前回までのあらすじ:店長はインタビュー中、みるみる冷温停止に近づいていくのでありました。
- 【リゴレのレポートって?】
- 「一生遊べるボードゲームをお客様にご提案したい」リゴレ店長と、「一生ボードゲームで遊んでいたい」ほ~らく奉行所の与力が、横浜中華街の片隅でそっと繰り広げるボードゲームトークの様子をつづったレポート、略して「リゴレぽ」です。
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- 過去のリゴレぽはこちら。
- 【登場人物】
与力ほ~らく奉行所ボードゲーム方の買掛担当。海賊と言えば『海賊と商人』は買おうかどうか迷ったことがあります。なお、本人は船酔いするので船は苦手な模様。
店長横浜のボードゲームショップ・リゴレの伸居店長。最近、午後3時くらいになると睡魔との戦いになります。
※お詫び:本記事は2019/9/13に公開いたしましたが、内容に不備・誤りがありましたため、2019/9/14に公開を停止させていただきました。修正の上、2019/10/1に再公開させていただきました。関係者の皆様にご迷惑をおかけし、まことに申し訳ございません。
本日のテーマ:『スカルキング』 8.意味不明な内容も混ぜておく
与力さて、出版するということが決まって作業が始まります。そこで先ほどからお話して頂いでいるルールの雰囲気がどうなのかとか、説明文の読みやすさとか、トリックテイキングを簡単に伝えるにはどうすればいいのか、という中で……
店長はい、ブラックベリーパイの話が出てくる訳ですね。
与力なんなんですか、ブラックベリーパイって。
店長実はですね、拡張ルールの裏面に、かなり空きができるんですよ。
与力ん? どういうことです?
店長基本ルールほど分量が無いので、拡張ルールページの方は、わりと空きがあるんですよ。なので、グランパ・ベックさんの別の商品紹介ページとかになってるんですね。
与力ははあ、なるほど。
店長ただ、日本では買えないので、そこは削らせてもらって、FAQとか用語集に使わせてもらいました。ところがですね、「グランパ・ベックは家族でやってる会社ですよ」っていう紹介の所に「娘のロニーが作った美味しいブラックベリーを食べて、みんなでハッピーになってください」みたいなことが書いてあるんですよね。
与力急に近所のおじさんみたいなことを言ってきますね。
店長それで説明書の最後に、ブラックベリーパイのレシピが載ってるんですよね。これ、翻訳するか非常に迷ったんですけど……。
与力そりゃ迷いますよね、ふつう。
店長ただ、リゴレによくいらっしゃるボードゲームデザイナーの方がですね、「こういうのを和訳するから面白いんですよ、絶対やった方がいいですよ」って、ものっすごく熱くおっしゃられたんです。
与力ほほう、そこに妙味が、と。
店長それで、「えー、それじゃやろう」ってて思って、日本語版の説明書にも載せるに至った、という話なんです。
与力なるほど。ということは、『スカルキング』を買うと、もれなくご家庭で美味しいブラックベリーパイが作れるようになる、ということですね?
