果実の収穫 原題:『THE FRUIT HARVEST』(ボードゲーム開封編)
【登場人物】
与力藩の買掛担当。鉄腕DA〇Hが大好きだとかなんとか。
奉行藩の決裁担当。子どもの頃はりんごが苦手だったそうです。
へえ、こうやって樹を育ててはるんですねえ
ゲームの準備は簡単です。12枚のボーナスカードを除いた、146枚のカードをシャッフルして山札を作ります。そこから決められた枚数のカードを取り除けばOK。その後、山札から各プレイヤーに5枚ずつのカードを配り、手札とします。たったこれだけ。
奉行とりのぞくカードは、毎ゲームごとの“ゆらぎ”というやつか。
与力山札は常に同じ構成ではないので、記憶による完全なカウンティングはできないよ、ってことですかね。
奉行で、スタートプレイヤーの決め方はどうなっておる?
与力基本、じゃんけんとかで決めてくださいってことになってます。
奉行“最近リンゴ狩りに行った人”とかで決めるのではないのか?
与力それでもいいと思いますよ。該当者がいるかどうかが問題ですが……。
手番ごとにプレイヤーは手札から2枚のカードをプレイします。基本的には自分の前にカードで数列を作り、リンゴが収穫できるようにしていきます。
列は二種類。左肩に数字が振られた「樹木カード」を重ねる“幹”の列と、左肩に勝利点が振られた「リンゴカード」を重ねる“実り”の列です。
こんな感じで数字が見えるように出したカードを重ねていき、二列作っていきます。
“幹”の列を作っているカードの合計値が100ぴったりか100以上になると、リンゴが収穫できるだけ育った、ということになり、“実り”の列のリンゴを獲得することができます。この時、“幹”列が100以上であった場合には、一番上になっているリンゴカード1枚だけを獲得、100ぴったりであった時には大豊作となり、列のカード全てを獲得できます。収穫後、幹のカードは全て捨て、また樹を育てていくことになります。これを繰り返します。
なお、同時に複数のリンゴカードを収穫できた場合には、どの順で重ねるかは自由です。これが得点計算の際にボーナスポイントにつながるという、重要な要素になっています。
与力基本はこれだけです。
奉行樹木カードが100ぴったりになるように調整しながら並べつつ、その時にリンゴを沢山もらえるよう、実りの列も並べていく…。両方をにらみながら、という感じか。
与力ま、手札と相談しながら列を伸ばしていく競争、って感じですよね。これだと。
奉行のんびりとした農家稼業だな。
あれっ、この枝はなんで伸ばしっぱなしなんやろ
“幹”と“実り”いずれの列でも、同じ数字のカードは、横に並べて重ねることができます。これを、幹の列では“枝”、実りの列では“房”と呼びます。
奉行ふむ。この横への伸びは何か意味があるのかな?
与力えっとですね…
枝を作っておくと、樹の列の合計値を数える際、幹を構成しているカードの数字だけをみるか、枝になっているカードも含めて計算するかを選ぶことができます。
与力たとえば、さっきの写真の列だと、一番上に重ねられている2枚の10のカードは、「10」か「20」か、好きな方で計算に入れることができます。
奉行ほほう。つまり手札を上手いことやりくりして、100ぴったりを狙いやすいというようなことになるのかな。
与力あと、収穫後、縦に重ねられた幹の列は全て捨て札となりますが、枝を構成していたカードは捨てずに、次の樹を作る列として再利用できます。
奉行つまり素早く次の収穫を狙える、ということか。
与力リンゴの木を増やす『接ぎ木』の技術ってとこでしょうか。
リンゴカードを横に並べた房は、1つのリンゴとして扱われ、まとめて獲得することができるようにます。ただし、100ぴったりで大豊作となったときは、房があると、リンゴの獲得に制限がかかります。
奉行むむ? 房を作る狙いは…
与力大豊作でなくとも、安定してリンゴを複数手に入れられるってとこですかね。
奉行ふむう。リンゴカードの巡りが良い時に狙えばよいのかなあ。
あっ、じゃあお手伝いさせてもらいますね
両者思案顔にてプレイ中…。
奉行ここにこうしてリンゴを並べて…次であの数の樹がくれば…
与力あっ、お奉行のリンゴ、大分実ってるじゃないですか。収穫手伝いますよ、ほら!
奉行な、なんじゃと!?
手札を出すとき、樹のカードもリンゴのカードも、自分の列ではなく、他のプレイヤーの列に重ねて“お手伝い”することができます。これにより、リンゴの収穫計画を狂わせたり、収穫を始めさせてしまうことができます。
お手伝いによってリンゴが収穫された場合、大豊作であったならば樹の持ち主と収穫を手伝った人でカードを折半することになります。通常の収穫であった場合には、持ち主と手伝った人で、そのリンゴを“競り”にかけて取り合うことになります。
奉行“競り”とは?
