パンデミック:迅速対応『PANDEMIC:RAPID RESPONSE』(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

『パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE)』を遊んでみた

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パンデミック:迅速対応 開封編
【登場人物】

奉行藩の決裁担当。迅速と言えば?「最近(?)のゲームでタイムアタック指定を『迅速な○○をせよ』とかよく見かける気がするな」

与力藩の買掛担当。迅速と言えば?「『疾きこと風の如く』……風林火山ですな」

緊急指令! 出動、危機対策部隊!

奉行なんだか、『パンデミック』らしからぬゲームっぽいな。

与力リアルタイムダイスゲーム『FUSE』の協力要素を、より深めてみました!みたいな感じかもしれないです。

奉行あれかぁ。公式アプリに爆音を発しまくらせたな、わしら。

与力失敗続きだった、ということですね!

奉行人には向き不向きというものがあるんじゃよ……。

与力のっけから不穏な出だしになってきたので、ゲームの話に入りましょう。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) ボード
世界の危機を救う準備から。

まず、ゲーム開始の準備です。飛行機を表すゲームボードを場の真ん中に広げます。5色の補給品コマをボードの対応するエリアに、廃棄物トラックの最初のスペースに廃棄物マーカーをそれぞれ置きます。また、砂時計と紫色の時間トークン3個も、ボードの本部エリアに置いておきます。都市カードをよく混ぜ、1枚引いて表にします。その都市に対応するゲームボード外周のスペースに、飛行機コマを置いてスタート地点とします。都市カードはゲームから除外します。

続いて2枚の都市カードを引き、対応する都市スペースの横に配置します。これがゲームスタート時に危機に瀕している都市です。残りの都市カードからさらに3枚のカードを引いて、ボードの対応するスペースに重ねておきます。これは山札となります。残った都市カードはゲームから除外します。

最後に各プレイヤーは、役割カード1枚、プレイヤーコマ1個と、コマと同色のダイス6個を受け取ります。プレイヤーコマは、役割カードに記載されているゲームボード上のスタート位置に置きます。

奉行あれ、危機カードは?

与力それは最初のゲームでは使わないのが推奨らしいです。

奉行ふうん、それではベテランパンデミッカーたるわしらにはヌルい難易度になりかねんのでは?

与力いや、そんな余裕の顔されても、さっき自分で「『パンデミック』らしからぬ」って言ってたじゃないですか。我々の経験が通じるか否かは全然分かんないですって。

奉行……冷静なツッコミ、ありがとうな。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) キャラクター
左が奉行、右が与力。固有ネームあるんですね、今回は。

「司令、深刻な水不足です!」「よし、ペットボトル準備!」

世界は自然災害の脅威にさらされています。プレイヤーは精鋭対策部隊の一員として、飛行中に救命用補給品を準備できる専用飛行機に乗って世界を飛び回り、必要な物資を都市に届けなければなりません。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 
奉行「よし、いくか」

奉行あ、敵はウィルスじゃないんだ。

与力伝染病で苦しんでる都市の救援に向かうのかもしれませんが、それ以外の自然災害も想定されますね。

奉行支援が必要な地域に行って、空からペットボトルとか落とすのか?

与力ちゃんと着陸して積み下ろすんじゃないですかね。じゃ、先に勝利条件と敗北条件を確認しておきましょうか。

・勝利条件:全ての都市カードに必要な輸送品を補給した。
・敗北条件:砂時計の砂が落ち切った時に、時間トークンが1個もない。あるいは、廃棄物マーカーが廃棄物トラックの一番最後のスペースに到達してしまった。

奉行……なるほど、分からん。

与力とりあえず、そういうもんだということで、ゲームの進行を覚えておきましょうか。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 分析官
与力「緊張してきたなあ」

①計測開始&ダイスロール

ゲーム開始時、まずは砂時計をひっくり返し、時間の計測を開始します。その後、スタートプレイヤーから手順に従ってゲームを進めていきます。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 砂時計
砂時計。2分しかないことをお忘れなく。

手番のプレイヤーは、まず手元にあるダイスをまとめて全て振ります。そしてダイスの出目に従ってできる行動を選択し、ダイスを使って実行していきます。なお、プレイヤーは手番中、まだ使用していないダイスの全部、あるいは一部を任意のタイミングで2回まで振りなおすことが可能です。

奉行とにかくダイスを振れ、話はそれからだ、と、そういうことだな。

与力です。で、一応何を考えておかなければいけないか、ということなんですが……。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 都市カード
都市カード

