ルーク&レイダーズ拡張カードセット(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

ルーク&レイダーズ拡張カードセットを遊んでみた

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【登場人物】

与力藩の買掛担当。RPGの職業、ついつい使ってしまうキャラクターと言えば? 「重装兵ですね。何事も鎧で解決です」

奉行藩の決裁担当。RPGの職業、ついつい使ってしまうキャラクターと言えば? 「盗賊やレンジャーだのう。敏捷に優れたキャラクターを優遇しがちだ」

ルールそのものは変わらない

奉行おお、また我らの居城を守る時が来てしまったのか。

与力そうですね。この拡張を使うことで、基本ルールが大きく変更されるとかそういうのはないので、安心して遊べますよ。最初の準備のとき、ちょっとだけ手間がかかるようになりましたが。

奉行なるほど、では早速に混ぜていこうではないか。

ルーク&レイダーズ拡張
にぎやかになったモンスターの顔ぶれ。

『ルーク&レイダーズ』基本セットでは、攻めてくるモンスターの種類は常に固定されており、ゲームごとにどの順番でどこに登場するかが変化する、という形でした(プレイ感については、宜しければこちらの基本セットの感想をご参照ください)。しかし、拡張では新たに6種類のモンスターが追加されたので、登場するモンスターがランダムになって、ゲームのバリエーションが広がっています。

また一方で、傭兵としてプレイヤーが使えるユニットも5種類が追加。基本セットの10種類から1.5倍増となったことで、こちらも戦術の幅が広がった、と言えます。

奉行ふむ、手間と言うのは登場モンスターをランダムに選ぶ作業か。しかし、ゲーム中に登場するモンスターは12種類。これを18枚のモンスターカードから選べるようになったのならば、攻め寄せてくる敵の軍団はずいぶん変化するであろうな。

与力こちらも新たな顔ぶれを加えて防御を行うことができますが……クセのあるユニットが多いなあ。

ルーク&レイダーズ拡張
準備完了。いざ、かかって参れ。

新キャラクターを上手く使いこなせ!

ゲームの流れは、基本セットから原則変更はありません。各ラウンドではプレイヤーが手番を行った後、モンスターの攻撃・移動が発生、その後に新たなモンスターが召喚されます。これを繰り返し、一定数以上のモンスターが、個人ボードの最終列を突破して城へたどり着く前に、他のプレイヤーよりも早くモンスター側の戦力を一定以下まで削ることが目的です。

与力それでは私は新たなユニットを雇いましょうか……おっ、新キャラ。これにしよう。

奉行なんじゃ、箱絵になっておった看板キャラじゃな。強いのか? どんなだ?

ルーク&レイダーズ拡張
期待の新顔・アヴェンジャー

アヴェンジャーは自ら能動的なアクションを行うことはできません。しかし、攻撃を受けた時、受けたのと同じだけのダメージを相手に跳ね返すことができる新能力「反撃」を持ちます。

与力ええっと……つまり、アヴェンジャーが立ちはだかっている限り、モンスターは自ら傷つき倒れていくのみ、ということですな。

奉行お主、いち早く新キャラが獲得できたから、地味に調子に乗っておろう? くそう、手番が違っていれば、わしもそやつを獲得したかったぞ。

ルーク&レイダーズ拡張
奮戦するアヴェンジャー。頼もしい。

侮れない新たな敵

与力それじゃ、モンスターを召喚しますね……よっと。

奉行……むむむ、早くも見たことのないのが現れよったな。何やつだ?

ルーク&レイダーズ拡張
新たなモンスター、ファントム

ファントムは自分から攻撃をしてこず、攻撃をされるとダメージを与え返すというアヴェンジャーと同じ能力「反撃」を持っています。

与力ええと、それからですね……(パラパラ)。こいつは攻撃をせず、基本的に移動しかしてこないんですが、移動の時にこちらのユニットを飛び越えて移動することができます。

奉行な、なにィ!

『ルーク&レイダーズ』ではモンスターの行動は「攻撃」か「移動」の二択であり、モンスターの攻撃範囲内にプレイヤー側ユニットが存在している場合には、必ず攻撃をしてきます。かつ、モンスターはプレイヤーのユニットを飛び越えて移動することは不可能でした。従って、モンスターの足止めは比較的余裕があったのですが……

与力こちらのユニットの数が揃っていない状態だと、こいつを倒しきれませんよ。それで移動されたら、一気に城の中に入られてしまいます。

奉行むむぅ、下手に動き回られる前に、なんとか一~二発で仕留めていかねばならんな……これは新しい。

ルーク&レイダーズ拡張
さらに続けて

与力ええと、こいつは「ロックウォーム」という敵ですね。こちらの与えるダメージを必ず1点カットできます。

奉行な、なにィ!

ロックウォームはゲーム中盤で登場するかもしれない、強力な新モンスターです。もっとも厄介なのは、プレイヤー側ユニットが与えるダメージが必ず1点防がれてしまう能力です。

与力つまりあれですね、攻撃の時に「固定で1ダメージ」を与える系の能力を持つ「ウィザード」や「ソードマスター」なんかの天敵、ってことです。基本において、お奉行のお好きだった戦法が封殺されてしまいましたね。

奉行おのれ推参なり。馬引けィ、わしが手ずから倒してくれようぞ!

与力ちょっとちょっと、変な張り切り方は止めてください。

このような新モンスターに翻弄されつつも、ゲームは終盤を迎えます。

ルーク&レイダーズ拡張
新ユニットが2体並んだ傭兵置き場

奉行おう、ようやくわしも新ユニットに活躍してもらう時がきたな。ここで「テンプルナイト」を我が軍勢に加えるぞ!

