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【登場人物】
与力藩の買掛担当。オランダと言えば?「ヨハン・クライフ。でも世代的んはデニス・ベルカンプ、もしくはパトリック・クライファートですね」
奉行藩の決裁担当。オランダと言えば?「ハウステンボス、出島、風車、チューリップ……我ながら教科書か!」
地域は4色だが、敵は1色
奉行『パンデミック』と言えば、4種類の伝染病というのが御馴染みであったが、これは『パンデミック:クトゥルフ』と同じで、敵はこの水色透明キューブの水コマだけなのじゃな。
与力はい。ちなみに『パンデミック:イベリア』と同じで、最初から拡張ルールが同梱されています。オレンジ色のキューブや何種類かのカードは、そのゲームだけで使いますね。まず今回は基本ルールで遊ぶ様子をお届けします。
奉行あと、基本の『パンデミック』を遊んだ内容についてご参照頂ければ、分かりやすくなるかもしれぬ。宜しければご一読あれ。
まず、50個の堤防コマをボード上の赤い印がある堤防スペースに配置します。そして海水位マーカーを海水位トラックの一番下に、そして水コマを初期配置位置に置きます。水コマを置く場所、数は、ボードに描かれています。
次に、『パンデミック』でもお馴染み、最初の各地域の状況悪化を起こします。「堤防決壊カード」をシャッフルして上から3枚引き、描かれている地域の状況を3回悪化させます。状況の悪化は、
・堤防コマ1個の除去。
・除去できる堤防コマが無い場合には水コマ1個を配置。
となります。ですので、「3個の堤防コマ除去」を行いますが、除去できない分は「水コマを置く」ということです。
奉行あー、伝染病コマが何もないボードに突如どさっと現れるのとは違い、そこそこの治水整備がされている初期配置が破壊されていくのか…。
与力さらに続いて3枚引いて状況悪化2回、も一度3枚引いて状況悪化1回というのも、お馴染みの処理ですかね。あと、地域ごとの「堤防決壊カード」は、それぞれ2枚ずつ入っていますので、ここで1回出たとしても、のちのち安心は禁物です。
奉行なるほど……。しかしこう、あまり馴染みのない地域名じゃから、キョロキョロしてしまうなあ。
プレイヤーにはそれぞれ「役割カード」を配布します。また、人数ごとに決められた「イベントカード」を「都市カード」に混ぜ、よくシャッフルしてから最初の手札として配布します。配布し終えたら、「嵐カード」を残りのカードの中に混ぜて山札を作ります。
奉行『パンデミック』お馴染みの山札作りじゃな。残りのカードをできるだけ均等に分け、そこに1枚ずつ……エピデミックならぬ嵐のカードを混ぜていく、と。
与力入門レベルで6枚入りますから、結構嵐は襲ってくる感じかもしれません。
奉行気は抜けぬな。戸締りをしっかりしておくか。
奉行で、わしの役割はポンプ技師。衛生兵的な立場か?
与力私は倉庫管理者ですね。倉庫管理……ふむ。
水之行、避高而趨下
最期の準備の手順として、「水の流入」を処理します。初期配置で水コマが置かれますが、その地域から堤防で守られていない隣接する地域には、水が流れ込んできます。これでゲームの準備は完了します。プレイヤーコマはボード上の“デルフラント”からスタートです。
奉行おっ、ここで状況の悪化によって堤防が無くなった問題が生じる訳だな。
与力はい。水コマ3個が置かれた地域に隣接している地域には2個水コマを置き、続いて2個置かれている地域に隣接している所に1個を置きます。
奉行ふむう、堤防さえあれば何とかなるが、堤防が無くなると、一気に水が流れ込んでくる可能性がある訳だ。
与力堤防が大事ってことです。でも、壊れるんですよねぇ。
奉行んで、この大水から和蘭を守るためには、何をすればよいのだ。
与力ボード下部に置かれている、4つの水利施設をそれぞれ指定の場所に配置できれば勝利となります。
奉行ほぉ、場所が決まっておるのか。分かりやすいが、移動を強いられる分、いつものワクチン開発より面倒な場面がくるやもしれぬな。
進行はだいたいいつも通り
ゲームの進行は各プレイヤーごとに次の5つのステップを繰り返して進めます。
- アクションを4つ実行。
- (設置済みなら)ポンプの稼働。
- プレイヤーカードを2枚引く。
- 堤防の決壊
- 水の流入
与力名前がちょっと違いますが、ポンプ以外は大体いつものパンデミックですね。
奉行4アクションって、意外と足りないのよな……
1. アクションの実行
移動
与力まあ「1歩ずつ移動」、「今いる地域のカードを捨てて任意の地域へ直行」、「行きたい地域が描かれているカードを捨てて直行」辺りは御馴染みですが、今回ちょっと特殊なのは「港への帰還」というやつですね。
奉行港? ほう?