与力都市カードには、各都市を救援するために必要な補給品の「種類」と「数」がアイコンで表示されています。これを届けられれば、救援成功です。

奉行ははあ。では最初にオープンされている都市カードが2枚、山札が3枚だから、合計5都市の救援に成功すればよい、ということなんだな。

与力ですので、ダイスの出目を上手いことコントロールできるように祈りながら、各都市を救援するための最善の行動を、飛行機の中で繰り返していくことになります。

「司令、電気が足りません!」「よし、eneloop持ってこい!」

②ダイスを使って行動

与力ダイスを使った行動には、大まかに分けて3種類あります。

奉行ふむふむ。

与力一番簡単なのは「飛行機内の移動」ですね。どんな出目のダイスでも1個使えば、隣接したエリアへ移動することができます。

奉行うん、なるほど。機内移動の制限がきついというのは、テロリストでも乗り込んできてない限り、あり得ないものな。

与力そして「飛行機の移動」は、飛行機アイコンの出目になっているダイス1個につき、飛行機を時計回りに1つ移動させることができます。

奉行ボードの外周に描いてある都市マスじゃな。飛行機を移動させて、救援するべき都市へ向かう訳だ。

与力移動に関してはこんなものです。

―補給品の作成―

ワクチン(白)、食料(緑)、電力(黄)、応急医薬品(赤)、水(青)という5種類の補給品を作成するには、まず、プレイヤーコマがその補給品に対応したエリアにいなければなりません。その後、ダイスを割り当てることで、補給品作成の準備が始まります。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) ボード全景
改めて飛行機内ことボードを確認。

与力各エリア、補給品ごとにトラックが用意されているんですが、ここに対応する出目のダイスを置いていくんですね。

奉行お、つまりダイスを振って、置ける出目のエリアに行けばいい、という感じね。

与力なんですが、どのトラックもいくつかのスペースに分かれているのがお分かりいただけるでしょうか。

奉行あー……なるほど。黄色の電力は“3・1・1”で、青の水は“2・1・2”に分かれておるな。

与力ダイスを置くときは、各スペースの要求数を一度に置かないといけないんです。例えば、電力であれば、3つ同時に最初のスペースに置かないとダメです。

奉行ということは、つまりダイスロールで3つ黄色の出目を出さなければいかんのか。なるほど、それで振り直しのルールが設定されている訳だな。足りなければ振り直しに賭けろ、と。

スペースの埋まったトラックは、そのエリアにプレイヤーがいれば効果を発動して、補給品を作成することができます。この時、ダイスを使用する必要はありません。

与力各スペースの右側に「補給品を何個作成できるか」が表示されていますので、その分の補給品コマを取って、ボード一番右側の貨物室に配置します。

奉行ふむ。貨物室にはスペースが書かれておるな。これ、スペースが全部埋まっていたら?

与力その時は「置ける分だけ置く」か「すでに置かれている補給品を、対応したエリアに戻してスペースを空ける」といったことができますね。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 投下準備
マニラへの投下を待つ補給品。

奉行なるほどな。では、トラックが最大まで貯まるのを待ってから、補給品を作成すればよい訳だ。

与力そうもいかないんですよ。トラックに置かれたダイスは、補給品が作成されるまでロックされる、つまり手番になっても振ることができなくなるんです。

奉行あっ、そうか。やれることが少なくなってしまうのか!

与力なので、色々な所にダイスを置いていくより、サッと移動と作成を繰り返していかないと、ことが迅速に運ばなくなっていくんですよね。

「司令、ゴミが増えてきました!」「ムキーッ、それも投下しちまえ!」

飛行機内で補給品を作成すると、廃棄物が生成されてしまう可能性が有ります。補給品作成を行ったプレイヤーは、トラックに置かれていたダイスを各プレイヤーに返す前に、全て振ります。そして各種アイコンが丸で囲まれた出目が出たダイス1個につき、廃棄物トラック上のマーカーを1つ進めます。

与力で、最初に言ったように、廃棄物マーカーが最後のスペースまで進んでしまった時、プレイヤーはゲームに敗北します。

奉行えええ。なんだか色々とコストのかかる補給品だなあ。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 廃棄物マーカー
ここまで行ったらアウト。

与力こうならないためには、廃棄物トラックが有る再生センターで、リサイクルを行わなければいけないです。

奉行リサイクルのためにダイスを置きなさい、ってことじゃな。

与力ですね。ここは全部違う出目のダイスを置きましょう、で、効果を発動すると、トラックを下げられる、ということです。

奉行い、忙しいのう。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 再生センター全景
再生センター全景。下は貨物室。

与力で、頑張って補給品が必要な分だけ揃い、飛行機が救援すべき都市に来ていれば、貨物室の効果を発動させて、救援成功!となります。

奉行貨物室を発動するのにダイスはいらんの?

与力もちろん要りますとも。飛行機の出目のダイス1個が必要になりますよ。

奉行ああ、振り直しがはかどる! ところで、都市を救援すると、何か良いことはあるのか?

与力補給品が元のスペースに戻るのと、『時間トークン』を1個追加でもらえますね。

奉行『時間トークン』……重要なのであろうな。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 投下完了
はい、投下!

