パンデミック:ローマの落日(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

『パンデミック:ローマの落日』を遊んでみた

【関連記事】
『パンデミック:ローマの落日』開封編はこちら
【登場人物】

奉行藩の決裁担当。ローマにまつわる物語といえば?「テルマエ・ロマエは忘れがたい」

与力藩の買掛担当。ローマにまつわる物語といえば?「映画グラディエーターですね」

『われわれだれも、何でもできるわけではない』

奉行これが新しいパンデミックなのか。病原菌はもう2年くらいご無沙汰じゃなあ。

与力スピンオフ作品は、必ずしも病気の蔓延を食い止めるというゲームにはなってないですね。『クトゥルフ』とかありますし。

奉行あれは次々と湧いてくる狂信者をどうやって取り除いているのか、ものすごく気になるんだよな……。

ゲーム前準備は『パンデミック』と大体同じです。各色の蛮族コマをまとめて指定のサプライスペースに配置した後、最初の侵略として蛮族カードを3枚ずつ引き、蛮族コマが3、2、1個配置される9か所の都市を決定します。プレイヤーはランダムに配布される役割カードと、プレイ人数に応じた枚数(2人プレイでは4枚)のプレイヤーカードを初期手札として受け取ります。そしてプレイヤーカードに書かれた都市の中からスタート地点を決定し、自分のコマと軍団コマ2個を配置します。
最後に、難易度に応じた反乱カードを準備し(今回は入門レベルなので5枚)、プレイヤーカードの山を反乱カードの枚数と同じ数に分け、それぞれの山に反乱カードを入れてよくシャッフルし、積み重ねて山札とします。これで準備はおしまいです。プレイヤーカードに書かれている“ローマからの距離”日数が最も遠いカードを持つプレイヤーが、スタートプレイヤーとなります。

パンデミック:ローマの落日
準備完了。さあ、かかってくるがいい。

奉行ふむ、この時点ですでにプレイ上いくつか着目すべき点があるのう。

与力そうですね、1つずつ見ていきましょうか。

ポイント1. 最初の侵略

奉行『パンデミック』お馴染みの、最初に病原菌ならぬ『蛮族コマ』をどこに置くかの処理だが、カードが決まっておるのだな。パンデミックでは全カードが対象だったが。

与力はい。金枠の9枚の蛮族カードのみで決定しますので、蛮族コマがどこに置かれるか、都市が限定されるんですよね。

奉行いずれも蛮族サプライスペースの隣の都市な訳だが、そこに「何個コマが置かれるのか」は毎回変わるだけだな。これで状況は都度大きく変わると。

ポイント2. 蛮族カードの山

奉行で、最初から蛮族カードの捨て札があるんだが?

与力各色の「ローマ」を指示するカードですね。これはつまり……。

奉行なるほど。最初のエピデミック、このゲームでは“反乱”だったか? が発生するまで、ローマを狙ってくる敵はおらん、ということだ。

与力逆に言うと、反乱が発生するたび、確実にローマを目指して進んでくるわけですね。

奉行う。ローマを守るのが重要になるわけだ。3ターン目くらいで反乱が起きたら、目も当てられん。

パンデミック:ローマの落日
起きてほしくない反乱。

ポイント3. 反乱カードの枚数

奉行で、その反乱カードの枚数だが。基本の難易度でも6枚ということは、オリジナルより1枚多いよな?

与力その通りです。説明書にも書いてありますが、オリジナルゲームより1枚多くなっています。ここはパンデミックに慣れた人ほど、要注意かもしれません。

奉行蛮族の侵攻は、病原菌どもとの戦いより早いかもしれんのか。

ポイント4. 蛮族の種類

奉行種類って表現もなんだがな、オリジナルでは4種類の病原菌が敵であった。5種類目は拡張からの登場だったな。

与力ええ。しかし今作では最初から5種類です。種類っていうか、5部族ですかね。

奉行つまり今まで風に言えば、5種類のワクチンを作らなければならず……。

与力かなり厳しい戦いになる予感がしてきましたね。

『力があると思うがゆえに力が出る』

奉行で、だ。この5種類の蛮族すべてに対してワクチン……ではなく、その色のカードを集めて出す的なアクションをすれば、ゲームに勝利できるのか?

与力実は勝利条件は部族ごとに2つありまして。「同盟を結ぶ」か「全ての蛮族コマをボードから取り除く」かのどちらかを満たしていればOKです。

奉行ほほう?

パンデミック:ローマの落日
目標となる蛮族との同盟締結(同盟とは言っていない)

奉行同盟というのはオリジナルのワクチンか。各色ごとに同盟しているかコマを一掃しているかを狙え、と申すのじゃな。

与力はい。ですから「この部族とは同盟して、この部族は討伐してしまおう」みたいなことも狙えなくはないです。

奉行そうか、勝ち筋が広がった……のかな?

