前回から引き続いてのエントリーです
前回は「パーマリンクとはなんぞや」という話に終始していますが、興味がおありの方は、宜しければご参照ください。
なお、前回と重複するお断りとなりますが、本記事は「一般のレンタルブログから、独自ドメインを取得してWordPressの運営を始めようとする人に向けた解説」が元になっております。深く突っ込まずに流している(あるいは、書き手の知識不足)などもありますのでご了承ください。
パーマリンク設定は何が良いのか?
さて、パーマリンクを設定することになった場合、今度は「何に設定するのが良いのか?」という悩みに直面することになります。
ここからが本論の本題となりますが、この疑問に対する結論は、実は意見の大きく分かれるところです。何を重視するかによっても結論は異なりますし、SEO業界の変化にも左右されることでしょう。このため、僕個人の考え方について述べさせていただくのが関の山です。
結論から申し上げると、僕は「カスタム構造」を推しています。
パーマリンク設定:カスタム構造
カスタムという言葉が表す通り、自由に決めることができる(カスタマイズ可能な)パーマリンク設定です。というのも、他のパーマリンク設定値が「ドメイン名+何らかの文字列(固定)」となっています。一方で、この「カスタム構造」は「ドメイン名+[自由記述の欄]」という構造になっており、[自由記述の欄]に何らかの文字列を入力しなければなりません。
つまり、「カスタム構造」を選択後、更に「自由記述の部分に何を入れれば良いのかを検討する必要がある」という、やや面倒な設定値とも言えます。
パーマリンク設定:投稿名
デフォルトと「カスタム構造」を除いた選択肢の中では、「投稿名」も比較的人気のパーマリンクと考えられます。読んで字のごとく、パーマリンクが「投稿名(記事タイトル)」になる仕組みで、非常にシンプルです。
例えば、ドメイン名「hogehoge777.com」というサイトで、「我が家のペット その1」というタイトルの記事を作成したとしたら、
http://hogehoge777.com/我が家のペットその1
という具合になります。日本語がそのまま表示されるため、記事の内容などは一目瞭然と言えます。ところが、そこには落とし穴もあります。
実は、コンピュータにとっての日本語は、英語とは異なり、少々厄介な言語として扱われています(二バイト文字/IT用語辞典)。ざっくばらんに表現すると、「見えないところで、一手間がかかっている文字」です。
例)
http://hogehoge777.com/日本語のページ ←人の目で見た時の表記
http://hogehoge777.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8…(以下略) ←コンピュータが処理する時の表記
例えばこのような具合に、長々とした英数字として扱われています。我々が知覚していないだけで、バックグラウンドでは常にこのような変換が行われています(この変換処理のことを、「URLエンコード(日本語→英数字)」あるいは「URLデコード(英数字→日本語)」と呼びます)。
パソコンが勝手にやっているだけと言いたいところですが、このような処理を挟むことにより、「他のサイトからリンクが貼られた時、正常にリンクが動作しない」といった不具合の発生リスクが高まる恐れがあります。もしも別のサイトからリンクが貼られたとしてもリンクが機能しないとすると、大きな機会損失を招いてしまうかもしれません。
つまり投稿名を選択すると、「人間の目ではとても読みやすい」というメリットがある一方、「予期せぬ(しかも無視はしがたい)デメリット」を内包してしまうかもしれないのです。また、仮にサイト利用者のターゲットが日本に限定していないようであれば、更にメリットは減ります。
このような理由から、「日本語のパーマリンクは、あまり推奨できない(=パーマリンク設定で「投稿名」を選ぶことはおすすめできない)」という考え方が、一定の支持を得ています。僕はこれに同意しているタイプです。ただ、これまで確認されている不具合も、適宜修正されつつあるようです。デメリットよりもメリットの方が多いと捉え、あえて日本語表記の投稿名を選ぶという方もいらっしゃいます。
パーマリンク設定:それ以外
上記二つと、デフォルト(ランダムの番号)を除いた設定は、主に「投稿日時」などの情報に基づいたパーマリンクが設定されるようになっています。一言でいえば、「記事の内容を分かりやすく表現する方がよい」という考え方には反しており、お勧めしづらい設定値だと思います。
