西国の武将でリスタートする戦国ライフ
……ふう、ホントに今度は大名やるんですね。そろそろ発売から1年以上経過してますし、みんな興味が低下している恐れもありますけど、それでも頑張らないといけませんか?
???「初っ端から妙な気を回さなくて結構です。武田家系の武将で二回連続東北攻め後に惣無事令エンディング。あまりにも同じような終わり方を続けてしまったんで、今度は違ったところを見せられるようにしてください」
うーん、大名スタートかー。『戦国立志伝』で大名をプレイするのは初めてとはいえ、もともと『信長の野望』はこれが基本スタイルだから、特に違和感はなさそうかな?
???「扱う情報量は飛躍的に伸びますので、見落としが無いように注意を払うことだけ、気をつけましょうか。それでは他に何かありますか?」
あのさ、なんか久しぶりに頭頂部が涼しいんだけど、これはどうにもならない? 歴史的に言えば、まだ剃髪は早いはずなんだけども?
???「若年と壮年のグラフィックが、別で実装されていなかったことを恨んでください」
まだ21歳なのに、しょうがないなあ。仕方がない、頑張っていってみよう!
プレイ武将:大友義鎮(宗麟)
シナリオ:家督相続(1551年スタート)
難易度:上級
1551年 第一回役員会議
――九州東北部に拠点を置く大友氏は、鎌倉時代から続く名門守護家である。1496年に家督を継いだ第18代・大友親治以来、有力国人を抑え、領国統治の制度を整備し、戦国大名として自立する地歩を固めてきた。
そして1550年、世にいう「二階崩れの変」で負った傷がもとで第20代・大友義鑑が不慮の死を遂げる。跡を継いだ第21代当主・大友義鎮は、父祖の築き上げた地盤を足掛かりに、九州統一への道を踏み出そうとしていた…――
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ここは豊後・府内館。まずはご挨拶をと言いたいところですが、悠長に語っている時間がありません。なぜならば、まさにこれから若年の私、大友義鎮が家督を継いだことをまだ不安視する家中の重鎮たちが一堂に会し、いよいよこれからの大友氏の行く末を決めようとしています。彼らはそれぞれに主義主張を持ち、ともすると自分の利益を優先しかねず、この会議も互いに駆け引きを行うことでしょう。
一方で私は、側近中の側近二人と共に城下に出て、ある人の話を拝聴し、これから自分が為すべきことに思いを致してから、会議へと足を運んだところです。
さて、まずは皆の話をゆっくりと聞いてみましょうかね。
高橋鑑種(筑前国・岩屋城主)「先代の御屋形様は家中をしっかりまとめられていた。それもこれも、周囲の敵から我らの領土を守るため。異論もござろうが、これからも引き続き結束こそ大事」
蒲池鑑盛(筑後国・柳川城主)「左様ですな。昨今では肥前の龍造寺家の勢い目覚ましいものがあり、我が柳川城を虎視眈々と狙っておる様子なれば、新たな御屋形様には早速にも大友家の力を龍造寺に知らしめるよう、家中をまとめ、采配を振るっていただきたい」
土持親成(日向国・縣城主)「フン、それはお主が龍造寺に舐められておるだけであろう。肥前の田舎者など、一人でなんとかせぇ」
蒲池「今何と申したか、おぬし!?」
土持「目の前のわしの声が聞こえぬほど呆けておるのでは、それは龍造寺にも舐められようのう、ん?」
戸次鑑連(豊後国・岡城主)「…くだらぬ言い合いはやめよ」
臼杵鑑続(豊後国・臼杵城主)「(はてさて、これで結束などできるようものか…)」
志賀親守(豊後国・日隈城主)「(若い義鎮様で、これをまとめていけるかな…)」
角隈石宗(大友家軍師)「御屋形様、まずはお言葉を賜りとうござります」
うん、それぞれに意見があるのは分かった。それも踏まえて、私が考えるこれからの大友家のヴィジョンについてお話しさせてもらいましょうか。鑑実、マップを置いて。