与力どうせそんな楽な戦いにはなりませんって。

逆にプレイヤーは、以下の時にゲームに敗北します。
・蛮族コマを置くべき時にコマが不足した。
・プレイヤーカードを引くときに山札が尽きていた。
・8回目の衰退が発生した。
・ローマが略奪された。

奉行上から3つは分かるわな。ウイルスコマが出過ぎたとか、時間をかけ過ぎたとか、アウトブレイクとか、そういうことだが、「ローマが略奪された」というのは?

与力ローマに同色4個目の蛮族コマが配置されることになったら、即敗北です。ローマは我々の首都ですから。

奉行ローマ限定だが、アウトブレイクを起こしてはいかんのか!

与力首都なんで仕方がないですね。

パンデミック:ローマの落日
永遠の都、ローマは死守されねばならない。

『人の数だけ意見あり』

奉行よし、それでは早速勝負と行こうか。わしは「1アクションで港湾都市間を移動できる」艦隊長だ。これ、『イベリア』の船員だよな。

与力私は、今いる都市と同じ色のカードを捨てて、イベントカードを追加で引いてこられる女祭司です。ただ、特殊能力でローマ軍団のコマを捨ててしまうので、戦闘には向いていないようですね。

奉行さて、プレイヤーはだいたいいつも通りの行動ができるのだろうな……。

与力取りあえずこれまでと大差ないやつを確認しますか。

手番プレイヤーは以下のアクションを4回組み合わせて行うことができます。同じアクションを複数回行っても構いません。

  • 行軍:隣のマスへ移動します。3個までの軍団コマを連れていくことができます。
  • 帆走:港湾都市にいるときに実行できまs。。移動先に選んだ港湾都市と同じ色の都市カードを捨てて、プレイヤーコマを移動させます。軍団コマを3個まで連れていくことができます。
  • 要塞化:今いる都市の都市カードを捨てて、砦コマを1個配置することができます。
  • 策略:他のプレイヤーと同じ都市にいる時、自分がいる都市のカードを相手に渡すか、相手からもらうことができます。
  • 同盟の締結:同盟を結びたい蛮族のコマが1個でも置いてある都市で実行できます。蛮族ごとに定められた色と枚数の都市カードを捨て札にして、同盟を締結します。
  • 軍団の創設
  • 戦闘
  • 蛮族の入隊

奉行上から5つはまあ分かるな。「帆走」は『イベリア』でもだいぶお世話になった……直行便やら拠点間シャトル移動などが使えない、かといって鉄道を敷設できるでもない、ということは陸上の移動に苦労するな。

与力要塞にもいくつか意味があります。例えば、後述の「軍団の創設」アクションは、砦コマが置かれた都市でないと実行できないんですね。

奉行逆に同盟締結っていうのは要はワクチン作成だが、砦ではなく同盟の相手がいるところまで行ってやれ、ということになっておるのだな。うむ。

与力では、目新しいアクションを確認していきましょうか。

新しいアクション1. 軍隊の創設

パンデミック:ローマの落日
待機中の軍団兵諸君。

軍団コマを自分のいる都市に配置します。何個配置できるかは、侵略頻度トラックの指示に従います。このアクションは、砦コマが置かれている都市のみで可能です。

与力つまりですね、初期状態で砦コマが置かれているのはローマだけなので、最初はローマでしか軍団兵を雇い入れることができない訳です。

奉行侵略頻度トラックってのは感染率トラックと同じであると思ってよいな?

与力そうです。反乱が発生するごとに進んでしまいます。

奉行ふうむ、拠点コマの役割が研究拠点から軍事拠点に変化した……のか? そもそも軍団コマの意味はなんなのだ。

与力はい、それが次のアクションになります。

新しいアクション2. 戦闘

パンデミック:ローマの落日
奮戦する女祭司と麾下の軍団兵。

自分がいる都市に配置されている軍団コマ1個につき、1個の戦闘ダイスを振り、蛮族コマを取り除けるかどうか挑戦することができます。蛮族コマを取り除くほか、軍団コマが消耗することもあります。

奉行あああ、つまりなんだ、病原菌などとは違って無抵抗(?)で排除できる相手ではないから、コマを取れるかどうかはランダムに決まる、ということなのか。

与力そうですね。衛生兵が駆け回って何とかなる……という感じではなく、軍団を募って蛮族のいる都市へ向かい、ダイスを振って勝敗を決定する、という感じですので、確定で取り除けるわけではないんですよ。

奉行これはきついが、だがそこはお主と違ってダイス運のよいこのわしだ。然したる問題はあるまい。ついてまいれ我が軍団よ、戦艦に乗り組んでコンスタンティノポリスの蛮族どもを撃滅するのだ。