与力「港」という設備が作れるのですが、この場所へプレイヤーコマはどこからでも移動できるんです。しかも、自分がいる地域に港がある必要は無いという。
奉行ほおお。船移動万歳、じゃな。研究所間のシャトル直行便より便利ではないか?
揚水/堤防の建設
与力いわゆるウィルスコマを取り除くというやつと、水が広がらないように堤防コマを配置するアクションです。
奉行地道な作業になるアクションじゃな。堤防はどんどん作っておくに越したことは。
与力ただ、水コマが1個もない地域でないと、堤防は作れないです。なので、もし水コマがあったら、先に揚水ですね。
奉行そりゃそのまま封じたら溜め池ができてしまうわな。
ポンプ/港の建設
与力研究所を作るのと同じようなもんですね。港の効能はさっき説明しましたが……
奉行ポンプは、まあ排水するのであろう?
与力ご名答でございます。ちょっと面倒な排水システムなんですけどね。
資源の共有
同じ地域にいるプレイヤーと、カードを交換するアクションです。
水利施設の建設
勝利条件となる水利施設を建設するためには、各施設ごとに指定された地域へ移動し、その地域の色の地域カードを手札から5枚捨てる必要が有ります。水利施設は完成すると、一定の恩恵をプレイヤーにもたらします。
与力例えばこの水利施設「デルタ計画」は、海沿いの堤防を強化してくれる施設ですね。
奉行ありがたいが、決定的な威力は持ち合わせぬ感じじゃな。
与力根絶とかはできない相手との勝負ですからね。しょうがないです。
2. ポンプの稼働
ポンプは設置していれば自動的に水コマを取り除いてくれますが、若干扱いが面倒です。ポンプが配置されている地域から「水コマが置かれている地域だけ」を経由して到達できる任意の地域から、水コマ1個を取り除くことができます。
ただし、堤防や海を横切ることはできません。
奉行むむむ?
与力つまり、水コマが置かれている地域が繋がっていて、かつ堤防が壊れている場所にポンプが置かれているとよい、ということですね。
奉行……使いこなすためには、かなりの計画性が必要になりそうじゃな。
3. プレイヤ-カードを2枚引く
与力手札を増やすためにカードを引けます。上限は7枚、8枚になったら捨てたり使ったりして7まで減らすんですが……
奉行おう、こいつがいる訳じゃな。これはいわゆる「エピデミックカード」じゃろ?
