ハンザ 原題『Hansa』(ボードゲームプレイ感想編)

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【登場人物】

与力藩の買掛担当。歴史と雑学に溢れる。

奉行藩の決裁担当。歴史は人並み、地理は苦手。

奉行いきなりだが、この“はんざ”とは一体どういう意味か。半左エ門の略か。

与力いえ、ハンザというのは欧州の商人の組合のようなものでございまして。

「ハンザ同盟とは」
13世紀から16世紀に北欧商業で活躍した北ドイツの商人および都市の同盟。リューベックを中心に結集して合同ハンザが生まれ、現地の国王から特権を獲得した。最盛期には200近い都市が加盟し、北海とバルト海で羊毛、毛織物、魚類、鉱物、毛皮、蝋、穀物、塩、葡萄酒などの交易を200年以上支配した。

奉行お、民明書房の書物からの引用でなければ、これは真の話か。

与力当然です。曙蓬莱新聞社でもありませんぞ。

さあ、ゲームの準備をします

各プレイヤーには、以下のものが渡されます。
・販売所トークン×15
・金袋タイル×1
・コイン(ターラー)×3

ボード上の各都市には、商品マーカーが配置されます。商品マーカーは6色×13の78枚ありますが、今回は2人プレイなので2色抜きます。

ハンザ ボード
マーカーを設置

各都市に1枚ずつ、商品マーカーが配置されます。残りのマーカーは5つの山にしてまとめておきます。

ハンザ マーカー
在庫の山?

最後に、各プレイヤーは販売所の初期配置を行います。2つずつ、3回の配置を行ったら、ゲームの準備は完了します。

とにかく金次第なんですよ

奉行で、我らはその商人であるから、金を儲けるのが目的であるのか?

与力と、思うじゃないですか。そうではなくて、沢山の取引を上手く完了させるのが目的のようですよ。

各ラウンドでは、プレイヤーの手番の最初に必ず3コインを得ることができます。しかし、このゲームでのコインの扱いは、プレイヤーの行動回数を決定する、いわば“アクションポイント”としてのものです。

奉行金が無ければ何もできぬ、と。

与力地獄の沙汰も金次第とも申しますし。

続いて、都市の倉庫に商品マーカーが置かれていなければ、補充をすることができますが、引き換えに1コインを支払います。支払いたくなければ補充しなくても構いません。

奉行とはいえどこにも何の商品が無いとなれば…

与力その時は補充しないとダメ、ってことになってます。

ハンザ コイン
コインの保有量が行動の幅を広げる

走れ走れ僕らの交易船

以上の手続きが終わった後、交易らしいアクションが選べます。そして、アクションの鍵を握るのが、交易船です。

ハンザ 交易船コマ
カッコイイ交易船コマ

プレイヤーは、手番中、条件が許す限り何回でもアクションを選択して実行することができますが、その対象は現在交易船コマがいる都市になります。また、1つの都市では、1つのアクションしか行うことができません。従って、アクションの前後あるいは途中に、船を動かして別の都市へ移動していく必要があります。船は、ボード上に描かれた矢印の通りに動かすことができます。

ハンザ
矢印の向きにのみ、船は進める。

与力で、お察しでしょうが、船を動かすのには1コインが必要です。

奉行手を打つためには船を動かす金子が入用という訳じゃな。ところで、自分の手番で船を動かし続けて、同じ都市に戻って参った場合には、行動できるのかな。

与力あ、それはできますね。ですから、まあ自分の手番中、移動と行動は必ず交互に行われる必要がある、と考えておくのが分かりやすいかもしれません。

奉行あいわかったぞ。

ハンザ
さあ、どこの港へ行こうか

与力で、アクションの内容です。

奉行うむ。それを知らねばいたずらに船を走らせるだけになってしまう。

与力乗ってる分には楽しいかもしれませんけどね、それ。

アクション① 商品の購入

都市にある商品マーカー1つを獲得できます。代金は1コインですが、支払先は状況によって変化します。
・その都市に、最も多くの販売所トークンを置いているプレイヤーが代金を受け取ります。
・その都市に、誰も販売所トークンを置いていなければ、銀行が代金を受け取ります。
・複数のプレイヤーが最多販売所トークンを置いている場合、代金は銀行へ行きます。
・商品を買うプレイヤーが最多の販売所トークンを置いている場合、無料で商品が手に入ります。

与力注意するのは、常に買い物は1つずつ、ということですね。

奉行どうしてもそこの二つ目が欲しければ、他所を回ってから戻ってこい、ということじゃな。

アクション② 販売所の設立

都市に販売所トークンを置くことができます。この代金は商品マーカーによって支払われ、プレイヤーは、商品マーカーに描かれている樽の絵の個数分の販売所トークンを置きます。なお、都市ごとの販売所を置く数に上限はありません。