店長……そうですね。作れる、と思います(笑)。
与力これはだいぶ新しい特典ですね、レシピが載っているというのは。
店長ただ、ここはもう責任持たないですよ。このレシピで僕作ってないですから。
与力えっ、テストプレイしてないんですか。
店長(笑)テストプレイしてない、できませんって(笑)。あの、知り合いの料理人の方にお願いして作ってもらって、発売日に食べてみようかなあ、とは思ってるんだけど……これはね、ここテストプレイはしないでいいでしょう(笑)。勘弁してください。説明書読んで、ゲームすることは致しましたが、グランパ・ベックご自慢のレシピまでは検証してないです(笑)。
与力ああ、じゃあ「ほ~らく奉行所」でやってみましょうか。
店長頼みますよ(笑)。もう、これも大変だったんですよね。画像がないから画像送ってもらったりして、大変だったんだよなあ。
与力まさかゲームの日本語化で、ブラックベリーパイの作り方について翻訳することになるとは、しかもその作業が大変だとは、ですね。
店長そうですね。いやもうホントそうですね。
本日のテーマ:『スカルキング』 9.翻訳作業の経験
店長あとですね、今回、三人体制でルールの部分を作ったんですけど、一番最初の翻訳、全文翻訳。その後に文の整形と、表現何かのちょっとおかしいところを直す。で、DTPという分担ですね。
与力ふむふむ。
店長そういう流れでやったんですけどね、色々あって結局デザイナーさんの負担が大きくなっちゃって。その、和訳チェックをしてくれる人ですね、日本語文に出来上がった段階の誤字脱字チェックは、誰かにやってもらえばよかったなあってちょっと思ったかなあ。
与力校正の手順ですね。
店長そうそう、校正作業って大事なんだなあってすごく思いました。校正だけでも本当に大変です。すごいミニマムなプロジェクトでしだけど、出版社の苦労が分かりました。
与力厳しい作業だったんですね。
店長やってよかったですけどね、全部経験値になりますから。これから人に仕事頼む時に頼み方が分かりますしね。「これって大変な仕事だから、こういうお願いの仕方はできないな」とか。
与力発注側としての基本的な立ち位置が分かった感じなんでしょうか。
店長今回は『ワードスナイパー』を作ってくれた堀川さんがDTP作業を全部やってくれたんだけど、ちょっとね、本当に大変な思いさせてしまったかなあ、と。恩を返していかないといけないです。
与力なるほど、前向きに捉えれば、リゴレのゲーム出版社としての経験値が1つ上がった感じですね。
店長うん、大分上がったと思いますね。イチから作るのとは違う大変さがありますし。本当に疲れました。体感的には『ワードスナイパー』を製品化する時の5倍くらい疲れてます(笑)。
与力そんなに疲れましたか。
店長あれをやった時はプレッシャーに耐えるのが大半だったんですけど、今回は疲れたね。やっぱり違う。
与力やっぱり元のゲームがある、という点が違いを生むということですね。ちなみに、そういう疲労やら和訳作業なんかで辛いと感じた時、どうやって乗り越えました?
店長はい、今回の仕事はある意味でどこでもできちゃう作業だったりしますので、どこまでも付いて回ってきますから、脳から離れないんですよね。なので、「1回忘れまーす」って声に出して宣言して区切る、ということですね。
与力オンオフの切り替えというやつですかね。
店長あとは家で作業やってるときは、「ヨーホー」って曲をよくかけてました。『パイレーツオブカリビアン』の。
与力ディズニーランドで流れてるやつですか。それでなんとか乗り切るというか、気分転換をして。
店長うん、そうですね。乗り切れましたね。実はあともう1個平行して動かしてるプロジェクトもあるので、それをどうしようかな?みたいな感じなので。
与力プロジェクトを複数パラレルで走らせるのは大変ですね…。
店長大変ですね。それもよく分かりました。
本日のテーマ:『スカルキング』 10.意思疎通は難しい
与力さて、今回はコストを考えると、印刷は中国の工場にやってもらうということになった訳ですね。
店長そうですね。
与力もともとグランパ・ベックさんが韓国語版を刷っている中国のラインを使う、という形だそうですね?
店長そうです。本家の方はヨーロッパで刷っているんですが、うちからすれば配送料の関係もあって、ヨーロッパとかアメリカでやるよりは絶対に中国でやってもらった方がいいから、っていう感じですね。本当はあの、一つの場所でずっと刷ってもらう方が好きなんですけど、『スカルキング』のコンポーネント量だと、ちょっと日本だと厳しいかな、と。
与力お値段的な部分ですか。
店長うん、もちろんそれだけでは無いんですけどもね。
与力中国の工場で印刷するとなると、工場とのダイレクトなやりとりも発生してきてしまうんですか?
