三津浜(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

『三津浜』を遊んでみた

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【登場人物】

奉行藩の決裁担当。瀬戸内海と言えば?「水軍とかD〇SH島とか。詳しくないが一度行ってみたいところだな」

与力藩の買掛担当。瀬戸内海と言えば?「クロダイ釣りのメッカと聞きますよね」

タチウオは秋ならショアで釣れますね

奉行ほほお、なにやらノスタルジックな箱絵だ。全体的にほわっとした雰囲気を醸し出す色遣いのゲームじゃな。

与力そうですよね。でも、ゲームの中身はそうでもなさそうですよ。

奉行なんと。正月のマグロ初競り並みにキツいゲームなのか?

与力流石に億単位は動かないですけど、あのくらいのマッチアップになるかもしれないです。

まずはプレイ前の準備です。両面印刷されている割烹カード5枚を、好きな面を表にして場の中央に並べます。説明書にはプレイ人数に応じた推奨例が記載されているので、これに従うといいと思います。

その後、各プレイヤーは自分の担当色を選び、その色の倉庫番キューブ4個のうち、3個を手元に置きます。さらに倉庫カードとお金カードを1セット受け取り、並べます。残りのカードは箱にしまいます。更に、各プレイヤーの担当色で残っている倉庫番キューブ1個を、場にまとめて置いておきます。

三津浜 ボードゲーム せり
こんな感じのスタートになります。

これで準備完了。「最近釣りに行った人」がスタートプレイヤーとなり、ゲーム開始です。

奉行手持ちのお金は1人につき4万円か。

与力みんな資産は同じです。あとは、競り落とした魚もお金の代わりになります。1匹1,000円ですね。

奉行なるほど、魚で支払う場面も出てくる、ということであるな。

メバルを釣る時は、昼のうちに釣り場の下見をしましょう

本作『三津浜』では、各プレイヤーは4種類の魚を競り落とし、割烹に高値で卸すことを目指します。

与力最終的には「手持ちのお金、魚、割烹へ卸した代金」を合算して多かったプレイヤーが勝利、と、そんな感じです。

奉行ふむ、とにかく割烹に卸せばいいんじゃな。

与力そうとも言えんのがこのゲームの難しいところなんですよね。じゃ、せりを始めましょうか。

1. せりの開始

三津浜 ボードゲーム せり
各サイコロは魚の種類を表す。

まず、スタートプレイヤーが「せり主」となって、魚サイコロ4個を振ります。出目がその日(=ラウンド)の漁獲量です。せり主は出目が合計で1以上9以下になるようにサイコロを選んでせりにかけます。

三津浜 ボードゲーム せり
たとえば、こんな感じで。

与力説明書によると、赤=メバル、黄=ハギ、黒=タチウオ、白=マダイになります。

奉行なるほど、そういわれるとそう見えてきた。で、これをどう買うかだが、全種類を同時に買える訳では無いのだな。

与力ですね。せり主は出目と、自分含め各プレイヤーがどの魚を競り落としたいのかを考えて、サイコロを組み合わせてせりにかけることになります。

奉行これは随分と責任重大だな。相手をにらみつつ、自分の要求も通したい……。

三津浜 ボードゲーム せり
こんな豊漁だと、もうどうしていいやらですけど。

せり主以外のプレイヤーは、好きなタイミングで購入金額か、パスをするかを宣言していきます。1人を除いて全員がパスしたら、せり主は確定した金額で魚を売るか売らないか決定します。

せり主が売った場合、値付けをしたプレイヤーは、手札のお金カードで代金をせり主に支払います。この時、倉庫にせり落とした魚とは異なる種類の魚が有れば、これを1匹1,000円で支払いに使っても構いません。せり主は支払いを受け取り、お金カードは手札へ、魚は倉庫へ入れます。値付けしたプレイヤーは、せり落した魚の倉庫に入れます。

与力支払いの時に注意したいことがありましてですね、それは「お釣りは出ないよ」ってことです。

奉行なぬ?

与力せり落した金額より多い額面のお金カードで支払ってもいいんですが、受け取った側はお釣りを支払わなくていいんです。

奉行げっ。じゃあ最小紙幣の1,000円と同じ意味を持つ魚が、がぜん意味を帯びてくるな。

与力で、せり主が売らなかった場合は、せり主が買うことになります。ので、値付けしたプレイヤーに支払いをすることになりますね。

奉行主客が転倒する訳だ。ちなみに、全員パスをしてしまったらどうなる?