与力大丈夫かなあ、この人。

パンデミック:ローマの落日
激戦の結果は共倒れ。

与力見事に軍団と蛮族が対消滅しましたね。

奉行ろ、ローマへ戻って新規募兵をせねば……。

与力港湾都市間の移動が簡単なキャラクターで良かったですね、ローマもすぐ戻れますよ。なお、ダイスの目で「ワシのシンボル」が出ると、役割特有の能力が発動します。

奉行うむ。艦隊長であるわしの場合は「港湾都市にいるならば蛮族コマを1つ取り除く」なので、できるだけ海沿いで戦うといい訳だな。……が、なんか嫌な予感がしてきた。

新しいアクション3. 蛮族の入隊

同盟を結んでいる部族の色の都市カードを手札から捨て、自分がいる都市に配置されているその同盟部族の蛮族コマを、軍団コマと入れ替えます。

与力3個一気に取り除く的な効果を持つアクションがこれですね。

奉行カードを使いはするものの、リクルートで一発逆転、の効果が望めるか。

与力同盟部族のコマは悪い方向だけに行くわけではない、ってことです。

『遅れは危険を引いて来る』

アクションが終了したら、プレイヤーはプレイヤーカードの山札から2枚引きます。その中に反乱カードがあれば、即座にその内容を解決します。

パンデミック:ローマの落日
奉行「あっ、きた……」

奉行あのだな、女祭司の特殊能力「手札補充の時に3枚引いて1枚を山に戻す」を使って、そっとわしに反乱カードを回しておるだろ、お主。

与力やめてくださいよ言いがかりは(目を合わせない)。

奉行2人プレイだから仕方がないとは言え、目を合わせんか、目を。ともあれ、これはいつものやつだな。

与力そうですね、「侵略頻度トラックが1つ右に進む」。これによって蛮族カードを引く枚数と、軍団創設時の軍団コマ数に影響が出ます。

奉行右に行くほどプレイヤーに不利、と。「反乱」は蛮族カードの山の一番下からカードを引いて、その都市に蛮族コマを3つ置く、であるな。

与力はい。そして「度合いの増加」、蛮族カードの捨て札をシャッフルして山札の上に戻す、ですね。

奉行これが続くと同じ都市ばかり攻撃に見舞われるからなあ。

与力今作では先に出たように、ローマを指示する蛮族カードが1回目の反乱後に山札に戻るのは見逃せないですね。

続いて都市の侵略が発生します。侵略頻度トラックに指定されている枚数の蛮族カードを山札から引き、指定されている都市へ蛮族が進軍します。

与力ここがちょっと今までの『パンデミック』と違っているんですよ。これまでは指定されている都市に突如コマが発生してきてました。

奉行おう、まこと恐るべきは変幻自在の病原菌、であったな。

与力ですが、今回の蛮族は突然出現することはできません。本拠地からつながって進軍してきます。

奉行ほほう?

パンデミック:ローマの落日
与力「例えば、この蛮族カードです」

与力このカードは「パトラ」を指示し、そこまでの経路が書かれていますが、白の蛮族コマは「コンスタンティノポリス」に置かれているものの、「アテネ」に蛮族はいません。

奉行おう、そうなるな。

与力この場合、白のコマは「コンスタンティノポリス」から侵略可能な「アテネ」に置かれることになります。

奉行ははーん、つまり蛮族コマは反乱以外では、必ず本拠地から一筆書きでつながって配置されるわけだな。

与力そんな感じですね。経路上の隣接マスまで蛮族コマが来ているか、そうでなければ既にその都市に蛮族コマが置かれていれば、侵略できる訳です。

奉行逆に言えば、蛮族の進軍ルートを絶つように攻撃せよ、ということになってきそうじゃのう。

与力ただ、プレイヤーが軍団コマを連れて侵略される都市にいたり、侵略される都市に砦コマと軍団コマが置かれていたりすれば、軍団コマ1つを捨てて蛮族コマを置かせない、という防衛も可能です。

奉行おお、軍団兵は頑張るな。では軍団をあちこちに配置すれば……。

与力と思うでしょ。指揮官であるプレイヤーや、身を守る砦が無い場合、軍団コマは何個配置されていても侵略してくる1個の蛮族コマと一緒に消滅します。

奉行多数配置に意味は無いのか! では軍団兵を薄くバラまいて敵の侵攻を防げるように駆け回らねばならんのう。なんだか『ライジングタイド』の堤防のようじゃ。忙しい忙しい。

与力そして都市に4つ目の同じ色の蛮族コマを置くことになった時にアウトブレイクならぬ「略奪」が発生します。これで蛮族は周辺の都市に拡散して、そして衰退トラックが1つ進行しますね。

奉行連鎖をさせてはならぬお馴染みの処理じゃのう。ただ、この略奪がローマで1回でも発生したら敗北、というのは覚えておかねばならぬ。

パンデミック:ローマの落日
黒コマの大攻勢、連鎖ピンチ!

与力あ、それからもう1つ。同盟を結んでいる蛮族も侵略は続けますのでご注意を。

奉行な、なんたる野蛮! あ、だから「同盟を結ぶ(同盟とは言っていない)」とか意味不明な表現があったのか!

