リゴレのレポート≪リゴレぽ≫ 第10回 店長とスカルキング その2(2019.7.4)

ボードゲーム愛好

前回までのあらすじ:店長はローカライズ作業で疲労蓄積、赤コンディションです。

【リゴレのレポートって?】
「一生遊べるボードゲームをお客様にご提案したい」リゴレ店長と、「一生ボードゲームで遊んでいたい」ほ~らく奉行所の与力が、横浜中華街の片隅でそっと繰り広げるボードゲームトークの様子をつづったレポート、略して「リゴレぽ」です。
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【登場人物】

与力ほ~らく奉行所ボードゲーム方の買掛担当。海賊と言えば『海賊と商人』は買おうかどうか迷ったことがあります。なお、本人は船酔いするので船は苦手な模様。

店長横浜のボードゲームショップ・リゴレの伸居店長。最近、午後3時くらいになると睡魔との戦いになります。

 

与力さて、「実はゲーム慣れしている人の方がトリックテイキング(以下、トリテ)は難しいと感じているのでは」という話題になっておりましたが。

店長ええ。例えば「将棋って簡単ですか?」って聞かれたときにどう答えるかなんですけど、多分、竜王とかに聞いたら、それこそ「簡単」って言わないと思うんですよ。

与力今の竜王……広瀬章人竜王はそうおっしゃるでしょうか。

店長(笑)。僕は「ルール説明するだけだったら簡単」って多分言うと思うんですよ。「何回かやれば覚えられるよ」って。でも強くなるとか相手に勝つとか考え始めると、簡単ではなくなりますよね。

与力理論や戦略を突き詰めていくと、途端に難しい訳ですね。

店長将棋に限らず、囲碁でもオセロでもそうじゃないですかね。だから深みを知っている人は簡単って言わないし、トリテのゲームもそういう要素が若干あると思っています。

与力なるほど、確かに「カードを出すという動作だけ」のゲームであっても、そこから何手番も先を読んだり、相手の手札を推測したり、頭の中は忙しいことがありますね。

店長その一方で「根底ではどうかな?」ってところがあります。例えばボードゲームが盛んなドイツでは、大人だけでなく子どもたちも楽しそうに遊んでますからね。遊んで楽しむっていう点では、そんな難しいことはないはず。もちろんルール覚えちゃえば、ですけど。

与力案ずるより産むがやすし、みたいなとこですか。

店長そうですね。で、トリテである『スカルキング』は、楽しむための要素がすごく強くて。というのも、ゲーム展開が派手なんですよ。特に、点数の入り方と減点が大きい。

与力理詰めで進むタイプとは異なる、という特徴があるんですね。

店長それで意図しているのが、「Family Favorite」って書いてあるところです。「あなたの台所が盛り上がりますように」って感じで書いているんです。

スカルキング 日本語版 リゴレ 伸居店長
海賊一家になろう!的な。

与力ははあ、家族で楽しんでね、ってことですね。

店長そう、『スカルキング』はそういう遊び方に最適なんです。トリテルールで縛られて、でもスペシャルカードで逃げ出すっていう感じが。遊んだプレイ感は凄く軽いんですよ。

与力それはなかなか。まったく異なる属性を備えているようですね。

店長トリテ界のパーティーゲームかもしれないです。

与力だからこそ「このゲームを世の中に広めていきたい」となって、日本語化にあたって色々工夫をすることにした、と?

店長広めたいっていうか、理解しやすくしていきたいっていう意味で言うと、まず「リファレンス動画を作る」っていうのと、「各地でイベントやるよ」っていうのと、サマリーカード、リファレンスカードっていうのが英語版でも入ってるんだけど、それをすごく分かりやすい日本語版のやつに差し替えました。そんな感じです。

与力さらっとおっしゃいましたが、盛りだくさんな内容で困ります(笑)。では、ここまでのおさらいとして、遊ぶにあたってルールの難易度とかでプレイヤー側に懸念はない。むしろ「面白いよ、どんどん遊んで、広まってって!」という勢いですね。

店長ですね。特に日本語版のリファレンスカードは自信が有ります。

与力お、どんなところにですか?