与力せり主が好きな値段で買うか、全部捨てられるかです。買った場合、その代金に使ったお金カードは、ゲームから除外されます。

奉行額面ぴったりにできる細かいお金が、ゲーム上から消えていくのか……

ハギはエサ取り名人、アタリにうまくアワセましょう

2. 魚を増やす

三津浜 ボードゲーム せり
倉庫番キューブを倉庫に置き、魚の数を表示します。

プレイヤーは、倉庫カードに示されている上限まで、各種類の魚を持つことができます。倉庫に入る以上の魚は、全て廃棄されます。

奉行12尾が限界って、ちと少なくない?

与力単位的にはトロ箱(編集注:海産物をいれて運ぶための箱)じゃなかろうかと思いますよ。ともかく12以上は持てないです。

奉行てことはだ、支払いに魚を使う場合、相手が持てる以上の魚を使うと……。

与力支払い自体は成立するんですが、受け取る側は廃棄するしかなくなりますね。結構えげつない感じです。

奉行も、もったいない。ところでだ、与力よ。わしらの水産会社には倉庫番が3人おるな。

与力水産会社とは限りませんけれども、はい、倉庫番は3人です。

奉行だが、魚は4種類。倉庫番の数を超える種類の魚をせり落とし、扱うことになったらどうするのだ?

与力今現在どれかの倉庫に割り当てられている倉庫番を、新しい倉庫に移すことで対応できます。その代わり、移る前の倉庫にしまってあった魚は全部廃棄になります。

奉行えー、ひどい。食べたい。

与力なんか今回のお奉行、妙な食いしん坊キャラ狙ってるんですか? さておき、もしくは「せり落としたけど入荷しない」ってことで、「倉庫に入れないこと」を選択しても構わないです。

奉行ふーむ。一応聞いておくが、支払いに魚を使う場合、相手が倉庫番不足で扱いきれない種類の魚で支払うと……。

与力支払い自体は成立しますが、受け取った側はどうするか困るでしょうねえ。

奉行なんとまあ、厳しい世界だ。

与力ただ、好きなタイミングで10,000円払うと、ゲーム開始時に横によけておいた倉庫番キューブを使えるようになるので、困ったら雇用もあり、です。

奉行ワーカープレイスメントなら、ワーカーを増やすのは上策だが……むむむ。

三津浜 ボードゲーム せり
就職希望。

マダイは釣り方が色々あるのが魅力です

3. 卸し

せりで魚を買った人は、そのあとに割烹カードが要求する数と種類の魚を倉庫から支払い、魚を卸すことができます。魚を卸す場合、卸先の割烹カードに書かれている2つの金額のうち、より高い金額の横の空きスペースに倉庫番キューブを1つ置きます。この時、一度にいくつの割烹に卸しても構いませんが、同じ割烹に複数回卸すことはできません。

三津浜 ボードゲーム せり
これでピンクの与力はゲーム終了時、35,000円を獲得することになります。

与力なお、せりの支払いで魚を受け取った人は、買った人が卸した後に同じく卸しをすることができますよ。なんにせよ、せりのやりとりで魚を手に入れた人が割烹へ卸せる、という理解で良さそうですね。

奉行うん、それはいいのだが、与力よ。卸に倉庫番を使うのか?

与力そうですね。つまり、1種類の魚の倉庫は使えなくなるということです。

奉行手が狭まるのか! ということは、どこかに卸してしまった後は、どうあがいても4種類の魚が必要な割烹へは卸せなくなる、ということか?