『幸運の女神は強者を助ける』

プレイヤーカードの山の中にはイベントカードが入っています。多くが自分の手番でないタイミングだったり、アクションを消費しなくても使えて特殊効果を発揮する、頼れる切り札なのですが、今作では代償を支払うことでより強力な効果を発揮します。

パンデミック:ローマの落日
賽は投げられた!

与力まあ例えばこれです。ダイスの出目を好きにいじれるという、大変強いカードですね。

奉行そうじゃな。うん? この下の効果はなんだ?

与力それが「堕落選択肢」というやつです。衰退トラックをあえて1つ進めることで、さらに強力な効果を発揮させるんですね。

奉行衰退トラック!? 敗北が近づいてしまうではないか! ……が、「この手番中の全ての戦闘で上記を実行」ということは、連戦連勝できる、ということか。むむむ……。

与力どうです、あえて堕落してみるのも、ローマを守るためには必要なことかもしれませんよ。

以上の手順を繰り返し、勝利条件か敗北条件を満たすまでゲームを続けます。このプレイではダイス運に恵まれず、ひたすら軍団兵を消耗させては新規募集を繰り返すへっぽこ艦隊長の奉行を、なぜか勇猛果敢にダイスを振って敵を蹴散らす、どっちが蛮族か分からない女祭司の与力がカバーして、みごと全部族と同盟締結。ローマを守り切りました。

パンデミック:ローマの落日
与力「とはいえ、ローマまで迫られていた訳でして」 奉行「突然、進軍速度を上げよったな、こやつら。危うかった」

『パンデミック:ローマの落日』【ここがイカス!】

奉行いやあ、パンデミックでよくぞこのテーマに挑んだものだな。そして素晴らしく見事に再現できていると思う。

与力病原菌の拡散から、蛮族の大移動という全く別のテーマで驚きましたね。

奉行病原菌のいくら叩いてもいつの間にかまた息を吹き返してくるのは、実に恐ろしい絵面だったが、今回のどんどん押し寄せてくる蛮族も相当に怖い。

与力2つ目の部族と同盟するくらいまでは、「あれ、楽勝かな?」とか思ってましたね。

奉行絶対にそんなこたぁないと思ったが、本当にとんでもなかったな。まあ一番の問題は、同盟を結んでも侵略してくる同盟部族の連中なのだが。

与力同盟とはいったい……。

奉行野蛮な連中とは同盟の解釈が違うのであろう。真面目に言えば、そう簡単に全体の統率は取れないんじゃないか。

与力ですね。ゲーム的には『パンデミック』シリーズで出てきた各種要素がちりばめられている感じだと思いましたが、いかがですか?

奉行そこに新要素を乗せてうまく1つにまとめているように思うよ。軍団コマとか同盟、さらに同盟部族のリクルートなんかは非常に面白かった。

与力システムこそパンデミックがベースですが、今回は人対人の戦争っぽさがありましたよねえ。

奉行おかげで世界をまたにかけて緊急移動しまくるダイナミックさは無いものの、逆転を狙って打てる手が増えたイメージは有るなあ。移動の不自由さを感じさせない。進行する方向性が、途中からある程度見えてくるからかもしれないな。

与力このルートは蛮族で溢れつつあるから、軍団と砦で止めておいて、こっちは現地でリクルートした軍団を連れて戦いに行く、みたいな感じでしたね。

奉行そうじゃな。侵略経路を作って押し寄せてくるが、それをどこかで絶つように立ちまわったりとかな。

与力それで乾坤一擲の戦闘に出てダイス目がひどいことになったり。今回、お奉行の特徴が失われるレベルで出目が酷かったですね。

奉行普段、おぬしの出目の悪さを強調しているから何も言えん。あと、イベントカードも非常に強力な堕落選択肢のおかげで、使いどころに悩まされるようになって、これまた面白い。

与力まさに勝利のための切り札ですね。

奉行それから、役割ごとの特殊性も非常にいいスパイスになっていて、どのプレイヤーもヒーロー感を味わえると思う。おぬしの戦いに向いていない女司祭も、進撃しまくったし。

与力『パンデミック』の伝統ですね。全員がスペシャルな存在っていう。

奉行全体的に『パンデミック』らしいスピード感やスリル感も満載だしな。うん。これは非常にいいよ。「病原菌が相手じゃないのにパンデミックなの?」と思わず、是非遊んでもらいたい。

与力パンデミックシリーズはやっぱり伊達ではない、なんて格好つけてみます?

奉行みなで斜陽の大帝国を支えような!

『パンデミック:ローマの落日』【ここはちょっと……】

奉行そうさな、やはりまずはテーマか。病原菌と戦ってこそ『パンデミック』と思っている方には『クトゥルフ』『ライジングタイド』に続いてノーサンキューなテーマだ。

与力私は大好きですけどね。

奉行お主が大好きな歴史テーマだからな。てことで“ゲルマン民族大移動”に直面するシチュエーションというのを面白がれないと、なんか変わったパンデミックやったかな、くらいになるかも? どうかな。

与力でもゲームとしてよくできているから、テーマは気にしすぎちゃだめですよ!

