徳川を本気で怒らせたっぽい
1599年3月 余裕のない人はキライですよ(身勝手)
皆様どうもこんにちは。真田源三郎です。前回、見事に深志城を陥落させて、源三郎トライアングルを完成させました。で、娘たちに深志城のヴェルダン要塞化を任せ、しばらく小諸城で内政に専念しようかなー、なんて思っていたんですけど、訳有ってただいま私の本城は深志城にうつしてあります。
高梨内記「とらいあん……? ぶえるだん……?」
河原綱家「相変わらず、よく分からんことを申されますな、この危急存亡の折に」
まあ、そう申すな。皆様方には順を追って説明せねばな。深志攻め以降、我らは堀を作り、壁を高くして徳川の来襲に備える体制づくりに取り掛かかりました。一方、父は上杉領沼田を攻めた。
高梨「源三郎様は出陣なされませなんだな」
さすがに一気に城を獲得しても、守りが手薄になるだけだ。着実に領地を増やしていかないと、広がりすぎたところを一気に丸め込まれてしまう。というわけで、父の沼田攻めは失敗。一方、わしの方は国造りの人手不足に悩まされつつあったのですが…
次々と娘が武将に志願してくれたおかげで、悩みは解消されました。これでいいのか、と言われるとやや答えに窮するところもありますが……使えるものはすべて使っていきましょう。昔(『天翔記』)は条件厳しかったのに、男女雇用機会均等法でも適用されたのだろうか。
河原「さて、最近の思い出話はおしまいになりましたか? はようお下知を下され」
ああ、はいはい。で、ただいまは何がどうなっているかと申しますとですね。
かいつまんで申しますと、深志周辺の徳川勢が一斉に押し寄せてきましたね。まだ全容は確認できていませんが、情報収集した限りでは、総勢40000くらいのようです。真田相手に40000ですってよ、奥さま、驚いちゃいますわね。ほんっとやんなっちゃう。
とはいえ、わしも流石に数か月くらい前から、やけに徳川が戦をやめているのになんとなく危機感を覚えまして、武将の配置を変更しておきました。これが上手いこと当たって、徳川勢の来襲に合わせて、海津・小諸の兵をこぞって素早く深志に送り込めたので、総勢20000弱で守りを固めております。
永井直勝「義父殿、倍の敵に対して、如何様に戦われますか」
おっ、直勝殿。まあこれには真田の秘伝がござってな。バラバラにやってくる敵を堅固な城近くまで引きずりこんで一つずつ叩き潰す。幸い、父が最大の敵である酒井忠次勢を足止めしてくれているので、あとは率いる兵こそ多いものの、我が方の敵ではない。落ち着いてわしの采配通り戦えば、問題はない。少なくとも、今回は。
永井「“今回は”?」
おう、口が滑った。先のことは先になってから考えようぞ。さあ、やるか!
永井「徳川が鉄砲鍛冶を建設しておいてくれたおかげで、この城では鉄砲には困らぬ。存分に鉛玉を馳走してやろう」
真田月「第一波はしのぎ切ったんじゃない?」
……ふう。とりあえず、いつもの平岩親吉は腕前のほどが分かっておったから、大したことはなかったが……。
鈴木重則「酒井忠次勢がいよいよ深志城へ到達しそうです。また、北に陣を張っていたお味方は蹴散らされ、森武蔵守勢と戸田尊次勢が新たに城攻めを行う構え」
鈴木忠重(右近)「ただ、お味方と敵の兵力差は縮まっております」
よしよし。しかし森長可が寄せ手の中にいるとは。鬼武蔵ほどの大名が、いまは徳川家康の配下か……うーん、器量を考えればそんなにおかしくはないのか?
そんなこんなでしたが、案外あっさりと勝負はつきました。
永井「お見事な采配にございました」
右近「森武蔵守と、戸田尊次を捕えました。ただ、二人とも降る気はなさそうです」
ふう、まあしっかりと準備をしておけば、やることは上杉相手にやってたことと変わりはないよね。というわけでみんなお疲れ様。次の徳川勢来襲に備えましょう。あと、降伏しない捕虜は斬っちゃってください。
重則「よろしいので?」
そりゃまあ当家としては人材は一人でも二人でも欲しいけども、降伏してくれないんじゃどうしようもない。帰らせればまた攻めてくるし、厄介なのでしょうがないです。あと、敵将を斬ると、どういう仕組みかわかりませんが、そいつが習得していた特性を貰えるんですよね。で、これは自分の家臣に「伝授」して強化してあげられるので、無駄な殺害ではないということです。そこらへんひっくるめて、これも戦国の習いということでひとつ。
右近「ははっ、左様取り計らいます」
1599年11月 父、三度暴れる。
先の戦以降、深志城がきな臭くなっているのは確かなので、ひたすら城の強化に金をつぎ込み、籠城戦の体制を着々と築き上げております。そんな中、世の中では、
一方の雄であった前田利家が死没し、いよいよ近畿方面は徳川家康独り勝ちの様相を呈してきました。その逆側、東北方面からは縁戚関係にある伊達・最上両家の南下の勢い凄まじく、ついに常陸、下野あたりが伊達領となり始めました。ぼーっと眺めている限り、向こう一年以内には、伊達政宗が関東管領になるんじゃないか、ってくらいの勢いです。
で、この11月に入って、父が支配下の兵力をこぞって、沼田城攻略に乗り出しました。よく見て頂けると分かるのですが、最上勢が春日山城を攻撃したため、上杉勢は沼田の兵を春日山へ送った。そこで手薄になった沼田を真田家がいただいてしまおう、という寸法なんだと思います。まあ、上手くいくといいんですが。様子見て後詰を送ってあげようかな……。
右近「申し上げます! 上田本家の軍勢、一部が北条領の国峯城を囲みました!」
なにィ! 父上の狙いは沼田だけではなかったのか!
高梨「確かに、北条はいまや伊達に押され、勢力をどんどん減じております。城の一つ二つ貰い受ける好機とも申せますが……」
重則「徳川が真田攻めに動いておる今、北条と戦端を開くことは果たして正しいのでありましょうや。源三郎様、いかがなされまするか」
いかがなさいましょうかね、これは……。まぁ、いいだろう。いずれ北条は伊達に滅ぼされよう。伊達が真田攻めを考えたとき、いきなり小諸で迎え撃つのではなく、その前に国峯という壁を置いておくのも、悪くはない選択かもしれん。プラス思考で捉えてみようではないか。
高梨「では?」
おう、後詰を送るぞ。直勝と月の軍勢を出せ。ただ、徳川への警戒も怠るな。
重則「ははっ」
さて、国峯城は落としたが、この城……守りづらいな。城攻め中もちらちら様子見に出てきていたが、箕輪城の滝川家がジャマすぎる。この城は父上の采配に任せよう。沼田城も落とせたようだし、これでしばらく満足してくれるんじゃないかな。
右近「申し上げます! 上田の軍勢、こんどは飛騨の高原諏訪城攻めに進発したとの報せ!」
はいィィ!?