第二十九回 東北攻め
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(何かをつづった形跡が見られるが、文字が乱れていて読むことができない)
越後・柏崎城―1583年10月からの展開―
さてさて、流石に越後は遠かったね。しかし、軍勢の集結に時間がかかったもんだ。ちょっとスケジュール的には押してきてるかな?
甲斐親直「已むを得ますまい。まず集められる限りの軍勢を集めましたゆえに」
角隈石宗「しかし、時間をかけた甲斐も有り、未曾有の大軍が集結いたしました」
OK、各チームから報告を。
藤堂高虎「此度先陣の栄誉を賜り、恐悦至極にござります。我が手の脇備えは、濃姫殿と大谷吉継殿。必ずや敵を打ち懲らしめ、手柄を立ててご覧にに入れましょうぞ」
島津義弘「松代城には俺、小早川隆景、堀秀政だ。いつでも合図をくれ」
黒田官兵衛「北条城にて先手の督戦に当たります。島津家久、井伊直政の両勢も存分に働いてくれましょう」
有名武将のバーゲンセールって感じになってきたね。で、柏崎城に私と佐々成政が後詰と。全部合わせて……
甲斐「おおよそ十六万五千。これほどの大軍は古今にも例が有りますまい」
角隈「この威容を見ただけでも敵は縮み上がりましょう。それでは、出陣のお下知を」
龍造寺「腕が鳴るぜ!」
よし、では北越まで一気に進み、そこから会津盆地へ浸透するぞ! この戦で最上の領土をぐっとシュリンクしてやろう!
義弘「なあ、家久」
家久「なんだい、兄上」
義弘「御屋形は“掃除人”を用意しているかな」
家久「ああ、確かに島津の戦ならどんなときでも必ず用意する。だが……」
義弘「掃除人は本隊がしくじった時の代理。準備が無いようであれば、俺たちに失敗は許されない。いいな?」
―相模・箱根山麓―
由布惟信「やれ、やれってよ、どっちかっつうと消耗戦で“やれやれ”って感じじゃねぇか?」
秀吉「仕方ないですがな、北条さんももう必死だから、あとはこちらも力押し。数じゃ負けとらんから、押しまくれば必ず勝てますでな」
島津義久「工夫のない戦だな」
秀吉「……工夫なんぞしとる余裕が有るとでも思っとるんなら、情けない家来じゃな」
由布「なに!?」
酒井忠次「よく分からんが、あまり喧嘩されると此度の戦の名代であるわしの立場がのうなるゆえ、一つ仲良くたのむぞ」
由布「というわけで、常連でも何でもない、今回初登場の乃美が小田原城を落としました」
立花道雪「……重畳。そのまま、兵を東へ。八王子城を攻略する鍋島・高橋・長宗我部の三将と策応し、相模を縦断して三浦へ入れ」
島津「三浦から房総へ押し渡るのですな」
道雪「……相模より江戸を目指す軍勢の支度も直ちに整えよ。北条の城はもはやどれも孤城。囲めば、すぐに落ちる」
由布「すぐに手配しますぜ」
―上野・碓氷峠―
加藤清正「やってらんないよな、ベイビー」
福島正則「ビビッてんじゃねぇよ、一気に行こうぜ一気に!」
石田三成「ちっ、脳筋どもが」
歳久「なあ、僕ちゃんたち。見れば分かると思うがまあまあ状況は良くないんだ。口動かす前に手を動かしてくれ、頼むから」
真田昌幸「音に聞こえた島津勢、さすがの働きですなァ。遅れて到着した我らの仕事は敵に止めを刺し、城を取って手柄を貰うだけ。なんとも、ハハ、申し訳ありませんなァ」
滝川一益「(真田、味方を出し抜いてでも恩賞が欲しいか……)殿、北条勢の抵抗はすぐに止みます。国峯城へ入城のご準備を」
