『スペースベース』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。宇宙軍大元帥になったら何をしたい?「『大元帥閣下を侮辱した罪で逮捕する!』みたいな感じのセリフが似合う軍警察っぽいのを作ってみるとか?」
与力藩の買掛担当。宇宙軍大元帥になったら何をしたい?「とりあえず、肖像画でも描いて貰いましょうかね」
奉行所の歴史がまた1ページ
奉行プレイヤーは連合地球軍(U.E.S)の艦隊司令官として、強力な艦隊を組織して影響力を拡大し、宇宙軍大元帥を目指す……。
与力大元帥ですよ。元帥府を開いて有能な将官を集めて宇宙をわが手にする訳ですよ。
奉行お前は誰ハルトさんなんだ。興奮しすぎだろう。そして説明の限りでは、別に宇宙を手にお入れになるのが目的ではなさそうだぞ?
与力ええ。あくまで目的は出世ですね。そのために自分の有能さを示せるような艦隊を作りましょう、と。
奉行ふうん。しかし、宇宙艦隊なのにビームの撃ち合いとかする訳ではない、ってのも面白いなあ。
ゲーム開始前、各プレイヤーは指令コンソールと、初期艦隊カード(12枚1セット)、パラメータを示すキューブを受け取ります。カードとキューブは所定の位置に配置します。艦艇カードはレベルごとによく混ぜてから山札にし、6枚を表にして並べておきます。また、12枚あるコロニーカードも表にして並べておきます。最後に各プレイヤーはレベル1艦艇カードの山から1枚ずつカードを引き、それを指令コンソールの所定の位置に配置します。そしてそのカードに割り振られていた“星域番号”が最も大きかったプレイヤーが、スタートプレイヤーとなります。なお、スタートプレイヤー以外にはそれぞれ最初の報酬が与えられます。これで準備は完了です。
奉行ふむん。最初の船は12枚全て、全プレイヤー同じ内容か。絵やら船の名前やらといったフレーバーは異なるとはいえ。
与力そうですね。それを指令コンソールに並べておきます。で、最初に1枚カードを貰いますが、そしたら既に置いてある船は、天地をひっくり返して下に重ねておきます。
奉行うん? ひっくり返して重ねる?
与力写真だとボード6の位置がそうですね。これがこのゲームのキモなんですよ。
人のダイスロールにも一喜一憂せよ
与力ゲームの流れはだいたいこんな感じです。
- 手番プレイヤーがダイスを振り、全員がその出目を自分の艦隊に適用してボーナスを得る。
- 手番プレイヤーが新たな艦艇を購入する。
- 艦艇カードの補充を行う。
- 次のプレイヤーへ。
奉行流れは非常にシンプルだな。だが、人の振ったダイスをみんなが使うのか?
与力そうです。ですので、待ち時間とかそういうのはあんまり無いと思ってください。
奉行1人の行動が全員に影響を及ぼすやつか。個人的に『ルーク&レイダーズ』を思い出すわい。
『スペースベース』では2個のダイスを振りますが、その出目を「1つずつ」あるいは「合計して」艦隊に適用し、ボーナスを得ることができます。この場合、5の出目を2回適用して、指令コンソール上の5の星域にいる艦艇から2クレジット獲得するか、10にして1収入獲得するか、を選択することになります。
与力自分が手番プレイヤーではない場合には、各艦艇カードの青い部分に描いてあるボーナスを貰えます。
奉行ほほお。では非手番プレイヤーはどうなるのだ?
非手番のプレイヤーは、各星域の上側に出ている、赤い部分のボーナスをもらうことができます。
与力この写真であれば、4、6、8の出目が出れば、上側のボーナスがもらえます。特に6だと2クレジットなので嬉しいですね。3、5、7は何もないので嬉しくないです。
奉行なるほど。他人の手番だったら、自分がボーナスを貰える目が出るように祈っておけ、ということになるのじゃな。
新型艦で観艦式
手番プレイヤーは、ボーナスとして獲得したクレジットの許す範囲で、場にオープンになっている艦艇カードかコロニーカードを1枚購入することができます。
与力注意したいのは、購入する時は「持っているクレジットを全部使ってしまう」ことですね。おつりは出ません。買わないことで貯金はしておけます。
奉行おおう。てことは、沢山持っているタイミングで安い艦艇を買うのはもったいないのだな。
与力ですね。新しい艦艇カードは、右肩の星域番号に対応する指令コンソールの位置に置きます。で、今まで置かれていたカードは、上下さかさまにしてどんどん上に挿す、ということです。
奉行同じ星域番号のカードを狙って買っていけば、上に挿さっているカードが増えるから、他人の手番が楽しみになってくるわけじゃな。
与力もちろん、星域番号=ダイスの目ですから、6面体2個の期待値である7と、ダイス1個で出る1~6のカードは積極的に増やしてもいいんじゃないでしょうか。
奉行そらそうだな……おっ?
奉行クレジットを9も貰えるとか実におトク。お主、これを買うのはどうだ。
与力私のダイス運で6ゾロなんか出るわけないでしょうが! わかってて言わないでくださいよ!