以上のようにプレイを繰り返しますが、時間を計測している砂時計の砂が落ち切ってしまった(2分経過した)ら、そこでいったんプレイを止め、そしてボード上に置いていた時間トークン1個をゲームから除外します。続いて山札から都市カード1枚を引いて表にし、対応する場所に新たな救援を求める都市として配置します。これらの処理が終了したら、砂時計をひっくり返し、プレイを再開します。

奉行ああ、ここで時間トークンが1個も無ければゲーム敗北だったな。で、1都市救済で2分制限時間が増えるってことか。それは重要だわ。

与力注意したいのは、この処理をしている間、一切の手番処理をしてはいけませんし、またゲームに関する相談などをしてもいけません。

奉行うへえ、それもリアルタイムに処理していけってか。厳しいなあ。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 時間切れ 敗北
そして初戦は時間切れで敗北。

奉行そりゃそうだ。プレイがどんな感じで進むか手探りで、ルールも時々参照しながらだったからな、タイムロスが多すぎたわ!

与力とりあえず次です、次はその言い訳は使いづらいですからね、勝ちましょう!

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 達成した都市カード
で、なんとか勝利(都市カードを1枚まとめ忘れ)

奉行ひいひい、か、勝てた……って感じだな。……これで簡単モードだったか?

与力ええ、普通モードは山札が5枚……危機カードも使えますが、どうしましょう?

奉行まてまてぃ。とりあえずしばらく休ませてくれ。肉体的にリアルに疲れた。

『パンデミック:迅速対応』【ここがイカス!】

奉行最初から最後まで騒々しいゲームだった。みんなで盛り上がるにはよいゲームかな。

与力何ができるかはダイス次第ですから、ダイスロールだけでも盛り上がりますしね。

奉行うん、協力ゲームに現れがちな『奉行』が仕切ろうとしても、制限時間がかなり短いからな。ちょっとやりづらいと思う。

与力最善手を探して頭をひねるよりは、目前のダイスを上手く消費する瞬発力と、振り直す度胸が重要な感じですね。

奉行そうな、全員にある種「世界の運命はダイスに聞いてくれ!」くらいの思い切りが欲しいな。むしろ、結果が良かれ悪しかれ、全部ダイスのせいにできるから、色々と楽ちんだ。

与力運次第ですね。

奉行逆にダイス運の無い人があぶり出されてしまう恐れはあるけどな。

与力戦略的な部分とかはないんでしょうかね。

奉行どうなんだろうな。役割ごとに割り振られている特殊能力をどう使うか?という判断は大切だろう。上手くかみ合えば、劇的なプレイが生まれる……かもしれない。

与力我々はそこまではいきませんでしたね。

奉行仕方ないだろ、肉体がついていかないんだから。

与力瞬発力も集中力も必要な感じでしたね。

奉行覚えることはちょっとだけ最初にあるけど、すぐ呑み込めるから、簡単で盛り上げやすい協力ゲームを探しているなら、遊ぶ候補に入ってくるんじゃないかな。

『パンデミック:迅速対応』【ここはちょっと……】

奉行とりあえず、プレイヤーコマが見づらい。

与力ダメですか、このメタリック色。

奉行YouTubeで有名なボードゲームレビューチャンネルの方も言及しておられたが、この色、ボードの色に埋没しやすいのよ。それで、「あれ、どこいった?」ってなりやすい。

与力視認性の問題ですね。

奉行リアルタイムで勝負が進むのに、これはちょっとキツイ。あとはそうだな……このゲームは確かにスピード感がウリなんだろうが、どうしてかな、『パンデミック』らしいスピード感、疾走感には欠ける気がするなあ。

与力あれ、そうですか?

奉行なんだろうね。確かに砂時計に追い立てられはするんだが、『パンデミック』のウィルスがどんどん増殖して危機が加速的に迫ってくる感じやら、治療薬開発後に一気に状況が好転した時の盤面の激変やら、あそこに私の好きなスピード感が有ったのよ。あの感覚とはちょっと違ったんだよね。

与力ふうむ、そういうことですか。

奉行そういえば、パンデミックらしく“世界を飛行機で飛び回っている”という設定だったけど、世界を股にかける感じもあんまり無かった。これは多分、ボードの問題だな。

与力確かに、飛行機の中を忙しく動き回るゲームでしたからね。

奉行そうそう、体感的にそっちに頭がいってしまうから。世界地図の上をガンガン移動するよりは、どうしてもな。

与力世界地図の存在感は強いですね。以上、個人的嗜好による感想でした。

奉行どかーんとダイス振って、やいのやいの!っと進めるのがお好みな人なら、全然違う感想になると思う。

パンデミック:迅速対応(PANDEMIC:RAPID RESPONSE) 飛行機フィギュア 台座
飛行機フィギュアを組み立てる際、台座の方向には注意です。

奉行ところで今回、あんまりプレイ中の写真が登場していないような気がするな。

与力そりゃそうです、リアルタイムゲームで写真撮影のヒマは無いですよ。

奉行そうか、今後は頭にカメラ装着して激写するように。頑張れ。

与力終盤、焦ってプレイしだした頃に落っことすオチが目に見える……。

【開封編をもう一度読む】
パンデミック:迅速対応『PANDEMIC:RAPID RESPONSE』 開封編
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