店長発生しますね。その方が都合がいい部分もあるんですけどね。ただ、なんかトラブルも生じましたね。
与力ほう、どんな事態が?
店長箱のある部分のあるパーツを、韓国語版準拠の仕様で作るか、英語版準拠で作るか、という話になったんですね。で、「なんか向こうは韓国語版準拠で作るような話になっちゃってるなあ」と思ってたんだけど、こちらは最初からずーっと「英語版で」って言ってきてたんですよ。
与力「英語版と同じ仕様で」と。
店長ええ、原作者にも、工場にもね。原作者には、それは一応伝わってるはずなんですけど、なぜか明確にバチっとした答えが返ってこないんですよ。「英語版ですね、分かりました。それで進めましょう」とは言ってこないんです。なんかフニャフニャした答えだったんですよね。
与力怖いですね……。
店長これはちょっと危ないなあ、と思いまして。で、工場の方にも、何回も同じ質問したんですけど、明確な答えをくれなかったんです。
与力いやあ、それは厳しい。
店長これはこうなるだろうな、ってトラブルの予感を感じたまま二か月たったのかな。そうしたらやっぱり、「韓国語版準拠で作るんじゃないの? 韓国語の仕様になってるよ」って言われて。
与力的中してほしくない予感が的中しちゃった、という。
店長まあ怒りをぶつけはしないですけど、言いましたね。ずっと前から言ってる通り、英語版準拠で作るという話になってるので、ブレントさんにも工場にも「話が違うよ」って。それでブレントさんの方から工場に言ってくれて、工場もやっと理解してくれたんですけどね。ただ、そのせいでちょっとDTP作業が増えちゃって。僕がお願いしたデザイナーさんの仕事が増えたんで、昨日はちょっとイライラしてました。
与力怒髪衝天ですか。
店長怒ってるのが分かるようにメールを書くのもよくないので、こらえましたけど。でも、前から言ってる通りこうでしたよね、っていうのだけは言いましたね。いや、疲れました。
与力予測していただけに、悔しいところですね。
店長そうですね。二か月前から予測していたトラブルを、防ごうと思って動いてたんですけど、結局防げなくて。それで、どうなってるんだ、って話なんだけど。その原因が僕にあるのかなってて思えば成長はできるんだけど、ちょっと腹は立つよね。
与力向こうが人の話を聞いてなかったのが原因ではありますよね。
店長うん、こちらの話を分かってなかった。1個1個返事しないなあっていうところで、怪しかったんでしょうね。
与力やりとりの齟齬があって、工場の方でもその齟齬が続いちゃって、結局のところ大分時間経ったところで、それが発覚した。それで理解が違うことが分かって、結果的に作業が増えてしまった、と。そこら辺はやはり「13時間の時差」、プラス「なかなか直接は行けづらいい場所で作ってる」という点での難しさというのも有るのでしょうか?
店長あるかもしれませんね、確かに。
本日のテーマ:『スカルキング』 11.業界用語の壁
与力例えば『ワードスナイパー』の時だったら、「ちょっと違うなー」と思ったら、極端な話、コストを度外視すれば、印刷所まで足を運べましたもんね。
店長あの、それはやった方がいいと思います。例えば、同人のゲーム作家さんが実物持って渡しに行くのは、大きい仕事だったら絶対やった方がいいと思いますね。
与力こういう風に作って欲しい、という試作品を持参する、と。
店長『ワードスナイパー』の時は、「これとおんなじ仕様で作ってください」って、実物渡しに行きましたね。写真だけだと怖いんですよ、やっぱり。
与力どういうところから怖さがくるんでしょう?
店長そうですね、見えてる仕様と実際の作るための仕様……フォーマットっていうのかな、それが全然違うから、ですね。例えばですけど……これはちょっと簡単すぎて例えにならないかもしれませんが、『組み箱』と『貼り箱』の違いとか、ですね。
与力箱の違いですか?
