『ゴリ×夢中』を遊んでみた
ゴリ×夢中(ボードゲーム開封編)
【登場人物】
与力藩の買掛担当。思い出深いゴリラと言えば?「ゾイドのアイアンコングですかねえ」
奉行藩の決裁担当。思い出深いゴリラと言えば?「ありきたりだが、やはりドンキーコングだな」
覇権の象徴であるバナナをつかみ取れ
奉行ちょっと何を言われておるのか分からないのじゃが。
与力このゲームでは、我々はボスゴリラなんですよ。シルバーバックですシルバーバック。んで、部下ゴリラを率いてバナナを確保し、ゴリラの中のゴリラ、真のゴリラの地位に就くんです。
奉行今の説明だけで、この先1年分くらいの“ゴリラ”という単語を聞いたような気がするのう。
基本ゲームでは、両プレイヤーは自分の駒を8枚受け取ります。その後、ゲームシート上の初期配置エリアに裏向きにして6枚配置します。2枚は持ち駒として手元に残します。両方のプレイヤーが配置を終えたら、お互いに配置された相手の駒を1枚選び、同時に表向きにします。これで準備は完了しました。
奉行この緑色が若干濃くなっているところが初期配置エリアであるな。
与力左様です。ただ、一番手前の列の端にある、バナナエリアには駒を置くことはできません。
バナナを狙うか相手を倒すか
奉行さて、『ガイスター』と似たようなゲームと言うことであれば、勝利条件は……
与力だいたい、ご想像がつきますか。
奉行まあ、一通り説明を頼むぞ。
『ゴリ×夢中』で勝利する条件は2つあります。
①相手のバナナエリアに、対応するマークが描かれた自分の駒が侵入する。
②相手の駒を5枚獲得する。
そして、敗北する条件が2つあります。
①同じマークが描かれた相手の駒を4枚獲得してしまう。
②自分の手番中に、自分の駒が相手に取られてしまう。
奉行ふむ? 勝利条件と敗北条件とな。
与力まあ、便宜上説明書とは異なりますが、そのように分けてみました。上2つは勝つため、下2つは負けないために覚えておくとよろしいでしょうか。
プレイヤーは自分の順番になったら、自分の駒を「配置」するか「移動」させるかを選択します。「配置」の場合には、持ち駒から1枚選び、バナナエリア以外の初期配置エリアのどこかに置きます。
与力んで、「移動」です。自分の駒を1枚上下左右に1マス動かせるんですが、この時に相手の駒を取れるか取れないか、というのが有ります。これがキモですね。
奉行ん? 相手の駒に重ねてそれを取る、というような話ではないのか?
与力ちょっとだけ違うんですよね。
移動は自分の駒を1枚、上下左右に1マス動かします。ただしこの時、
・駒のマークとは異なるマークが描かれた相手のバナナエリア
・自分のバナナエリア
・ゲームシートの外
は、禁止エリアとなり、移動することはできません。
移動先に相手の駒が有った場合、相手の駒の上に自分の駒を重ね、両方とも裏向きであれば(重ねられた側から)表向きにして、描かれているマークを確認します。2枚のマークが異なっていれば、重ねた側が相手の駒を獲得できます。
奉行うむ、普通じゃな。
与力ですが、マークが同じであった場合には、“ドラミング”が発生します。
奉行なぬ?
与力これによって、重ねられた側は「重ねてきた側の進行方向」に向かって2マス吹き飛ばされます。相手が前から重ねてきたら後ろに2マス、右から来たら左に2マス、といった塩梅ですね。もしもそれで禁止エリアに吹き飛ばせたら、その駒を獲得することができます。
奉行ほほう、なかなか面白いではないか。
与力で、このドラミング、自分の駒に重ねても発生します。ただし、この時は裏向きの駒を表にはしません。
奉行ふむ、ということは、便利な移動手段ということにもなろうか?
与力そうなんですが、もしも自分の駒を禁止エリアへ吹き飛ばしてしまった場合には、相手に取られてしまうので、即座に敗北です。お気を付けくだされ。
もしもドラミングで吹き飛ばされる先のマスに別の駒が有った場合、吹き飛ばされてきた駒はそこで止まり、再びコマの獲得とドラミングが発生するか、確認します。
奉行つまり、下手すると際限なくドラミングし続けるということか。
与力そんな可能性も有りますね。そして思いがけず自分の駒が相手に取られてしまったりもするので、調子に乗ってドラミングしまくるのも考えものだったりします。
奉行ちなみに、2マス先ではなく、1マス先に別の駒が有った場合、そこで止まるのか? それとも2マス先まで一緒に移動して、そこで再チェックか?
与力別の駒が有るごとに、そこで止まる、ですね。
2人の勝負は、考え込みやすい与力の性格を読み切った奉行の2連勝となりました。
奉行数字や記憶でなく、性格が出やすいゲームはわしが上手じゃな。
与力本当に、分かりやすく勝率に出ますね、我々は。
『ゴリ×夢中』【ここがイカス!】
奉行『ガイスター』に上手くルールを追加したなあ、という印象じゃが、独自色も強く出ておる。これは正統な進化系と言えるのではないか。
与力お、高評価ですね。
奉行『ガイスター』の要素を上手く残しつつ、元ゲームのシンプルさを損なわない程度に考え所を増やしてくれている。つまり、ドラミングのルールじゃな。
与力『ガイスター』でも、駒は2種類ありました(取っていい駒と、取ってはいけない駒)が、それは駒を取る時には何も影響しなかったですからね。それを「取れるパターンと取れないパターン」に分けて、コマの移動が連鎖する仕掛けがついたことで、面白い盤面が発生するようになりました。
奉行ドラミングで上手いことバナナエリアへの侵入を狙ったり、わざと駒を取らせたりとかのう。
与力なんか無駄にドラミング狙いたくなります。しかし、ドラミングに次ぐドラミングで走り回るゴリラ。絵面を想像すると壮絶ですね。
奉行まこと、駒が縦横無尽・ダイナミックに動いていく様は、醍醐味と言えるじゃろうな。わしは駒が吹き飛んでいく様子を見て、スーパーファミコンの有名ゴリラゲームの2を、ちょっとだけ思い出したぞ。後半に、こっちがぶつかると弾き飛ばされる体格の良い敵がいたような。
『ゴリ×夢中』【ここはちょっと……】
奉行難しくはないのだが、ルールは増えた。『ガイスター』の説明書と比較すると、おなじA4用紙だが、ギッシリといった印象じゃな(輸入版の添付日本語ルールを見つつ)。
与力丁寧に書いてくださっているからでしょうね。
奉行あとは価格なりの造りではある。そこは割り切って考えて頂きたい。
与力豪華コンポーネント版とか、出てもよさそうですけどね。
奉行『ボツワナ』のフィギュアみたいなゴリラフィギュアを22体封入して……か?
与力それは確実に値段跳ね上がりそうですね。
奉行あ、それから運の要素というのは無いと言えようから、腕の差は如実に出るぞ。特に対戦相手の性格を熟知している方がより優位に立てるようだ。当方のように。
与力まあ、負け始めると意外と連敗が続きますね、私の場合は。分かりやすい性格なんですかね?
奉行伏せてしかける時、おぬしはバランスよくしがちだからな。思った通りのワナにハメやすくはある、と言っておこうか。
与力ゴリラがテーマのゲームって、ゲームマーケットでよく発表されてる気がします。なんかあるんでしょうか。
奉行ゲーマーはみな心に一匹、ゴリラを飼っているからであろう。
与力そうなんですか?