テーベ 原題『JENSEITS VON THEBEN』(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好
【関連記事】
テーベ 原題『JENSEITS VON THEBEN』(ボードゲーム開封編)

【登場人物】

与力藩の買掛担当。考古学者といえば「イ●ディ・ジョーンズ」。

奉行藩の決裁担当。考古学者といえば「吉●作治」。

時間をやりくりして世界を駆けまわる

テーベ JENSEITS VON THEBEN
ゲームボード全景。50×36cmとお手頃なサイズです。

与力基本的にはですね、ヨーロッパで史料や協力者、道具を集め、実際に遺跡がある地中海地域に行って発掘をする、というのを繰り返すゲームです。

奉行ということは、遺跡で価値の高いものを発見すればよい、ということだな?

与力必ずしもそれだけではありませんが、大体あってます。

『テーベ』では、プレイヤーの人数によってゲーム時間が異なります。2人の場合には3年間(52週×3)ですが、3人では2年半、4人の場合は2年となります。

テーベ JENSEITS VON THEBEN
何年遊べるか、ではなく、発掘できるか。

奉行これはどういう意味があるのだ?

与力このゲームでは、何をするにも時間が必要なんですね。都市間、あるいは遺跡への移動や、史料を読み込んだり、協力者を集める活動、もちろん発掘もです。ですから、時間が短くなるということは、やれることが減ることにつながりますから、より計画的な行動が必要になる、ということになりますでしょうか。

奉行ふむう。時間制限はやっかいだな。

発掘のための下準備

テーベ JENSEITS VON THEBEN
まずはこちらでしっかりと準備と計画を。

ゲームが始まったらプレイヤーができることは4つあります。

  1. 学者カードを引く
  2. 場の学者カードを交換する
  3. 発掘
  4. 展示

このうちのどれかを選んで実行していきます。なお、スタートプレイヤーが手番を行って以降、次の手番は“最も残り時間が多い人”に移ります。

与力んで、1,2,4はヨーロッパの都市で、3はどこかの遺跡で行う、という形です。

奉行ほほぉ。いきなり発掘をしてもよいのか?

与力できなくはないですが、セオリーとしては「学者カード」を集めて、それから「発掘」って感じですねえ。

奉行成程な。カンでそこらへんをほじくり返しても、見返りは少ないのじゃな。

1. 学者カードを引く

テーベ JENSEITS VON THEBEN
今はどの勉強ができるのか…

学者カードを引くと、発掘を行う際の成功率に関わる知識や、発掘を手伝ってくれる助手やスコップ、あるいは移動手段としての車や飛行船などを手に入れることができます。

与力学者カードはボード上に4枚オープンされていますから、その中から欲しいカードを選んで手に入れます。これだけです。

奉行なんだ、えらく簡単じゃな。

与力ただし、まず各カードごとに指定されている都市へ、プレイヤーコマを移動させなければなりません。この時、隣接する都市間の移動には1週の時間が必要となります。それに加えて、学者カードの右上に書かれている数字×週の時間を、カード獲得のために費やす必要があります。

奉行…ふむう。ということは、例えばこの沢山知識を得られそうなカードを手に入れようと思うと、えらく時間がかかってしまうのじゃな。6とか書いてある。

与力そうですね。それから現在地より遠い場所で手に入るカードを引きに行くと、移動のせいで思いのほか時間を喰ってしまうことがあります。

奉行うーん。カードを手に入れるのに時間がかかり過ぎると、どうなる?

与力とても簡単に言うと、発掘の時間が無くなります。

奉行うええ。

2.場の学者カードを交換する

学者カードは公開されている4枚の中から選んで引きますが、欲しいカードが無い場合、1週の時間を費やして、全て交換することができます。

与力ただし、ワルシャワにいる時にしか交換はできません。

奉行ワルシャワ、重要じゃな。

『与力教授、本当にここですか?』『私の学説は正しい!』

3. 発掘

十分な知識を得られたと思ったら、プレイヤーは5か所(ギリシャ、エジプト、クレタ、パレスチナ、メソポタミア)の遺跡のどこかへ移動して発掘を行います。これにより、勝利点となる発掘品が手に入ります。

奉行学者カードを手に入れれば知識は増える訳だが、どのくらいで十分だと判断すればよいのだ?