しかし、絶対に選んではいけないなどとは言えません。例えば、日々の心情や出来事を書き綴る形式の「日記サイト」、あるいは「まとめサイト」といった、日々情報を発信する形式のコンテンツサイトであれば、文字列よりも「年月日」などで並んでいる方が分かりやすいかもしれません。あるいは、「いや、俺はそういう数字の並びが好きなんだ!」として、好みによって選択しても良いでしょう。
大切なことは、自分がどのようなサイト・コンテンツを運営するか、どのように運営したいかという方針によって選択することだと思います。「なんとなく」といった理由で決定してしまうと、こういったパーマリンクはメリットが薄いためお勧めできない、と個人的には考えます。
では、「カスタム構造」で何を入力しておくと良いのか
では、いよいよ「カスタム構造」を選択し、自由記述の部分に何を入力すると良いのか。設定可能な文字列が限定されている点に注意しつつ検討する必要があります。
パーマリンク構造タグと URL に使える英数字・記号を組み合わせて指定
回答には諸説存在しており、ここは大きく好みが分かれるところと言えるでしょう。僕は「/%postname%」を推していますが、「/%category%/%postname%」などもあります(後述します)。
この「%postname%」とは「投稿の投稿名」を指し示すパーマリンク構造タグです。少し前に、「投稿名を選んでしまうと、パーマリンクが日本語タイトルになって良くない」云々という説明したばかりですが、間違いではありません。実は、この「カスタム構造」を選んだ場合、「記事を作成する段階で、その都度、任意の文字列を記入する」ことができるようになります。
何を言っているのか意味が分からないと思われた方は(すみません)、もしも構築中のWordPressがあるならば、パーマリンク設定で「カスタム構造」を選択して「/%postname%」で保存してみてください。その後、メニューの「投稿」から「新規追加」や「投稿の編集」を選択してみてください。
すると、最初に「記事のタイトル(投稿名)」を記述する欄が表示されると思います。この欄に「テスト」と入力してみましょう。そうすると数秒の間をおいて、「記事のタイトル(投稿名)」の下に、やや小さめのフォントで「パーマリンク:ドメイン名/テスト」という文字列と、「編集」というボタンが出力されると思います。
ここで「編集」のボタンを押すと、「パーマリンク:ドメイン名/テスト」の「テスト」部分が自由に書き換えられるように変化することでしょう。「test012」でも構いませんし、「testtest」にしても大丈夫です。こうして、毎回記事を作った段階で、自分の決めた任意のルールに従って、パーマリンクを設定することになります。ちなみに、「編集」ボタンを押さない(書き換えない)場合は、「記事タイトル(投稿名)」そのものが入力された状態を維持します。
こうして、記事を書く時に、任意の文字列のパーマリンクを設定する手はずが整いました。これなら、記事の拡充に伴ってゆっくりと考える余裕が生まれます。
例えば、「北海道のお土産」や「沖縄のお土産」について記事を幾つか書くとしたら、
http://hogehoge777/hokkaido-miyage01
http://hogehoge777/hokkaido-miyage02
http://hogehoge777/okinawa-miyage01
このようなパーマリンクを設定できます。例の場合は「地名+キーワード+数字」ということで、分かりやすさを追求したり、数字を付与することで記事がシリーズものであることを示したりする意図があります。
しかし、「全て任意で付けられる」という事実を言い換えれば、「全ての記事のパーマリンク名は、いちいち考えねばならない手間がある」とも言えます。一度決めてしまえばそのルールに従うだけではありますが、初心者なので右も左もわからないという方や、ネーミングセンスに自信がない!と思っている方には、決めること自体に荷が重いと感じるかもしれません。
が、SEO対策を意識しつつWordPressを運用する場合、パーマリンクの他、記事のテーマやカテゴリの分類なども含めた「設計」という行為が重要視されます。多少時間がかかったとしても、色々と情報を集めて一考してみることをお勧めします。
補足
以降補足として、「カスタム設定」で、記事ごとに任意のパーマリンクを英数字でつける場合に、知っていると便利だと思われることを補足します。
補足1. 既に使われているパーマリンク名を指定するとどうなるのか?
