リゴレのレポート≪リゴレぽ≫ 第1回 店長と『ティカル』 presented by 青葉新館

ボードゲーム愛好

「『ティカル』に合う水餃子とか欲しいね」

【リゴレのレポートって?】
「一生遊べるボードゲームをお客様にご提案したい」リゴレ店長と、「一生ボードゲームで遊んでいたい」ほ~らく奉行所の与力が、横浜中華街の有名レストランの一角で、ランチタイムにそっと繰り広げるボードゲームトークの様子をつづったレポート、略して「リゴレぽ」です。
【本日の名店「青葉新館」】
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※掲載情報は2018年4月時点のものです。
【登場人物】

与力ほ~らく奉行所ボードゲーム方の買掛担当。好きな中華はエビチリです。

店長横浜のボードゲームショップ・リゴレの伸居店長。ボードゲームと横浜中華街のお店選びならお任せ!

2018/04/18 追記 YouTube「リゴレチャンネル」の『ティカル』プレイ動画について追記しました。

まず初めに

与力いつもお世話になっております。実は昨年末に公開した「年末年始におススメのボードゲーム」が、おかげさまで各方面よりご好評を頂きまして。

店長あ、ホントですか。嬉しいです。

与力で、今度は特に季節とは関係なく、店長お気に入りのゲームをもっと長い尺で話してもらったら面白いんじゃないかなあ、と思った次第です。

店長えーっと、語りたいゲームいっぱいありますよ。何にしよう。やっぱり『ティカル』ですかね。

与力リゴレといえば『ティカル』ですものね。

店長じゃあ食事しながら、『ティカル』がいかにいいゲームかお話しする、ということで。

本日のテーマ1:愛する『ティカル』

ティカル リゴレ

デザイナーはW・クラマー&M・キースリング。1999年発売。1999年ドイツゲーム大賞、ドイツゲーム賞受賞作品。同コンビは翌2000年も『トーレス』でドイツゲーム大賞を受賞。近年も『カッラーラの宮殿』『アブルクセン』などヒット作をリリースし続けている。(写真は流通中の2016年のSuperMeeple版)

ティカル リゴレ
中華街にもティカルは映えると笑顔の店長。

サイコロ無しのインパクト

与力さてさて。『ティカル』って、1999年に発売されたゲームで、遊んだことがない人も少なくないんじゃないかな、と思います。なので、まず「そもそもどういうゲームなのか」というのを簡単にご紹介いただけますでしょうか。

店長グアテマラに実在するマヤ文明の世界遺産、今はティカル国立公園って呼ばれている所ですけど、この遺跡が発見される当時の世界に戻って、ジャングルを探検して、遺跡を発掘して、財宝を復元する、それで高得点を目指す、っていうゲームです。

与力探検をしていくゲームなんですね。

店長そうですね。アクションポイントを使って、タイルをめくってジャングルの中を歩いて行って、それで遺跡が発見されたら、人のコマを沢山配置している人がそこを手中に収めて得点するんです。その「単純に人数が多い人が遺跡を取れる」っていうシステム、“エリアマジョリティ”なんて言いますが、初めて遊んだ時に、これが僕には画期的過ぎて。

与力なるほど。どうしてでしょうか?

店長単純に人数多ければいい、けど、人数割こうにも持っているコマの数はみんな同じだし、コマに行動を割り振るためにはコアストがかかるとか、その辺のマネージメントをゲームにしているのが斬新で。

与力なるほどなるほど。

店長あとアートが美しすぎる。ゲームとしての完成度はもちろんなんだけど、全体の完成度がホント高くて、素晴らしい。

ティカル リゴレ
「この排骨飯のような、完璧なバランスが『ティカル』の魅力では」と店長は言う。

店長それで、エリアマジョリティは画期的でしたね。それまで知っていたボードゲームってサイコロを振るゲームばかりだったんですが、“サイコロを振らない”ボードゲームって、初めて出会いました。感動しましたね。

与力ランダム要素なし、ってビックリしますね、たしかに。

店長そうなんです。ところが、タイルの引き運とかランダム要素もちゃんとある。でも、そこから先は実力勝負なので、勝っても負けても納得がいくんです。それで次やった勝てるかも、とか考えたり、上達していくのが分かる。

与力そしてリベンジを挑んで負ける、までが私のパターンですが(笑)。

店長(笑)。ともかく、ボードゲームって言うと、すごろく的というか、努力ではどうにもならない部分が多いと思っていたんだけど、『ティカル』はそこがちがう。本当に、“サイコロが無い”っていうのは衝撃でしたよね。例えば、「ボードゲームの絵を描く」っていうと、最初にコマとサイコロを描くものだと思ってましたから。