与力一応、割烹から倉庫番を呼び戻すことはできますよ。せっかくの代金がチャラになってはしまいますけど。

奉行そうか、代金を確定させに行くと、手が狭まる……うーん。

与力あと、倉庫番がいなくなった倉庫に魚が残っていた場合、廃棄されちゃうんで、そこも気を付けないとですね。

奉行これはうかつに卸しまくればいいというものではないな! しかと考えねばならんぞ……むむむ。

以上の手順を時計回りにせり主を交代しながら繰り返し、プレイ人数ごとに決められた倉庫番キューブが割烹カードに置かれたら、ゲームはただちに終了します。
各プレイヤーは、手札のお金カード、倉庫の魚、割烹カードの代金を合算し、合計金額が最も多いプレイヤーが勝利します。同額の時は引き分けです。

三津浜 ボードゲーム せり
2人プレイでは4個で終了。

初戦は互いに手探りで、卸しやすい割烹を取り合って与力の勝利。

三津浜 ボードゲーム せり
高級割烹を抑えにかかる奉行。

二戦目は巧みに高めの割烹を抑えた奉行が与力を躱して勝利しました。

『三津浜』【ここがイカス!】

奉行ゲームのサイズやコンポーネントの量をはるかに上回る、かなり悩ましいゲームだった。

与力確かに非常に考えさせられますね。

奉行魚は1匹1,000円の価値で扱われるが、特定の組み合わせで割烹に卸したとき、金額が跳ね上がる。それを考えていくらで競っていくか……。無理な値付けは自分の首を絞めかねんし。

与力相手の欲しがるであろう魚に別種の魚を組み合わせたり、高値をつけてみたり……。

奉行我々は2人プレイなので「一発入札orパス」というルールだったが、どうやって相手の足元を見るか、買わせずに自分で買うか、みたいな駆け引きになったなあ。

与力ゲームが進むほど手がバッと広がる訳ではないので、限られたお金と倉庫番をどうやり繰りするか、その最適解を見出す目が必要になりますね。

奉行そうそう。むしろ「よっしゃ卸せた!」と思ったのもつかの間、次の手へ伸ばすために頭をひねることになる。

与力魚の量はダイス次第なので運の要素も程よく混じりつつ、常に他プレイヤーと静かにやり合う感じがしますよね。

奉行欲しい魚だからと言って、低い目の時に慌てて高額で抑えに行ったりすると、あとで痛い目に遭う。

与力最終的に「手札の運転資金」も勝利条件に入るところが、引っかかってくるんですね。

奉行魚も余ったとして、無駄にはならん……。やっぱり色々と考えさせられる。これは何度も遊んで、勘所をつかんでいきたいゲームだ。後、多人数でも遊んでみたい。

『三津浜』【ここはちょっと……】

奉行ゲームシステムのここがどうこう、とかいうことよりも、やはりこういう割と無慈悲な競りゲームを楽しめるかどうか、ってところだろうな。

与力無慈悲、ですか?

奉行うん。冷静に状況判断をしながら、着実に勝ちにつながる手を打つ、なんというかアブストラクトゲームに近いプレイ感があるとおもうのよ。

与力ふむふむ。

奉行ダイスはあるんだけれども、運やなんらかの揺らぎで勝敗が左右されるという感じがせんのだよね。6の目のメバルは尺メバルだから、卸先から得られる金額が倍になります!みたいな、ダイスのランダム性に任せた大味な展開も無いしね。

与力それはひどいゲームだ。

奉行例えば、の話だぞ。例えでも酷いか? まあなんだ、『場を見極める目』が勝敗に直結するんじゃないかな。極論すれば、強い人がずっと強いゲームなんじゃなかろうか、と思うよ。

与力実力差が結果にしっかりと反映されるタイプのゲーム、ってことなんでしょうか。

奉行うん。ただ、わしはそれでいいと思うけどね。個人的な感想じゃな。

与力やりがいがある、とも言えるでしょうか。

奉行そうだな。ピリリと辛い系統だな。

与力まとめると「コンパクトなサイズながら、しっかりとしたシグナルが手元に伝わる、引きの強いゲーム」ですね。

奉行魚のアタリみたいな評論で〆ようとするでない。

三津浜 ボードゲーム せり
おこぼれを狙っている? かわいいネコ。

奉行わしにとってはあまり馴染みのない地名ではあったが、パッケージの絵からすると、良さそうな場所じゃのう。三津浜というのも。

与力ちなみに、瀬戸内海ではベラ(キュウセン)は高級魚なんですって。この辺の釣りだと外道扱いされるっぽいですけど。

奉行当方で「釣りをやる人」を名乗っておいたものの全然進捗がない人から、かつておすそ分けしてもらったことがあるが、割と美味かったな。瀬戸内海のはもっと美味いのか。食べに行ってみたいのう。