター」は、同じく手札になっている「お題カード」の中からどれか1枚に合致するような内容になっている必要があります。

奉行で、その映画はどういう映画なんだってのが、お題カードの中身という訳だな。
与力そうです。完成した映画ポスターと、それに合わせたお題カードは、自分の前に伏せて置いておきます。プレイヤーはこの組み合わせをしっかり覚えておきましょう。
奉行どっちかというと、お題カードを選んでからポスター作った方がやりやすそうだな。うむむ。

与力そうしたら、山札から場に1枚カードを補充して、次のプレイヤーの手番になります。これを全員の手札が無くなるまで繰り返して、制作フェイズは終了となります。
奉行なるほどなあ……。しかし見れば見るほど、"教えて著作権!"というワードが一瞬頭をよぎるくらいにはギリギリを攻めておるな、どのカードも。

与力これがパロディゲームの極致ってことですよ。
奉行『理由なき反抗』のチキンレースみたいなことになっとらんか? あ、お題カードがどうしてもかみ合わんという時はどうすればよい?
与力どういうタイミングでもいいので、「お題を交換する」宣言をして、手札から手前カードとお題カードを1枚ずつ裏向きに捨ててください。その後、お題カードの山札から1枚引きます。
奉行おお、手前カードは増えんのだな。相分かった。
うーん、ヴァンダム…
②鑑賞フェイズ
全員の映画ポスターが完成したら、スタートプレイヤーから出題者となり、裏向きに置いていたカードを表にして、他のプレイヤーにタイトルを伝えます。
そのあと、順番を混ぜておいたお題カードを同じく表にして、その内容を公開します。他のプレイヤーはこれを確認したのち、映画ポスターとお題の正しい組み合わせを推理します。
奉行つまり、そのプレイヤーが「手札のお題カードという制限内」において、「どういう感覚で映画を作ったか」を見破れということだな。
与力見破るというか、共感するというか……。
奉行よし分かった。ではその方の映画をオープンしてみるがよい。

与力えっと、左から『ライフ・イズハッピーーMAX!』『オカンのサッカー』『戦場のシャーク』『理由なきキス』です。お題はこちらになっております。
奉行分かるか、こんなもん!!
与力いや、なんとか分かってくださいよお奉行。4つで十分ですよ。
奉行それは2つで十分、だろうが。いや、まて、全然分からんぞ、これは……???

与力残念! 正解の組み合わせは1つだけでした!
奉行だから分かるか、こんなもん!!
カードの組み合わせが誤っていた場合には、出題プレイヤーは正解の組み合わせを説明します。そして全ての組み合わせが正しかった場合のみ、得点をすることができます。
出題者は出題した映画ポスターから1枚を選び、得点カードをスリーブに差し込み、「殿堂入り映画」として場に並べておきます。この殿堂入りがプレイ人数に対して決められた枚数を上回ったら、プレイヤーたちは勝利となります。

奉行勝利って、いったい何に勝利したんだ。わしらは何を戦っている……?
与力映画評論家かなんかじゃないですかね。
奉行しかし全部正解か……。鑑賞フェイズは何回あるんだっけ?
与力2回ですね。2度目の鑑賞フェイズが終了したら、勝利判定となります。
奉行今回わしらは2人プレイだが、何枚殿堂入りを出せばいい?
与力3枚です。
奉行4回の推理で3回満点だと!? できるか、そんなもん!!!

