真田史上最大の版図
1597年6月 安心安全な城づくり
ゆっくり着実な形で領土拡大を続けております真田源三郎です。問題は我らの拡大をはるかに上回る速度で大国が拡大し、差が縮まらないことです。これがあの有名な格差論ってやつですか。
でも、格差に絶望してしまったらその時点で敗北。いつか革命を起こす日のために、しっかりと潰されない力を蓄えていきます。ということで、まずは常套手段として、小諸城の強化ですよ。
領地の防衛を強化する、という考え方は私と一緒なのだろうが、まさか新しい城を築かれるとはなあ…。発想が私の一段上をいっている。ちょうど深志と小諸の間になるので、深志からの徳川軍を防ぎ、一方で深志攻めの際には足掛かりとして使えるだろう…たぶん。
高梨内記「なぜ、たぶんなのです?」
うん、この城、歳入がないからさ。集められる兵もたかが知れてるだろうしね。
さて、上杉は春日山城と沼田城で生き延びているにすぎず、真田の勢力は広がりつつあるが、兵の回復が間に合わないまま、薄く伸びすぎている。徳川は……今のところ攻めてくる気配はないのだが、この小諸から南へ行こうとすると、高遠城、上原城、新府城そして深志城という防御ラインが強力で、とても太刀打ちできない。
河原綱家「その四城だけで、我が真田の総勢とほぼ互角かやや上回る程度の兵が優に動きますからな」
高梨「どこかでまた隙が生じるのを待つしかありますまい」
一応、北条・前田との戦が激化していて、さっきの三城以外の兵は出払っていることは多いんだわな。だから、そっち方面での戦の後詰に、三城から兵を投入してくれるタイミングが来たら、そこがチャンスになるだろうとは思っておる。
1598年3月 父、またも暴れる。
永井直勝「申し上げます。上田の殿が約5000の兵を率いて深志城へ攻め懸かられました!」
鈴木重則「深志城の徳川勢は前田領の飛騨へ攻め込んでおり、戦は我が方有利に進んでおります!」
またもや突破口は親父殿か! とはいえ、徳川もすぐに対応しておろうが!?
鈴木忠重(右近)「はっ、新府城より平岩親吉率いる約8000、深志城へ向かっております!」
うーん……5000もの兵を動かしたというのは、真田にとってはほぼ全力の戦。我らのような小大名は、大戦を起こしたならば、必ず勝たねばならぬ。一戦必勝が求められる。大勢力との消耗合戦をやらかせば、必ず、負ける。
永井「つまり、どうなされます?」
うん、始めた以上、必ず成果は出さねばならん。深志城を取るぞ。直ちに海津の桜に命じ、兵2000で深志城へ攻め懸かれる位置に陣を張るよう伝えよ!
重則「なにゆえ、すぐに後詰なさらないので?」
戦は長引くぞ。徳川も次々と後詰を繰り出してこようし、父も恐らく根知や飯山辺りから兵を呼び寄せておろう。父の力をもってすれば、おそらく徳川の後詰を六割方は片づけられようが、城を攻め落とす余力は無くなる。そこでこの俺が小諸の兵を率いて攻め懸かり、一気に片を付ける、という算段さ。
右近「なにやら、兵の逐次投入やら、殿を当て馬に使われるような、モヤっと感が残る采配に思われますが……」
仕方がないんだよ。深志を支配下におさめて、小諸・海津と源三郎トライアングルをしっかり固めることで、徳川と勝負できる体勢を作りたいんだ。分かってくれ。
よし、そろそろ俺が行って戦を……うっ、徳川勢が列を成してやってくる!
永井「分かっていたことではありませぬか。迎え撃ちましょうぞ。幸い、矢沢頼綱殿などの援軍も参っております。陣構えは我らが有利」
そうね、今更なんですが、このゲームでは「どの道から進軍するか、どこから攻めさせるか」が相当に重要らしいです。攻める場合には、敵部隊を囲めるように、四方から軍勢が迫る形で兵を進めたいところ。逆に守る側は、城や陣屋などの拠点に複数の部隊を配置し、敵が一方向からしか攻められないように限定して、戦に持ち込みたいもの。常に“一体複数”の戦いを心がけていきましょう。という訳でこのように兵力が厳しい場合でも、徳川勢が後ろに回ってこなければこちらが有利。
右近「とは申せ、流石に徳川勢。次から次へと繰り出してきますね。かほどに兵の余裕があったとは」
重則「しかし、一度に攻め懸かってこられないので、こちらの注文通りに戦は推移しております。幸い、国人衆も次々と助勢に駆けつけてくれていますし、何とかしのげそうですな」
永井「榊原康政勢が攻め寄せてまいりますぞ、これは難敵!」
徳川四天王に数えられるものの、何となく影が薄くていまいち色々と取り上げられない榊原殿か……うっ、前世の記憶が。だが、そんなことはよい! 榊原勢はある程度無視していいから、深志を攻め落とせ! いけっ!
1598年9月 何だか妙な辞世の句
戦は苛烈を極めましたが、何とかぎりぎり戦に勝利し、徳川の一大拠点であった深志城を手中に収めました。この城も小諸城同様、徳川が頑張って内政をしてくれていたので、大分栄えております。おかげで飛躍的に真田の力は伸びました。上手くやりくりすれば、さらなる南下も見込めましょう。
高梨「おめでとうござりまする。して、城代には誰を?」
うん、まあ確実に戦の最前線になるからな。俺が入ってもいいんだが、今はまだ小諸を離れられん。そこで三女の桜を城代に置き、次女の慶と直勝の夫婦に手助けさせよう。海津については、綱家、お前に任せるぞ。
河原「はっ、身命を賭しまして」
北も油断ならんからなあ。あっ、そういえば全然関係ないんだが、実は上方に送っていた透波からの知らせがあってな、羽柴秀吉が身罷ったらしいんだ。
高梨「なんと! 織田信長亡き後、後継候補の一番手と目されていた、あの秀吉が……」
河原「柴田や徳川に邪魔をされ、さらには明智にてこずり、なかなか苦労していたやに聞き及びますが」
うん、で、その秀吉がいよいよ死の床についたおりにだな……前田利家を呼び寄せたらしい。
高梨「は?」
河原「……現状、前田と羽柴は、越前辺りで熾烈な戦を繰り広げておると聞いております。その相手を病床に呼んで、息子を頼む、と?」
おう。俺もこれは前田と羽柴、歴史的な和解によって大勢力誕生か?と思っておったんだが、直後からまた戦をおっぱじめたらしい。訳が分からんな。
高梨「……なにが、したかったのでしょうか」
まあ、あれだわ、本来ならこの頃には秀吉が天下を統一していて、幼い息子を親友に頼んで死ぬ、という歴史が繰り広げられている時期のはずだからな。とはいえ、流石にゲーム内の状況を反映して、イベントを起こすか起こさないかを決めて欲しかったもんだ。
さふいえば。俺もなんか側近に裏切り独立を勧められたりしたな。
あの側近。公式に名前もついてないのに、実にとんでもないことを言ってくるクセがあるっぽいなあ。