ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~(ボードゲームプレイ感想編)

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『ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~』を遊んでみた

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【登場人物】

奉行藩の決裁担当。聖杯と言えば?「某コンピューターゲームは遊んだことがないので……インディ・ジョーンズかのう」

与力藩の買掛担当。聖杯と言えば?「ボードゲームの『キャメロットを覆う影』ですね」

こんな聖杯探求はアリなのか

奉行またこりゃ珍妙なゲームじゃな?!

与力ハプニングだらけの聖杯争奪戦、という感じでしょうかね。

プレイヤーは偉人を呼び出す召喚士として、最強の召喚士に与えられる聖杯を争う戦いに参加するのですが、召喚のための魔法陣がトラブルで壊れてしまい、偉人がパーツごとにしか呼べなくなってしまったので、それを組み合わせて新たな“最強の”偉人を作り出し、他の召喚士と戦う、という背景設定になっています。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
本来呼びたかった偉人。

与力偉人は「赤枠(右腕)」「緑枠(胴)」「紫枠(左腕)」という3枚で構成されています。つまり、色違いのカードを組み合わせて、1人の偉人をでっちあげ、他のプレイヤーの偉人を倒せばOK、ということですね。

奉行つまり、例えばこういうことじゃろう?

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
実際に呼ばれた偉人。

与力……訳が分かりませんね。

奉行嬉々として予約に走ったお主が言うか、そういうことを。

ゲーム開始時、各プレイヤーには7枚の魔法陣カードが配られます。その後、スタートプレイヤーを決定し、最もプレイ順が遅くなるプレイヤー(スタートプレイヤーの右隣)のプレイヤーから反時計回りに聖杯カードを1枚ずつ選んで場に重ねていき、聖杯カードの山を作ります。これでゲームの準備は完了です。

与力聖杯カードには、現在の偉人バトルのルールが書かれています。端的に言えば、「どういう能力を持った偉人が勝利するか」ですね。

奉行それを指針として、偉人をでっち上げ……いやさ召喚すればよい、ということじゃな。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
例えば、この場合には「武力と知力の合計」が高い偉人が勝利します。

与力具体的な数字の見方とかは、実際に遊びながら見ていきましょう。

奉行よし、ではわしとお主、どちらが優れた召喚士か決定しようではないか。

飛び交う謎の人名

自分の番になったプレイヤーは、まず山札から1枚カードを引き、その後「3枚のカードで偉人を召喚する」か「1枚を残して他のカードを捨て札にする」か選択します。

奉行おお、手札が不味いので思い切って交換したい、という時は、ずいぶんと大胆な交換を選択することになるのじゃな。

与力そうですねえ。ちなみに、どちらも選ばない、つまりパスすることも可能です。

奉行1枚ずつ手札を入れ替えたい時はパスもありかのう。

与力とはいえ、そう悠長なことを言ってられないところもあるんですよ。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
与力「わが招きに応じて姿を現せ、偉人“ワガメッシュ”!」

プレイヤーが偉人を召喚したら、他のプレイヤー1名を指定し、直ちにバトルが開始されます。指定された側は同じく偉人を召喚しなければなりませんが、カードをどう組み合わせても召喚できない場合には自動的に敗北となり、自分の手札をランダムに1枚奪われてしまいます。

与力召喚できない場合は即敗北ってことですね。で、召喚できる場合には、必ず召喚しなければいけません。できるのに召喚しない、は不可です。

奉行相手が強くて敗北必至、じゃあこのカードを使うのはもったいないので……と、溜めておくことはできない訳だな。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
奉行「ではわしの偉人“アレニダオン”の強さに震えるがよい」

偉人の勝負は、現在の聖杯カードに書かれている「武力が高い偉人が勝利」「知力が高い偉人が勝利」といったルールによって決まります。

与力今のルールは“武力が高い偉人が勝利”ですね。なので、各カードの右上に書かれている数字のうち、オレンジ色の数字を合計します。ちなみに知力だったら青色の数字の方ですね。

奉行ふむ。ワガメッシュの武力は4+8+8=20。アレニダオンの武力は9+9+4=22。ふっ、わしの勝利だな。

与力ぬぬ、負けましたか。

バトルの結果、バトルを仕掛けた側の偉人が勝利したら、相手の偉人カードを1枚奪い、残り2枚は捨て札にします。引き分けの場合には両方の偉人カードは全て捨て札となります。

奉行指定されて受けて立った側が勝利したらどうなる?

与力はい、勝利した偉人は手札に戻り、敗北した偉人、つまり仕掛けた側の偉人は捨て札となりますね。

奉行ふむ、今回の場合はわしが勝ったので、アレニダオンは手札に戻り、ワガメッシュが捨て札になるわけだ。

与力そうなりますね。結構いけるかなと思ったんですが。

バトルを仕掛けた側の偉人が勝利していた場合、続いて他のプレイヤーを指定し、バトルを挑みます。このようにして、自分の手番中に全プレイヤーから勝利を収めるか、敗北するまでバトルは続行されます。

奉行1ターン中に全員から勝利を収めろ、か……。なかなかの難行であるな。

与力まあ召喚できない相手からは自動勝利になりますから。で、全プレイヤーから勝利出来たら、その偉人は現在の聖杯カードを手に入れ、“殿堂入り”となります。召喚した偉人をプレイヤー人数に応じた人数だけ殿堂入りさせられたら、そのプレイヤーが最強の召喚士として勝利することになる訳ですね。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
殿堂入り偉人“ニコロックリン”。なお、聖杯は下半身パーツである。

