Googleカレンダーにホテル宿泊の予定が自動追加されるトラブルにより、とある家庭でプチ炎上が起きました

時が過ぎれば笑い話になるでしょうが

ゴールデンウィークも終わりに差し掛かった頃。全国の大人から子供までが「ああ職場(学校)に行きたくない」と嘆いていたであろう最中に、やや興奮気味の友人から次のような連絡を受けて、大いに戸惑っていました。

「Googleカレンダーに変な予定が入っていて、俺が浮気でもしたんだと思われた!」

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発生していた問題は「Googleカレンダーのデフォルト設定」によるトラブル

結論としては、見出しの通りです。ご存知の方も多いかもしれませんが、2017年4月~5月にかけて「Googleカレンダーにおいて、身に覚えのない予定が追加される」という事象が広く確認されました。より詳細に言うと、「見知らぬ旅館への宿泊スケジュールが、知らない間に登録されていた」というトラブルです。

今回、その引き金を引いてしまったのは、旅行予約サイトの「じゃらん.net」のメールマガジンと判明しています。既にじゃらん公式FAQにおいて、以下通り情報が発信されていますが、要約すると「じゃらんnetのメールマガジンの内容をGmailで受信した際、Googleカレンダーが(設定に応じて)スケジュールとして認識し、登録してしまった」とのことです。
「Googleカレンダー」に覚えのないホテルの予約が登録される(じゃらんFAQ)

公式回答があったということから、決して小規模なトラブルではなかったことが推察できます。経緯の時系列は不明ですが、「じゃらん.net」に問い合わせなどが多発したのかもしれません。また文章から察するに、ユーザー側に「勝手に予約処理されているのでは?」「情報流失か?」といった不安・混乱が生じたと思われます。実際はカレンダー側の設定にもとづいた処理でしたので、他の企業が発信するメールマガジンであっても、条件にさえ合致してればスケジュールに登録されてしまう、という問題でした。

ちなみに、多くの方がブログ等にて本件にまつわる情報発信を行っておられるため、実際の解決策などはそちらの方々の情報をご確認いただければと思います。
【緊急】「じゃらん」が俺のGoogle カレンダーに勝手に宿泊する予定を追加してくるんだが・・(50kgダイエットした港区芝浦IT社長ブログ)

ということで改めまして、結論としては「友人の環境でも、上記と同事象が発生していた」ということです。原因は「アプリケーションの動作にまつわるトラブル」であり、本事象について浮気というキーワードに関しては「全くの無実」である、ということを僕は解説しました。

友人夫婦でプチ炎上が発生した理由

「そのような話題に興味はない」と仰られる方は、本項は飛ばしていただけれと思います。

相談してきた友人とはそれなりの付き合いで、奥さんとも顔見知り~知人といった程度に面識があります。結婚当初から息の合った夫婦でしたし、現在は二人協力しあって子育てに取り組む家庭である、というのが第三者たる僕の認識です。

ところが、本年四月の異動をきっかけに、友人は心身ともに疲弊した状態に陥っていたようで、「予定の変更を連携せずにいたため、奥さんや子どもに迷惑をかける」という失敗を頻発してしまいました。これが、今回の騒動の前提にありました。

失敗が一度や二度で済まなかったために、奥さんもかなり感情的になってしまったようです。いわゆる、『何度言ったら分かるの』という耳にタコができる類の辛い叱責が飛びます。一方でタコができた耳の持ち主は、『そんくらいのことでうるさい』『俺だって忙しい』などとやり返しました。これを、世間一般では「火に油を注ぐ」と表現することでしょう。やがて、このまま舌戦を続けても誰も幸せにはならないという結論に至った夫婦は、「カレンダー共有で子どもとの約束は厳守」という解決策の導入を試みます。

その結果、今回の「夫の(存在しない)旅行の予定を突きつけられる不幸」に至ってしまった、というのが今回の全景です。

個人的にこのプチ炎上を加速させたと思う点に、Googleカレンダーのデザイン性の高さがあるでしょう。問題の画面をスクリーンショットで見せて貰ったところ、連休中の良き日取りに「宿泊先の名前」と「宿泊先の風景画像」が表示されていました。画像からはラグジュアリーな雰囲気がありありと伝わり、文字のみの情報より強烈なインパクトを与えてくれます。ちなみに、友人はマメとは程遠いタイプ(実際、カレンダーの使用状況も、ほぼ閲覧メインだそう)ですが……、一周回ってしまえば、「あまりに楽しみだったため、大変に凝った予定を入力した」と悪意に満ちた考え方もできるのでしょう。

