本州 原題『Honshu』(ボードゲーム開封編)
【登場人物】
与力藩の買掛担当。最近は九州方面からブログを書かせていただいておりますが。
奉行藩の決裁担当。本州以外は北海道しかいったことがありません。
所領の価値を高めろ
奉行おう、なにやら親近感のわく絵だが……うーん、カードの方は字体やアイコンがそれっぽいくらいか。『本州』というのは、いわゆる日本の本州なのであろう?
与力武士&桜&富士山で日本の本州じゃない……とすると、ちょっと驚きですね。じゃあ、遊んでみましょうか。
ゲームの準備は簡単です。各プレイヤーは故郷カード(スタートカード)を1枚ずつ受け取り、自分の前に配置します。1から5の数字が書かれたプレイヤー順カードをランダムに配布し、最初のプレイ順を決めます。所領カードをよく混ぜ、各プレイヤーに6枚ずつ配り、最初の手札とします。資源コマは色ごとにまとめ、全員の手が届くところに置いておきましょう。これで準備は終わりです。
奉行でだ、我々の目的はなんだ?
与力はい、この故郷カードにどんどん所領カードをつなげていって、より価値の高い所領を完成させることですね。
奉行至極明解じゃな。
所領の獲得
与力まずは所領カードなのですが、今、手元にある手札はそのまま故郷カードにつなげていけるわけではありません。
奉行なんじゃと。何か妨害でも入るのか?
ゲームは、まず「トリックテイキングフェイズ」から始まります。プレイ順に各プレイヤーは手札の所領カードから1枚を選び、表にして場に出します。所領カードには1~60の数が振ってあり、全員がカードを出し終えた後、その数字を比べて、高い順に早いプレイ順を獲得できます。
奉行ん? これはあれか? 所領カードを使った“トリックテイキング”というやつで、まずプレイ順カードを争うのか?
与力そうですね。で、新しく決まったプレイ順に、今、全員が出した所領カードの中から1枚を故郷カードにつなげる所領として獲得していきます。
奉行はっはあ。所領カードは2回使われるわけか。
与力ただ、我々は2人プレイなので、ちょっと違う遊び方になるんですがね。
カードを重ねて所領を拡張
次に「マップフェイズ」に移ります。ここでは、「トリックテイキングフェイズ」で手に入れた所領カードを、故郷カードにつなげて所領を拡大していきます。
故郷、所領カードともに6マスの地形が描かれていますが、つなげる時には、「既に配置されているカードの1マス以上を隠すように」置くか、「新しく獲得した所領カードの1マス以上が隠れ、かつ全部は隠さない」ように置かなければなりません。
奉行むむむむ?
与力要するに、カードを並べていくのではなく、カードの一部が重なっていくんですね。それで同じ地形が隣接して広がっていくと高得点になりやすいというのは、まあ大体ご想像通りではないでしょうか。
奉行まあ、そんなイメージはあるが、1マスは隠さないといけないというのが、ちと悩むポイントじゃな。
与力あと、「湖」マスは他の所領カードの下に隠すことはできないです。そこに注意ですね。
これを12ラウンド繰り返し、最終的な所領から得点計算を行います。
奉行12ラウンド? 手元には6枚しか手札が無いが……
与力はい、手札は6ラウンド目が終了した時に6枚新たに追加されるんで、大丈夫です。
奉行? なら12枚最初から配ってくれれば……
与力実はですね、3ラウンド目と9ラウンド目の終了時、自分の手札の残りを、隣の人と交換しないといけないんです。
奉行なに? ということは、最初の手札を後のトリックテイキングに備えて温存しても、他人を利するだけになりかねん、と?
与力そうなるかもしれない、ってことですねえ。悩ましい所です。
湖と森は意外と大切
与力さて、所領ができあがりましたね。得点計算と参りましょう。
奉行うーん、住みやすいかどうか、という議論は置いておくか。
与力得点が高ければきっと住みやすいですよ、そう信じましょう。
―街、湖、森―
与力まずですね、自分の所領の中で「隣合わせに最も大きく広がっている」街に対して、「1点×街のマス数」点です。シンプルですね。
奉行つまり、街は大きければ大きいほどよく、『カルカソンヌ』のように街を沢山つくっても得点にはならない、ということじゃな。
与力森は見えているマス1つにつき2点です。で、湖もそうなんですが、こちらはつながっている湖のうち、「最初の1マス目は0点で、2マス目から3点」となっています。
奉行高得点ではあるが、森とは違って1マスだけの湖に意味は無い、ということか……
与力しかも配置の時、湖は隠せないですからね。意外と勝利のカギになりそうなマスです。
―資源採掘場所&工房―
与力新しい所領が増えた時、資源採掘場所には資源トークンを置きますが、それを得点に変換するのが工房です。
奉行この、なにかウィルスっぽいアイコンが描かれているマスか。
与力はい。対応する色の資源トークンを、採掘場所から得点計算時に移動できれば、そのウィルスっぽいアイコンの隣に描かれている家紋アイコン数と同じだけ得点が入ります。
奉行資源は最後まで持っておき、対応した工房も所領に準備することをよく考えねばならぬな。
与力注意点としては、工房は得点に幅があることと、資源はトリックテイキングフェイズに消費することで、カードの数字をつり上げる用途もある、という辺りでしょうか。
奉行ぬ、サラリと重要なことを申したな!?