店長『スカルキング』は特殊カードを含めてカードの強さのヒエラルキーがあるんですけど……これが結構ゴチャッとしてるんですね。それを1枚ですごく分かりやすくまとめました。

与力プレイ中は説明書ではなくてこれを見ればOK、的な?

店長そうですね。これを側に置いとけば多分しっかり遊べます。具体的には、『スカルキング』独特のややこしさって言われている、「マーメイドがスカルキング倒して、スカルキングが海賊倒して……」みたいな関係も、これを置いとけば大丈夫。

与力なるほど、特殊カードが『スカルキング』の面白い要素であるけれども、その関係性がすごくごちゃごちゃして覚えるのが面倒くさいところがちょっとしたハードル。でもリファレンスカードでいきなり全部覚えておかなくても、都度参照できるから安心、と?

店長そうですね。あ、もちろん、特殊カードは段階的に遊んでいっても全く構わないんですけどね。

スカルキング 日本語版 リゴレ 伸居店長
なお、英語版リファレンスカードはちょっと見づらい。

本日のテーマ:『スカルキング』 5.翻訳コンニャクって超偉大

与力なるほど、ここまでのお話は納得いたしました。

店長ありがとうございます。

与力次に「じゃあこの面白いゲームの日本語版出すぞ!」という話になってくる訳ですが……。

店長はい、そうですね。

与力まず前提として、『スカルキング』独特の海賊という雰囲気、テーマ性というものを壊さない。なおかつ目指すのは、トリテを遊びやすいように、さまざまな使いやすくなる仕掛けを盛り込んでいくという調整をしよう、といった感じですか?

店長その通りです。

与力うーむ。ルールそのものは全くいじらないものの、「ルールの伝え方の調整」が必要。そこには非常なご苦労があったと思うんですけれども、是非そこら辺のご経験をお話いただければ、と。

店長分かりました。まずですね、トリテを説明する時に、図式が絶対に必要だと思ってたんですよ。

与力カード同士の関係を図にして明示する、ということですね?

店長はい。ですが、デザインに関してはむこうの制約があったんで、大幅なデザインの変更はできないんです。要は「ルールブックを一から作るのはだめ」と。

与力おや、日本語版オリジナルの説明書、という訳にはいかなかったんですか。

店長そうなんです。なので、元からあるデザイン、要するに絵の位置がもう決まっちゃってるし、項目も決まっちゃってるから、そこに合わせてやってかなきゃいけないと。だから図式を使うっていうのは無理になっちゃいました。

与力いきなり挫折話からですね……。

店長その上、「雰囲気やテーマ性を損なわずに」って話なんですが、翻訳、言葉が本当に物凄く厄介で。というのも、「英語って絶対、日本語に直訳できない」です。ここは断言しておきます。できない(笑)。

与力力強いお言葉ですね(笑)。

店長まあ言語が違うから無理筋なんですけど……例えば、この箱裏の煽り文句ですね。“Prepare yerselves…”。

与力yerselvesってのがあんまり聞きなれないですね。yourselfじゃなくて?

店長多分、海賊感が出る言葉なんでしょうかね。“Prepare yerselves for an epic battle of the bids.”。そのまま訳せば、“伝説的ビッドバトルに準備せよ”、みたいなところですか。

与力……伝説的ビッドバトルですか。

店長和訳するとそういう意味なんですが、これで何かの煽り文句になってるかというと、なってないでしょうし、意味が分からない。

与力ははは。奮い立つ感じよりは、輸入食品に貼ってある微妙な日本語説明シールみたいな脱力感がきますかね。

店長で、“prepare”って単語はよくRTSとかゲームやってると出てくるんですよね。“prepaer for battle”、つまり“戦いに備えよ”とか。英語圏だったらワクワクする文字列になる。“包囲攻撃の準備をせよ”っていったら、“prepare for siege attack!”とかね。それで英語圏内の人がワクワクするんだけど、これそのまま訳すと“準備せよ”。でも「“準備せよ”でワクワクできますか?」って話なんですよね。