高橋「は…?」
土持「び、びじょん…?」
一萬田鑑実(義鎮側近)「こちらが北九州のマップにござる」
このように、大友家は三国に持ち城を分散していて、特に岩屋と柳川については失うリスクが高い状況なんだけれども、そこは周防の大内家とアライアンスを組んでいるので、しばらく大丈夫かな、と。
戸次「…?」
臼杵「…は、はぁ…」
まあマクロな視点で九州全体を見れば、大友にとって一番危険なのは、やはり薩摩の島津家だと思う。そのリスクヘッジを考えると、さっき話に出てた龍造寺ともむしろアライアンスを組むべきかな、と。彼らはまだ我々に対抗できるほどの力は持っていないので、国力を充実させたいでしょうから、そこはウィンウィンの関係と判断してくれると思います。
蒲池「(新屋形様は一体何を話しておられるのか…?)」
角隈「(…拙僧にも分かりかねます…)」
従って、北九州のバランスは現状維持を基本に。薩摩の島津が大隅の肝付家のシェアを奪っている間に、豊後、肥後、筑前で島津を上回る勢力を確保する、といったスキームでスケジュールを立てていきたい。そして長期的には、九州全土を大友家の支配下に置くという目標に向かいます。それぞれ意見は?
高橋「(い、意見と言われても…)」
志賀「(何を言われたのか、部分的にわからぬし、全体もようわからぬ…)」
はい、意見無しということはコンセンサスは得られたって理解で進行します。では最初のタスクについては、改めてそれぞれに伝達しますので、各自確認の上、コミットしていただきたい。以上、お疲れ様でした。
一同「(…な、なにがなにやら…)」
九州探題もついでに目指す
―その夜―
角隈「御屋形様、よろしゅうございますか」
お、石宗、お疲れ。入っていいよ。随分青い顔しているけど大丈夫? 城主たちに伝える内容は、吉岡長増と吉岡妙林の親子コンビと、鑑実の三人でいま検討してるから、安心していいよ。
角隈「恐れ入りますが、昼の評定での御屋形様のお言葉、我らでは一部理解いたしかねるものがございましたが…」
あー、申し訳ない。なんだかんだ親父の跡を継いでから上手くやれるか不安だったから、最近この府内に来た外国人の経営コンサルに、ずいぶん相談に乗って貰ったんだ。ここにいる鑑実と、吉弘鑑理も一緒にね。どうもそれ以来、その口癖とか用語がついつい出てくるようになってしまったようだ。
角隈「ま、まさか御屋形様! 近頃この辺りをうろついているとか申す南蛮坊主どもとお話を? なりませぬ、それはなりませぬぞ。名門・大友家の当主ともあろうお方が、そのような面妖な戯言をお信じになられては…」
いや、話してみるとさ、彼らは考え方が合理的ではっきりしてるんだよ。だから、我々で思いつかないような点をどんどんと吸収させてもらって、大友家のために生かしたいと思う。家臣諸君も彼らの考え方を学べるよう、近々研修会を開く予定も立てている。反対意見も多いだろうけどね。
角隈「な、なんと…」
何でも毛嫌いせずにやってみないと、この生き馬の目を抜く世の中、渡っていけないでしょう。やるならやるで一気に示さないと、士気が下がって味方にそっぽを向かれてしまうだろうし、そうなったら島津はとても相手にできないしさ。ところで、何か用だったんじゃないの?
角隈「は、ははっ。御屋形様に、是非ともお考えいただきたいことがございます」
角隈「九州探題は幕府の名誉ある役職。実は伴わないとは申せ、九州の全てを支配する権利の名目としては、これ以上はございますまい」
成程、いいじゃない。そもそも九州全土を支配下に置く予定でゴーするから、オートマチックで名実伴うようになる訳ね。良いところに気が付いてくれた。さすが石宗だ。
角隈「は…(…やはり、分からぬ…)」
まあ、信じてみてよ。この義鎮、誓って大友家を九州探題に押し上げて見せようぞ!