与力はい、そうです。こいつが出た場合には……
奉行まあ、エピデミックカードと同じと考えれば、想像はつくぞ。まずはこの「海水位トラック」が上昇し、つづいて「堤防決壊カード」の山札の一番下からカードを引いて公開し、そこに描かれた地域の状況を3回悪化させる。最後に「堤防決壊カード」の捨て札を裏向きにして全てシャッフルし、山札の上に戻す。以上じゃな。
与力さすがです、お奉行。
奉行今後の展開を辛くさせる、いつもの味付けじゃな。
4. 堤防の決壊
現在の海水位トラックを参照し、そこで指示されている枚数だけ堤防決壊カードを山札から引いて公開します。そのカードに示された地域で1回ずつ状況を悪化させます。
与力これは初期配置の時と同じですね。んで、すでに堤防が無く、水コマが3個置かれている地域で状況が悪化したら……
奉行ああ、“洪水”、いわゆるアウトブレイク的なものが発生する訳じゃな。
与力その通りです。洪水が起きた地域から堤防で守られていない周辺の地域に、1個ずつ水コマをバラまきます。もちろん、バラまかれた先に既に3個のコマが置かれていれば、連鎖しますよ。
5. 水の流入
現在のボード上の水コマ配置に従い、ゲーム準備時同様に水の流入処理を行います。
与力これが終わったら、次のプレイヤーの順番になります。
奉行改めて文字にして並べ立ててみると一見面倒くさいが、やっておることはだいたいいつものパンデミックじゃな。
与力とりあえず、堤防を置きながら水コマを揚水しつつ……
奉行港を積極的に作っていくのも大切じゃな。さて、どうかな。
奉行さすがに入門レベルならば勝てたな。
与力勝因はどこにありましたでしょうか。
奉行そうじゃのう、やはり地道な堤防づくりであろうな。あと、行きづらい場所に港を作っておいたのも、妙手であったと思う。
与力いかに水を封じ込めるか、という立ち回りでしたね。
『パンデミック:ライジングタイド』【ここがイカス!】
奉行うん、パンデミック新作が遊べたのがまず何よりうれしい。
与力『クトゥルフ』以来、ちょっと毛色が違うテーマでしたが、やはり良かったですか?
奉行根本のシステムはパンデミックじゃからな。遊びやすさ、面白さの点では安心できよう。水がじわじわと押し寄せてくる感じや、堤防が決壊すると一切制御不可能なほどの奔流になる様子なども、なかなかようできておったと思う。
与力個人的にはちょっと地味なテーマかな?と思ってたんですが、確かに水が流れ込んでくると、ああ、あああ!みたいにあっという間に国土が沈んでいくのは、なかなかでしたねぇ。
奉行ともあれ、難易度を標準まで上げて遊びたいし、人口コマを使う拡張ルールや、ゲームの勝利条件を変更する目的カードを使ったゲームもまだ試しておらぬし、これ1つでしばらく遊んでおられそうじゃな。
『パンデミック:ライジングタイド』【ここはちょっと……】
奉行テーマの重厚さ、重さに対してフォントが妙に可愛らしく感じるが、これは何ゆえの選択なのであろうか?
与力読み易さを優先されたのではないでしょうか。
奉行あとは、よほどオランダの地理に詳しくない限り、馴染みのない地域名に慣れるのにしばらくかかるかもしらん。ただ、地名が日本語化されておるのは助かる。
与力これがチケライみたいに原語表記だったら頭抱えますね。
奉行後はそうさな……違いを出すためとはいえ、堤防の建設・崩壊と、水コマの除去・増加、プレイヤーが対処すべき問題が2つにバラけておるので、本家『パンデミック』のようなスピード感にはちょっと欠けるか。
与力そうですね、『イベリア』の方が本家の正当発展型だとすれば、『ライジングタイド』はシステムを流用した別ゲームといっても良いかもしれません。
奉行わしはそこまでは言わんぞ。まあ、『ライジングタイド』の方ちょっとだけ処理が増えておる、ということなんじゃが、そのちょっとが『パンデミック』というゲームのプレー感覚をだいぶ変えるんじゃないか、と思うのじゃよ。
与力協力ゲームはスピード感、というのはお奉行の常々のお言葉ですね。さて、他には何かありますか?
奉行ルールで「手札のプレイヤーカードをオープンにしておく」が明言されておるのは、奉行問題を考えれば良し悪しな気もしたな。
与力手札は公開情報にしてしまった方が、遊びやすさは向上しますが……。
奉行ま、ルールを厳密に適用するかどうかはその時々で。
与力ご当地パンデミックは細かいところまで絵が凝っていて嬉しいですよね。
奉行さて、2018年の世界大会はどこで開催予定かのう。