『フリーライドUSA』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。USAと言えば?「キャプテン・アメリカだとそのまま過ぎるか? アメリカ横断ウルトラクイズ?」
与力藩の買掛担当。USAと言えば?「ハルク・ホーガンですね」
暴走特急
奉行おお、アメリカ大陸。夢の舞台。
与力ここに鉄道路線を敷いて旅客を目的地へ届けようというのが、このゲームのポイントです。
奉行我々は鉄道会社なんだな?
与力そうですね。客なのか鉄道会社なのか、どっちなんだみたいなことにはなってないです。
ゲームの準備です。ゲームボードを場に広げ、コマとコインを種類ごとにまとめて置いておきます。各プレイヤーは担当する色を選び、所有権コマ、列車コマ、線路敷設中コマ、最初の列車タイルと客車タイル、コイン6枚、プレイ人数に応じた線路コマを受け取ります。
次に、都市カードを裏面「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」の数字毎によく混ぜ、それぞれ山札にして置きます。そしてⅠの山からカードを3枚1列で3列並べます。最後に、スタートプレイヤーを適当な方法で決定したら、準備は完了です。
大体こんなイメージです。
与力準備が終わったら「プロローグ」を開始します。ここで初期配置や目的が決定されますね。
奉行そこまで含めて準備とも言えるか。
与力そしてその後は「メインゲーム」に突入します。線路を敷いて目的地カードを獲得していきましょう。
奉行文字通り、ゲームプレイのメインになる訳だな。
与力そしてゲーム終了の条件が整ったら「フィニッシュ」局面へと入ります。ここではどのタイミングでゲームを止めるか、というのが若干のアヤになっている訳ですね。
奉行なるほどのう。では手順通りに進めてまいろうか。
①プロローグ
各プレイヤーはここで最初の周遊ルートを選び、出発地と目的地を決定します。
与力この時、カードの置かれている場所によって出発地・目的地として選べるかどうかが決まります。カードは1列につき上から3枚並んでいる訳ですが…。
奉行ここから好きな2枚を取る、という単純な話では無いのだな?
与力はい。まず、カードの順番を変えてはいけません。そしてカードの並び順で上側が常に出発地、その下が目的地となります。その2枚を重ねて、自分の客車タイルの上にのせておきます。

ゲーム中の都市カードですが。
与力たとえばこの写真の左から2列目。上から「バッファロー」「フォートワース」「バーミングハム」という並びです。ここからカードを取る場合、「出発地バッファローで目的地フォートワース」か「出発地フォートワースで目的地バーミングハム」のどちらかのパターンでカードを取ることになります。余った1枚は捨てます。
奉行あー、つまり、一番下のカードは、どうあがいても出発地にはなれんということか。
与力そうなります。そしてゲームボード上で出発地の都市を探し、そこに列車コマを置いてください。そこがそのプレイヤーのゲームスタート地点となります。
奉行よしよし…微妙に文字が小さいなあ、このゲームボード!?
プロローグでは、スタートプレイヤーからカードを獲得して次のプレイヤーが選ぶ順になるたびに、カードの列を2列増やしていくので、後手番ほど、最初の選択肢がひろがります。全員が選び終わったら、ボード脇に並んでいる列が6列になっているかどうか確認しましょう。
奉行ところで、何やらコインが置いてあるカードのセットがあるのじゃが。
与力これはですね、都市カードの左側にコインを二分割したパーツがありますね。このパーツが上下組み合うように並んだ2枚の都市カードは、「東西横断ルート」という扱いになります。この2枚を選んだプレイヤーは、即座に上にのっているコイン2枚をもらうことができますよ。
奉行ソルトレイクシティからワシントンDC…ああ、確かに横断ルートじゃな。長いから、その割増料金ということか。
*2人プレイだったので…
与力プロローグでは、2人プレイだと列の増やし方がちょっと違うんですよね。その処理を間違わないようにしたいです。
奉行あと、都市カードの中から何枚か抜けておるのだな?

2人マーク。
与力はい。これらのカードは準備のタイミングで抜いておくのですが、合計45枚のカードを使用しないことになり、それぞれの山の中で登場しない都市がでてきますね。
アンストッパブル
②メインゲーム
与力さて、いよいよメインゲームへと入ってまいりますが。
奉行おう、入ってまいろう。
与力細かいルールはありますが、やることは原則として「線路を敷く」か「列車を動かす」か「線路コマをもらう」かの3択です。
奉行ほお、シンプルじゃな。
1:線路を敷く
プレイヤーは、列車コマが到達可能なルートにのみ線路コマを置き、線路を敷くことができます。置ける線路コマは常に2個までとなります。
奉行んん? つまり、「自分とは関係ない遠く離れた線路を作るな」ということか?
与力そうですね。線路をバラバラに作って後でつなげるのではなく、既存の線路から伸ばすようにコマを置いていく、と覚えておけばいいと思います。
奉行それ以外に注意点はあるか?
与力はい。線路は敷設された当初は「敷設した人の所有」になるので、かならず所有コマを被せておいてください。