与力はー、「なんかリュックに詰めるのかな?」みたいなニュアンスになっちゃいますね。

店長そんな感じです。だからそこは敢えて“覚悟せよ”と言いかえるか、でも覚悟なんて意味は“prepare”には含まれてないから……と。しかし煽り文句なんかは相当意訳しましたね。じゃないと乗れないです。

与力なるほど、直訳では作品の魅力半減ですか。

店長意味は伝わっても、売り物にならない日本語になるんですよ。要はGoogle翻訳かけた時に、変な日本語できるじゃないですか。ああいう文章ができてくる。その辺がやっぱり苦しい。

与力ともかくゲームが遊べればいいや、ではなくて、ゲームを全体的に仕上げて飾り付けていくところまで考えると、言語の違いはハードル高いんですね、やはり。

店長そうなんです。それから原語版だと、相当ルールブックの中で遊んでるんですよ。唐突に「ゲームに負けたら皿を洗え」とか書いてあるんですよね、説明の合間に。

与力皿洗いですか(笑)。

店長僕、そういうの急に入ってくるのが大っ嫌いで(笑)。いや、雰囲気は好きなんですけど、読みづらくなるんだよね。説明の中に冗談を入れちゃうパターン。

与力おや、ぶっちゃけましたね(笑)。

店長口頭だったらまだいいんですけど、文章だと違いが分からないじゃないですか。この場合は「え、お皿カードとかあるの?」とか探してしまう人が多分出てきます。「皿を洗うってどのカード?」ってね。

与力ははあ、説明文の中に冗談は入ってこないだろう、と思う人に被害が及ぶパターンですね。

店長そういうのを、残しても大丈夫な部分と残しちゃダメな部分に分けるのと、削るところは批判覚悟で削ってしまうのと、という選別ですね。その辺がちょっと大事だな、と思いました。

与力フレーバー的な所を削って、一方で雰囲気は残して、みたいなジレンマというかバランスというか。

店長そう。フレーバーを全部削るつもりもないし、残ってるところは沢山残してるんですけどね。その辺かなあ。個人的に『アグリコラ』のルールが読みづらいのも、ウヴェ・ローゼンベルグが良く出てくるせいだと思うんだけど(笑)。

与力(笑)。前に出過ぎだっていうことですか。

店長「パンは美味しいよね」とか急に言われても。

与力「こちとら朝から干物と白飯なんだよ!」みたいな?

店長それはまあそれこそ冗談として。話は戻すと、吹き出しとかにそういう冗談を入れられたらよかったんですけど、デザイン追加はできないという制約が、ここでもハードルになってしまって。その辺も悩ましかったです。作りながらびくびくしちゃう部分も無きにしも非ず、でしたね。

与力雰囲気を楽しむべきゲームではあるけれども、雰囲気を優先してしまうと分かりやすさが損なわれる。難しいバランスになりますね。

店長でも、絶対に0か100かの話ではないんです。0から100の間、どう残してどこを削るか、っていう調整を重ねました。

与力分かりやすさを確保しつつ、雰囲気は残す、というさじ加減ですね。

スカルキング 日本語版 リゴレ 伸居店長
「訳し方ひとつでイメージがガラッと変わるから、怖いですよね」

本日のテーマ:『スカルキング』 6.分かりやすい翻訳なので?

店長あと、英語って幾つも訳し方がありますよね。例えば“expantion”って単語を見たら、“拡張”って言いますよね。僕らゲーマーですからね。

与力反射的にそうなりますね。

店長ところがある友人に「“expantion”って“展開”って意味だよね。和訳間違ってるよ」って言われて。もう吐きそうになりますよ(笑)。

与力ははあ、そういう違いが。

店長いやもう、ホントそういう見方をする人もいる訳ですよ。他に例えるなら、そうですね……「ファイアーボール」ってあるじゃないですか。

与力ファンタジーが好きな僕らには基本の攻撃魔法ですね。

店長あれを、「火球」って訳すとちょっと……なんだろう、その筋の通っぽさがでるの。漢字二文字ですね。

与力「火球」も表現としてはありますねえ。

店長で、カタカナで「ファイアーボール」ってそのまま書いても僕はいいと思うし、あとはちょっと物語っぽく「火の玉」って訳してもいいと思う。

与力「炎の弾」なんて表現もできますかね。カタカナと平仮名と漢字、漢字の組み合わせで、受けるニュアンスが異なってきますねえ。

店長ゲーマーは割と「火球」が好きなんじゃ、と思っているんですが。MTGとかでお馴染みですし。でも、そういう訳し方すると、ルールブックが漢字だらけになるんですよ。そうすると完成したルールブックが読みづらくなる。

