年末年始とボードゲームの親和性は高い(はず)
与力藩の買掛担当。子どもの頃の年末年始は、テレビを見たりファミコンしたり過ごしたような。
奉行藩の決裁担当。子どもの頃の年末年始は、年越しそばと麻雀。あと、こたつ。
はじめにご挨拶
寒さもぐっと厳しくなり、いよいよ2017年の終わりも近づいてまいりましたが、皆様におかれましては楽しくボードゲームを遊んでおられるものとお慶び申し上げます。また、「最近テレビとかでも話題だし、興味はあるけれどもまだ遊んでないです」という皆様には、絶好の体験チャンスが巡ってきたことをお喜び申し上げます。
さて、おおむねクリスマス以降の年末、そして正月休みの年始という時期は、
- 比較的多くの人と休みが重なりやすい。
- 家族・親類・友人など、人数が集まりやすい。
というような期間だろうと思われます。ということなので、自然とボードゲームを遊びやすい環境ができあがっています。できているんじゃないかな。多分できていると思う。
そんな訳で、
- テレビとかでやってたし、面白いって聞いたからなんとなく遊んでみたいなあ。
- ちょっと遊んでみたら面白かったから、家族とも遊んでみたいわ。
- 時間がある以上ガッツリ遊び倒すぜ!
といった様々な期待を胸に秘めているあらゆる人に、チャンスが巡ってきているものと思うのです。
しかし、チョイスの難度はそこそこ高い
ただ、そこで悩ましくなってくるのはゲームのチョイスということですね。特に「みんなで初めて遊ぶんですけど……」という方はもちろん、あるいは「ゲームとか全然分かんないです、というメンバーにも楽しく遊んでもらいたい!」という希望をお持ちのゲーマーさんなんかは、「じゃあゲームやらない人が遊んで楽しいゲームってなんだよ……」とならなくもありません。そして煩悶の末に情熱が暴走して思わずスーパーヘビー級ゲームを担いで行ってしまうような暴挙だけは避けたいものです。
ということで、そんなお悩みをプロに方に聞いてもらい、的確なアドバイスを頂いて年末年始の楽しい道筋を付けてもらおうじゃないか、というコンセプトで今回はお送りしたいと思います。
奉行ふむ、要は「他人の褌で相撲を取って、その上ちゃんこまで食って太ってしまおう」といった他力本願な主旨の記事である、ということだな?
与力そんな人聞きの悪いことを言わんでください。時期的なニーズもあるんじゃないかと思って、最初は自力で何とかしようと思ったんですよ? ですが……
奉行2人遊びが基本の我々に、多人数ゲームの提案などできようもなく。その上、お主の「サムライ、ニンジャ、クトゥルフ!」といったジャンル偏向は万人に受け入れられるとは言い難い。なるほどな。
与力まあその通りなんですけども、そこまではっきり言われるとなんか悔しいですね。というより、こういう話はやっぱりその道のプロに聞くのが一番ですから。ね。
ゲームショップの店長さんにお願いをする。
お忙しい中で時間を割いてお話し下さったのは、横浜中華街に店を構える「よこはまのボードゲーム屋さん リゴレ」店長の伸居さんです。
お店の営業日以外に主催されている、カフェやバーで遊ぶゲーム会「出張リゴレ」では、多くのライトゲームで参加者を楽しませる一方、「根っからのゲーマー気質です」と仰るように、ヘビーゲームも大好物! と、普段から遊ぶシチュエーション、遊ぶゲーム共に幅広い伸居店長。今回は勝手ながら当奉行所が想定した3つのケースにアドバイスいただく形で、ゲームを選んでもらいました。
ケース1:「初心者やファミリー向けのおススメゲーム」を教えてください。
サイコロの出目で建物の能力を発動、でっかく稼いで誰よりも早く街を発展させよう。
全世界150万部売り上げというカナイセイジ氏の大ヒット作。わずか16枚のカードで絶妙の勝負感。
7回目の勝負であえて負け、キュウリを貰わない駆け引きが大切となる。
鍋野企画さんの大ヒット作。犯人カードがプレイヤーの間を巡っていく展開に一喜一憂。
2017年ドイツゲーム大賞。ドミノ状のタイルを配置して豊かな俺の王国を築く。写真右。
いわゆる「初めて遊んでみたい人」「家族を巻き込んで遊びたい人」におススメなゲームですが、「なるほどなるほど……」と推薦してくれたのは、以上のタイトル。
「大切なのは分かりやすくて、”もう一回遊ぼう“とプレイ回数を重ねていけることだと思いますよ。ずっと遊んでいられるゲームは、やっぱりいいゲームですよね」
という基準と経験をもとに選んでくださいました。『ラブレター』『5本のキュウリ』『犯人は踊る』は、お手軽かつリプレイ性の高いカードゲームです。『街コロ』はそれらよりもちょっと要素は増えますが、ゲーム慣れしていない大人でもスッとハマれるゲームだそう。逆に『キングドミノ』は「ちょっとだけゲーム慣れしてきたら、絶対おすすめだと思いますね」とのことでした。
奉行ほほう、こういったタイトルになってくるのだな。我々が遊んだゲームも混ざっておるのう。(5本のキュウリ/キングドミノ)
与力「何度も遊べる」「ずっと遊んでいられる」というのは、比較的いつもより長く起きていがちだったり、ちょっとまったりした感じの年末年始の環境・空気にはぴったり当てはまりますね。
奉行このケースの解答を頂ければ、この記事の主旨としては十分であると思うのだが、あと2つのケースというのはなんだ?
