あの日本製ゲームが受賞したそうです
与力藩の買掛担当。購入するゲームを厳選するために、日々昼夜を問わずインターネットサーフィンに勤しみ、ボードゲーム情報を集めている。
奉行藩の決裁担当。与力の苦労もいざ知らず、どのゲームを購入するかを決裁する。御多分に漏れず、興味の無いものに対してはシビアになりがち。
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緊急評定始まるよ!
与力お奉行!
奉行ん、いかがした。
与力実は慶事がありまして、緊急に評定の開催をさせて頂きたく存じます。
奉行何、BIGで6億でも当選したか。
与力さにあらず。このたび、日本のゲームデザイナー氏が製作されたゲームが、西欧のゲーム賞を受賞されたとの知らせがございました。
奉行なんと!
与力は、まずはこちらをお納めください。
À la Carte Preis 2015: Machi Koro
奉行これは独語であるか。読めぬのだが、つまりどういうことじゃ。
与力このサイトはドイツ国のボードゲーム専門誌『フェアプレイ』のものです。同誌は1991年に『アラカルトカードゲーム賞』という賞を制定しておりまして、ジャーナリストやゲームデザイナー、ゲームマニアなど数十名からなる識者の協議により、その年のベストカードゲームトップ10を決めておるのだそうです。
奉行ほほう。番付を決めておるのか。何事も番付があると面白いものだ。
与力それで本年2015年の1位に、日本発の『街コロ』というゲームが選ばれ、表彰されたという話なのですな。
奉行なんと、本場の通人をうならせるようなゲームであったとは、大したものじゃな。
与力『街コロ』は、他にも権威ある『ドイツ年間ゲーム大賞』にノミネートされるとか、『ドイツゲーム賞』では8位を受賞するなど、今年大変注目されたゲームであったことは間違いありません。
奉行なるほど、それはまこと見事よのう。
街コロとは、一体どんなゲームなのか
奉行さておき、その賞をとった『街コロ』というのはいかなるゲームなのだな。
与力ははっ、それについては今からご説明を。
与力『街コロ』は、2012年に発売されたゲームで、その名の通り、「サイコロ」を振って街を作っていくという内容です。
奉行まて、2012年発売であるのに、今年受賞したのか?
与力はい、海外版が製作・販売開始されたのが2014年でありましたので。
奉行ああ、最初は国内流通のみのゲームだったのだな。
与力左様です。日本製のゲームがいきなり海外にも、というのはなかなか容易ではございませぬゆえ。
奉行そうであったか。
与力ゲームについてはメーカーホームページをご覧頂ければ一目瞭然と思いますが、「サイコロを振り」「出目に対応した自分の街カードの効果でコインを入手し」「新しい街カードを購入するか、ランドマークを建てる」といった繰り返しで、ランドマークたる4つの建物をいち早く建造したプレイヤーが勝利となります。
奉行ふうむ。至極単純なルールに見えるな。
与力今回の受賞理由もその辺りが評価されたのでしょう。大掛かりなシステムで再現されやすい街づくり、発展といったテーマを、ごくシンプルなルールと内容物で表現していることです。
奉行手軽さだな。大切なことだ。
与力ルールがシンプルゆえに、普段あまりゲームをしない人でも参加しやすいこと、また、サイコロという人の思い通りにならない道具を使うので、熟練者が常に勝つ、という訳ではなく、誰にでも勝利の機会がある、というのが良さですな。
奉行なるほど。そう聞くと、若干気になる点もある。
与力仰られずとも分かります。ランダム要素が強い影響力を持つ分、逆にゲームに熟達したゲーマーやベテランが満足できるゲームなのか、というと、そういう類では無いように思われますな。
奉行そうだな。いくら戦略を考えてもサイコロの目一つで勝負が決まってしまうのでは、どうせ運ではないか、という話になりがちだ。
与力また、繰り返しプレイに耐えられるかというと・・・
奉行まあ、内容物の量から見て、何度か遊ぶと勝ち筋は見えてきそうな気もしてしまうな。
与力ただ、その辺りはデザイナー側もさりとてはでございまして、拡張『街コロプラス』と『街コロシャープ』を追加することで、ややプレイ感は重くなりますが、より歯ごたえがあるルールと内容にしていくことが可能となっておるようです。
『街コロ』拡張① 『街コロプラス』の紹介(公式サイト)
『街コロ』拡張② 『街コロシャープ』の紹介(公式サイト)
奉行すでに手は打ってある、か。これはなかなか。
与力『街コロ』が気に入って長く遊びたい、という方の期待に応える拡張でございますな。
奉行うむ。しかしあくまで基本的には簡単なゲームじゃな。
与力仰せの通り。あらゆる面での簡単さがウケたことが今回の受賞につながった、と思いますので、あくまで初めてアナログゲームに触れる人であるとか、普段あまりゲームをやらない人と一緒に遊ぶ際に重宝するものだ、という理解と位置づけでよいのではないでしょうか。
奉行期待の方向を間違えてはいかぬな。
与力如何にも。ライトなゲームにはライトゆえの良さが有りますが、ヘビーなゲームの替わりは務まりませぬ。逆もまた然り。
奉行まさに適材適所を心がけよ、というところか。さて今回の評定、よう分かったわ。
与力ハ、ハハーッ!
奉行機会を見て、購入せよ。
与力まことにございますか!
奉行うむ。このような『手軽に』『ボードゲームに不慣れな人でも遊べる』というゲームを率先して導入し、ボードゲームプレイヤーの裾野を広げることは大事な務めと思うのだ。
与力その心は?
奉行わしはダイスゲームが好きなのでな。……せっかく良いことを申したと言うに、なぜ混ぜ返すのだ。
与力他意はございませぬ。然らば、折を見て購入致したく存じまする。
奉行うむ、任せたぞ。遊べる日が実に楽しみだのう。