与力手札から樹のカードを出しあって、より大きな数字のカードを出した方が、リンゴを貰えます。つまりまあ、お手伝いするならそこまで考えて手伝った方がいいようですね。
奉行せっかくなら、確実に貰いのある大豊作を手伝いたいものじゃな。
与力ただし、例外として最高値である「50」のカードは、最低値である「5」のカードに負けますのでご注意を。
奉行むむ。単純にいかない要素もあるのだな。
このリンゴ、虫が入っとるなあ。食べられへん
山札には、その他に3種類の特殊カードが入っています。上手く使えば大きな効果をもたらす…かもしれません。
与力このカードはマイナス点のリンゴです。収穫してもうれしくありません。
奉行そりゃな。さっきからおぬしが、わしの実り列にせっせと置いてくるくらいだからな。
与力やたらと引いてしまうんですよ……。
与力平和の象徴・ハトです。好きな実り列の一番上に重ねられているリンゴを、強制的に収穫できます。誰からでもリンゴを奪い取れる訳ですね。自分のを採っても構いませんが。
奉行平和とはいったい。
与力あと、虫食いリンゴを他所の実り列に動かせます。
奉行ますます、平和について考えさせられるな。
与力任意の幹を取り除けます。もし、そこから枝が伸びていた場合には、それごと取り除けます。
奉行また面倒な妨害カードじゃのう。
与力ただ、こいつは虫食いリンゴを排除することもできるんですよ。虫食いを打消す唯一の手段です。
奉行ほう! では攻め手として使うか、お守りとしてとっておくか、その判断が必要なカードじゃな。
美味いなぁ~。糖度14くらいですか?
山札が尽きたらゲームは「最後の収穫祭」となり、場に残った収穫されていないリンゴの競りを行います。競りの結果、全員の手札がなくなったら、得点計算です。収穫したリンゴカードの勝利点を合計していきます。
この時、収穫したリンゴの中に、同じ数字のカードが並んでいる部分があった場合、ボーナスである「黄金のリンゴ」カードを貰うことができます。
奉行ここで収穫の順番が大切になってくるわけだな。
与力結構でかいんですよね、ボーナス点が。
奉行わしの数列の場合、1が3枚並んでいたのと、2が4枚並んでいたので、3点と6点のボーナスを貰ったが、12点は貰えなかったな。
与力わたしはノーボーナスでフィニッシュです。不揃いリンゴばかりだった…。
『果実の収穫』【ここがイカス!】
奉行手塩にかけてリンゴを育てている感じがよく出ていたと思う。リンゴの樹を育てて、然るのち実らせたリンゴを収穫する。このサイクルが非常に見事だった。
与力枝を生やして樹を育てて大豊作を狙いつつ、実りを増やしていくという、計画性も必要なゲームです。
奉行うむ。。枝が次の幹になる、というのは非常に面白いルールだった。一粒で二度おいしい、といった塩梅だ。
与力他人にちょっかいかけられるのもいいですね。自分の手元だけ見ていないで、周りもちゃんと見ておかないといけない。
奉行そうだな。それも考えると、枝や房の意味が大分出てくるんだよな。枝を含んだ計算は、お手伝いの時にはできないから、幹の部分は数字を低めに抑えつつ、枝を伸ばして自分だけで収穫しようか、とかな。
与力そういった意味では、2人よりは3人以上の方が面白いかもしれませんね。
奉行2人だからこそ牧歌的な雰囲気で、安心してリンゴを育てられたのかもしれんな。
与力あと、アートワークは必見です。
奉行確かに。素晴らしいの一言だ。
『果実の収穫』【ここはちょっと…】
奉行暗算の訓練をしておく必要がある。
与力暗算と言ったって、足し算だけじゃないですか。しかも区切りのいい数字の。
奉行この年齢になると、複数の計算結果が頭に入らなくなってきてのう。
与力まだそんな歳じゃないでしょ。
奉行「場に出したカードの合計値」「他プレイヤーのカードの合計値」に加えて、「自分の手札にあるカードを何処に出すとどうなるか?」……などなど、割と頭を使うと思うぞ。「幹のみor枝も含める」で複数の計算が必要になるしな。「算数(暗算)だいっきらい!!」と思っているタイプの人には、ちょっとおすすめしづらいな。
与力確かに、場合によっては「計算がイヤ>ゲームが楽しい」となってしまう恐れはありますね。
奉行あと、自分の場を見つつ、相手の場の伸ばし方を確認していく、という形で進行するので、慣れてくると逆にいろいろ考えてしまって、時間がかかりそうだな。一見するとさほど難しいルールはないようなのに、標準プレイ時間45分から、というのは「ん?」と思ったが、遊んでみて納得した。
与力見た目やテーマとは裏腹に、思いのほか時間がかかることは承知の上で遊びましょ、ですね。
奉行そうさな。45分というと、実は『パンデミック』と同じ勘定だ。結構なボリューム感だな。
与力比較されると、なるほど確かにずっしりと。
奉行ま、どんなゲームでも楽しければ実時間は気にならないもんだがな。『果実の収穫』も、気付いたら寝る時間が迫っていた、という塩梅であったよ。
奉行そういえばお主、今年は随分とアップルパイ造りに精を出しておったらしいな?
与力……酸っぱいアップルパイばっかり出来上がりましたけどね!
奉行その反動で買ったのか……?