既に「miyage-01」という記事を作成済み。
→新しい記事に「miyage-01」と設定すると、自動的に「miyage-01-2」になる
既に「miyage」という記事を作成済み。
→新しい記事に「miyage」と設定すると、自動的に「miyage-2」になる
→さらに新しい記事に「miyage」と設定すると、自動的に「miyage-3」になる
といった具合に、絶対にかぶらないよう末尾に連番を付与してくれます。このため、記事番号の管理はWordPressに任せることも可能です。投稿する記事がどのシリーズに分類されるのか、英語文字列の部分だけ意識すれば良くなるので、うっかりミス(番号の誤りなど)も防ぎやすくなるでしょう。一方、個人的に「数字部分は三桁で統一したい(001~999)」と考えている僕の場合は、全て手動で入力しています(そして時々番号を間違えます)。
補足2. 帯に短したすきに長し……は良くない
分かりやすさを求めたいパーマリンクですが、「長すぎるのも良くない」というジレンマも持ち合わせています。例えば、「分かりやすいから!」という親切心であっても、
http://hogehoge777/okinawa-miyage-erabutokino-point01
(訳:沖縄 土産 選ぶ時の ポイント01)
……とするのは、少々やりすぎと考えられます。文字列が長すぎると、まず人間の目に優しくありません。冗長過ぎて視認性が下がってしまいます。また、(今時は珍しいシチュエーションかもしれませんが)URLを直接入力するような場合に、タイプミスを引き起こす要因にもなるでしょう。
しかし、短ければよいとも言い難いです。例えば「沖縄土産の選び方」という記事シリーズを始めた時に、パーマリンク名が「okinawa-miyage-01」では長いだろうと判断し、頭文字だけを抽出して「om01」とするのはどうでしょうか。すっきりしたとは言え、これはこれで中身が分かりづらくなってしまっています。
ただ、結論として、何文字なら良いかという回答は難しい問題です。視認性や可読性は人によって異なります。個人的に、6~8文字ほどの(特に英)単語を組み合わせるなら、一目で把握できる範疇だとは思います(尤もそもそも、当方のパーマリンクは「キーワードを省略するなどして作った3文字」ですので、あまり説得力のない話ではありますが……)。
補足3. 「/%category%/%postname」など他の選択肢は
僕の個人的見解で「/%postnam%」を推しているわけですが、先に述べた通り、あくまでも一つの方法に過ぎません。他の例としては「/%category%/%postname」なども一定の人気を読んでいるようです。
この「%category%」はその名前の通り、「その記事が所属するカテゴリー名」を示します。
例えば「カテゴリ:おすすめのお土産」に属する「沖縄で買いたいお土産その1」というタイトルの記事を作ったとしたら、
http://hogehoge777/おすすめのお土産/沖縄で買いたいお土産その1
となります。日本語表記になっている点は、「カテゴリ」設定ページで、各カテゴリに対して「スラッグ」という項目で英語名を付与しておきます。投稿名については、記事を投稿する段階で改めて付けなおすことで対応します。
スラッグとはなにか、どう設定するのかについては、以下を始めとした指南サイトなどを是非ご参照ください。
- WordPressブログ管理者必見! 『スラッグ』を活用しよう(インファクトスタッフWEBマーケティングBLOG)
- WordPressのカテゴリーとスラッグとは?カテゴリーの設定方法(Hiroki Suzuki.com)
- 用語集「スラッグ」(ゼンロジック)
仮に、事前に「カテゴリ:おすすめのお土産(スラッグ:omiyage)」を作っておき、そのカテゴリに属する記事として「沖縄で買いたいお土産その1(okinawa-miyage01)」を作成してたとすると、
http://hogehoge777/omiyage/okinawa-miyage01
というパーマリンクになります。こうしてカテゴリ(スラッグ)までを表示させるようにすると、記事の傾向などの情報も入れやすく、整理整頓もしやすいというメリットがあります。
ただ、「カテゴリ」をパーマリンクに使うとなれば、当然ながら「カテゴリを含めた全体構造」についても早い段階で検討する必要が出てきます。パーマリンクとは異なり、カテゴリは後になって追加・削除することが容易な要素です。記事を公開した後で、カテゴリを変えても大きな問題は起きないはずです。ところが、カテゴリをパーマリンクと直結させてしまうと、同じような重みを持つ(後から変更しづらくなる)ことになってしまうでしょう。
上記の例の場合は、土産というキーワードが重複していて、なんだかすっきりしません。例えば「土産」ということは「旅行」に関連することですので、カテゴリを「旅行(スラッグ:travel)」とした方がスマートではないでしょうか。全体を俯瞰してカテゴリを作っておくことが大切です。
また、カテゴリが記事の傾向を示すのだから、投稿名は不要と考えることもできます。この場合は、「%post-name%」を止めて「/%category%/%post-id%」などとするのも良いかもしれません(未検証ですが)。「%post_id%」は「投稿ID」を示す文字列で、重複しない番号をランダムで付与してくれます。カテゴリの区分けとスラッグ設定の命名さえ適切であれば、以降はランダムでも良いだろうという考え方です(やはり、いちいち投稿名部分を設定するのはひと手間かかりますので)。
なお、当方は「親カテゴリ」「子カテゴリ」などを乱発する(複数のカテゴリに所属する)設計にしたため、より一層カテゴリに頼りづらい構造になっているため採用していません。また、感覚的に「/が沢山あると、ディレクトリ階層が深くて複雑そう(なので避けたい)」と思っています。いわゆる「見ているとお尻がもぞもぞする」という、根拠のない感性に基づくもので決めてしまいました。時折、本当に良かったのだろうかと考えてしまうこともあります……が、パーマリンクにおけるSEO対策の有効性も、いつまで同じ常識が通用するか分かりませんので、最後は「これがしっくりくる」という決め打ちでやっていくしかないかと思います。