尤も、この件におけるカレンダーのスケジュールは、本当に些細な火種に過ぎないのは言うまでもありません。日を改め、奥さんから「見苦しい話に巻き込んでしまって申し訳ない」という謝罪メッセージを貰いましたが、「変なスケジュールが出ていると指摘した時、『俺は知らない』『関係ない』と言い返されて頭に血が上ってしまった」という反省があり、結局は夫婦間のコミュニケーションや蓄積し過ぎた疲労の問題だったのだろう、と考えます。

Googleカレンダーのデフォルト設定では「Gmailの内容から予定を自動登録」するため、確認と修正を

火が消え去ったところで、改めてGoogleカレンダーを便利に使いつつ、気をつけておきたいポイントを確認してみました。

1. デフォルトでは「Gmailの内容から予定を自動登録する」ことになっているので検討する

今回は「じゃらん」からの広報メールをGmailで受信し、それを読み取る設定にしていたユーザーのカレンダーに、(本来は単なる広告であるにも関わらず)旅程として登録されてしまいました。

ここだけを耳にすると困った機能であるように感じますが、実際は非常に便利な機能です。ビジネスパーソンを筆頭に、打ち合わせなどを盛んに行うようであれば、メールにて情報展開するだけで、スケジュール登録の手間を省くことができ、作業効率が上がります(僕個人としては、なんとなく仕事がはかどらない時の気晴らしに、だらだらとスケジュールを登録する作業を好んでやっているのですが、時間の無駄と言われてしまえば全くもってその通りです)。とは言え、本事象のような問題に繋がることもあるので「デフォルトのままで放置しない(運用方針からオンオフを決定する)」ことが望ましいでしょう。

2. カレンダーでもスパム行為が発生することがあると知る

本件に触れ、Googleカレンダーに関連したトラブルを確認していたところ、いわゆるスパム行為がたやすい環境であることも分かりました。「スパム(メール)」という言葉そのものは一般の人にも浸透しつつあると考えられますが、「スパムって? メールの話では?」と疑問に思われる方も少なくないでしょう。確かに「スパム」と言えば「スパムメール」のことを示すケースが多いのですが、そもそものスパム行為とは、「不特定多数に、宣伝目的やいたずら目的で、メッセージなどを送りつける迷惑行為」です。その手段は問いませんが、一般的には作業の容易いメールや、SNSのメッセージ機能などが使われています。

例えば、今回の「旅行の宿泊スケジュールの自動登録」はスパム行為ではありませんが、「相手のカレンダーに知らないスケジュールを埋め込んでやろう」などと考えた第三者の犯行であったならば、それは立派なスパム行為と言えるでしょう。デフォルト設定の人のアドレスさえわかれば、迷惑行為を行うのが難しくありません。また、Googleカレンダーの利便性の一つである「他者とのスケジュール共有」機能も、スパム行為を起こしやすさを助長しているでしょう。例えば、相手のメールアドレスを入手して、「招待」や「共有」を行えるのですが、その手軽さを悪用して「他人のカレンダーに見知らぬ予定を入れる」という行為すら行われているようです(以下ブログ参照)。なお、iCloudカレンダーなどでも同様の迷惑行為が確認されていますので、本件はGoogleに限った問題ではありません。

Googleカレンダーにもスパムが!?今すぐ設定をチェックしよう!(こてつのブログ)

Googleカレンダーを始めとして、多くのアプリはデフォルトでも簡単に使い始められます。しかし、デフォルトで使用し続けるのではなく、折に触れて、アプリの設定内容を確認することが大切です。いつの間にか利用規約が変更している、などというケースも珍しくありません。……無論、世の中のユーザーには、説明書を全く読まずに利用する人は元より、何かトラブルに直面した段階でも説明書の類を読まない人もいらっしゃることは、紛れもない事実です。

とは言え、本件において、僕は開発者ではなくユーザー側の視点に立っていますので、そのような方々をどう包括していくかという難問解決については、開発者側にお任せします。「何か問題があれば、まずは落ち着いて事象の内容、そして設定を確認しましょう。状況に応じて、アカウント乗っ取りなども疑いましょう」とユーザー側の方々に向けて、発信させていただければと思った次第です。