『ホットドッグ』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。ホットドッグ、パンにはさみたいものといえば?「シンプルにソーセージ、ザワークラウト。マスタードとケチャップで食べたい」
与力藩の買掛担当。ホットドッグ、パンにはさみたいものといえば?「粒あんとバター。ドッグ要素無し」
ホットドッグの由来は19世紀後半だとか
与力このゲームはあのクラマー作品なんですよ。
奉行おお、誰もが一度はどこかでゲームを遊んでいる可能性が高いデザイナー殿だな。
与力『ニムト』や『アブルクセン』といった定番カードゲームから、『ハチエンダ』『エルグランデ』『フィレンツェの匠』に怖い顔三部作…と、この方のゲームだけで一年中遊んでいられるぐらいですね。
奉行その中で、今回はこの小箱ゲームと。
与力年代的には『ニムト』の直後に発表されたもので、それを2024年にリゴレさんが日本語化して出してきた訳です。
奉行ボードゲーム界隈の潮流からすれば、「古典」と言われるような時期のゲームであろうな。どんなゲームなのか、さっそく遊んでみようではないか。
ゲームの準備です。まず、ドルカードを種類ごとに分け、山札にして置きます、次に3枚のテーブルカードを場の中央に並べます。各プレイヤーは5色から自分の色を1色選んでそのカードのセットを受け取ります。ホットドッグカードが13枚、テーブル決定カードが3枚です。その後、ドルカードの山札から3ドル(1ドルカードを3枚)受け取り、手札に入れます。最後に適当な方法でスタートプレイヤーを決定したら、準備は完了です。
奉行テーブルカードが2枚しかないが…。
与力はい。プレイヤーが3人までの場合には、テーブルは5番と7番しか使いませんのでご注意ください。
奉行なるほど。そうすると手札のテーブル決定カードも1枚は使わないということじゃな。
キング・オブ・ホットドッグ?
与力ゲームの目的は「誰よりもホットドッグを売ってドルを稼ぐこと」です。ホットドッグは1個1ドルで、全員手札の構成は同じなので…。
奉行つまり、どう売り込むかが勝負を分けるということじゃな?
ゲームは4つのフェイズで区切られており、これを1回通して行うと1ラウンド終了となります。ゲーム終了のタイミングまで、ラウンドを繰り返します。
①ホットドッグの準備
②ホットドッグをテーブルに置く
各プレイヤーはどのテーブルに何個ホットドッグを売りたいかを決め、手札からカードの組み合わせを作って裏向きに出します。これは手番ごとではなく、一斉に行います。そのあと、カードを表にして、優先順位に従ってカードを置いていきます。
与力じゃあどんな指針で出せばいいんですかという話になってきますが。
奉行そこよな。
与力まず、各テーブルは「テーブル番号と同じ個数までのホットドッグ」しか受け付けてくれません。それを覚えておいてください。
奉行おう、今の場合はそれぞれ5個、7個じゃな。
与力それ以下になるように、ホットドッグカードを組み合わせてください。ホットドッグカードは当然ですが使い切りです。
奉行うむ。後で「小さい数が足りなくて足し算が上手くいかないよう!」みたいな事態にならぬように用心ねばな。
与力で、ホットドッグカードと、それをどこに置くかの意思表示であるテーブル決定カード以外に、ドルカードを組み合わせて出すことができます。
奉行うむ? ドルカードを稼ぐのがこのゲームの目的であろう? いわば勝利点を使ってしまうのか?
与力ドルカードは、一緒に出したホットドッグカードの売値を1下げることができます。ただ、カード自体の数字を1減らす訳ではないので、そこはご注意を。
奉行ふむ、つまり値引きシールと同じ意味を持つということなのだろうが…それは良いことがあるのか?
