イッツアワンダフルワールド(ボードゲームプレイ感想編)

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『イッツアワンダフルワールド(IT‘S A WONDERFUL WORLD)』を遊んでみた

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【登場人物】

奉行藩の決裁担当。帝国といえば?「世界史でいっぱい見た気がするが、やっぱり大英帝国か?」

与力藩の買掛担当。帝国といえば?「銀河帝国とクライシス帝国ですね」

帝国はとても強い

奉行拡大を続ける帝国の指導者、なあ。

与力はい。よって我々は皇帝です。

奉行帝国っていうと、どうしても悪役のイメージがあるな。ニューヨークの「悪の帝国」しかり、福岡の「邪惡帝国」しかり…。

与力全部野球関係じゃないですか。

奉行こういうイメージ先行、悪いのはたぶん『スターウォーズ』なんだとは思うよ。

与力ちなみに、帝国というのは「皇帝が統治している国家」のことですが、「多民族・多文化を包含して支配している国家」でなければ、帝国の要件を満たしているとは認められない、という考え方もあります。すなわち…。

奉行はいはーい、セットアップ始めますよー。

与力「あ、準備は終わってます」

ゲームの準備は非常に簡単です。ゲームボードをつなげてテーブルの真ん中におき、ラウンドマーカーをラウンド1の表示の部分に置きます。トークン置き場を所定の位置に配置し、対応するトークンをだいたい載せておきます。そして各プレイヤーに帝国カードを1枚ずつ配ったら、準備は完了です。

プレイヤーがどの帝国の指導者かを示し、ゲームの指針ともなる帝国カード。

奉行わしは「北アメリカ王国…」あれ、帝国じゃないのか?

与力これから帝国まで拡大するんですよ。私は「アステカ帝国」ですね。

奉行ちなみにこれ、両面印刷になっとるな。

与力A面とB面ですね。ゲーム慣れするまでは、色々とボーナスの大きいA面の使用が推奨されています。とういうこで、今回はA面で。

奉行相分かった。

戦艦はとてもでかい

『イッツアワンダフルワールド』は4ラウンドの間に、どれだけ勝利点を上積みできるかを競うゲームです。各ラウンドでは、①ドラフトフェイズ、②計画フェイズ、③製造フェイズの順にプレイを進めます。

与力んで、このゲームには“手番順”という概念がないです。説明書にもそう書いてあります。

奉行あっ、だから「最近皇帝になった人」みたいなスタートプレイヤー決めルールが無いのか。

与力各フェイズでは、プレイヤーは同時に処理を行います。で、全員終わったら次のフェイズへ、って感じですね。

奉行ふうん、なんか新感覚。

①ドラフトフェイズ

このフェイズでは、各プレイヤーが配られた発展カードの中から必要だと思うカードを1枚取り、残りを隣へ渡し、また1枚選んで隣へ渡す…という、「ドラフト」を行います。

奉行第一巡選択希望カード、奉行。「プロパガンダセンター」。資金。

与力あー、指名順を活かしてこのカードを取ってきました…いや、ドラフト中継ごっこはともかくですね。このフェイズでは、カードゲームで運の部分をコントロールするために使われる「ドラフト」をやります。

奉行何枚ずつ配られるのだ?

与力通常は7枚で、7枚欲しいカードを手元に置きます。ただ、我々は2人プレイなので、10枚配られて、そこから7枚です。残ったカードは捨て札となります。

奉行指名漏れがある訳だな。また4年、あるいは2年後に力をつけて…。

与力なんかやたらと野球の話を引っ張りますね?

5巡目まで選択した与力のカード。手探り感がかなり出ている模様。

奉行ところで、だ。

与力はい、なんでしょうか。

奉行何を基準にカードを取ればいいんだい。カードの強弱がよう分からんので面白そうなカードばっかり選んでおるのだが、これはマズいのでは?

与力そうですね。それをまず説明しなければダメでしたね。

発展カードの例。飛行船と言えば、ヒンデンブルグなのかマグロツェッペリンなのか。

与力ゲームで必要な情報は、このカードに全部詰まっています。まず、カードは5タイプありまして、これは黒の「軍用機」です。

奉行ふむふむ。

与力で、左上がこれを“製造”するために必要な資源です。黒い「エネルギー」キューブが2個ですね。で、製造された後、このカードが産み出してくれる資源が、一番下です。毎ラウンド青のキューブを1個ですね。

奉行ざっくり、左上の数や色が少ないほど製造しやすく、多いほど作りづらいが強くなる…みたいなことか。

与力そんなところです。で、右下がドラフトしたものの、製造せずにリサイクルに回した時にもらえる資源です。このカードなら青のキューブ1個です。

奉行ふぅん?