与力平仮名と漢字の読みやすい割合ってありますもんね。ゲーマー向けにすることで、そんな問題が生じるち。

店長あくまで可能性ですが。その辺の問題もあるから、言葉のチョイスというのは、「そうは見えなくてもセンス出ちゃうな」ってのはあったかもしれませんね。特に元があるゲームだけに、っていう印象です。自分たちで作ったゲームに自分たちで作ったルールブックを付けるのとはまた違った気の遣い方をした気がします。

与力なるほど。「火球」という基本通念があるグループに対しては「火球」で通じる。けれども、逆にそういう通念が無い人からすると漢字だらけの読みづらいルールに見える。でもそちらを気遣い過ぎると、ゲーマーの方にしてみれば「もっとストレートで分かりやすい表現有るのに」ということになる。そこのところの調整なんですね。

店長そうですね。でも、ともあれ「“熱い火の弾だ”ってのが分かればいい」だと思うんです。一番大事なのはそこですね。

与力ああ、半端なく熱いのが飛ぶぞ、と。

店長「この攻撃魔法は炎で敵をやっつける魔法だ!」っていうのが伝わる訳し方にしなきゃいけないから、それをどう考えるかっていうのもありますね。でもそういうのは、それこそアートとかに引っ張られたりもしますね。

与力ふむ、ビジュアル的な印象ってやつですか。

店長引っ張られた方が多分いいんだとは思いますが。あとゲーム全体の雰囲気ですね。童話調の牧歌的なドイツゲームだったら多分「火の玉」の方がいいし、とかですね。それこそMTG的なアメリカンゲームだったら「火球」の方が良いかもしれないし、みたいな。そういうところを考えるので、すごい大変でしたね。

与力確かに気が遠くなりそうです。この翻訳作業、全てお一人で?

店長いえ、和訳の一番最初の作業、下訳ですね。これを知人にやってもらって、そこから文章の編集と表現の調整を僕がやりました。

与力つまりはある意味、店長のセンスが反映されている訳だ、と。

店長なので頭を悩ませましたよ。それこそ翻訳してくれた人は「火球」は「火球」として上げてきますし。あとは例えば、海賊旗って「ジョリー・ロジャー」っていうんですよね。でもそれをルールブックに書くのはちょっとナンセンスすぎると思うんです。

与力知らない人にとっては、全く分からない単語ですね。

店長で、とりあえず「ジョリー・ロジャー」で上がってきたのを、それを「海賊旗」と訳すか、「黒旗」にしようかなあ、とか、「旗」にしようかなあとか色々迷うんですよね。そういう作業は全て私がやりました。一番怒られるところです(笑)。

与力「これは翻訳がセンス悪いよー!」とか言われちゃうとこですね。

店長昔、有名な字幕翻訳家の方が『スターウォーズ』の翻訳をしたときに、「ライトセイバー」のことを「電光剣」って訳して批判を浴びたんだけど、一応、電光剣でも間違ってはいないんですよ。あくまで間違っていないだけですけど。

与力「ボランティア軍」のアレですか。

店長「ボランティア軍」(笑)。

与力まとめると、世界観的な雰囲気を損なわず、かといって分かりにくすぎるフレーバー要素は削りつつ、ルールブック全体としては読みやすいものにする。いやあ……実に非常に気を使う繊細な作業ですね。

店長大変です。本当に大変です。一からルールブック組み立てるんだったら、自分の考えた世界で、自分の作った言葉でできるんですが、今回のような場合はそうはいかない。

与力ローカライズ作業って、考えてもみなかった難しさがあるんですね。

店長よく批判を浴びる部分ですし、僕自身も批判する側だった時期もあるんですけどねえ。

本日のテーマ:『スカルキング』 7.地球規模の作業

与力それでは次に、「作業進めていくにあたっての様々な悲喜こもごもの経験談」というのをお時間許す限りお話頂ければ、と思います。

店長はい。これも結構あるので、まずどこから話そうかなあ。えっと、Grandpa Beck’s Games(グランパ・ベックス・ゲームズ。以下グランパ・ベックと表記)さんの話をしますか。