奉行あまり自己主張をしない与力が力説しているが、わしも同意だ。あとはうーん、蛮族カードの経路だな。よくボードと照らし合わせてどこを通ってくるのか確認しよう。通らないルートにコマを置くと後で「あれ? あれ?」と困る。

与力2、3回やりかけましたね。

奉行まあしかし、一番の問題はやはり協力ゲームの伝統である奉行問題じゃな。今作も公式に「プレイヤーカードは表にしておいておく」ルールなので、発言力の大きい人がリードしすぎる可能性は否定できない。

与力そこはどうしても同じゲームを囲む人同士、つまりプレイ環境に依存しますね。

奉行ただ今回は、万全の策を立てたとしてもダイス次第な部分があるから、蛮勇も意外と通るかもしれんし、想定通りに完全に進むわけではないんだよな。ランダム性の追加が、ポジティブな味付けになっているんじゃないだろうか。

与力ま、説明書の冒頭に「相談は大いにやりましょう、しかし何をするかは手番プレイヤーが決めましょう」って書いてありますから、その精神ですね。

奉行うん、「最後の決定権は手番プレイヤーに任せる」。肝に銘じておきたい金言だな。

パンデミック:ローマの落日
執政官の特殊能力「軍団コマを1個置く」が爆発して、コンスタンティノポリスがローマ軍まみれとなったワンシーン。

奉行これ、上級ルール的なやつも付属しているのだろう?

与力「ローマ軍団はローマに入ってはならない」という法律を再現したチャレンジですね。

奉行……ざっくり言うと、軍団コマを引き連れてローマに入れないし、軍団コマを配置してローマで蛮族を防ぐことはできないと。ちょっとミスすると敗北まっしぐら、か? きつすぎない?

与力「アウレリアヌスの壁」とかに頑張ってもらえればいいんですけどね。あ、ちなみにもうちょっとだけ話は続くので、良かったらこのまま下へ進んでください。


『パンデミック:ローマの落日』 聞いたことはあるけれどよく知らない人のための蛮族ガイド

奉行ところでだな、今回押し寄せてくるこやつらは、375年のゲルマン民族大移動でやってきた連中が大半なんじゃろ。

与力一部、違うのもいますが、大体そうですねえ。

奉行え、違うのか?

与力違いますよ。

奉行うむむむむ。『ゲルマン民族』という言葉はなんとなく知っておるのだが、斯様に多種であったとは聞いておらなんだよ。

与力お奉行は世界史についてはからっきしでしたな。

奉行世界史は心地よい眠りの時間だった。んで、ググってしまえば出てくるのだろうが、それもまた面倒なので、ひとつお主。ゲームの準備やら片づけやらしながら講釈を垂れてくれんか。

与力なんか「聞いてやらんでもないよ」みたいな意識が言外に感じられますが、それじゃゲルマン民族大移動とそれぞれの部族について、話してみますか。

奉行おう、こ奴ら蛮族の野蛮さをよく説明してくれい。

その1. フン族 -全ての発端-

パンデミック:ローマの落日 フン族
その凶暴さはゲルマンの地を震撼させたという。

奉行えーと、ボード上の緑。ど真ん中をうろちょろしてるな。

与力まず、この人たちがゲルマン民族大移動の発端です。

奉行ああ、「一部違う」の”一部”はこやつらか。

フン族がどのような民族であったか、正確には分かっていませんが、一説にはモンゴルを支配した遊牧民族・匈奴(きょうど)の末裔であると言われています。彼らはもともと中央アジアに居住していましたが、4世紀半ばに同地で勢力を拡大した遊牧民族・柔然(柔然)に圧迫され、西へ移動してきました。350年ごろに東ヨーロッパに侵入したフン族は、圧倒的な武力で先住の東ゴート族をはじめとしたゲルマン民族を次々と打ち破って従属させます。そして現在のハンガリーを拠点として、あっという間に大版図を築き上げました。その一部は西アジアまで到達した、とも言われています。こうした彼らの征服活動に恐れをなした西ゴート族などのゲルマン民族がローマ帝国領内へなだれ込んだのが、ゲルマン民族大移動である、というのがよく知られている話になります。
5世紀の半ば、高名なアッティラ大王に率いられたフン族は、名実ともにヨーロッパ最強を誇りましたが、451年のカタラウヌムの戦い(現在のシャロン=アン=シャンパーニュ)で、西ローマ帝国・西ゴート族連合軍と引き分け、勢いに陰りが見え始めます。アッティラは翌452年からイタリアへの侵入をもくろみましたが、飢餓や疫病に見舞われ、また教皇レオ1世の説得もあってこれを断念。続く453年にアッティラが死去すると、従属していたゲピド族、東ゴート族などが離反してしまいました。アッティラの後継者エラク王は、454年にネダオ川の戦いでこれらの部族と激突しましたが、大敗を喫し、戦死してしまいます。これを境にヨーロッパの歴史からフン族は姿を消していくのです。

奉行物凄い初歩的な質問なんだろうが、西ローマ帝国が、ボード上で言うところのローマ、で良いんだったよな?