与力まあその、全部のカードが製造できる訳でも無いですし、あるいはドラフトによくある「そんなに要らないけど、隣のプレイヤーが取ったら厄介そう」なカードを取ってしまった場合でも、意味合いが出ますよ、と。

奉行なるほどな。ともかく、見た目にアイコンとかがゴチャゴチャしてるカードが強い、ってことだけ覚えておこう。

与力説明前とあんまり変わってないような。あ、あと製造すると即座に何かもらえるというカードもあって、それは産み出す資源のやや上あたりにアイコンが描かれていますよ。

プレイヤー3人以上の場合には、奇数ラウンド・偶数ラウンドでカードを渡す向きが変わることに注意。

②計画フェイズ

このフェイズでは、ドラフトしたカードを、次の製造フェイズで資源を費やして構築するグループと、不要なのでリサイクルに回すグループに分けます。リサイクルするカードは全て捨て、対応する資源キューブを受け取ります。

奉行ここでリサイクルに回すと、資源がもらえるということだな。

与力そうですね。リサイクルで手に入れた資源は、構築する予定のカードの上に乗せるか、自分の帝国カードの上に乗せておくかを選んでください。

奉行帝国カードの上に乗せるとどうなるんだ?

与力どの色でもとにかくキューブが5個貯まると、クリスタリウムキューブ1個に変換できます。クリスタリウムはどの資源の代わりとしても使えますし、それ自体必要になることがあります。

奉行ふうん、5個貯めれば切り札になる、と。貯めている最中にやっぱり使いたくなったときは?

与力ダメです。帝国カードの上に乗せた資源キューブは、その色の資源としては使えなくなってしまいます。

奉行あ、単純な貯蓄って訳では無いのね。

与力ちなみに、製造するつもりで手元に残したけど、やっぱりリサイクルする、ということもできます。ただしその場合、手に入れた資源は帝国カードの上に乗せるしかありません。あと、カードの上に資源キューブが乗っていたとしても、全て廃棄されます。

奉行うーん、リサイクルはやはり決まった手続きを踏んだ方が良いのだな。

③製造フェイズ

このフェイズでは、各プレイヤーは、自分の手元の帝国カードと発展カードが産出する資源を、対応したフェイズで受取り、発展カードの構築を目指します。

ちょっとアップで再掲します。

与力製造フェイズでは、資源産出の順番が決まっています。このボードの左から右、ということですね。これは絶対に変わりません。

奉行だから左から右に矢印っぽくなっていたんだな。最初は常に灰色の歯車…建材か。

与力で、自分の帝国カードと構築済みの発展カードの産出する資源アイコンを見て、対応する色のアイコンが有れば、その数だけキューブをもらう、と。

奉行もらったキューブを好きなように配置する、そういう仕掛けになっとるわけじゃな。

与力の帝国。灰色1、黒2、青4個の資源を産出する。

与力その通りです。それから、完成した発展カードは次の資源産出から即座に能力を発揮します。

奉行じゃあ、その順番もある程度考えないといかんのだな。「灰色で黒を算出するコレを構築して、で黒で黄色を産出するこれを…」みたいに。

与力ですね。手に入れた資源キューブは余らせておくことができない、つまり必ずどれかのカードに乗せないといけないので、無駄が出ないようにうまく調整する必要がありますね。

奉行計画の見通しをしっかり立てておかないと…。

与力あと、各資源を「単独で最も多く」産出できたプレイヤーは、ゲームボードに描かれている人物トークンを1個もらえます。これは最後に得点になりますんで。

奉行ギリギリまで絞るのではなく、沢山資源を産み出すことも大切か。うーむ。

与力で、製造フェイズが終わったら次のドラフトに入ります。

以上の手順を繰り返し、4ラウンドが経過したら得点計算を行って、最多勝利点のプレイヤーが勝者となります。

奉行勝利点が何点かは、ゲーム中つねに確認できるから、だいたい予想はつくね。

与力そうですね。固定でもらえる点、カードタイプ×何点というコンボ点、あと人物トークンの点と、大まかに3つですから、視認性は非常にいいですね。

イッツアワンダフルワールド
やたらと宇宙開発に進んだ奉行が71対43と与力を圧倒して最強帝国の座につく。

奉行やっぱ近未来的世界帝国は北米だな。

与力私は夢を追い求め過ぎたのが敗因だったと思います…。

『イッツアワンダフルワールド』【ここがイカス!】

奉行わしの好きなタイプのゲームだね。

与力いわゆる、プレイヤーインタラクションが少ないゲームですね。

奉行わしは常に邪魔されずに手を伸ばしたい人だからね。少なくとも、この2人プレイでは邪魔はほぼない。

与力ドラフトの部分で取れる取れない、以外のプレイヤー間の関わりは希薄ですもんね。人数が増えても影響はそんなにないかも?