与力それはホットドッグがどういう優先順位でテーブルに置かれるかという部分にかかってくるのですよ。
ホットドッグは「売値が低い、つまりカードの数字の合計数が低いプレイヤーから優先して」テーブルに配置されます。先述の通り、各テーブルはテーブル番号以下までしかホットドッグを置けないため、競合が発生した場合にははじき出されるプレイヤーも出るかもしれません。
与力つまり、5番テーブルにお奉行が合計2、私が合計4のホットドッグを置こうとした場合、合計が低い2のホットドッグが優先されます。
奉行わしのホットドッグが先に置けますよ、と。
与力次に私のホットドッグなのですが、5番テーブルは5個までしか置けません。すでに置かれた2に4を足すと6個になってしまうため、私のホットドッグは手札に戻されてしまいます。
奉行おお、ショートする分にはいいが、オーバーすると全部弾かれてしまうのか!
与力はい。4個出したうちの3個だけ置ける、とかはないんですね。そこで、ドルカードです。
奉行ああ、安売りで強引にねじ込むということか。
与力例えばですが、私が3ドル使っていた場合なら、売値は4から3を引いて1になるので、お奉行の2より早くテーブルに置けるわけです。
奉行おお、そうすると今度はわしが4+2の計算に引っかかって置けなくなる、と。
与力ただ、使ったドルカードは捨て札になってしまうので、どれだけ値引きするかは考えどころですね。そういったあたり、互いに手を読み合う駆け引きが重要になってきます。
資産は圧縮しましょう
③テーブルチェック
④ラウンド終了
ホットドッグの代金が支払われるかもしれないフェイズです。各テーブルの番号とホットドッグカードの合計がぴったり同じになっているテーブルがあれば、支払いがおこなわれます。自分のカードをそのテーブルに置いていたプレイヤーは、カードの数字の合計と同額のドルカードを受け取ります。
支払いが発生しなかったテーブルに置かれたカードは、そのまま次のラウンドへ引き継がれます。
奉行1個1ドルね。1ドル。
与力これでテーブル番号とピッタリ同じになるように、なんとか上手くホットドッグカードを置いて、そしてドルカードに変換していくゲームなんだということが分かってくる訳ですが、まだ仕掛けがあります。
奉行なんだ、何がある。本社の監査でも入るのか。
与力違います。稼いだドルカードなんですが、所持制限があるんですね。1人あたり、1ドルカードは5枚まで、5ドルカードは2枚までになっていて、これを超えてしまう場合には強制的に大きい金額のカードへの両替が行われます。
奉行お? 5ドルの上は10ドルか…。
与力そして小さい額への両替はできません。1ドルで値引きしたいと思っても、手元に5ドルか10ドルしかなければ、それはできないということです。
奉行うげぇ、両替&お釣り不可!?
与力額面の大きいドルカードで値引きをするのはできなくはないようですが…お釣りが出ない以上、勝利点が大幅に減るのでやりたくはないですよね。
奉行なんだか定期預金か普通預金かみたいな感じになるんだな。
与力使いづらくなるのは確かですね。で、ここまでやったらラウンド終了です。スタートプレイヤーの印であるケチャップカードを左隣の人に渡して、次のラウンドが始まります。
奉行あ、それなのじゃが、スタートプレイヤーだと何があるのだ? このゲーム、ほとんど同時処理ではないか。
与力スタートプレイヤーから左回りに「ホットドッグカードの売値が同じだった場合の優先権」が上位になります。つまり、スタートプレイヤーはちょっとだけ強気に出られるということなんですよ。
奉行ほおお、そんな意味があったのか。
ラウンドを繰り返し、誰かが手札の最後のホットドッグカードを出す時に「最後のホットドッグです」と宣言したら、ゲーム終了のトリガーが引かれます。そのカードがテーブルに配置できたら、そこでゲームは終了となり、手札のドルカードの総額が最も大きいプレイヤーが勝者となります。配置できなかった場合には、誰かがホットドッグカードを使い切るまでゲームは続行となります。
なお、2人のゲーム結果は2戦して、奉行の2勝で終わりました。
奉行お主の思考パターンは、こういうゲームだと手に取るようにわかるわ。
与力ことごとく先手を取られていましたねえ。後手に回ると追いつけない。
奉行大体、ホットドッグのはさみたいものって質問に、あのような冒涜的な答えをする奴には負けんぞ。(この記事冒頭の「登場人物」欄参照)
与力個人の自由です。負けましたが。
『ホットドッグ』ここがイカス!