信長「……で、あるか」
―越後・春日山城―
官兵衛「ということで、立花、織田の軍勢は北条の防衛線を喰い破り、関東への突入に成功いたしたとのこと」
……ああ、そうかそうか。道雪も信長もよくコミットしてくれてる。北条の武将の一部がまたヘッドハンティングに応じてくれる様子も有るし、彼らのアグリーを得たら、関東は一気に制することができそうだね。で、だ。
龍造寺「……最上だけが相手のはずだったんだがなあ」
角隈「最上の武将も何人か調略に応じ、万全と思われましたが……」
甲斐「最上と伊達の盟約が生きておりましたな。伊達の援軍があれほど素早く駆けつけるとは」
だが、後方から呼び寄せた平岡、志賀、吉川の各軍が奮戦してくれて助かったよ。とりあえず、我々は軍の立て直しだね。なんとか会津まで進出できれば、東北攻略の大きなストロングポイントになると思うんだよなあ。……だが、平岡君、なんか体調悪そうだったな。もう高齢だから無理はさせたくない、養生のために後送してあげて。地味に執行種兼とか貴重な副将格がポロポロと寿命で没しているし、我が家臣団も、歳には勝てんね、やっぱり。
義弘「家久、どうだ?」
家久「ああ兄上、大丈夫だ。俺の軍勢はすぐに立て直せる」
義弘「よし、俺も大した損害は受けてないから、今動きやすいのは俺たちだ。だからこれから関東と東北攻略の下準備をする。まずは沼田、次は箕輪。いいな?」
家久「了解、兄上」
家久「なるほど。兄上、沼田の上杉は景勝の家、箕輪の上杉は謙信の養子である景虎の家だったようだ」
義弘「ふーん、上杉も色々複雑なお家騒動をやってたんだな。だが同情はしない。捕らえた武将たちは全員城井谷にぶち込め、歳久」
歳久「それ言いたいだけで、俺をこんなとこまで呼んだのか、兄者? え?」
―二条城―
さて、取りあえず一旦引き揚げてきたけど、戦況はどうやら好転しつつあるようだそうだね?
角隈「はい、乃美宗勝が江戸城を、榊原康政が久留里城を攻め落としました。上州では厩橋城攻略が進んでおり、北条の反撃は止みつつあります」
龍造寺「関東はもう城を着実に城を落としていくだけだな。多少の勝った負けたは気にしなくてももう勝負は決まりだ」
甲斐「後は東北にどのように楔を打ち込むか、ですな。正攻法となれば、あまりに損害が大きくなりすぎまするゆえに」
そこは先の戦の反省から、別のメソッドでアプローチしてみた。官兵衛、結果はどう?
官兵衛「はっ、されば……」
二階堂盛義「お、大友に従えば、二階堂家は残るのか? まことか?」
黒川晴氏「ふん、伊達など最初から気に入らなかったのだ。ここで将軍に恩を売れば、我が黒川家の格も上がろうぞ」
官兵衛「……他に郡司敏良、国分盛顕、武鑓重信ら、最上・伊達の城主たちを複数寝返らせました。伊達政宗、存外に人望が有りませぬな」
んー、これはアレかな、史実では東北統一を目指して全方位に敵を作っていた伊達政宗は、伊達家以外の東北の武将たちとは相性悪いっていう『信長の野望』シリーズ伝統があるのよ。そのせいで忠誠度がイマイチ上がり切らないのかもしれないね。ま、おかげで楽ができそうだが。で、我々の戦力リビルドは済んでる?
官兵衛「はっ、既に再編の済んだ軍勢には、順次、越後への集結を命じております。此度こそ最上・伊達の領土を必ずや切り取って御覧に入れます」
よーしよし、もうそろそろ遊ぶ方もこの文字リプレイを読む方も、勝ち筋が見えすぎて飽きが来る頃だから、次回くらいで一挙に天下統一といきたいところだね!