『オー・マイ・グーッズ!』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。昔なりたかった職業は?「ありがちだが、漫画家にあこがれたことがあったなあ」
与力藩の買掛担当。昔なりたかった職業は?「山のようにありましたが、中でもトラックドライバーにあこがれていました」
諸君、はたらけ
奉行えー、労働はイヤだなあ。働きたくないでござる。
与力お奉行、労働は美徳です。「祈り、働け」ですよ。そういう別のゲームも有りますけど。
奉行中世欧州の修道院生活じゃろ、それは。「世の中に 寝るより楽は なかりけり」じゃよ、わしは。
与力働くのはゲームの中の人なんだから、わけのわからない駄々をこねるのはやめて。はいセットアップ。
ゲーム開始時、各プレイヤーは労働者カードと炭焼き小屋カードを1枚ずつ受け取ります。プレイ人数に応じた助手カードをランダムに選び、表裏もランダムで場に並べます。余った炭焼き小屋カード、助手カードは、以後のゲームでは使いません。
残ったカードをよく混ぜて裏向きの山を作ったら、まず各プレイヤーに5枚ずつ配ります。これが最初の手札です。次に、各プレイヤーに7枚のカードを配ります。これは裏向きのまま横向きで炭焼き小屋カードの上に重ね、自分の前に置きます。これが最初の建物と資産(木炭1つ=1コイン)です。もっとも最近一生懸命働いた人がスタートプレイヤーとなり、ゲームが始まります。
奉行このゲーム内の自分こと労働者は、なぜ笑顔と渋い顔と、2つの顔が描かれているのであろうか。
与力気になる顔つきですが、そこはこの後にご説明しますね。
奉行おう、すまんな。そうか、これがゲームシステムに関連するのか……
与力プレイヤーの気分で選ぶわけじゃないですよ。
今日も安全第一で!
与力このゲームはですね、労働して、商品を生産して稼いで、より価値の高い商品を生産できる建物を建てて、また稼ぐ、って手順を繰り返していきます。
奉行拡大再生産なのじゃな。
与力で、最終的に勝利点を沢山稼げた人が勝者になります。勝利点は建物と、手持ちのお金から計算されるので、頑張って儲けてください。
奉行もう身も蓋もないほど目的が分かりやすいな。
ゲームは4つのフェイズで構成されたラウンドを繰り返して進行します。いずれかのプレイヤーが終了条件を満たした次のラウンドが最終ラウンドとなり、ゲームは終了します。
フェイズ1:新たな手札
最初のフェイズでは、各プレイヤーは手札の交換を補充を行います。
手札を交換したいプレイヤーは、全ての手札を捨て、同じ枚数のカードを山札から引きます。それが終わったら、各プレイヤーに山札から2枚ずつのカードが配られます。手札の上限枚数はありません。
奉行捨てるか残すか、豪快な手札交換じゃな。
与力中途半端はできませんよ、と。そういうことです。
奉行しかし、手札上限なしなど、溜め込むプレイヤーがいた時に山札が無くならんか?
与力一応、山札が完全に無くなった時のルールは有りますんで、大丈夫ではあります。
フェイズ2:日の出
スタートプレイヤーは山札からカードを1枚ずつ引き、表にして場の中央に出して“市場ディスプレイ”となる列を作っていきます。カード左端中央にあるへこみ部分に“半分の太陽”アイコンが描かれているカードが2枚出るまで、これを続けます。
与力引いて、引いて、引いて…。
奉行なんかすごい引くのう。このオープンになっているカードが購入候補なのか?