奉行やることは単純よね。分かりやすい。
与力出したいところに上手く入れるように、数字を選ぶのが軸になるゲームですね。
奉行で、「できる限り他プレイヤーよりも下を行きたい」というのが、上を行きたいという通常の競りとはちょっと違うなという。
与力そうですね。テーブルの上限に引っかからないように、かつ他プレイヤーより先に置きたいというところですか。
奉行しかし、シンプルながら考えどころはかなりある。カードは小さい数字を使い過ぎてしまうと、あとで身動きが取れなくなることもあり、またビビッて刻み過ぎると大きく稼げなかったりする。
与力結局、ホットドッグ=ドルですからね。はやく変換しないといけない訳です。
奉行そうなのよな。とはいえ、これ、2人プレイだから相手の手を読み合う心理戦的な要素が大きかったが、3人以上になるとテーブルの数よりプレイヤーの数が上回る訳じゃろう?
与力ええ、3人までは2卓、4人からは3卓ですから、1人多いですね。
奉行そうであればバッティングの危険性も増してこようから、先手を取るために値引きして売り抜けの重要性が高まるのではないか。となると、大きい額のドルカードばかり手札に持っているというのも手を狭めるのでは?と思うのよな。
与力早めに大きく稼ぐことが、逆に後の手を苦しくするかも、と?
奉行やってみないと分からんよ。だが、そういうことを考えてしまう程度には、多角的な検討を行ってゲームを進められるのではないかなあ。そういった点ではプレイ後の満腹感は高いと思う。
与力ホットドッグだけにね。
奉行上手いこと言ったつもりか。
『ホットドッグ』ここはちょっと…
奉行これ、全プレイヤーが同じ店舗の中で販売しているのか?
与力さあ?
奉行説明書によれば、プレイヤーはホットドッグ店の店長らしいが、通常、1店舗に店長は1人しかおらんだろ。然るに、テーブルに座った客が複数の店舗の売り込みを受けるって、これはどういうシチュエーションなんだ?
与力うーん。ホットドッグはスタジアムグルメとしてお馴染みですから、客席に売り子が販売に行くシステムかなんかじゃないですかね…。
奉行あるいはホットドッグフェス中か…正解を教えて欲しいな。
与力それはさておき、ゲーム的な部分はいかがでしょうか。
奉行そうなあ。気になったのは内容物かな。カードの出入りが意外と激しいのが気になるので、カードスタンドを使った方がプレイ環境は良くなるかもしれない。
与力テーブル決定カードは毎回出入りしますからね。
奉行カードが手触りツルツルというかスルスルなのでね。手に持って出し入れしてると、「うわあ」みたいなケースも無くはなさそうだ。
与力なるほど。
奉行あと、ケチャップカードのやり取りを忘れるのよな。スタートプレイヤーのマーカーは他に分かりやすい立体物を用意した方がいいかもしれん。
与力立体物ですか。
奉行だな。熱中してくると、カードだと次に回すのを忘れ気味になるのよねえ。そういった意味ではテケン棒ぐらいデカいマーカーがいいかもしれんな。
与力それこそケチャップのボトルですかね。
奉行あとは…ホットドッグのトッピングがタコ足ってアリなのか?
与力そこですか!?
奉行そういえば、そなたは『subway』に怖くて入店できないのであったな。
与力入って、その後どうやって注文するのか…みたいなのが直感的に分かりづらかったんですよ、初めて行ったとき。それ以来、足を向けてないですね。二郎系ラーメンとかスタバと同じです。
奉行そこは流石に店員さんに聞けば教えてくれるじゃろ?
与力コミュ障おじさんはそれができないから怖がるんですって。