第8節 リーグ中盤、厳しさ増量
- DATE
- 7月2日 第17節
- VS
- サガン鳥栖(H)
- SCORE
- 3-1
- GOAL
- 52’ リンス(甲)
- 63’ 内藤(甲)
- 66’ バホス(甲)
- 85’ 豊田(鳥)
前半戦は、中盤の軸となる黒木、ボザニッチのパスを封じられた甲府の攻撃は単調で、試合の大半を鳥栖が支配。逆に鳥栖の3トップが甲府ゴールを何度も脅かした。
しかし、ハーフタイムに戦術を修正し、「鳥栖のマークをずらすように動いた」(監督談)2トップがボールを持って仕掛けられるようになると、流れは一気に甲府へ。52分に鳥栖DFのクリアミスをリンスがダイレクトシュートで決めると、63分には2トップのパス交換から内藤が2点目。さらに66分には途中交代のバホスが内藤のスルーパスで一気に抜け出して決定的な3点目を奪った。終了間際に鳥栖の豊田に1点を返されたものの、甲府はさらに連勝を1つ伸ばし、リーグ制覇へひた走る。
(コフチュウスポーツ 7月3日の紙面より)
小瀬スポーツ公園陸上競技場 ―試合翌日―
うーん、勝つには勝ったけども……疲労感がすごい、ような気がする。
山本勘助「ふむ、今節のサガンは、なかなかに手強かったようですな。難易度上昇の影響が大きく出ましたか」
黒田官兵衛「難易度がプロになりますと、自由にボールを持てるという訳ではなくなりますからな。相手プレイヤーの寄せが早くなるので、ドリブルもパスも判断を早くしなければ潰され、ボールを奪われます。ですが、その中でも1点取れたのだから、大したものではありませんか」
そう言ってもらえるのは有り難いが、この先、二回り目の試合に入れば、サガンを上回るチームとの対戦が巡ってくる。それを考えると、結構先行き不安であるのは確かだよ。
勘助「それに耐えうる能力は、身に付きつつあると思います。慌てず、何より大切なのは緩急です。一本槍な動き、速度の変わらぬ走りは通用しづらいですからな」
官兵衛「強いチーム……と言えば、夏の移籍市場が開放されましたな。Jリーグの各チームも、選手補強を始めたようです。もちろん、甲府もです」
ほう、じゃあネットの噂サイトなどを見て、移籍の話を探ってみよう……なるほど。我が甲府は新たな外国籍選手の獲得に動いているようだが、バートン・アルビオン(英・2部)やデポルテス・テムコ(チリ1部)って、実際のJリーグを考えると、ずいぶんと珍しいチームと交渉してるね。で、浦和レッズは……早速、ペルージャ(伊・2部)からCBを獲得している。これから対戦する相手になる訳だから、よく覚えておこう。
勘助「チームの格が近いチーム同士で移籍が発生した、ということなのでしょうかな」
官兵衛「やはり移籍は興味深いものが有ります。チームの戦力構成が大きく変わることも有りますし、引き続き、注視してまいりましょう」
- DATE
- 7月8日 第18節
- VS
- ジュビロ磐田(A)
- SCORE
- 3-0
- GOAL
- 15’・45’・69’ 内藤(甲)
リーグ戦もちょうど中間地点、各チーム2度目の対戦となり、ジュビロ磐田はホームスタジアムにヴァンフォーレを迎えての一戦です。今年最初の試合では甲府が予想を裏切る3-0の快勝。磐田はホームで雪辱を果たせるか、注目です。
しかしこの試合のジュビロは大胆な布陣。2トップのアダイウトンと小川の後ろは、頼みのベテラン・中村俊輔ではなく、サイドでのプレーで注目される荒木が入って、中村が逆に左サイドに張り出します。一方の甲府は、ほぼいつも通りのメンバーですが、ゲームを作るのは黒木ではなくベテラン兵働。
最初に試合を動かしたのは甲府でした。15分、ゴールエリア内へ侵入したボザニッチの横パスからリンスが狙いますが、これはカミンスキーがストップ。しかしセカンドボールにいち早く反応したのは絶好調の内藤。
今日も冴えている内藤は、さらに勢いに乗ります。今度は前半終了間際、45分のこのシーン。
兵働からのスルーパスに抜け出し、再び磐田ゴールを破ります。リーグ屈指のカミンスキーも、これにはお手上げ。
後半に入っても止まらない内藤、69分に三度カミンスキーの守るゴールへチャレンジ。雨でぬれやすいピッチをものともせずにボールを切り返してDFを振り切り、そのままシュート。
内藤の活躍で甲府はリーグ13連勝。がっちり首位をキープします。果たしてどのチームが甲府を止められるでしょうか。
練習場 ―試合翌日―
いやはや、悪コンディションの中でハットトリック達成。どうかな、難易度が上がっても私の技術は十分に通用しているようじゃないか!