与力はい。元々は巨大な帝国だったんですが、395年に分裂しました。ボード上のローマを首都とするのが西ローマ帝国、右下の方にあるコンスタンティノポリスを首都とするのが東ローマ帝国です。マップ上に描かれた東ローマの領土は、ほんの端っこだけですね。

奉行そりゃあ広すぎて分裂もしかねんわな。

与力と言っても当時の人びとの認識からすると、二つの国になったというより、地域ごとに分かれているという感じだったようです。

奉行で、話を元に戻すと、まずは東からフン族がやってきたので、ゲルマン民族が西に押し出されて、ローマがわちゃわちゃになったということか。

与力恐怖の大王みたいなもんですね。アッティラの名は相当に恐れられたそうですから。

奉行つまり蛮族中の蛮族、真の野蛮ということかね。あるいは、やつらの通った後はぺんぺん草も生えない的な。

与力真の野蛮って、またすごい表現ですね。まあ、ぺんぺん草は生えてなかったくらいの蛮行だったみたいです。あ、ちなみにフン族の拠点が「フンガリア(フン族の土地)」と呼ばれていて、それが訛って現在の「ハンガリー」になった、という世界史よく聞く豆知識ですが、あれ、ウソらしいですよ。

奉行へええ、って言う前に、そんな豆知識があるのか。

与力あるんですね。でも、俗説ってのはなかなか信用できないですね。

その2. 西ゴート族 -大移動の先兵-

パンデミック:ローマの落日 西ゴート族
ローマ皇帝を敗死させ、ローマ領を蹂躙する。

奉行白色だよな。えーと、これはまた随分、広域に渡っているなあ。

与力はい。彼らが最初にローマ軍を打ち破った蛮族なんですが、勝利と敗北を繰り返しつつ拠点を移動し、白いルート上を生き延びているんですね。滅んだのは移動開始から約300年経過してからです。

奉行それはまた、壮大な話だ。

ドナウ川左岸に居住していた西ゴート族は、フン族の圧迫を受けて376年に対岸のローマ領へ移動を開始します。ローマはこれを受け入れますが、西ゴート族は生活に困窮してくると、略奪行為を働くようになります。ローマは軍隊を出してこれを鎮圧しようとしたため、378年に両者はハドリアノポリス(アドリアノープル、現在のエディルネ)で激突します。この戦いで西ゴート族は圧勝し、ローマ軍は皇帝ウァレンスが戦死する惨憺たる結果に終わりました。この勝利をきっかけに、西ゴート族以外のゲルマン民族もローマ帝国領へ続々と流入することになります。
その後の西ゴート族は、指導者アラリック1世に率いられ、410年にローマを3日間にわたって略奪。418年にトロサ(現在のトゥールーズ)を都として王国を樹立します。彼らの王国は、南仏からイベリア半島にまたがる領土を築き上げましたが、507年にフランク族に敗れると、イベリア半島へ拠点を移動して、トレドを中心とした王国となりました。彼らはカトリックを信奉し、ローマ系住民との融和を目指すなど、国家の安定を図りましたが、王権は不安定なままで、711年にイベリアへやってきたイスラム勢力に滅ぼされます。

奉行こやつら、ゲームオーバーを現実のものにしているのか。

与力ローマ略奪ですね。起きましたよ。

奉行なんだってこんなのを領内へ入れたのかね、ローマも。

与力地方の人手不足解消が目的だったとか、辺境の軍事力に充当することを期待していたとか、そんならしいです。でも、生活保障をしてあげなかったので暴れた、とかいう話だそうですよ。

その3. 東ゴート族 -一時はローマを支配した-

パンデミック:ローマの落日 東ゴート族
フン族から独立後はイタリアを目指す。

奉行えーと。青か。他と比べると範囲は狭いし、経路が真っ二つに割れているな。ゲーム的には、ローマまで凄く近いから、すぐに入ってくるかと思って怖かったが。

与力彼らは地理的にフン族との接触が早く、抗う隙もなく滅多打ちにされました。フン族が衰退してからようやく動き出すことができ、最初に東ローマへと進みました(ボード上のコンスタンティノープルに至るルート)。その後で、西ローマへ侵攻しています(ボード上のローマへ至るルート)。