与力あとは主として「自分でゲームを選べるゲーマーさん」に参考になったらいいな、的な……。
ケース2:ゲーマー各位に「未体験だったら遊んでもらいたいゲーム」を教えてください。
1999年ドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム賞。タイルを引いて森を探索、遺跡や財宝を発見・独占して勝利を目指す。
2013年ドイツゲームエキスパート賞。勇者となってアンドール王国を守る戦いに挑め! 全5本のシナリオで構成される協力型ゲーム。
2014年ドイツゲーム大賞。むちゃくちゃな展開になるラクダレースの結果を予想する、激熱ギャンブルゲーム。
「ゲーマーだったら、基本的に時間のあるときには、もう自分の遊ぶたいゲームをやってるのが、一番幸せだとは思いますよ」と言いつつ、選んでくれたのが上記3タイトル。
「『ティカル』は自分が好きで好きで、とにかく一度は遊んでもらいたい。このゲームは本当にいいです。『アンドールの伝説』は、ゲームに挑む一体感がいいですね。協力ゲームというと“奉行問題”を気にして敬遠される方もいらっしゃいますが、不思議とそれが気にならない。『キャメルアップ』も一度やっておいて損は無いです。熱中すると3連続プレイ位はいけちゃう」
奉行これはいずれも有名タイトルじゃが、意外とわしらもやっておらぬな?
与力『アンドールの伝説』以外は未プレイですね。特に『ティカル』なんかは名作だと聞きますが、どうしてもこう、次から次へどんどん新しいゲームが出てくると、そっちに目が行ってしまうんですよね。時間のあるときだからこそ、昔のゲームも発掘・吟味して、じっくり遊んでみたいような気もします。
奉行その前に買ったまま棚の奥にしまい込んでいるゲームを開梱せよ、たわけめ。
ケース3:伸居店長が「年末年始に遊ぶ予定のゲーム」を教えてください。
ゲーム店の店長さんが個人的に注目している最新ゲームを教えて欲しい、という主旨のこの質問。「あれもやりたい、これもやりたい」と、だいぶ悩みながらも、以下のタイトルを選んでくれました。
ゲームマーケット2017秋発表。ねずみ海賊が次のボスの座を狙う。かの名作アニメを思い出す?
さらに己が王国を拡張せよ。『キングドミノ』の拡張であり、単独で遊べるゲームでもある。
大ヒットした『テラミスティカ』の舞台が宇宙へ。
このタイトルを選んでくれた理由はごく単純で「話題作なのでやっておきたい!」というゲームのうち、プレイ意欲の高い上から3タイトル、ということでした。ただ、「うちは年末年始も営業するんで、実際遊べるかどうかは分からないですねえ」だそうです。
奉行最新の注目タイトルがきたな、やはり。特に『クイーンドミノ』や『ガイアプロジェクト』はお主もなんぞ言うておったから、ゲーマー大注目か。
与力『ねずみ海賊ラッタニア』は、ゲームマーケットの会場でも人気作品でしたね。
終わりに -プロのアドバイスを拝聴して-
奉行なるほど、参考になった。特にケース1のタイトルは、わしらではなかなか選べぬところじゃな。
与力単純に「ライトゲーム」と言っても、なかなか選びづらいもんですものね。
奉行お主の『Timeline』事件(※1)は忘れておらぬからな。
与力そんな記憶はドブに捨てましょう。という訳で、年末年始はぜひみなさん、暇を見つけてはボードゲームをやりましょう!
奉行ゲーム選びにより具体的なアドバイスが必要となれば、ゲームショップなどでしっかり遊ぶ環境などを相談されるとよろしいと存ずる。お気に入りのゲームと共に楽しいひと時を過ごされんことを。
※1 歴史上の出来事などを、年代順に並べるゲーム「タイムライン」。歴史・雑学に特に強い与力は、「これは簡単だから安心! 楽しそう!」と自信を持って購入。ところが遊んでみた結果、「ちょっと、君とは勝負にならないんだけどな……」という微妙な空気をもたらしてしまった、まだボードゲーマー歴が浅い頃に発生した悲しい事件。