ハンザ 販売所コマ
販売所トークン

ただし、手持ちの販売所トークンが無くなったら、当然置けません。

奉行つまり、価値の高い商品を使った方がよいのじゃな。

与力まあ、そうなるんですが、そうとばかりも言えません。

アクション③ 商品の売却

商品マーカーを売却し、勝利点にします。
商品は、自分の販売所トークンが置かれている都市でしか売却することができず、売却し終えた後は、販売所トークンを1つ取り除きます。

与力おそらく予想がついていると思いますが、沢山樽が描かれている商品マーカーほど、高い勝利点を得られますよ。

奉行むむむ。しかし、売却するためには、交易所を数多く配しておきたい。悩むな。

与力それから、売却の時は必ず同じ色2枚以上の商品を組み合わせて売ります。売る組み合わせはいくつでもいいんですけどね。

奉行つまり、できるだけ同じ色の商品を多く集めて、頃合いのよい所で一気に売るのが上策か。

与力ところが、誰かが商品を売ったとき、売られたのと同じ色の商品マーカーを持っているプレイヤーは、それを1つ捨てなければならないんですよ。

奉行ええい、どうすればよいのか、ややこしくなってきたぞ!!

以上のアクションを好きなだけ繰り返したら、手番の最後に持ち物を整理します。プレイヤーが次の手番に持ち越せるのは、3ターラーと、勝利点にしていない商品マーカー3つだけです。整理が終わったら、次のプレイヤーの番となります。一周したら、1ラウンド終了です。

商品マーカーが消費され、在庫うち、5番目(最後)の山のマーカーを使い始めたら、そのラウンドが最後のラウンドとなります。最後に勝利点を計算して勝者を決定します。

与力勝利点になるものは2つあります。まず、商品マーカー。これは1枚1点ですが、ゲーム中に売却できたものは、描かれている樽の絵分の追加得点がもらえます。

奉行うむ。

与力次に、販売所。販売所を置いている都市1つごとに勝利点が得られますが、販売所を置いているのが自分だけだった場合、その点が倍になります。

奉行なんと。左様な仕掛けがあったか。

与力ですので、商品マーカーは手元に多く集めたい、販売所トークンは色んな都市にばらまいていきたい…という感じでして。

奉行ううむ、売るにせよ置くにせよ、一方は減る訳だ。これは悩ましい…。

ハンザ 結果
2人で悩みに悩んだ結果、奉行がバルト海を制した。

奉行一応、勘定奉行的な位置づけであろう、儂は?

与力そういう設定になるんですかね?

『ハンザ』【ここがイカス!】

奉行初めに遊び方を聞いた限りでは、少々複雑なのではないか、という気もしたのだが、遊び始めると、すんなりと馴染めた

与力プレイしてみて気づくシンプルさですね。

奉行商品の売却周りや、商品購入時のコイン支払いなどを忘れがちにはなるがな。

与力全体の見通しもいいですよね。

奉行情報は殆ど公開されておるし、商品の配置くらいしか、偶然の要素はあるまい。一手一手、碁や将棋のような理路整然としたものを感じたぞ。

与力いわゆる、“アブストラクトっぽい”という表現がぴったりきますか。

奉行一手一手、適当にやっていては勝てない。単純でも奥が深い、考えさせられるところがなかなかじゃな。

与力今回は2人でしたから、結構楽に遊べましたが、3人になると、相当頭をひねるでしょうね。

奉行ぜひ遊んでみたいところだ。

『ハンザ』【ここはちょっと…】

奉行難癖つけるとすれば、ちと地味じゃな。

与力はあ。それは否めませんね。

奉行特に一発逆転の要素とかも見当たらぬし、偶然相手をうっちゃれるような奇手が生まれる余地もない。純粋に盤面を見て、知恵を絞る遊びであるからして…

与力まあ、ダイスとか手札の特殊カードとか、派手なゲームが好きな人には、おすすめできませんか。

奉行噛めば噛むほど、味のあるという系統だとは思うがな。

与力それから、やってることが地味な割に、時間は食いますね。

奉行自分の好きなように行動を組み立てていけるからな。どうすれば最良手が打てるか、とにかくしっかり考えたい。ゆえに、長考気味の者が出てこような。

与力そうですねえ。長考はやむを得ないかもしれません

奉行そうした訳で、できれば少し遊び慣れた者同士で、じっくりと楽しむのを勧めたい。縁側で茶をすすりながら遊ぶなぞ、よいのではないか。

与力おじいちゃんの碁ですか。

ハンザ
見慣れない都市名に慣れるのも大変?

奉行そういえばリレハンメル五輪の開会式は長かったな。全部見きれず、寝落ちしたわ。

与力懐かしいですねえ。