店長『貼り箱』というのは圧倒的に値段が高い代わりにしっかりしています。『組み箱』はコストパフォーマンスが高いんですけど、強度は控えめ、ですね。
与力やわらかいやつですね。
店長『組み箱』はコスト的に作りやすいのが強みです。反対に『貼り箱』はやっぱり値段が上がりますよね。で、同人ゲームを作るってなった時に、「組み箱で出すのが妥当なのか、貼り箱で出すのが妥当なのか」とかちょっと考えなきゃいけない訳です。特に数を作るとなると。
与力なるほど。
店長そこで単純に箱って知識しかなくて、控えめの値段を想定して、何センチ×何センチの箱で印刷してくださいって印刷所に注文したら、「いきなり高価な『貼り箱』が届いちゃった!」とか。もしくはその逆で「『貼り箱』のつもりでいたら、『組み箱』で見積もりが取られていました!」ということもありえなくもない、訳です。なので、できるだけ持っていった方がいいんじゃないでしょうか。
与力確実に伝える、ということですね。
店長一応、箱に関して少しだけ付け加えると、『貼り箱』って実は相当豪華な仕様なんだそうです、箱としては。それだけにゲームの仕上がりもラグジュアリーなものになりますが、ボードゲーム専門でやっていない印刷所からすると、「過剰……ではないでしょうか?」と思うこともあるそうで。
与力へええ、そうなんですか。
店長『組み箱』の方はお手頃価格ですから、「作ったゲームを幅広い層に届けたい!」という場合には、『組み箱』という選択肢がいいんじゃないかと思ってます。あの、ゲーム自体の値段が2,000円を超えるか超えないかでユーザー層は一気に変わりますから、結構大きな分岐点なんですよね。
与力なるほど、「例えば製作費を抑えるためには箱の仕様も考慮するのもよいよ」と。
店長話を戻しますね。いま普通に使ってましたけど、我々は『組み箱』って単語も、『貼り箱』って単語も、最初は知らない訳ですよ。で、知らない単語ってこの世界、印刷業界には沢山あるし、出てくるんですね。
与力ゲーム制作を始めてみてから初めて知る、という。
店長そう。で、印刷業界の方たちって、互いに基礎知識があるBtoB、会社対会社でやってた人が多いと思うんですけど、ほぼ個人みたいな僕らみたいなの相手でも、「お互いこれぐらい知ってて当然だろう」みたいな感じのやり取りが、ちょくちょく出てきます。よくある誤解ですが、比較的起きやすいから、気を付けた方がいいかもしれないですね。
与力プロが思う以上に、僕らは分かってないって感じなんでしょうか。
店長今回もそういうことを予測してたんですけどね。『ワードスナイパー』で1回仕事して、その時は向こうが使う専門用語とかほとんど分からないですから、毎回迷惑を顧みず聞き直してました。「これってこういうことなんですか」って。
与力教えてください、ってことですね。
店長申し訳ない気もしますが、後でトラブル起こさないために聞き直したんです。それで、これからの仕事でも起きるだろうって言うのは経験してたから、今回は先回りしたんですけどね。でもよかった、「届いたら全然違う仕様だった」とかじゃなくて。
与力意外なところに苦しさが潜んでいたんですね。海外に出すとコスト面では有利になるけれども、不安を抱えながら仕事することになる部分もある、ということでしょうか?
