パンデミック:ホットゾーン(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

『パンデミック:ホットゾーン』を遊んでみた

【関連記事】
パンデミック:ホットゾーン 開封編
【登場人物】

奉行藩の決裁担当。行ってみたい北米都市といえば?「正直、どこもぼやっとしたイメージしかないんだが、ニューヨークかなあ。ナイアガラ見たいし」

与力藩の買掛担当。行ってみたい北米都市といえば?「ボストン。やっぱ歴史の重みですよ、歴史の重み」

おすすめその1:『コンティジョン』

奉行今回の小見出しはなんだ、これ?

与力いわゆる“パンデミック映画”の中でも名作に分類されるタイトルを挙げていこうかと。以前もやった気がしますが、『パンデミック』シリーズは、ドラマティックドリームボードゲームな展開になる傾向がありますので、そのイメージを盛り上げるって意味でも。

奉行オチありきで言ってるよなあ、それ。

与力さて、本題の『パンデミック:ホットゾーン』なんですが。

奉行おう、これはミニ版ってことじゃな。ぱっと見、『パンデミック』をより短時間で終わらせるようにしたゲーム、って感じじゃな。

与力元のゲームから微修正が各所に施されているので、そこに注意して遊んでみましょうか。

プレイヤーは4種類の役割カードからランダムで1枚と、リファレンスカードを受け取り、役割に対応したコマを「アトランタ」に配置します。

次に、都市カードとイベントカードをよく混ぜ、2枚ずつ(2人プレイなら3枚)“表向きに”配ります。残りのカードを裏向にして、できるだけ同じ枚数になるように3つの山に分けたら、各山に1枚ずつエピデミックカードを混ぜ、各山をよくシャッフルし、重ねてプレイヤーカードの山を作ります。

続いて、感染カードをよく混ぜ、山札を作ったら初期の感染状況を決定します。上から2枚ずつ、3回カードをめくり、それぞれ描かれている都市に、病原体コマを3個/2個/1個ずつ置いていきます。これで6都市合計12個の病原体コマが置かれていることになります。めくった6枚のカードは、捨て札置き場においておきます。

最後に、各プレイヤーの手札の都市カードを確認し、“最も人口の多い”都市カードを持っている人から、ゲームを開始します。

奉行変わっていないようで変わっておるな。

与力順を追って再確認しましょうか。

奉行うむ、まずは最初の手札の枚数。2人プレイのみ3枚で、他は2枚。あと、手札は基本オープン配置になるようじゃな。

与力ゲームプレイの敷居を下げる配慮ですかね。

奉行エピデミックカードは3枚しかない。つまり、難易度はこのカードでは変わらない。

与力ですね。この準備は初級ゲームなので、難易度調整の手段はありますが。

奉行感染する都市の数は少ない、と。

与力9都市ではなく6都市です。

奉行まあコンパクトにするための調整だな、という。

与力『パンデミック』に慣れている方ほどご注意を。

奉行お主、説明書をロクに読まずにエピデミックカードを探しておったものな、「足りない足りない」と言うて。

与力てへ。

パンデミック:ホットゾーン
3枚です。3枚。

おすすめその2:感染列島

パンデミック:ホットゾーン
プレイヤーはCDC(アメリカ疾病予防管理センター)のあるアトランタからスタートする。

『ホットゾーン』におけるプレイヤーの目標はただ一つ、敗北条件が満たされてしまう前に、3種類の病原体に対する治療薬を、協力して速やかに開発することです。

奉行いわゆる協力ゲームなので、プレイヤー間の勝ち負けは無いよ、と。

与力プレイヤー対ゲーム、ですな。

プレイヤーは自分の順番が来たら、以下のアクションを合計4つまで組み合わせて行います。

  1. 移動:1つ隣の都市へ移動するか、手札を使って離れた位置へ移動する。
  2. 治療:自分のいる都市に置かれている病原体コマを(通常)1つ取り除く。
  3. 知識の共有:今いる都市のカードを、同じ都市にいる他のプレイヤーに渡す。あるいは、他のプレイヤーからもらう。
  4. 治療薬の開発:手札から同じ色のカード4枚を捨てて、その色の治療薬を開発する。