伸び始める2人の線路。
与力あとは、トンネルになるマスに線路コマを置く場合には、2個分のパワーを使う、ぐらいですかね。
奉行ああ、2個置く代わりに1個置く、ってことか。ところで、特にボードの向かって左側…西海岸に近づくにつれて、だんだん線路が長くなっておるな。ここ、どう考えても2個では線路が完成せんのじゃが…。
与力あ、それは途中までコマを置いたら敷設中コマを脇に添えて、「いま作ってます」という表示をしておいてください。

そのためのハンマー。
与力1手番で完成しない線路は複数手番をかけて完成させることができるんですが、敷設中の線路があるプレイヤーは、それを放置して別の路線を敷くことはできなくなります。必ず敷設中の線路を優先してくださいね。
奉行唾つけたまま放置するなということかな。
与力ちなみに、敷設中の線路を他人が引き継いで完成させることもできます。ただし、所有権は最初に着工したプレイヤーのものになりますが。
奉行いいんだか悪いんだかだな。
与力あと、このタイミングで自分の手元に線路コマが1個以下しかない!という場合には、1コイン払うことで即座に線路コマを5個補充することができます。これは手番アクションに数えないので、そのまま線路を敷くことができますよ。
奉行危急の際には金が大事、ということじゃな。
2:列車を運行する
与力さて、線路が目的地まで敷けたら、列車を動かしていきましょうということになりますが、最初は列車は2都市まで移動することができます。線路が長かろうか短かろうが、2つ先の都市まで行けますよ。
奉行おお、案外とスイスイって感じではないな。
与力そしてここで注意しておくべきことがあります。このゲームのタイトルにも関わりますね。
奉行なんじゃなんじゃ。
与力自分が所有権を持っている線路を移動する際には、コストは無しで移動できます。これが基本線になるとは思うんですが。
奉行まあそのつもりで線路を敷いていくからなあ。
与力ただ、どうしても他人の線路を通りたい、自分で線路敷かなくていいし、近道になるし…みたいなことって、あると思います。そういう時は、線路の所有者に1コイン支払うと通してもらえるんですね。
奉行ほお、使用料か!

南へ進みたい緑の与力列車。黄色の線路を所有する奉行に1コイン支払えば通過できる。
与力そして、一度誰かが有料利用した線路は、所有権コマが取り除かれ、以後誰もがフリーで通過できるようになるんです。
奉行おお、それが『フリーライド』ってことなんだな!
与力そういった形で列車を動かし、目的地の都市に到着したら乗客を運べたということで、カードを客車タイルから移動します。
奉行客車タイルが空になったな。
与力空の客車タイルを引っ張っている時に限り、新しい乗客を乗せることができます。プロローグでやったのと同じようにカードを取れるのですが、「出発地になる都市に列車コマがあるか、通過する」必要があります。
奉行つまりカードの並びをよく見て、効率的な客の乗降ルートを考えていく必要があるということじゃな。
与力で、当然そうやって客の獲得合戦をしていると、山札は尽きます。そうすると、次の山札の出番になるのですが…。