与力いえ、ここで表にされたカードは、左端中央のへこみに描かれた“資源アイコン”以外は意味を持たないです。
奉行ん? てことは、左端だけ見てりゃいいってことか。
与力そうです。このゲームのカードは、各フェイズで使う情報や、勝利点などが全て1枚に凝縮されているので、その時その時で、見る場所を変えていかないといけないんですよ。
奉行ふむふむ、早う慣れんといかんな…。
カードがめくり終えられたら、各プレイヤーはその内容を確認して、フェイズ4で稼働させたい自分の建物(自分の前に並べてある建物カード)を選びます。そして手札の中に同じフェイズ4で建設したい建物があれば、裏向きにして自分の前に置いておきます。
与力自分の建物に関しては、基本的には下段を見ることになります。例えば写真の「織布工場」であれば、「麦」のアイコンが2個、「木材」のアイコンが2個あります。これが稼働に必要な資源ということになりますね。
奉行なるほど。それを手札から支払えばいい、ということになるのか?
与力いえ、市場ディスプレイに並んでいるカードのアイコンが必要数に足りていれば、それで稼働します。
奉行ははあ、「麦」資源アイコンのカードが2枚、「木材」資源アイコンのカードが2枚市場ディスプレイに出ていれば、それで動かせる、と。そういうことだな。
与力その通りです。
奉行しかし、足りそうにないような気もするが、どうなるのだ?
与力実はですね、フェイズ2は市場ディスプレイを作る作業の半分しかしてなくて、ですね。フェイズ3に追加のカードが出てきます。
奉行え、そうなの?
与力はい、ですからこのタイミングでは「稼働させられそう」な建物を選ぶ、という思い切りが必要かもしれないです。
稼働させる建物の下には労働者カードを置きます。この時、労働者に“きちんと”生産させるか、“ずさんに”生産させるかを選択します。
与力ニコニコ笑顔の方が“きちんと”生産する側です。こちらの絵が上下正しく置かれていた場合、決められた通りの資源が手に入れば、建物で2つ商品を生産することができます。
奉行ふむ、で“ずさん”ってのもすごい表現だが、この労働条件に不満げな顔の方を使うと、どうなる?
与力ずさんな生産の場合には、1つしか商品が手に入りません。ただし、必要な資源をどれか1つ減らしても生産ができます。
奉行ふむ、キッチリ材料を集めてきちんと生産するか、それとも材料が集まらないことを見越してずさんに生産するか、その選択ってとこじゃな。
安全を 招く声掛け 心掛け
フェイズ3:日暮れ
このフェイズでは、スタートプレイヤーが再び山札からカードをめくって、市場ディスプレイとなる2列目のカード列を作っていきます。このフェイズでも、半分の太陽アイコンが2つ揃うまで、カードをめくり続けます。
与力これで、生産に使える資源が決まる訳です。
奉行なるほどのう。
フェイズ4:生産と建設
このフェイズは、フェイズ2で選んだ建物の生産と、建設予定の建物を建てる処理を行います。
与力まあその、フェイズ2の選択が成功したかどうか、結果が分かるというフェイズです。
奉行では生産からしていこうか。
与力はい。フェイズ2で説明した通り、市場ディスプレイに必要な資源アイコンが揃っていれば、建物で生産を行うことができます。が…。
奉行不足していた場合、じゃろ?
与力ご明察。もしも資源が足りなければ、手札の中から必要な資源アイコンが描かれている手札を捨てて、不足分の代わりにすることができます。
奉行つまりその、なんなら手札を全部捨てて生産しても良い、ということか。
与力その後の展開が苦しくなるかもしれないですけどね。で、生産した商品と同じ枚数のカードを山札から取って、裏面のまま横向きにして建物の上に置いておきます。これが、生産された商品を表します。
与力生産された商品は、商品アイコンの下にあるコインの中の数字と同じ価値が有ります。「織布工場」で作った布なら3コイン、ということですね。
奉行ふむふむ、つまりその、裏向きのカードは商品であり、もしかして支払いにも使うのかな。
与力その通りですね。このあと、建物を建てる時の支払いは、商品で行います。
奉行カードを余さず使うなあ。捨てるところのないマグロみたいだ。
与力その例えは適切なんですか? ともあれ、生産にはもう1つ重要な要素が有るんです。それが「チェーン」です。
生産を行った建物は、さらに「生産チェーン」を起動して、追加で商品を生産することができます。ただし、その際には対価を支払う必要があります。
与力私の牧場の場合、麦2つと、あとこの…白いの2つで牛を1頭生産できる訳ですが。
奉行まてまてまて。その“白いの”ってのは何じゃ。
与力これ、何ですかね…。泡立て過ぎたメレンゲ? 洗剤ぶち込みすぎた鍋?