運命の出会いは『カタン』から

与力ところで、『ティカル』との出会いですが、レビューサイトの『ジョーコデルモンド』さんだった、と以前聞いた気がしましたが、たまたまサイトを見ての出会いだったんでしょうか。

店長実は、最初は『カタン』だったんですよ、CAPCOMさんがマグネット式の『ポータブルカタン』を出してて、遊んだらそれがあまりに面白かったので、『カタン』について調べたんですね。そうしたら、これはいわゆる、今はあまり言わないようですが“ドイツゲーム”だということが分かった。

与力ドイツゲームって、初めて聞くと不思議な響きではありますよね。

店長それで、改めて“ドイツゲーム”で検索したら、『ジョーコデルモンド』さんにたどり着いて。面白そうなゲームが大量に載ってて、見たもの全部欲しくなっちゃいましたね。

与力分かります。私もレビューサイト見て興奮して買いまくった時期が有ります。

店長でも、その中で『ティカル』って、高評価はついていなかったんですよ。

与力それでも、ピンときた?

店長はい。レビューを読んでると、なんて面白そうなんだろうって。長考しやすい、とは言われてたんだけど、同時に“女性向け”コーナーにも載ってたんですよね。だからなんかいいなあ、と思って。それでヤフオクで探したら売ってるぞ、と。

与力で、買ってみたと。

店長見た瞬間カッコよくて、で、遊んでみたらめちゃくちゃ面白くて。そういう出会いですね。

与力初めて見ると衝撃的ですよね。ドイツゲームの、アートワークとかコンポーネントとかのこだわり。

店長そうですね。で、全体の感想を表現しようとすると、「運の要素が、戦略性が、アートワークが」……ってなるんですけど、遊んだ時の感覚は、それをはるかに超える情報量があると思うんですよ。『ティカル』を遊んだ時に「これは楽しいものが詰まっている」、そう肌で感じました。繰り返しですが、衝撃的でしたね。

ティカル リゴレ
トーク中も『ティカル』は傍らで見守っている。

店長ちなみに、僕が初めて『ティカル』をプレイしたのは、発売当時の1999年じゃなくて、2009年くらいなんです。

与力あら、それこそ10年前のゲームを遊んだんですね。

店長そうなんですね。でも全然そんなの感じなかった。魅力満載でした。

「2時間で行けるマヤの旅」

与力では、『ティカル』で一番気に入っている部分って、どこですか?

店長それは「要素が少ないけど、勝ち方がいっぱいある」ところですね。「要素が多くて、勝ち方がいっぱいある」のもいいんですけど、遊んでるうちに訳わかんなくなっちゃうんですよ(笑)。

与力なるほど、分かります(笑)。

店長その点、「やりたいことはAとBとあるけど、どちらを優先しよう」って優先度を考えるゲームだから、そこが素晴らしい。それと、タイル引いた時のジャングルの広がり方かなあ。

与力ああ、マップが出来上がっていく様子とか。

店長枠の制限なしで広がっていくんじゃなくて、枠の中で完成する、パネルが変わる感じというのが楽しくて。それに、ゲーム終わった後の盤面が、『ティカル』は群を抜いて美しい。かっこいいです。だから、感想戦も楽しいですよ。

ティカル リゴレ
店長が地元・中華街を歩く時も、『ティカル』は欠かせないお供だ。

与力では、最後に。『ティカル』に本の帯のような推薦メッセージをつけるとしたら、どんなメッセージになるでしょう。

店長短くするなら「2時間でいけるマヤの旅」かなあ。もうちょっと説明させてもらえれば「実は簡単」なんですよね。ドイツゲーム大賞って万人に愛されやすいゲームが選ばれると思うんですけど、『ティカル』も非常に遊びやすい。その魅力は今でも色あせてないです。それに、ボードを広げてその世界に入り込んで遊べるっていう部分も最高です。

与力ボードがあるボードゲームを前にすると、ちょっと高揚するところもありますね。

店長で、意外とゲーム初心者向けのちゃんとボードを使うゲーム、っていうのが少ない中で、これはすごく遊びやすい。もちろん、上級者でも満足できます。ボードゲームの新作がどんどん発売されるなかで、「一生遊べるボードゲームに出会いたい」って方も結構多いんじゃないかと思うんだけど、僕はある1つのジャンルにおいては、『ティカル』はその中に入ると思うんです。

与力お、と言いますと?