黒海北岸に居住していたゴート族のうち、ドニエプル川左岸一帯が根拠地であったのが、東ゴート族です。ゲルマン民族の中でも最も東に位置する集団の1つであった彼らは、フン族の猛威を真っ向から受け、これに従属せざるを得なくなります。
アッティラの死後、フン族の支配から抜け出した東ゴート族は、テオドリック王に率いられてイタリアに侵入。西ローマ帝国を倒し、ローマを支配していたゲルマン人オドアケルを破ってローマを占領しました。その後、テオドリックは493年にラヴェンナを首都として王国を建て、ローマ系住民との友好を図りますが、ローマ教会との対立により失敗。テオドリックの死後、内紛が発生すると、ローマ復活を目指す東ローマ皇帝ユスティニアヌス1世の攻撃を受け、滅亡しました。

奉行なんだか苦労してた部族のようだな。西ゴート族は、親戚関係みたいな感じだろう? 居住地の違いでこちらは従属、あちらは逃げてローマを侵攻したり生き延びたり。随分な違いだな。

与力そうとも言えますね。なお、テオドリックがイタリアを目指したのは、東ローマ皇帝の使嗾(しそう)だったとかいう説がありますよ。

奉行し……? なんじゃそりゃ。

与力「悪いことをするようにそそのかす、指図する」という意味です。東ローマ帝国の方は自分たちの領土にゲルマン民族を入れないために、彼らの西ローマへの移動を誘導していたと。

奉行ははあ。……って、最終的に東ゴート族は、その東ローマに攻められて滅んだのだろう?

与力そうですよ。東ローマにとって脅威でしたから。

奉行それが事実だとすれば、国を守るためにはなりふり構わんとは言え……大変なものだな。

その4. ヴァンダル族 -蛮行“vandalism”の語源-

パンデミック:ローマの落日 ヴァンダル族
その野蛮さ、際立つ。

奉行黒色か。ああ、こやつらはどんどこ南下してきて、「まだローマまで回り道するから大丈夫っしょ」みたいな気でいたら、あっという間に一歩手前まで来たよな。しかし広いなあ。

与力彼らはフン族の侵略から逃れて、すすっとイベリア半島の方に進んでいって、スペイン南部に定住します。その後、西ゴート族の勢力に追いやられて北アフリカに移住しました。

奉行おお。西ゴート族と混在している都市(コルドバ)があるなと思っていたら、そういうわけか。争いは続くわけだなあ。

4世紀の中頃にパンノニア(現在のハンガリー)に居住していたヴァンダル族は、フン族の侵入を受けて西進を開始、ガリア(現在のフランスを中心とする)一帯を略奪して回り、イベリア半島へ入ります。彼らが定住地に選んだひとつがVandalusia、現在のアンダルシア地方でした。
しかし429年ころから西へ勢力を拡大してきた西ゴート族に圧迫され、指導者ガイセリック王に率いられたヴァンダル族は北アフリカへ移住します。ここで彼らはカルタゴ(現在のチュニスあたり)を都として王国を立てました。当時ローマの食糧供給地であった北アフリカを抑えたことでヴァンダル族は西ローマ帝国に対して有利に立ちます。455年、内紛で皇帝を失ったローマを包囲したガイセリックは、教皇レオ1世の説得を受け入れて、破壊や虐殺は行わなかったものの、徹底的にローマを略奪しつくしました。
ですがヴァンダル族は、北アフリカから搾取を行うばかりで国家造りに着手しなかったので、王国は強固になることは有りませんでした。そのためか、533年にローマ復活を目指す東ローマ皇帝ユスティニアヌス1世の攻撃を受けると、支配民たちは一斉に離反。わずか半年でヴァンダル族の王国は消滅したと伝えられています。

奉行なんかこう、略奪&略奪で内政しないであっさり負けるって、フィクションの悪者のテンプレートみたいだな。

与力補給線である北アフリカを抑えられたところまでは良かったんですがねえ。

奉行ところで結局、彼らはローマを破壊はせんかったのだな。

与力彼らのローマ破壊というのは伝承としては残っているのですが、事実とは若干違う、という指摘もあるってことで、そんなご説明をしました。

奉行だが略奪したことに変わりはないので、こやつらもゲームオーバーの原因か。

与力そうですね。あと、彼らは「実はゲルマン民族ではなく、スラヴ系民族ではないか?」って話もあるそうなので、ちょっと毛色の違う蛮族だったかもしれないです。

その5. アングロ・サクソン族 -イングランドの語源-

パンデミック:ローマの落日 アングロ・サクソン族
イングランドの基盤。

奉行赤色の「アングロ・サクソン/フランク族」となっているので何事かと思ったら、複数の蛮族が一つにまとまっていたのだな。

与力そうですね。アングロ・サクソン族は大移動の際にイギリスに渡った蛮族です。ローマの支配下にあった土地が空いたので、彼らが流入していったという。

奉行ゲーム的に言えば「ローマに来ないならそっち行ってていいよ」って感じなんだが……。

与力ほうっておくと、3コマ溜まってアウトブレイクの恐れがありますからねえ。

アングロ・サクソン族は、5世紀から6世紀にブリテンへ移住したゲルマン民族の総称です。彼らはジュート人、アングル人、サクソン人などに分かれており、ローマの手が及ばなくなったブリテン各地に自分たちの小さな王国を建国していきます。そして“アングル人の土地”という意味から“イングランド”という名称も生まれました。彼らの王国は6世紀ころから順次より強大なものに合併されていき、最終的に有力な7つの王国が残ります。これを“七王国”と呼びました。
9世紀に現れたウェセックス王エグバートがこの分立を制し、10世紀に統一イングランドが誕生しますが、ノルマンディー公ギヨームの“ノルマン・コンクエスト”によって、アングロ・サクソン人はイングランドの支配権を喪失。彼らはノルマン人の王を頂くこととなりました。