与力そこら辺は自分の使える時間との兼ね合いですねえ。

発掘の際には、まず学者カードによって得られた知識ポイントを合算します。その上でどのくらいの時間をかけるかを決めると、発掘する遺跡の袋から発掘品タイルを何枚引けるかが決まります。

与力すごくシンプルに言えば、知識が多ければ多いほど、少ない時間で多くのタイルを引けるようになります。それが一目でわかるのが、このディスクなんですね(ぐるぐる)。

奉行(ぐるぐる)なるほど。中途半端な知識で勇んで遺跡に行っても、時間を喰うばかりでまともな発掘はできん、ということなのか?

与力おおむねそんな感じです。発掘品タイルについてですが…

テーベ JENSEITS VON THEBEN
例えばこんな感じで。

発掘品は価値の低いものから高いものまで、各地域ごとに異なる枚数のタイルが袋の中に入っています。

与力これは青い袋、メソポタミアの発掘品の一覧ですね。実際にはこの他に知識が手に入るタイルと、ハズレのがらくたタイルが混ざっています。しかも、がらくたタイルは一度引かれても袋に戻ります。

奉行なるほど、ハズレがあるとなると、沢山のタイルを引けないと発掘品は手に入りずらいし、後で発掘するほど不利になっていく、という訳か。

与力そうですね。一応、各遺跡で最初に発掘した人は1点の発掘品がボーナスとして与えられますが、やっぱり価値の高いやつを手に入れないと、ですね。

奉行とはいえ、タイル引くのは運の要素が大きいな。

テーベ JENSEITS VON THEBEN
『教授、やっぱり間違っていたんじゃ?』『そんなことはない!』

与力……こういうことも有る訳ですよね。

奉行無残じゃな~。

テーベ JENSEITS VON THEBEN
奉行の学説は証明される

奉行ふふん、日頃の行いの差かな。

与力……お、おかしい。

なお、発掘は1か所の遺跡につき、ゲーム内時間1年に1回しか行えません。

奉行つまり、年に最大5回しか発掘できんし、頑張って知識を増やして一気に1か所を掘りつくす、ということもできんのじゃな。

与力一応、「特別な許可」という学者カードがあるので、それを使うと同じ遺跡を複数回発掘できなくはないですが。

テーベ JENSEITS VON THEBEN
場合によっては切り札となる特別な許可。

4. 展示

発掘品がある程度集まったら、ヨーロッパの都市で展示を行って展示カードを手に入れ、勝利点を獲得することができます。各展示カードごとに“どこの”発掘品を“どれだけ”持ってきてほしいか指定されているので、手元にそれだけの発掘品が溜まっていれば、学者カードと同じように展示カードを獲得することができます。

与力この時、発掘品の価値は関係ない、というのがポイントですね。

奉行ふむう。発掘品タイルで二度勝利点を獲得できる訳だから、これはおいしいな。

苦労の果ての名声

テーベ JENSEITS VON THEBEN
『与力教授、成果なしなんですが…』『うるさい、何も無いのが分かったのが成果だ!』

全プレイヤーが全ての時間を費やしたらゲームは終了し、勝利点の計算に移ります。勝利点は
発掘品タイル・展示カード・学会カード・知識カード
によって手に入ります。合計点が最も多いプレイヤーが勝利です。

奉行学会カードと知識カードというのは?