店長そうですね。国ごとの常識も違うから、「まさか、こんなことないだろう」ってことが起こり得ますよね。常識の違いは仕方ないです。
与力常識、感覚的なもののズレはなかなか埋めようがないですからね。「なんで日本人は餃子を食うのに米も一緒に食うの?」みたいなのと同じですよね。
店長そうそう。まあ、そういうレベルだから、もしかしたら僕はこんなに言ってるつもりだったけど、向こうは「あ、そうだったんだ、イッツオッケー」みたいに言ってて、問題が起きたとすら思ってないかもしれない。
与力あり得ますね。
店長結論としては、最終的にはよかったです。主体を持っててよかった。
与力得難い経験ではありますけど、イライラするし、怖い経験でもあった、と。
店長ありましたね。
本日のテーマ:『スカルキング』 12.発売直前あれやこれや
与力ともかく一山超えて、今は最後の状況としては、どんな感じなんでしょうか。(編集注:このインタビューは2019年7月4日に行われました)
店長新たに発生したデータ作成を、僕らのチームのデザイナーにやってもらいたくないので、向こうのデザイナーさんが作ったやつを送ってくださいってお願いしてます。が、向こうのデザイナーさんが旅行に行ってるから、旅行から帰ってくるのを待ってる段階(笑)。
与力(笑)。
店長どうなんですかねえ。トラブルは英語能力で防げたのかなあ。多分防げなかったと思うんですよねえ。ああ、またなにか起きたらやだなあ。
与力まだ何か懸念が残る感じですか?
店長いやあ、今後この先、こんな仕事続けていく中で、また今回みたいなことが起きたらやだなあ、っていう。「全部うちでやらせてください」とか言えればいいんだけど。
与力作業範囲が限られているのが難しさの原因だ、と?
店長そもそもが、出版契約とかライセンス契約とまた違ったやり方でやってる、というのもあるんですけどね。
与力難しいですねえ……。
店長あと多分、メーカーとのやり取りが難しかったからだと思います。相手側もデザイナーさんが1人で色々と切り盛りしておられた訳で、お互い細部まで漏れなくという訳には中々いかなかったということですよね。多分ですけど、もっと大きいメーカーと契約して仕事するのであれば、もうちょっと違った展開になったかもしれませんね。海外との取引に慣れてるところだったら、特に。
与力すると今回は相手方も、アジアのパブリッシャーとやりとりをする経験が多い訳ではなかった、というのが影響したのかも?
店長そうなのかもしれないですね。だからSkypeとか気軽に言ってきてたのかも。「明日の何時空いてる?」とかフランクに聞かれても、「いや無理だよ」って(笑)。
与力「日本時間は何時だと思ってるんだー」って言う。
店長それに「翻訳してくれる人がいないと話すの無理だよ」ってあらかじめ言ってたんですけどね。だから「話すためには人呼ばなきゃいけないから」っていう説明をしなきゃいけなくて。
与力という訳で、もう一波乱か二波乱ありそうな気もしますが、今日が7月4日ですけど、予定ではいつ頃の発売になりますでしょうか?
店長全然見えません!(笑)
与力力強い(笑)!
店長いやあ、夏に出せると思ってたんですけど……もうちょっと夏は厳しいと思うので。
与力なるほど、では年内ですかね?
店長いや、印刷一か月半で、輸送が船便で多分来るから、年内ってことは無いと思います。本当は8月だったんだけど、この感じだとプラス2週間、まあ9月ですかね。8月に間に合うと良かったですけどね。
与力そうですよね。夏休み、友だちといった旅行の宿の思い出に『スカルキング』を、というところが、9月にずれこんでしまってできなくなった。
店長そうなりますね。
与力実に惜しいことをしました。
店長ということで、8月は絶対無理ですね。
与力そうすると、秋の風が感じられる頃には、あなたも海賊になれる、と。
店長なれるはずです。もっと早いといいなあ。
与力分かりました。ちなみにご参考までに、お値段はどのくらいで予定しているんでしょう。
店長うわあ、ちょっといいづらい。予定より高くなった場合が困るんですよね……。
与力3,000円以内では収めていきたいというところですか?
店長うん、2,000円台の……できれば前半ですね。2,500円は超えたくないです。2,500超えたら僕が買うかどうか非常に微妙になるから。
与力あ、なるほど。自分でこのゲーム内容でこの値段で買うか? 納得して買うか?ってところですか。
店長そんな感じで考えてます。
与力最後に話がまた一周して戻ってしまうんですけれども、『スカルキング』、「どういうシーンでどういう人に遊んでもらいたい」っていうのは店長の個人的な期待がありますか?