与力ローカライズするにあたって交渉することになった出版元さんですね。デザイナーのBrent Beck(ブレント・ベック)さんの会社。

店長そうです、出版元ですね。あの、シュミット版『スカルキング』ありますよね。あれはヨーロッパ限定のライセンスで、ワールドワイドでは持ってないんですって。だからアメリカとか日本とかは、うちの持ってるグランパ・ベック版の『スカルキング』で出せますよ、っていうところからプロジェクトが始まった訳ですが。

与力なるほど。

店長面白いなと思ってから、すぐメールしたんですよ。グランパ・ベックのアドレス探して。で、「ハロー、ゲーム出したいんだけど」って問い合わせたら「いいよー」って言われてですね。

与力軽いですね(笑)。

店長そこから数字の調整なんかが始まるんですが、とにかくね、時差が13時間あるんですよ、あちらはアメリカなので。

与力日米間の交渉になるんですね。

店長なので「朝送ったメールが返ってくるのは次の日」みたいな感じなんですね。1個の質問に対して、返事が来るのに1日かかってしまうので、やりとりがなかなか進まなかった。

与力メールは一瞬で届くんでしょうけれども、地理的な距離感をすごく感じます。

店長最初にメールしたのが4月で、5月の後半でやっと形になってきて。だから交渉だけで一か月くらいかかったんじゃないかなあ。「やろう」って意図は、お互いほぼ決まってるんだけど、細かい調整に関するメールのやりとりが結構進まなくて。

与力微調整でそこまでかかりましたか。

店長例えば、出版数の問題がありますよね。何個作りますっていう話で。やっぱり日本ではまだそんなに数作れないんですよ、世界的な基準からから見ると。なので、向こうが「これだけ作って欲しい」って要求してきた数は、こちらからすると「とても無理!」な数だったり。

与力なるほど、そういう意識差はやっぱりあるんですね。

店長それで、そこからこちらの説明を聞いてもらって「じゃあそれでいいよ」ってなるのに、ちょっと時間をかけることになるという。

与力最初、要求数を聞いた時に、どう思われました?

店長あ、それは無理だと思いましたね。「それはやりたくないな」と(笑)。

与力そこから叩いて数を下げていって。

店長そうですね。日本のマーケット情報とか、僕が知っているデータとか渡して簡単に説明して。だいたい日本だとヒット作っていうのはこのくらいの数で、メガヒット作でこれくらいの感じで、みたいなところですね。

与力日本の事情に相当気を配ってないと、あちらもなかなかそういうデータって分からないものでしょうしね。

店長そういうやりとりで、時差があるというのが本当に大変でしたね。その辺でちょっと面白い話がありましてね。

与力お、どんな話です?

店長「それじゃあ作りましょう」「よしやろう」ってお互い合意できて、そこから比較的話は早かったんだけど、あちらに「Skypeで1回話したいな」って言われてですね。

与力国際通話ですか(笑)。

店長ええ。ただ、僕は英語ペラペラしゃべれる訳では無くてですね。メールのやりとりはGoogle翻訳使うんですけど、あれは割と精度高くできるんですよ。

与力へえ、オモシロ英語になっちゃったりしないんですね。

店長機械翻訳って使い方次第で上手く使えるんですよ。箇条書きにするのがコツなんですけけどね。でもSkypeだと話さないといけない訳ですから、英語に堪能な人を1人ブッキングしないといけない。

与力通訳を準備する必要がある。

店長で、あちらの方は、「明後日の何時に話そう!」とか言ってくるんだけど、時差があるから(笑)。明後日っていうのもハッキリしないし。

与力日付変更線ありますもんね。

店長それで、時差時計のスクリーンショット撮って、「JP時間で何時ね。で、そちらの時間で何時ね」っていうのをはっきりさせて、調整したんですよ。それで、英語しゃべれる人に来てもらえるように時間調整して。そこまで準備して、時間通りにPCの前で二人で待ってたら、全然通話に出ない。