与力学会カードというのは学者カードの一種なんですが、集めた枚数に応じて勝利点が入ってくる、というカードなんです。発掘しなくても勝利点が入るというのがミソですね。

奉行ヨーロッパ中で学説を発表してまわる、ということか…

与力知識カードは、発掘のためにあつめた知識カードのことですが、それぞれどの遺跡の知識か、色分けされているんですね。で、各色ごとに、知識を一番沢山持っている人がボーナス勝利点を得られる、といった寸法です。

奉行なるほどのう。発掘が全てではなく、それ以外で勝利が決まることも有り得る、ということかな。

テーベ JENSEITS VON THEBEN
与力「では、計算してみましょう」
テーベ JENSEITS VON THEBEN
奉行「まあ、発掘品の価値が違うな♪」

引き運に定評のある奉行が高価な発掘品を独占しつつ、学会での発表を順調に重ね、まさかのダブルスコアで勝利、という決着でした。

『テーベ』【ここがイカス!】

奉行準備をして発掘をしていく、という段階を踏んで勝利を目指す二段階式で進むゲームであったが、なかなか楽しめた。

与力発掘を表現した袋からタイルを引くシステムはどうでしたか?

奉行単純で分かりやすいだけに、ドキドキするし、面白いな。実際に発掘しているかのような気分が味わえたぞ。

与力……まあ、発掘品タイルを沢山ひけると、そうなりますねえ……。

奉行拗ねるな、おぬしの引き運(の悪さ)は最早、芸術の域だ。しかしながら他プレイヤーの動向や学者カードの集まり具合を見て、上手く時間をやりくりしていく、という時間の管理が、最も重要な要素であろうな。

与力与えられている時間は全員同じですからね。

奉行先行して時間をどーんと費やして発掘をすると、しばらく他プレイヤーの行動を見ているだけ、になるから、先手を打つか、相手の出方を見るか、色々と考えさせられる。そういった意味では、計画性は非常に重要だ。

与力場当たり的ではだめ、ということでしょうかね。

奉行そういった意味では、体感だが「7割計画・3割運」という所かな。万全を期して、最後は発掘で自分の運を信じる。

与力信じきれない私はどうしたらいいんでしょうか。

奉行それは知らん。分からん。頑張れ。

『テーベ』【ここはちょっと…】

奉行と、褒めておいてなんだが、『結局のところ運じゃないか』と感じる人も少なからずおられる、とは思う。

与力表裏一体ですねえ、運要素が絡むゲームの良し悪しは。

奉行運が関わってくるポイントは、発掘品を引けるか引けないか、というのもあるし、引けたタイルが高得点かどうか、というのもある。『万全の準備をしたのに、どういうことだよ!』となる可能性は、少なからずあるぞ。自分のプランがちょっとした運試しで全部ひっくり返るのは、あまり気分の良いものでもあるまい。

与力見えない袋の中身はなんじゃろな、ですから、仕方ないところではありますが。

奉行だから、そこを楽しめるか楽しめないかが、このゲームのポイントじゃな。全体の流れで一番の見せ場は、運試しの発掘が成功するかどうかをみんなで見守る、という所だと思うからな。

与力発掘のシステムにストレスに感じるのなら、ちょっとどうかな、ってことですか。

奉行ただ、人数が増えて発掘が自由自在、という訳でも無くなった場合には違うかもしれん。わしらはいつも通り二人きりだが、人が増えれば学会カードや展示カードの勝利点がより重要になりそうだし、計画性の重要度が高まりそうな気がせんでもないのだが。

与力とはいえ、一発鬼引きで高得点の発掘品を手に入れるような豪運の持ち主がいると…

奉行処置無し、じゃな。どっとはらい。

テーベ JENSEITS VON THEBEN
与力教授の学説を信じてしまった助手の皆さん。

奉行そういえば、発掘品や遺跡についてゲーム中にいろいろ説明してくれてありがとう。どんなものが手に入ったのか分かったおかげで、ゲームへの没入度が上がったぞ。おぬしのわけの分からん豆知識の量も、時には役立つものだ。

与力褒めるなら全力で褒めてください。あと、自分で引いた発掘品の説明をした訳ではない、という所が悲しい……。