いつか見た奥州征伐
1620年の情勢
はいどうも、いつもの真田信幸です。ふと気が付いたのですが、私、以前も奥州攻めの準備をして攻め込んでいったような記憶があるんですよ。その記憶のおかげなのか、今回相当に準備がスムーズにいきましてね。まったく、不思議な話ですな。
高梨内記「何を仰られているのか全く意味不明でございますが、伊達攻めの準備は整いましてござります」
河原綱家「既に安房の軍勢を中心に、常陸攻めを開始いたしましたぞ」
伊達は常陸を助けに動いたな。では源次郎と花、直孝殿に厩橋から軍勢を進めるよう伝えるのだ。
小幡景憲「父上、それがしも参りとうござりまするが」
よし、景憲殿は唐沢山へ入り、その兵を率いて源次郎らを助けてくれ。頼んだぞ。
小幡「ははっ」
鈴木忠重(右近)「…心なしか、落ち着いておられますな、殿」
正直、負けようのない戦だからな。準備はもうしっかり整えたし、あとは戦力を消耗し過ぎないよう、尽きないように加減して進退を指示するだけだ。だから、慌てるところはもうないよ。
右近「粛々と…といったところですか」
そうね、『伊達政宗が10人に分身した』とかのことが起きない限り、この先は淡々と進むだろうな。
越後は守り切り、常陸を攻略完了。奥州街道は源次郎を先手とし、わしが後詰をしてまず会津盆地を目指してじっくりと参ろうか。
1621年の情勢
真田幸村「調略の手は相変わらず緩められておられないですね」
伊達の威信はどんどんと低下しているからな。もともと必要忠誠度の高かった連中や、主義が合わん連中は続々と調略に応じている。それが城主だったりすると戦も楽に進められるよ。だからどんどん仕掛けていくさ。
井伊直孝「特に、この度寝返った秋元長朝は、会津の要となる黒川城主。伊達も会津盆地は放棄せざるを得ますまい」
うん、太平洋沿いの軍勢も順調に陸奥国へ入り込めたようだ。伊達は登米の辺りで防衛線を張るであろうが、そこはこちらも戦力を集中できる場所だ。さて、源次郎はこのまま米沢を目指し、越後の永井勢、相馬勢の北進を助けてくれ。
幸村「承りました、では早速」
1623年の情勢
右近「おや? 時空がゆがみましたか? 一年ほど年月が飛んだような…」
去年は何もなかったんだよな、正直。で、今年も伊達の城を一つずつ落として過ごすことになる。
右近「それがお勤めにございますゆえ…」
源次郎が米沢城を落としたことで、伊達の防衛線はどんどんと後退を続けておるようだ。
衆寡敵せず、だな。やつ一人ではもうどうにもならん。
右近「諸行無常ですな」
1625年の情勢
小幡「最近、時がたつのが早く感じられるのです、父上。私もよい歳になった、ということでしょうか」
そうさな、2年の月日が200字以内で記述されているからな、おぬしでなくとも早く感じると思うぞ、景憲殿。
小幡「左様ですか、では安心いたしました。さて、伊達政宗なのですが…」
大崎の軍勢は……あれ、何やってんだ?
小幡「海路にて寺池城などの窮地を救わんと勢い込んで出陣したようなのですが…」
海路を進んでいる間に城が落ちて、引き返そうと思ったら陸路を進むわが軍勢に追い越されている、という有様だな。
小幡「おそらく、帰り着くころには落城しておりましょうな」
いよいよ蝦夷地だ。信濃も寒い所だが、この辺りは既にかなり涼しいな。真冬でなくてよかったと思うぞ。
右近「海路を押し渡り、一気に止めを刺しましょうぞ!」
これでついに伊達を倒せという主命を果たしたか。やれやれ…。苦節何年であっただろうか?
高梨内記「20年以上はかかりましたな」
河原綱家「まこと、徳川家についたころが遥か昔に感じられます」
皆には苦労をかけたな。これで徳川家の天下統一も成し遂げられるであろう。さて、わしが東国を斬り従えている間に、西はどの程度攻略していたのであろうか?
右近「それがその…」
小幡「実は、羽柴、長宗我部の堅い守りに阻まれて、姫路から先に一歩も進めておりません」
は?
井伊「…将軍家は弁当でも食っておられたのか?」
真田花「そんな何年もかかって弁当食べてるなんてことはないでしょうよ」
真田月「もしかして、戦がどうしようもなく下手なのかな?」
うーん、前線の諸武家が働かなかったとか、全体として兵力を上手く動かせなかったのか…。これはもしや、我らに西国経略のご指示が下るかもしれんなあ。
高梨「ここから西国にござりまするか!?」
河原「それはなんとも…」
しかしそれでは何年かかるか分からんし…
幸村「兄上、直勝殿から火急の報せです。軍勢を越後へ返す途上にて…」
ぬっ……ぬぅ。わしよりはるかに若い利胤殿が亡くなってしまうとは…。確かに史実的には思いのほか若死したようであったが…。
幸村「兄上、しっかりなされませ」
いや、すまん源次郎。したが、これ以上いたずらに時を過ごし、戦乱の中に世を去る者は見たくはない。戦はこの辺りといたそうか。既に徳川の天下は揺るがぬ。西国諸大名には惣無事令に従ってもらえばよかろう。
幸村「兄上…」
みなみな、ご苦労。大儀であった--。
……ぽちっとな。さてさて、いつぞやの記憶にのっとれば、確か誰か親しい(?)者が話しかけに来てくれるんだったよな。わしには誰が来るんだろう?
源次郎! お前、なんで最後にそうやって突然そういうエラそうな態度に出るのだ!
幸村「申し訳ござりません、システム上の問題です」
ただでさえ知り切れトンボな結末だったのに、見事なまでのオチじゃないか、もう! ……しかしまあ、致し方ない。とりあえずは祝宴じゃ。皆を集め、太平の世を盛大に祝おうぞ!
終劇 … ?