『シンソクキネマ』【ここがイカス!】
奉行パワー全開だな。ギリギリのところで停止しているという点でいえば、『ワンダフル映画祭』ほどの無法地帯ではないが、それでも「いいんか!?」となるこの画像群よな。
与力『ワンダフル映画祭』は伝説ですからね。私は今でも拡張の再販やさらなる拡張を待っていますが。
奉行で、『シンソクキネマ』を少し分析してみるか。今作、合体の簡略化によるテンポの良さは、合体ゲームの瞬発力をさらに活かせるようになったのではないか。
与力ほう、急に真面目なことをおっしゃる。
奉行わしは常に真面目で通っておるわ。よい。ここの合体ゲームは結局のところ、生み出された奇妙奇天烈なものを笑うところに妙味が凝縮していると思う。これをたっぷり味わうためには、プレイのテンポが大切だと思うのよな。
与力なるほど。
奉行そこで手札と場札、2枚のカードを重ねることでポスターを作る。そこにお題を添えるだけで合体が完成する、という選択肢的に簡単な合体になったところが、このゲームの良さなんだろうと思う。
与力ふむふむ。山札からの引き運に頼る膠着も解消できますね。
奉行そして精緻な絵やフォント、言葉の選択が重なって、ゲームデザインの勝利へつながる訳だろうね。
与力モノとしての満足度は、毎度毎度すごいですものね。
奉行あとは、協力ゲームにしたというのもよかったかな。単純に出来上がったものをワイワイ言う楽しさが、そのままゲームシステムに組み込まれたというのは良かった。
与力それは確かにそうかもしれません。できたものについて色々言い合っている時間が楽しいですものね。
奉行うむ。だから、プレイ時間の公称は10から15分となっておるが、実際にはもう少し長くなるであろう。それはゲームがダレるとかで延長するのではなく、感想が盛り上がり過ぎてタイムオーバーするという意味合いでな。映画好き同士なら特に楽しいゲーム体験ができると思うよ。
与力絵と言葉、両方で大喜利的なゲームが楽しめるのは、非常に面白いと思いました。
『シンソクキネマ』【ここはちょっと…】
奉行与力が申した通り、大喜利的な要素がどうしても強くなるので、そういうゲームが好きな方にオススメとなる。
与力ゲーム性はふんわりですよね。
奉行そうじゃな。実際、組み合わせは当たらんよねえ。
与力鑑賞フェイズですか? 極論、当たらなくてもいいんじゃないですかねえ。楽しければ。
奉行一応、勝敗ラインが決まっている以上は勝ちたいであろうが。そうさな、お題カードの交換ルールを使って制作するポスターを1枚まで減らせば、お題は2択になるから、そうすれば勝率は上がる……?
与力そこまでシリアスに勝利にこだわる必要はあるんですか?
奉行まあ人数が多ければ感想は変わるかもしれんでな。あとはもしかすると、公開されたお題カードに一番近いポスターを作れた人が勝ち、というようなゲームとしても楽しめるかもしれん。
与力個人間であれ、勝敗をキッチリつけたければ、そういうアレンジをするといいのかもしれないですね。
奉行モノとしてはスリーブに入れるという部分かな。手前カードの裏に背景カードを入れると、その時点でかなりぴっちりするのだよ。
与力確かに、ミッシリ詰まりますね。
奉行それでもうかなり怖いんだが、ここに得点カードを突っ込もうとすると、スリーブ破りそうになる。いけるのかもしれないが、わしは大変怖かった。
与力得点カードは一番手前に入れるので、スリーブの上から重ねて置いておくだけでも良いかと存じます。
奉行カードをバラすタイミングでも、スリーブとカードの取り扱いはやや気を使うな。
与力最悪、破ったらスリーブは買い替えましょうか。
奉行あとはカードの枚数だ。単純にこれならもっと欲しい。拡張の頒布希望だ。
与力同意します。私も背景カードに「沈黙の」が欲しかった!
奉行それは何を組み合わせてもセガール映画になってしまう禁じ手だ! いい加減にしろ!

奉行消しゴムがなあ。宇宙世紀になあ。
与力マグネットコーティングとかする訳ですよ、消しゴムに。
奉行続編もスピンオフも大量に制作されるであろうな。

与力これ、名作映画だと思いません?
奉行正解を作ってどうするんだ、正解を。
与力こういう明確な正解が時々できてしまうのも、ハプニング的で面白いですよね。
おまけ1

おまけ2

皆さまと我々のセンスのズレやいかに。
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