テンプルナイトは、攻撃と回復を同時にこなせる頼もしいユニットです。2ユニットの役割をかなりの程度1人でこなせるので、戦局の操作をやりやすくなるでしょう。

奉行ふむふむ、これをこうして次はこうなってこうだな。よし、見えてきた。

与力……が、頑張ってください……。

奉行おっ、どうした突然死にそうな声をして。何があった。

与力どうぞよく見てください……。

奉行……ま、まさか。

ルーク&レイダーズ拡張
手が足りず、頼みのアヴェンジャーが倒れ、与力の戦列は崩壊
ルーク&レイダーズ拡張
一方、奉行は見事防御に成功!

奉行敵総大将のリッチは討取れなかったが、まあよかろう。勝鬨をあげよ! あと、隣の城は見ない!

与力……ああ、お城が燃えている……。

『ルーク&レイダーズ拡張』【ここがイカス!】

奉行いやあ、こういう表現をするのが正しいかどうかは分からんが、この拡張が入って『ルーク&レイダーズ』・100%と言っていいのではないか?

与力ほほう?

奉行拡張が追加されてゲームの幅が実に広がった。まずはモンスターがランダムに登場するようになったのが嬉しい

与力次に何が出てくるか、予想が立たなくなりましたからね。

奉行しかも新モンスターはどれも対処に頭を悩ませる、個性的、かつゲームシステムにぴったりな能力を持っているのがいい。例えばファントムの動き方なんか、まさにそうじゃないか? わしはあやつが出てきた時、相当に焦った。

与力新キャラ・ロックウォームは、ダメージ1戦法を崩しに来ている良モンスターだと思います。と言いますか、私自身がこいつへの対処に失敗したことが、落城への第一歩でした。……硬いんですよう。

奉行こういった変化によって、自ずとこちらのユニットの配置や移動、新たなユニットの雇用に、より重要性が増し、気を遣うようになって面白いのではないかな。それに、追加された新ユニットじゃが、いずれも「まさに上位ユニット!」といった能力持ちで、こちらも面白い。

与力確かに、個性的な能力持ちが揃ってます。基本セットは「最初に配られる4種類のユニットの延長線上」といった塩梅の上位ユニットが多かったと思いますが、今回の追加ユニットは、そもそも系統が違う感じですね。

奉行ただし悲しいかな、「喉から手が出るほど欲しいが、お金がない」とか「最早、敵に攻め込まれすぎてユニットを出す余地すらない」という苦しみに苛まれることもしばしばあるな。わしはアルケミストやガナーを使いたいと思っておったが、残念ながら機会がなかったぞ。

与力欲しいユニットがなかなか場に出てきてくれないこともありますね。まあ、今回の防衛線ではご縁がなかった……、ということでまた遊びましょう。

『ルーク&レイダーズ拡張』【ここはちょっと…】

奉行ゲームの進行という点で大きな変更はないのだが、モンスター、ユニットともにそれぞれ個性的な能力を持っておる。という訳で、慣れるまでしばらくは、説明書を参照する機会が増えざるを得ない。誤認していないかの相互チェックも大切だから、ちょっと手間がかかる。

与力拡張の説明書の大半はユニットの能力説明でしたが、これ全部が新ルール、という見方をすれば、結構な追加ですもんね。

奉行まあ、説明書の文章量こそ多いが、基本を理解していればルールの見通しは悪くない。しかし、ちょっと量が多いな……という印象は少なからずある。

与力そうですかね? お奉行、まさか老眼……

奉行手打ちにしてくれようか?

与力すみませんすみません。カードに描かれているアイコンで分かりませんか?

奉行ああ、一度手元で活躍させれば、スムーズだな。後はそうだな……わしは拡張ありきで遊びたいが、『ルーク&レイダーズ』初体験の人と遊ぶ場合は、拡張のカードを最初から全部入れるのはちょっと考え物かな。

与力おや、そうですか?

奉行もちろん、やってみないと分からんし、プレイヤーの経験や好みにもよると思う。が、このゲームの中核的な要素(左からくる敵を右に行かせないように倒す)を理解・体験する上では、基本セットの内容こそ、質・量ともバランスが取れていると思うのよ。当然のことを言っているような気もするが。

与力ふむ?

奉行なので、基本セットでどんなゲームかを体感し、次に「一段上の攻防を体験」的な形で拡張を導入するのが良いのではないかな。いきなり「全部入り」となると、ユニットの能力もモンスターの脅威も、理解が中途半端になりかねないし、せっかくの拡張の要素に感動が伴わないというか……。極論で言えば、「色々ありすぎてなんか複雑じゃない?」「結構難しくて、混乱したまま負けちゃった」と思われてしまう気がする。

与力ああ、なるほど。段階を経てプレイしてこそ面白いのでは、ということですね。

奉行ま、個人的にどんなゲームでも、拡張セットというのは「基本ルールで遊び倒した人に、さらに新しい挑戦の機会をあげますよ」という位置づけのもんだと思っているためなんだが。

与力分かりました。

奉行最後に、『ルーク&レイダーズ』を面白いゲームだと思ったのならば、この拡張は絶対に入れた方が良い。この点について強く主張し、これを以って擱筆(かくひつ)させて頂く。

与力何を突然、奉行っぽく改まった〆方をしてるんですか。

ルーク&レイダーズ拡張
拡張の箱は、このように基本セットの箱にすっきり収納できる心遣い。

奉行ところで、ファントムが動く時って、絶対、奇怪なSEが入ると思う。「ヒョヒョヒョヒョ~」みたいな声真似が難しいやつ。

与力画像がぶれながら半透明になって消えて、そのあと移動先に逆パターンで再出現する、みたいな感じですかね。