与力ひどい(笑)。

店長なんだよこれって感じでね。それで「今日帰ろうか」って話してたら、向こうから折り返しがあって、どうも運転中だったみたいな感じだったんですね。

与力なるほど、それで。

店長そこでお互い初めて顔見たんですけどね、ベックさんはパイロットだか船乗りだかみたいな服装してて、本当になんかその、海賊なのかもしれないと思いましたね。

与力リアル海賊兼ゲームデザイナーですか。

店長で、子供が5人で、孫が17人いるんだって。“グランパ”って“おじいちゃん”って意味ですけど、そこ笑ってましたね。「孫が17人いれば、グランパ名乗ってもいいだろ、HAHAHA」って。「Exactly」って答えときました(笑)。

与力凄い、想像するアメリカっぽさが満載(笑)。いやしかし、現地の出版社とのやり取り、数字とかデータがどうこうのすり合わせが大変そうだ……と素人考えに思っていたんですが、地球規模の問題として、やり取りそのものが大変だったってことなんですね。

店長ですね。地球規模感を感じましたね、久々に。すごく面白かったですけど。

スカルキング 日本語版 リゴレ 伸居店長
「ちょっと電話しようって感じでは絶対ないですからね」

与力時差はどうしようもないですもんね。

店長どうしようもない。ほんとどうしようもないです。そういえばですね、これはむこうの性格なのかなあ。僕の英語能力の問題もあると思うんですけど、3つ質問しても1個しか返事くれないことが多々ありましてね。

与力メールのやり取りに時間がかかった原因ですか?

店長ええ。1回のメールで色々進めたいから、箇条書きで3つくらい質問を書くんですよ。それもちゃんと箇条書きだと分かるために、「1,2,3」って番号ふって聞くんだけど、返事が1個しかないから(笑)。

与力おおい3つ答えてくれよ、と(笑)。

店長若干モヤモヤしながら進めました。僕がせかせかしすぎてるのかなあ、とか、自己認知を進めたりもしたんですけど。いろんな意味で時間は大変でしたね。

与力難しいところですね。

店長ただ、基本的なゲームに対する考えの部分ですね。今、ほんとゲームが市場にあふれていて、そこに新しいものをどんどん出して、どんどん市場に流してくってやり方は、個人的にはちょっと「どうかな?」と思うことが有るんです。あと、うちみたいな小さいところには、そもそもそういうやり方は向いてないですよね。

与力ふむふむ。

店長そこで、いいゲーム、大好きなゲーム、長く遊んでもらいたいゲームって言うのを、1個ずつ力を入れて売っていきたいっていうリゴレの方針ですね、それを熱く向こうに伝えたんです。で、「『スカルキング』は私にとってそういうゲームですよ」って。そうしたら、「それは私もそうだから、考えが近くてそれは嬉しい、ぜひやろう」みたいな返事をもらえました。

与力なるほど、理念が近い同士だといい関係で作業できますね。

店長そうですね。あと、あちらもアメリカから海外に持っていきたいって意識はすごくあったらしくて。で、ヨーロッパには進出済みで、アジアではうちが二か国目なんです。最初は日本語版を向こうで作って、直接売りたいって考えていたらしいんですけど、それは結構難易度が高いらしいんですね。

与力へえ、Amazonとかに卸して売る感じなんでしょうかね。

店長そうなんでしょうかね? ともあれ、だからあちらも戦略的に合致するので、「日本の市場は任せたい」みたいなことは言われました。話がでかいですよね。まあ、リップサービスかもしれないですけど。

与力おおっと。日本総代理店的な?

店長まあまあ。そういう発想であるとは言ってましたけど。でも、そういってもらえるとやりがいはありますよね。

与力気合、入りますか。

店長いいとこ取りされると、こっちもつまんないですからね。

与力それこそ海賊みたいに美味しいとこだけかっさらわれると?(笑)

終わると思っていたのにまだ続いてしまった! 次回、『スカルキング』発売直前! 店長は真の海賊としてブラックベリーパイを焼いてしまうのか!?

最終話となる続きはこちらからどうぞ!

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