奉行お馴染みの行動といえばお馴染みだわな。

与力なのですが、ここも細かく変更が入っています。1つずつ確認しましょう。

奉行おう、よろしく頼むぞ。

与力まず「1.移動」ですが、基地と基地を結ぶ「シャトル便」がありません。

奉行おっ、そういえばそうだな。今いる都市のカードを捨ててどこにでも移動できる「チャーター便」、行きたい都市の都市カードを捨てて直行する「直行便」はあるが。

与力これは「4.治療薬開発」とも絡むんですが、今回、基地をアトランタ以外に作ることができません。ですので、必然的にシャトル便も無くなった訳です。

奉行あー、そういえば、役割からも、そういう人がいなくなっていたなあ……。

パンデミック:ホットゾーン
ニューオーリンズへレッツゴー。

与力で、「4.治療薬の開発」なのですが、まずアトランタでしか行うことができません。

奉行うむ、承知した。治療薬を……3色作れれば勝ち、じゃな。

与力ちなみに、必要な同色カードは4枚なので、お間違えなきよう。

奉行5枚ではないのだな。

与力はい。それから、治療薬を開発したとしても、病原体の根絶は不可能です。病原体は配置され続けます。

奉行うええ、『パンデミック:ローマの落日』のゲルマン人諸君みたいな動きをするのか!

与力例えに『パンデミック:イベリア』が出てこない辺り、よほど印象的なんですね。

奉行そう言われてみると、プレイヤーにかかる制限は『イベリア』っぽくはあるかもな。

おすすめその3:アウトブレイク

4つのアクションを終了したプレイヤーは、「手札の補充」と「感染処理」に進みます。

手札の補充

プレイヤーは都市カードの山から2枚のカードを引き、手札に加えます。このとき、手札の上限が6枚であることを忘れないようにしなければいけません。

奉行1枚少ない?

与力少ないです。全体のカードの量が少ない分、手札も少ないってことになりますね。

感染処理

プレイヤーは、現在の感染率と同じ数になるように、感染カードを1枚ずつ引いて公開します。公開したカードの都市に、対応する病原体コマを1個置き、感染カードは捨て札置き場にすてます。

パンデミック:ホットゾーン
お馴染みではあるが超短い感染率トラック。

奉行うーん、この短さ。エピデミックが3枚しかないからとはいえ、感染率の上昇が急激じゃな。

与力つまりまあ、あっという間に危機が発生する、ということでもありますね。

奉行あ、アウトブレイクトラックも短いな。

パンデミック:ホットゾーン
こっちも短い。

与力はい。「病原体コマが3個置かれている都市に、新たに1個の病原体コマが配置される」と、アウトブレイクが発生して、周辺の都市に病原体コマがまき散らされる。お馴染みの処理ではありますが、『ホットゾーン』では、1回が重くなります。

奉行こわいのう。

パンデミック:ホットゾーン
で、いつもの。

奉行ギャー。

与力お、出ましたね、エピデミックカード。

奉行エピデミックが発生した時は、まず「感染カードの山の1番下のカードを公開し、その都市に病原体コマを3個置く」。

与力はい。そしてそのカードは、捨て札置き場に戻します。そして、「捨て札置き場のカードをよく混ぜ、残っている感染カードの山札の上に重ねる」訳です。

奉行そして「感染処理を行う」手順に進む。つまり、今までに病原体が発生している都市で、再感染が進む。それすなわち…。

与力アウトブレイクの危険性が高まる、という寸法ですな。

パンデミック:ホットゾーン
これが戻ってくるのが厄介。

おすすめその4:Vフォー・ヴェンデッタ

パンデミック:ホットゾーン
プレイ中。奉行は衛生兵(オレンジ)、与力はゼネラリスト(ベージュ)。危機は迎えつつも状況は人類に優位。

与力最後にゲームの敗北条件を確認しておきましょう。

奉行これもいつものやつじゃろ?

プレイヤーは、以下の状況を迎えた時に、敗北します。

  1. アウトブレイクマーカーが最後のスペースに到達する。
  2. 病原体コマが足りなくなり、配置しなければいけな時に、できなかった。
  3. プレイヤーカードを2枚引く際、カードが足りなかった。

奉行うーん、条件は同じだが、やっぱりトラックが短い、コマが少ない、プレイヤーカードが少ないなので、終わりが迫るスピードは速いよな。

与力悠長に構えていることはできないかもしれませんね。

パンデミック:ホットゾーン
しかし、無事3つ目の治療薬が完成。勝利。

奉行10年以上遊んでるから、初級で負けたくないよな。

与力お、古参ヅラしてますね。

奉行悔しいだろ、実際負ければ。それより、ここから難易度を上げるのはどうするんだ?

与力はい、「危機カード」を山札に混ぜるんですね。

8枚用意されている「危機カード」を、都市カードにエピデミックカードを混ぜる時、一緒に混ぜます。難易度“標準”なら、3つの山に1つずつ、難易度“英雄”ならば、2枚ずつです。

与力危機カードは、引いたら即座に発生するマイナスのイベントですね。場に残って悪さをし続けることもあります。

奉行どこのアーカム・アドバタイザーの記事だ…うわっ、これか!