奉行分からんのか。
与力じゃあビール接ぐのに失敗した大ジョッキってことで。
奉行雑過ぎんか?
与力ともかく生産したあと、カード右下にある上下をチェーンで挟まれたアイコンを確認します。牧場の場合、麦ですね。ということで、手札の中から麦の資源アイコンが描かれているカードを出して、それを商品として重ねて置くことができます。
奉行ほほお。いったん建物を動かせば、ついでに手元の資源を商品に変換できる、と、そういうことじゃな。
与力一気に手持ちの資産を増やせます。チェーンによっては、「Aという建物で生産した商品をBで別の商品に変換する」なんてこともありますね。それで商品価値がドンと上がります。
奉行ふむふむ、手札に限らずチェーンのチャンスはある、と。
与力一通り生産が終了したら、フェイズ2で裏向きに伏せて置いた建物を建設するかどうか、ということになります。建設のためには、カード左上に描かれた数字と同じだけのコインをコストとして支払う必要があります。で、支払いは商品で行います。
奉行う、うーんと、例えばさっきの「肉屋」を建てるとすると、「牧場」で生産した牛はコイン3の価値だから、商品が5枚必要になる、と。
与力ご名答。全部牛で支払う場合には、そういう計算になります。支払いは色んな商品を混ぜて行なって大丈夫です。お釣りはでないので、ピッタリ支払えるといいですね。
奉行そうか、“お釣り無し”制ゲームであったか…。
労働力は重要なのですが
建物を建設せずに、助手を雇うことも可能です。雇い入れる際には、人物像の左に指定されている建物をすでに建てていなければなりません。大丈夫であれば、左上に描かれたコストを支払って助手カードを取り、自分の建物カードどれか1つの下に配置します。
奉行意外と条件が厳しいな…。この、一番手前の彼女は、5色の建物が建っていないと入社してくれないのか。
与力売り手市場なんですかね。助手は雇うと労働者と同じような効果が得られます。
奉行“同じような”? 同じではないのか。
与力えっと、「生産できる商品は常に1つ」、「別の建物へ移動する際には2コインのコストが必要になる」という辺りが違いですね。ただ、生産チェーンとかは使えるので、うまく使いこなせば作業の効率を上げられるかと。あと、勝利点も貰えますしね。
奉行むずかしいなあ。
以上のフェイズで構成されたラウンドを繰り返し、誰かの手元に8つの建物が並んだら、ゲームは次のラウンドで終了します。最終ラウンドでは、自分の建物すべてで生産チェーンを使用することができるので、ここで一気に大逆転を狙うことも、可能かもしれません。
奉行レンガが市場に出なかったせいで、ずーっと死蔵されていた小麦粉が、一気にパンに変換された。価値は4倍、最終ラウンド恐るべし、じゃのう。
与力うわあ、それは敵いませんなあ。ちまちま肉を作っていたのに、最後でまくられてしまったような。
最後に、建物、助手カードの右上に書かれている勝利点と、手元に残った商品カードの価値5コインごとに得られる1勝利点を合計し、一番多くの点を獲得していたプレイヤーが勝利となります。
与力で、案の定パンの分でしてやられていました。
奉行人はパンのみにて生きるにあらず、じゃが、パンは美味いものじゃよ(モグモグ)。
「オー・マイ・グーッズ!」【ここがイカス!】
奉行なるほどな、しっかりと拡大再生産する。
与力カードゲームとしては、かなり濃密な内容でしたね。
奉行ぎっしりと情報が書き込まれたカードを把握するのにしばらく時間がかかったが、分かってくると非常に楽しくなる。
与力色々と勝ち筋を狙ってみる遊びができますね。