店長ドイツのゲームシーンの写真なんか見ると、子供と大人が一緒にボードゲームやっているっていうのがある。それって、凄く良いと思っているんです。ゲーマー同士だけじゃなくて、親子とか、あるいはおじいちゃんおばあちゃんも入って遊ぶ、そういうフラットなシーンのゲームを選ぶならば、『ティカル』はまさにそこにあるべきゲームだと思うんですね。

与力なるほど、ファミリーの中心に『ティカル』ですか。

店長実際、昔の彼女とかと遊んだことが有るんですけど、1回目は「難しい難しい」って言ってたんですが、2回目からは楽しんでもらえました。

与力それはすごい。

店長ゲーム初めてです、って人に「じゃあこれ」って出すのはきついかもしれないけど、“その次”のゲームとしてなら是非。よくボードゲームを遊び始める人の“最初の一歩”って言ったりしてるんですが、『ティカル』はその“二歩目”、そんなゲームなんじゃないか、と考えています。値段が高いのだけがちょっとアレかもしれませんが(笑)。

与力8,000円でしたっけ? 確かに慣れてない方からしたら、ちょっと腰が引けそう。

店長今はハチロク(8,640円)ですね。まあ、1回864円だと思って、ぜひ10回遊んでみてください、って感じです。ちなみにリゴレでは、便利なルールサマリーもお付けしていますので、お買い求めは是非当店で(笑)。

与力いきなり宣伝が入りましたね(笑)。貴重なお話、ありがとうございました。

ティカル リゴレ
「『ティカル』には理想のボードゲームシーンがある」と語る店長。いつしか排骨飯の皿は空になっていた。

本日のテーマ2:ゲームマーケット

与力時事ネタをちょっとだけ扱おうと思うんですが、4月1日に大阪でゲームマーケットが開催されて、今度は5月の始め(5,6日)に東京で開催です。ご来場の予定はありますか?

店長ご来場の予定、ないです(笑)。多分そこはめちゃくちゃ忙しいから行けないんですよね。

与力ゲームショップ店長のジレンマですか(笑)。

店長そう、5月の連休だからお店的には遊びに行きたくてもいけない(笑)。でも2日開催になって、デザイナーさんたちが大変そうだから、そこがちょっと心配ですね。毎回新作持っていくのも大変だし。

与力確かに大変ですよね。

店長ゲームマーケットはデザイナーさんの方が気になってしまいますね。そっちの参加者の方で、初めて参加する方とかには、是非会場で“いい仲間”を見つけて欲しいですよね。「絶対面白い!」と思って一生懸命ゲーム作って持っていっても、思ったようには売れなかった、ってことはあると思うんです。そこで卑屈にならないでほしいんですよ。

与力ガッカリし過ぎないで欲しい、と?

店長ええ、その売り上げだけで、作ったゲームが面白くなかった、と断言できる訳じゃないと思うんです。売り方をもうちょっとだけ工夫したら、もっと魅力が伝わったのかもしれない。そして、作るのが得意な人がいるように、売るのが得意な人もいる。

与力なるほど。得意分野が異なる人同士が組んで、シナジーを起こしてほしい、ということでしょうか。

店長はい。作る力がある人と、売る力がある人が上手く組めれば、もっともっと、どんどん売れるゲームって出てくると思うんで、そういう仲間との出会いがあることを願っていますね。

与力やっぱり店長さんは、デザイナーさん応援のスタンスなんですね。

店長はい。面白い日本製ボードゲーム、増えて欲しいですよね。

「これからのリゴレ」

4月21日(土)、22日(日)
「はじめての人の為のボードゲーム会」
これからボードゲームを始めてみたいという皆様の参加をお待ちしております。詳しくはリゴレ公式ページをチェック!

リゴレチャンネル(2018/04/18 追記修正)

今回、店長が熱く語ってくださった「ティカル」の説明・プレイ動画が、YouTube「リゴレチャンネル」にて公開されました! 『ティカル』がどんなゲームなのか、とてもよくわかる楽しい動画です。


【ボードゲーム紹介】Tikal ティカル【説明・プレイ動画】 @リゴレチャンネル)

この「リゴレチャンネル」には、他にも沢山のボードゲーむプレイ動画があります。是非チェックしてみてください。

第2回も店長が熱く語ってくれるはず、と期待をする与力であった。