奉行ローマがほとんど出ない。エゲレスの歴史を聞かされているのか、これは。

与力まあ、彼らはアングロ・サクソン人は現在のイングランド人の主要な祖先にあたりますしね。

奉行ゲルマン人がイングランド人になるということはイングランドにもゲルマン魂が……? むむむ?

その6. フランク族 -ヨーロッパの原点-

パンデミック:ローマの落日 フランク族
現在につながるヨーロッパを形成する。

奉行赤色の二部族のうちの一つだな。

与力彼らは少し、他の蛮族とは違った雰囲気を持ちます。というのも、部族の一部は、蛮族の侵攻を受けるローマ側に立って戦ったんですよ。

奉行なんじゃと?

フランク族もライン川流域に居住していたいくつかの部族の総称で、「勇敢な者、大胆な者」という意味です。彼らは4世紀ころにローマに協力し、中には西ローマ帝国の軍人として活躍するものも出ます。そのため、ゲルマン民族の移動が始まると、ローマ側に立って戦いました。ヴァンダル族の西進の際にはこれを阻み、激戦を繰り広げたといいます。
481年、メロヴィング家出身のクローヴィスに率いられたフランク族はフランク王国を建国。506年には西ゴート族から現在の南仏周辺を奪い取り、北海からトゥールーズに及ぶ版図を獲得し、王国を強大なものとしました。また、クローヴィスは早くからローマ教会と協力関係を築き、東ローマ皇帝から西ローマの執政官(コンスル)の任命を受けたと言われており、徐々に西ローマ帝国の後継者としての地歩を固めていきます。彼の死後、フランク王国は分裂状態となりますが、メロヴィング家から王権を受け継いだカロリング家により再び大きく勢力を伸長し、768年にはカール大帝が現れるのです。

奉行現れるのです、って言われてもなあ。

与力カール大帝の後、フランク王国が分裂して現在のフランス、ドイツ、イタリアなんかがそれとなく出来上がるので、現代ヨーロッパの源流ってことですね。

奉行ともかく、こやつらは比較的ローマに友好的だったんだな。

与力ゲーム的には全くそれを感じさせませんけどね。これは、一部のフランク族がローマ領を荒らしているからだと思います。

奉行いつもの『同盟を結んだ(同盟とは言っていない)』ってことか……。

とにかく野蛮だということは分かった

奉行まずなんとなく分かったのは、こやつら一時にローマに押し寄せてきたわけではないのだな。

与力そうですね。タイムラグはかなり有りますし、ブリテン辺りで満足したアングロ・サクソンもいますしね。

奉行イメージ的には堤防が切れたようにどっと流れ込んできた感じだったがなあ。まあ、実際そうなったらローマがとんでもないことになるが。

与力フランク族とか西ローマを滅ぼすオドアケルなんか顕著な例ですが、ローマ側も「この肉体的に恵まれ、蛮勇を誇るゲルマン人を手なずけて、軍事力として活用しよう!」なんてことをしていたので、大移動前から色んな部族がローマ領内に入って来てはいたんですよね。

奉行へえ、都合のいいこと考えてたんだな。

与力とはいえ、ゲルマン人の「髪を腐敗したバターでなでつけ、入浴もせず、ひどい悪臭がする」という特性はあまり好ましくなかったようです。

奉行想像したくない壮絶な臭いだな。

与力戦死を恐れず、戦いで首を取られることをいとわない印となる長髪も、ローマ人から見るとひどく野蛮な性質だったかもしれませんね。

奉行まったくもって戦闘民族なんだなあ。ああ、野蛮だ。

与力ということなんで、今後はこのコマ1つ1つがボッサボサの長髪を振り乱し、すえた臭いを放つ毛皮を着こんだ蛮族の集団だと想像して頑張りましょう。

奉行絶対にローマに入れたくはないわ、そりゃ。

与力このお話にお付き合いいただき、ご興味をお持ちになられた方は、『図説 蛮族の歴史』というそのものズバリな本も有りますので、是非ご参照くだされば幸いです。面白いですよ。お奉行に見せたらそのまま閉じられましたが。

奉行そういうのがスッと出てくるおぬしの本棚も怖いし、ここまで読んでくださった方がおられるのかどうか確認するのも怖い。

【関連記事】