奉行特に市場ディスプレイに資源が揃うか揃わないか分からないが、希望を抱いてキッチリ生産に挑むか、ずさんだが確実に積み上げていくか、というところに目が行くな。
与力資源の登場がランダムであるがゆえにチャレンジ要素ですね。3度くらい失敗しましたけど。
奉行ただ、ゲームが進行するほど重要なのは生産チェーンになるよな。このゲームのカギはそこだったと思う。
与力ほほう。
奉行とにかく1回生産すればチェーンは起動するから、どのタイミングでチェーンを起動させるか。そしてそれを狙って各プレイヤーの建物に貯め込まれている商品、すなわち資源はなんなのか、それを考えることが大切だろう。
与力ふむふむ。
奉行わしのパン工場の材料になった小麦粉は、生産チェーンで貯めていたが、それはつまり麦の資源アイコン付きカードが、わしの製粉所に商品として積み重なっていたことを示す。
与力確かにそうですね。
奉行自分で「麦が市場に出ないなあ」とか思っていて気が付いたことなんだけどな。みんなの狙い次第で、市場に出回りやすい資源、出にくい資源が決まってくるのよ。その市場動向を見定めて、うまく生産を行ってく必要がある。
与力なるほど、深いですねえ。
奉行そういった意味では、最初から「これで勝つ!」とかルートを絞り込まない方が、点が伸びるのかなあ。どうなんだろう。
与力建物8つで終了になりますからね。手を広げ過ぎても上手く生産が回らない気がしますし。
奉行よし、もう1回遊んでみるか。
「オー・マイ・グーッズ!」【ここはちょっと…】
奉行最初のうちは、市場と手札のランダム性に翻弄されるかもね。
与力確かに、引き運は相当厳しいかもしれません。
奉行欲しいと思ったものが出てこない、手元に来ないではどうしようもない…ゲーム中盤に手が停滞するパターンはそんなところだろうか。
与力リアル運がモノを言う訳ですね。
奉行市場の様子を見て軌道修正する、というのはできなくは無いし、それがよい気もするが…。
与力問題は、終了の早さですかね。
奉行速攻で安い建物を建てて、終了を目指してしまう勝ち筋ってのが有りそうな気がするんだよね。そうすると、生産チェーンも十分には機能しないだろうし…。
与力安め早上がりにどう対処するか、ですか。このゲーム、ルールが初期から変更があったらしくて、それに対抗する手段が、最終ラウンドの生産チェーンフル稼働ってことらしいです。
奉行あ、それでバランス調整がされていた、ってことなのね。
与力そのようですね。その他にも説明書の改訂が入っているようです。ホビージャパンさんのページは要チェックですね。
http://hobbyjapan.games/oh_my_goods/
奉行あとは…カード1枚辺りの情報量と使い方が多いなあ。全部おんなじカードで、読む場所や使い方が時々で変わるから、慣れるまであたふたした。
与力ミニマムサイズなゲームゆえの特徴ですね。
奉行でも、総じて面白いゲームだと思うよ。すぐにもう1回遊びたいと思える軽量・中量級ゲームは、とてもいいゲームだ。
与力思わず記事の分量も多くなりましたしね。
奉行おう、あちこち省きながらのルール説明ではあったが、きちんと話そうとしたら、ちと長くなったな。
奉行この写真からは色々なものが読み取れるな。
与力ですね。直営牧場から届く肉と、自社経営の食品を軸にした食品スーパーを目指していたんですが、肉しか無かったんで、客にサイドメニュー無しの安い価格でステーキを味わってもらう感じの外食チェーン王になった感じです。負けましたけど。
奉行…さすがに誰もそこまで読み取ろうとはせんだろうよ。