奉行それが全体的なプレイの快適さにつながってるかな。計画通りに全部まとまると、実際やっぱり嬉しいもんだよ。拡大再生産の楽しみここに極まれり、だよな。

与力激賞ですね。

奉行カード表記の意味合いが分かってしまえば、プレイ自体は「取って」「捨てるか、残すか」「アイコンと同じだけキューブを貰って配置」だけなので簡単だし、ダウンタイムも無いし…いいことずくめだな。

与力相当気に入っておられますね。

奉行しかもまあ、4ラウンドでキレイにストーリーまで収束するもんだよね。

与力それは結構ラッキーな展開だったのかもしれないですけど。

奉行かつて宇宙へ行っていたスペースシップが発見された「国定史跡」から「巨大タワー」、「月面基地」建造につながり、果ては「ソーラーキャノン」配備で覇権を握る。さらにその裏では宇宙人を研究する「機密研究所」が…。まさに世界帝国への道筋だよ。

イッツアワンダフルワールド
奉行朝北アメリカ帝国の業績。完成した帝国に物語を考えてあげるのもまた一興。

与力まんまアメリカって感じですけどもね。

奉行正統派、ストロングスタイルのアメリカよ。ンフフフフ。

イッツアワンダフルワールド
なお、与力帝国の最終形態(抜粋)。もはや無茶苦茶。

与力「バミューダトライアングル」「契約の箱」の発見から「ソロモン王の洞窟」探査につながり、その最奥で発見した「パラレルワールド」への扉を潜り抜けて、「若返りの泉」へとたどり着く…という。

奉行なんだそりゃ。ドリームランドにでも行くつもりか!?

与力仕方がないじゃないですか。なってしまったものはそうなったんだから!

奉行だからなのかは知らんけど、お主がずっと“夢”と呼んでいた青いキューブの正式名称って、なに?

与力青は“探査”ですね。

奉行あっ、そう…。なんかもう、わしはずっと夢って呼ぶことになりそうだよ、お主のプレイを見せられたせいで。

『イッツアワンダフルワールド』【ここはちょっと…】

奉行最初のシャッフルが大変だな。

与力カードが膨大ですからね。これはもうカードゲームの宿命みたいなもんですが。

奉行ちょっとカード自体も柔らかい気がするので、ハードに遊ぶ人はカードスリーブが有った方がいいな。箱裏にカードサイズが書いてあるので、対応しているスリーブを用意すると良い。

与力『ドミニオン』なんかと同じですね。

奉行ゲーム的には、そうさな。プレイヤー間のかかわりがほとんど無くて、みんなで集まってソロプレイしている感じ、とも言えるよな。

与力それをよしとするかしないか、ですね。

奉行互いの知略軍略を競い、丁々発止のやり取りをするゲームが遊びたければ、他に求めた方がよいかもしれん。

与力各プレイヤーがある程度全力を尽くした結果を競うゲームですからね、これは。

奉行ゴルフ的と言えるかもしれんな。

与力私個人的な意見としては、説明書に舞台設定とか用語とかの説明がなかったのは、ちょっと惜しいなと思いましたね。どっかにあるのかもしれませんけど。

奉行でたな、設定好きTRPGプレイヤー。

与力なんで地球が五大帝国に分裂しているのか、それぞれの帝国はどんな特色を持っているのか、人々の生活は…まあ、ゲームへの没入感を高めるために少し知りたかったな、と。

奉行『フォールアウト』みたいなことでいいんじゃない?

与力まあ大体それで納得して遊んでいましたけどね。なんか、独自の世界設定があるのであれば、読んでみたいなあ、という。

奉行読者諸氏からの情報をお待ちするとしよう。何か元ネタとか原作とかあるのかね。

与力そういえば、SF系ゲームは日本市場では苦戦しがちと聞きますが…。

奉行どうなんだろうね。『テラフォーミングマーズ』とかこの『イッツアワンダフルワールド』とか、SF要素があっても、ゲーム自体が面白ければ、自然と遊ぶ人は増えていくんじゃない?

イッツアワンダフルワールド
知りたいと言えば。

与力左の投資家から若干の唐沢寿明さんを感じるのです。異論は認めます。

奉行うーん。難しいところじゃな。

与力で、右の将軍も誰かに似ている気がするんですよ。でもなんか出てこない。

奉行まさか、それを知りたいのか?

与力「似ているのはこの人じゃないですか?」というご指摘、ございましたらぜひお寄せください。よろしくお願いいたします。