勘助「確かに、この試合はお見事でしたな。磐田の守備を物ともいたしませなんだ。さすがは6月月間最優秀選手、第17節ベストイレブンと、表彰されるだけの選手である、とお示しになられた」
うむ、うむ。手ごたえを感じるぞ、この難易度でも確実にやっていける、活躍できるという手ごたえを! はははは、リーグタイトルは一気に指呼の間よ!
官兵衛「ふむ、これは……」
勘助「増長されておられますかな?」
官兵衛「まあ、増長の一つもしたくなるというものでしょうな、この結果であれば。しかし、恐らくは早々にその鼻っ柱をへし折られることになりましょう」
勘助「上田原がやってまいりますか」
官兵衛「幸いにしてインターナショナルウィークが挟まるこの機会に、少し謙虚さを取り戻されればよろしいのだが……」
―試合ダイジェスト―
- DATE
- 7月29日 第19節
- VS
- 鹿島アントラーズ(A)
- SCORE
- 0-0
- DATE
- 8月5日 第20節
- VS
- ガンバ大阪(H)
- SCORE
- 1-0
- GOAL
- 87’ 内藤(甲)
- DATE
- 8月9日 第21節
- VS
- 浦和レッズ(H)
- SCORE
- 0-0
- GOAL
- DATE
- 8月13日 第22節
- VS
- コンサドーレ札幌(A)
- SCORE
- 1-0
- GOAL
- 86’ ドゥドゥ(甲)
- DATE
- 8月20日 第23節
- VS
- サンフレッチェ広島(A)
- SCORE
- 0-0
練習場 ―試合翌日―
…………。スランプか…………
勘助「負けこそないものの、5試合でチームの獲得した勝ち点は9。これまでと比較すれば低調です。個人評点でも、鹿島戦はチーム最低の評点5.5、広島戦でも5.7。5点台はこれまで全くありませんでしたからな。だいぶ評価されないプレーが増えております」
官兵衛「また、浦和戦、札幌戦では80分でいずれも交替。体力不足がここに来て再び頭をもたげ始めましたか。第22節は週間ベストイレブンを獲得したりしておりますが、ここ5試合で挙げたのは1得点。完全に勢いが止まりました」
思うようにプレーできていないのは分かっている。シュートまでいけないんだよなぁ……。そもそも、ボールが自分のところまでこない。かといって、ボールに絡むためにポジションを下げると、監督に怒られるし……。
勘助「完全に悪循環ですな」
官兵衛「ある程度はチームメイトに任せておきたいところですが、強豪チームに比べると、甲府の選手はOVRで及ばないことが多々。能力差で押し込まれるパターンが多くなりますから、ボールが回ってこないのはその辺りもありましょう。ゆえに、数少ない機会は確実に決められる選手であらねばなりませぬぞ」
うーん、ここに来てまた成長が必要、ということか。やはり日々練習だな……。
官兵衛「(疑心暗鬼ですな。今は評価の声も皮肉に聞こえましょう)」
勘助「(なんとか、自力で乗り越えて頂くしか、ありますまい)」
史実における「上田原(うえだはら)の戦い」のこと。一般に、信濃の征服に向けて破竹の快進撃を続けていた武田信玄が、村上義清に大惨敗をきっした戦いとして知られています。要するに勘助が言っているのは、「天狗になっていると鼻をへし折られる」あるいは「フラグ乙」ということですね。