店長はい、まず高校生に学校で……学校で遊んでいいのかな? うん、学校で、3年間ずっと遊んでも3年間飽きないし、かっこいいから、やってほしいですね。やれ。
与力なるほど、命令ですか(笑)。
店長学校でね。青春を『スカルキング』に捧げろ(笑)。
与力高校生に厳しいですね(笑)。
店長それと、大人にもOKです。お酒飲みながらこれやると多分カッコいいです。で、ルールに慣れるまでちょっと時間かかるから、ダーツとかビリヤードとかを覚える感じで、『スカルキング』も覚えてください。
与力最初の方に仰ってましたけど、パーティーゲームやワードゲームでバーッと盛り上がっていたけど、ひと段落して、少し頭を使うゲームをやってみたいな、となった人も入りやすいゲームですね?
店長入りやすいですね。6人って人数としてもちょうどよかったりするんで、6人で大人っぽいゲームやりたい人、おススメです。
与力何回か遊ぶと勘所がつかめてくるゲームではありますよね。
店長うん、そういうところがあるゲームです。最初の遊び方のおススメとしては、略奪品ルールなし、ボーナス点もあんまり入れなくてもいいかな、と。
与力まずは『スカルキング』のルールのコアを楽しんでもらいたいということでしょうか。
店長あの、『0ビッド』がすごく楽しいゲームなんですよ。ビッド0で勝つ勝たないっていうのが超楽しいから、ボーナス点無しでやってみて、ルールが分かってきたらボーナス点を積極的に入れると。慣れてきたらボーナス点有った方が、駆け引きや勝ち目が増えて楽しいですから。
与力未プレイのボードゲームファンにもおすすめですね。
店長もちろんです。それから、シュミット版『スカルキング』をすでに持ってる人。この日本語版を買っても絶対損しないと思うんです。アートがまた全然違って、ちょっと大人っぽい感じの絵なので、いいですよ。かっこいいです。
与力なるほど。じゃあ、幅広い層におすすめというか、フィットする感じではありますね。楽しみですね。
店長はい、一家に一個。是非遊んでください。
与力一家に一個、長く遊べるゲームを、と。特に『スカルキング』の場合には、トリックテイキングとしては割と毎ラウンドのことだけ考えていてもなんとかなるルールなので、遊びやすいルールだと個人的には思うんですよ。
店長そうですね。スペシャルカードがいっぱい入って、トリテのルール無視して出せるからですかね。トリテって、手札が悪くてマストフォロー(編集注:一般的に「場に出せる手札を持っていた場合、必ず場に出さねばならず、隠し持つことは反則」とするルール。この場合は「手札が悪くて、選択肢がない状態」)が始まっちゃうと、何もできないゲームなので。
与力完封されることがありますよね。
店長ありますあります。本当に何もできないですから、そこにもマゾな楽しみ方があるんですけど、『スカルキング』は、全部負けるなら、全部負けるってことに自分が賭けてれば、点数を貰えるんで、いいんですよ。手札悪すぎるのも強いですから。曖昧な手札が弱いゲームで、強いか弱いかはっきりしてれば、強いから。それがいいです。
与力いいですね。実に。
店長しかも日本語版は特製リファレンスが付いて、プレイアビリティがめちゃくちゃ上がってます。より遊びやすくしました。
与力納得のサポート体制ですね。さあ、今年の秋はみんなで海賊になろう!
店長本当に海賊になるサポートはできませんけどね(笑)。
ということで、当初予定では前後編でお届けする予定だった≪リゴレぽ 第10回 店長とスカルキング≫はこれにて終了です! 長いインタビューに応じてくださった伸居店長、リゴレファンの皆さま、発売を心待ちにしている皆さまに対し、お時間をいただいてしまったことを深くお詫び申し上げます。
そして、伸居店長が寝食を忘れて制作に没頭したスカルキングの発売は、最新の情報では2019年10月の予定となっています! お楽しみに!