奉行ふむ。で、バトルが終了したら全てのプレイヤーが手札を補充できる、と。7枚に不足しているプレイヤーは7枚まで補充できる、という訳だな。

与力はい。8枚以上になっているプレイヤーは何もしませんね。

はたから見てれば不毛な戦い

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
バトルハイライトその1。“イエーセ”対“スクス王”。

与力「神の〇〇」と書かれたカードだけで構成された偉人は、聖杯ルール無視で勝利できます。ので、”イエーセ”が最強ですね。

奉行自分で召喚しておいてなんだが、右腕パーツだけなんでこうなった、という感じじゃな、この人。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
バトルハイライトその2。“暴虐のリチャポレルク”。

与力青枠の装備カードは、右腕に装着して、このように二つ名のようにすることができます。

奉行うーん、暴君っぽさが三倍増しだな。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
「何が始まるんです?」

与力山札からカードを引いているときに、時々このイベントカード「第三次世界大戦」が出てくることが有ります。そうしたらただちにこのカードを公開し、全プレイヤーが手札から偉人を召喚して同時にバトルを行います。

奉行バトルロイヤルみたいなものが発生するわけか。

与力ですね。その勝負に勝てると、一発で殿堂入りできるので、手札の状況によっては大チャンスかもしれません。

激しい召喚合戦は、奉行・与力ともに1勝ずつでいったんお開きとなりました。

奉行うーん、一瞬、勝ちに行くか面白い名前にするかで悩んでしまうな……。

与力一発ギャグ勝負じゃないんですからね?

『ソクラテスラ』【ここがイカス!】

奉行久しぶりに同人ゲームらしい、いい意味でひどいゲームを見たな。

与力悪ふざけもここまで突き詰めたか、という感じですか。

奉行プレイの場を爆笑の渦にして楽しみましょう、といった思惑の見て取れるゲームは多いのだが、意外とそのハードルが高くて「あれっ?」となるゲームも少なくないんだよな。

与力笑いを取るのに、狙ったプレイが必要だったり、結構頭使って面白いこと言わないといけないケースですかね。

奉行このゲームはプレイしていれば自然と笑いがこみあげてくる。笑い必須のゲームが目指す極地に到達している感があったな。個人的には『時代劇3600秒』以来かなあ。ここまでの鋭いキレは。

与力カードがクソ真面目な作りになっているのも輪をかけて面白くなりますね。

奉行うん。名前に注目が行きがちだが、意味が完全にちぐはぐに仕上がる説明文にも注目していきたいところだ。

与力システム的にはどうでしたか?

奉行強い偉人を呼ぼうとして手札を溜めに走ったり、様子見に徹していたりすると、強制的に召喚させられてしまったり、聖杯カードによってバトル勝利条件が切り替わっていくおかげで、みんな自然と積極的なプレイになるな。それが良いと思う。

与力防御側が召喚しなければならない、というのが1つミソですね。

奉行あと、あのとんでもないイベントカードな。それがあるので、思い切ってどんどん召喚してバトルを挑んでいく、という感じになる。なので、自然とカオスな偉人が登場し続けて、また面白さが増していく。うまくできているよな。

与力設計の妙が感じられますか。

奉行で、最後になるが、多分このゲームは、奇妙な生き物を呼び出して戦わせる『クリーチャーズ』に着想を得て作成されたのではないか、と思う。どうだろう。

与力3枚のカードを組み合わせて珍妙な何かを作り、他プレイヤーと戦う。まあ軸はそっくりですよね。

奉行ただ、『クリーチャーズ』では少々ビミョーに感じられることもある点、例えば勝負がつくまで長いとか、数字比べが単調とかいう点を、能力を増やすとか、聖杯カードによって勝利条件がどんどん変わるとか、上手く要素を付け加えてブラッシュアップしている手腕が素晴らしいと思うのだよ。

与力急に偉そうに評論家面し始めましたね。

奉行ほっとけ。ともかく、システムとテーマの融合がお見事、感服いたした。

『ソクラテスラ』【ここはちょっと……】

奉行何だろうな、カードの引きか。偏ってしまうと全然召喚できずに、一方的に敗北を重ねるだけで終わることもあるな。

与力4人プレイしてみたら、一切召喚できずにカードを引いたり引かれたりするだけだった、ってこともありました。

奉行ま、カード運だ。仕方がないことなのだがな。

与力入念にシャッフルしておきますか。

奉行あと、カードの入れ替わりが結構頻繁に発生するので、あまり戦略性を求めてはいけないような気もするな。

与力特にバトルを挑まれた場合、弱い偉人しか召喚できなくとも、応じなければいけないので、カードを使わされてしまう……と感じる人もいるかも。

奉行そこがこのゲームの味でもあるんだがな。

与力好みに合うかどうかですね、やはり。

奉行あとはカードの紙質かね。山札が多いし、カードを引く機会が多いのだが、ちと油分が失われた我らの指には馴染みにくかった。

与力スリーブかぶせた方がいいですかねえ。

奉行そして、状況によってはやたら下ネタによった偉人が登場してくることもある。やむを得ないこともあるが、うっかりするとセクハラプレイになりかねんよなあ。

与力そう言うのが苦手な方とテーブルを囲んだ時なんかに注意ですね。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
与力お気に入り偉人“ワオパン”

与力新しい“〇〇パン”シリーズです。看板アナになりますよ。

奉行なるのか、こやつが……。

ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~
奉行お気に入り偉人“チンギスン”

与力なんであとたった一文字頑張れなかったんですか、この偉人は!

奉行トンしかなかったんだからどうしようもないだろ!

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