―荒れ地―
与力荒れ地は文字通り荒れてるんで、点にはなりません。
奉行単純なお邪魔マスか?
与力いえ、得点が並んだ時は、所領の中に見えている荒れ地を多く含んでいるプレイヤーが勝利します。
奉行な、なぬ? 適度に所領が荒れている方が、よい領主と讃えられるのか?
与力そこら辺の背後関係は不明ですが、そういうことになっています。開拓の余地がある、ということなんでしょうかね。
一つずつの得点計算は単純ではありますが、ほとんどの地形が得点になるため、掛け算と足し算を多用します。計算間違いのないよう、付属のメモパッドやチラシの裏などを使って計算すると良いでしょう。
このような具合でプレイしたところ、一度だけスコアが同点タイ、荒れ地の数によって辛くも奉行が勝利するといったミラクルも起きました。
『本州』【ここがイカス!】
奉行見た目に反して、なかなか味わい深い箱庭ゲームではないかな。要素はごくシンプルじゃが、このカード配置で「1マスは隠せ(湖はダメ)」というのが結構頭をひねる。これまでには無いプレイ感覚で、面白かった。
与力見た目に反して、って余計じゃないですか?
奉行この過剰な日本推しパッケージは、逆に危険な匂いが漂っていると敬遠する方も多そうだと思うんじゃが……しかし、それを補って余りある内容じゃと思う。
与力なるほど。ちょっと得点周りがゴチャッとしているように感じましたが、その辺はどうですか?
奉行逆に、何をやってもとりあえず点になる、ということなので、ストレスフリーに遊べてよいのではないか。30分とプレイ時間は軽めだし、より気楽に遊べてよいではないかな。
与力ふむふむ。
奉行常々申しておるが、プレイ時間の短さと準備のしやすさは、リプレイ欲求に直結すると思う。その点、『本州』は何度か連続で遊んでみたくなるゲームだと思う。スルメみたいにしばらくかじっていたくなるな。
与力特にお奉行のように、タイル配置ゲームが好みの方におすすめってところですか。
奉行うむ。タイル配置で新境地が味わえるとは思わなんだ。ちなみに、プレイ人数が増えれば、トリックテイキング部分の駆け引きがより重要になってくるかもしらんし、なかなかどうして、良いゲームだと感じたぞ。
『本州』【ここはちょっと……】
奉行んで、ここはちょっとというか、素朴な疑問なんだが。
与力はい。
奉行これ、テーマとして日本推しにした意味はどこにある? ゲーム中、日本、なかんずく江戸っぽさなどを感じる部分はほとんどなかったぞ?
与力……えっと、この家紋とかですかね。
奉行それだけか? 出来上がった所領も、特に和風な見た目になる訳でも無し。湖と森が得点になる、というのも、日本的な所領の価値観から離れてはおらんか。
与力ええっと……湖はあの、網野善彦センセイ的に水運重視の社会を示し、森は入会地としての価値が、とかですね……
奉行分かりづらいわ! 荒れ地が勝敗を決める、というのも所領発展を目指すという点では妙だしな。今後の発展の余地がある、とかそういう理解をすればよいのか? だが、いっそもっと日本らしく田んぼと用水路とか、果ては寺社仏閣辺りまで思い切ったマスにした方が良かったのではないか?
与力そうなると海外の方には、直感的にどういう意味のあるマスなのか、逆に分かりづらくなるのでは……?
奉行むむ、そうなるのか? 海外製日本ゲームの定番である鳥居とか仏塔、大仏とかがあった方が、「得点になる理屈はわからないけどすごく日本っぽい」ゲームとしてもてはやされそうな気がせんでもないが。
与力そこら辺、海外で聞いてみたくはありますね。
奉行という訳なんで、箱から受ける印象ほどに日本っぽさはないので、そこに期待してはいかん、ということじゃ。
与力逆にそれを朗報と感じられる方も、いらっしゃるかもしれないですね。
奉行この所領、ちょっとだけ昔のゲームのステージっぽく見えなかったか?
与力トップビューのシューティングとかですかね。確かにこの街とか、ボムで破壊するとなんかアイテムが出そうな形状かもしれません。