第Ⅱステージ! そしてゲームは加速するッ!
都市カードの獲得が進み、Ⅰのカードの山札が尽きてⅡの山札が使われはじめると、プレイヤーの列車が3両編成となり、客車が2両へとパワーアップします。同じく、Ⅲの山札が使われはじめると、列車タイルが裏返り、1手番中の移動距離が3都市分へと延長されます。
列車タイルの裏側。機関が強力になったかなんか。
奉行おお、客車2両だと、カードを2セット積めるようになるのか。これは客さばきの速度が上がるし、山札消費のスピードも上がるな。
与力そして3都市移動できる頃には、線路が張り巡らされていますので、1手番中の移動距離はかなりのものになっていきます。
奉行なるほどのう。これが今作の加速装置か。
3:線路コマをもらう
与力で、別に列車を動かすタイミングではないし、かといって線路を敷こうにも1個以下しかないよ、という場合には、無料で線路コマをもらうというアクションができます。5個もらえます。
奉行にっちもさっちもいかん時のアクションかな。
与力コイン使えばいいのでは、というところなのですが…。
奉行通行料で支払わねばならんしなあ。
与力実はそれ以上の問題があるんです。言っていませんでしたが、コインは最後に得点として加算されます。
奉行げっ、実利ありだったのか。ゲーム内通貨がそのまま得点になるゲームは久しぶりな気もするが…注意せねばいかんな。
マネートレイン
Ⅲの山札が無くなると、都市カードの補充はできなくなりますが、ゲームを続行することはできます。ただし、各プレイヤーは任意のタイミングで「ゲームから抜ける」選択をできるようになります。
与力抜けることを決断したら、プレイヤーは列車コマをボードから自分の前に動かし、これ以上続けないことを宣言します。これでその人のゲームは終了、あとは得点計算のみとなります。
奉行ほお。しかしカードが残っている以上、達成に動き続けた方がよさそうにも思えるが…。
与力先に抜けたプレイヤーはですね、誰かがゲームを続行し続けている限り、自分の手番になったら「1コインもらう」という恩恵を得られるようになります。
奉行んん? 早抜けすると、ゲームが長引くほど自動的に得点が積み重なるということか?
与力そうですね。全員がゲームを抜けて、スタートプレイヤーの右隣まで手番を回して全員の手番数を同じにしたら、ゲームセットです。
得点計算は難しくありません。獲得した都市カードのうち、最初の1枚目は5点、ダブった都市カードが1枚につき2点、コイン1枚3点です。合計が大きいプレイヤーが勝者となります。
与力Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと使う山札が変わると、同じ都市カードが出てきますからね。
奉行そうかそうか。線路を敷いたからと言って同じ都市の間ばかり行ったり来たりしていると、ビミョーに得点が伸びづらいのじゃな。
与力そうですね。そしてコインの得点が案外大きいので馬鹿にはできません。実際、今回のプレイでは通行料を払い続けていた私がその分くらいの差で負けましたからね。
奉行うん、案外得点の差はつかなかったな。面白いものだ。
与力というわけで、お奉行が「最も偉大な車掌」として勝利の栄冠に輝きました!
奉行あれ? 車掌なの? 鉄道会社の社長じゃないの?
『フリーライドUSA』【ここがイカス!】
奉行ストレスが無い。楽。
与力ほお、その心は?
奉行いや、鉄道系というと『チケライ』なんだけどさ、あれは手札が揃うまで動けなかったりするじゃない。こっちはいつでも線路敷けるし、足りなきゃ線路コマもらえるしで、とても楽だよね。ルート設定の方に意識を持っていくことができる。
与力やはり若干のルートの取り合いは発生しますが…。
奉行それでもしゃがむ時間は少ないからね。いざとなれば人のルートも使えるし、その点で積極的に線路を敷いて、ガンガン乗客を捌いていきたくなる。自然、ゲーム速度も上がる感じかな。
与力ゲームの進行は確かに中だるみなくスピーディーな印象を受けました。
奉行山札の消費でゲーム全体の現在地が分かるとか、早抜けが恩恵を受けるとか、どっかでみたようなフリーゼテイストが上手く組み合わさっていたね。
与力どっかで見たシステムですか。
奉行あと、得点計算が楽なのはよかったね。都市カード1枚5点で、ダブったカードとコインを組み合わせるとそれも5点だから、基本5の掛け算で、あとはちょいちょい。
与力終了後の時間もスピーディーだと。私はフリーゼ作品ということで、多少癖があるかなと思っていましたが、案外素直なゲームだったように思います。
奉行うーん、それはこのあと言うけど、2人プレイだったからじゃないかなあ。
『フリーライドUSA』【ここはちょっと…】
奉行今回2人プレイだったわけだが、見事にボード上で棲み分けが発生したのだよな。
与力東部の細かい路線を組み立てた私と、西の大きいルートを作ったお奉行と、二分されましたね。
奉行結果、わしはお主のルート内に入り込むのは得策ではないと考え、そういった都市カードは取らんかった。結果、通行料を一度も払わなかったのよ。
与力私は早めに都市カードを達成しようとして、通行料払っていましたからね…。
奉行うん。だから人数が少ないとせっかくのフリーライドの部分があんまり機能しないんじゃないかな。自分の路線でいけちゃうケースがほとんどになりそうだからね。だから、プレイヤーは3人、4人以上いた方が良さそうだよなあ。
与力その他はいかがでしょうか?
奉行視認性の問題かな。所有権コマが沢山置かれる関係で、自分の列車コマが紛れてどこにいるか分からなくなる。
与力ありましたねえ。
奉行あとは、ボード上の都市の文字が少々、小さい。これは中年からは厳しいサイズなんじゃないのか? フォントももう少し骨太で目立つものが良かったように思うが。
与力どうも、海外版の時点でフォントはあんな感じだったぽいですね。
奉行そうか、それなら致し方あるまいが…。
与力私が戸惑ったのは、所有権コマが不足した時ですね。小さい路線ばかり作っていたので、終盤足りなくなりました。
奉行足りない場合はどう処理するのだ?
与力ボードゲームギークのリメイク前作品『フリーライド』のフォーラムによれば、他の色のコマを代用に使っていいらしいです。線路コマが不足した場合も、同様になにか代用品を使うようですね。(参考:ボードゲームギーク)

スタートプレイヤーマーカー。奉行は最初、視力検査の棒だと思ったという。
与力あれ、遮眼子っていうらしいですね。
奉行ほお、色々知っておるな。
与力昔、誕生日プレゼントでもらったことあるんですよ。
奉行それはもらって嬉しかったか…?