パンデミック:ホットゾーン
物流のコントロールに失敗。このターンの感染処理を2度行わなければならない。

与力大丈夫です。ここはイベント「静かな夜」があるので、抑え込みましょう。

奉行助かる……確かに、局面が一発で変わりかねんな。だが、対処方法があったのは運が良かった。

その他にも危機は迎えましたが、難易度標準も無事にクリア。北米は再度救われました。

与力とはいえ、危機カードが6枚入ると、ちょっと厳しそうですよね。

奉行対抗手段になり得るイベントカードは合計4枚だからな。伊達に難易度最高では無さそうだわな。

『パンデミック:ホットゾーン』【ここがイカス!】

奉行通常の『パンデミック』とほとんど変わらないゲームになっているな。世界を飛び回る感は無くなったが、それでもやはりマップ上を東西南北縦横無尽に移動するのは、それだけで楽しい。

与力ゲームの展開もスピーディーですよね。

奉行ていうか、スピーディーにならざるを得ないわな。都市カードは全部で24枚しかないから無駄打ちできんし、山札はすぐ尽きる。

与力プレイ人数が多いと辛そうですよね。

奉行10ターンで終わるんじゃろ? 1手が重いよなあ。

与力とはいえ、そのぶん、治療薬開発は楽になっている訳で。

奉行4枚は確かに楽だよね。カードのやりとりも意外と楽だったように思う。やはりマップの狭さかな。

与力かもしれないですね。

奉行そういった点では、プレイに悩む場面は少なかったかもしれん。わりと狙い通りに行動できたというか。

与力運が良かったのか、ストレス低減設計になっているのか…。

奉行それは分からないけどね。でも協力ゲームのファーストチョイスとしては、非常にいいゲームに仕上がっているのは、確かだと思うよ。

『パンデミック:ホットゾーン』【ここはちょっと…】

奉行とはいえ、だな。パンデミックシリーズ大好きな我々があえてこれを遊ぶ意味合いはどうなんだ、ということだ。

与力で、どうなんですか。

奉行普通の『パンデミック』でも、わしらは慣れちゃってるから、まあまあお手軽に1プレイ終わるんだよな。

与力何度世界が滅んだことか。慣れって怖いですね。

奉行そうなると、役割にしてもプレイにしても、選択肢の少ない圧縮版の『ホットゾーン』を遊ぶのは、ちょっと物足りなくは感じられるよ、やはり。

与力まあ4人プレイだと役割は常に固定ですしね。

奉行しかし過去の『パンデミック』シリーズから色々な要素を抽出して、組み合わせて削って、『ホットゾーン』ができあがっている、と思うと、中々感慨深いものはある。

与力もはや歴史の証人みたいな発言になってますよ、それ。

奉行あと、これはゲームとは直接は関係ないが、「治療薬の有難さ」が分かった、改めて。

与力お、急にどうなさいました?

奉行このゲーム、治療薬が開発されれば、治療は迅速に進むわな。根絶できないとはいえ。

与力奉行は衛生兵でしたから、都市に入るだけで病原体が消えましたしね。

奉行しかし、特効薬がないと1つずつ取り除いていかないといかん。場合によっては病原体の増殖ペースに追いつかなくなる。

与力たしかに。

奉行前は「治療薬で衛生兵の活躍っぷりが格段に違うなー」くらいに思ってたんだが、この2020年、「治療薬って物凄いものだ」と骨身に染みて分かったからな。薬がない時は、とにかく病原体を広げない努力がとにかく大切。それを改めて教えてもらった。『パンデミック』は、実にいいゲームだ。

与力以上、昨今の社会情勢を踏まえての奉行の感想でした。

パンデミック:ホットゾーン
標準モード、実は都市カードの残りは3枚というギリギリ勝利でした。

与力さて、最後のおすすめパンデミック映画ですが…。

奉行『沈黙の陰謀』じゃろ? オチが見え見えなんだよな…。

与力ええっ、あのアクション俳優スティーブン・セガールが得意のアクションを抑えて元CIAの秘密研究所に勤めていた免疫学者を熱演、過激派テロ組織が使用し猛威を振るう未知のウイルスが突然変異するという不測の事態にも果敢に立ち向かう姿をえがいた、あの名作を奉行もすでに鑑賞済みだったんですか!?

奉行早口になるんじゃない。前に『パンデミック』をプレイする前に、お前に見せられたんだよ! 忘れたふりをするな!

【開封編をもう一度読む】
パンデミック:ホットゾーン 開封編
【関連記事を読む】