カード購入が終わったら、空いた位置に山札からカードを補充し、最後に収入の処理を行います。指令コンソール上でクレジットのキューブの位置が収入のキューブの位置より下にあった場合、ただちに収入と同じ位置までクレジットのキューブを移動させます。
与力たとえばこのコンソールを持つ司令官の場合。手番の最後に、クレジットは必ず4まで戻るということです。
奉行あー、つまりクレジットは購入のときに全額使うけど、収入分は戻ってくる、ということか。大切じゃな、収入は。
与力そうですね。それから、当然ですがカードを購入できない非手番プレイヤーはこの処理は行いません。
ゲームが進めば強力な船も現れる。
奉行ところでこのゲーム、勝利のためには「影響力」を上げないといかんのじゃろう? いまのところクレジットと収入を増やしてくれる船はいるが、影響力はどうすればよいのだ?
与力そのうち出てきますって、ほら。
カードのボーナスとして影響力を獲得できるカードの他、最初から場に置かれているコロニーカードも、影響力を手に入れる手段です。
与力ただ、コロニーを置いてしまった星域には、新しい艦艇カードを置くことができなくなります。影響力と引き換えに、その出目が自分の手番には使えなくなる感じでしょうかね。
奉行最後にラッシュをかける時の手段として考えておくか……。
カードの中には、クレジットや収入を獲得するのではなく、より特別な能力を持つ艦艇もいます。これらは出目が割り振られた際、カード上にチャージキューブを置いてエネルギーをチャージし、使えるタイミングでキューブを取り除いて能力を使用します。
与力説明書で繰り返し「ボーナスと能力は違う!」と言っているんですが、このキューブを使うやつが能力ですね。
奉行中には背景が緑のやつもおるのじゃが?
与力緑は自分の手番でもそうでなくても、好きな時に能力を使える、ということです。
奉行ほほう。つまり青=自分の手番、赤=自分の手番以外、緑=どちらでも、と覚えればよいのだな。
奉行こ、こいつのエネルギーが溜まれば勝つのか! これだ! 購入して配備だ!
与力え、ええ……いかん、これは長期戦は不利……。
一発勝利が可能な艦艇を配備し、夢を追った奉行ですが、順当に影響力を積み上げた与力が勝利をおさめ、大元帥の座を射止めました。
奉行くそう、こいつで勝ちたかったなあ。
与力コツコツ勝てました。飛び道具過ぎますよ、それ。
奉行普段、おぬしの方が夢を追うからたまにはな。
『スペースベース』【ここがイカス!】
奉行最初、カードをひっくり返した時は「ん?」と思ったが、実にサクサク進むな。あと、休んでるタイミングがほとんどない。人の手番でも自分の手がどんどん進むから楽しい。
与力ええ、ゲームの場から目を離す状況はあんまりないですね。
奉行いつの間にか1時間とか経過していたが、体感ではそんなに長く感じられなかった。
与力ずっと参加していられるから、時間が過ぎるのを忘れるんですかねえ?
奉行ゲーム的には、ダイス2つで出目がどうなるのか、出現頻度表がしっかりと説明書に出ておるが、出やすい目を狙って艦隊を分厚くして、他人の手番で利益を得て……みたいに艦隊編成を考えていくのが大切だな。
与力収入は他人のダイスロールに任せて、自分は影響力とかそういうのが手に入るような感じにしていく、とか方法は人それぞれでしたね。
奉行ゲームが始まった最初のうちは、全然状況が進展しないので、「大丈夫か?」と思うのだが、いったん艦隊が拡大し始めると、加速度的にやれることが増えてくるので、スピード感というか爽快感というか、すごく出てくるな。
与力そしてやれることが増えたあたりで、ゲームが終了する、というね。拡大再生産系のゲームの妙は十分に感じられます。
奉行そうそう。そのタイミングが絶妙で、もう一度遊びたくなるゲームのたぐいだと思う。最後の方に出てくる3レベルの艦艇は、ちょっとどうかと思うような能力持ちもいれインフレ感はあるが。
与力パンチのあるSFのはじけっぷりで良くないですか?
奉行あと、細かいところでゲームイラストとかも気が利いてるな。カードの背景と指令コンソールの背景がきちんとマッチしているとか。このグラデーションが綺麗でいいな。
与力個人的にはこの丸っこいデザインの艦艇から、SFCの『アースライト』を思い出しましたよ。
奉行船の名前が一隻ずつ違うとか、世界観も色々とこだわって作ったんだなあ、という感じがして、テーマや世界観が伝わるから、すごく好感が持てるよな。
『スペースベース』【ここはちょっと……】
奉行えー、やっぱりダイスロールが肝のゲームだし、カードのめくり運もあるしで、なんだかんだ運の比重は高い。それを良しとするかどうか。好みは出る。
与力ゆるゆると自分も他人もダイスの出目を見て「ワー」「キャー」と楽しめるのであれば、ということでしょうかね。
奉行そういう点では、重厚に聞こえるテーマに対して、見た目通りプレイ感は軽いゲームじゃないかな。
与力SFといえば、つい『トワイライト・インペリウム』とか『エクリプス』とか連想しがちですからね。
奉行それもそれで偏りすぎだろ、お主。ともかく、船に愛嬌があるし、どちらかといえば多くの人が楽しめるゲームだと思うがね。
与力それよりもちょっと気になるのは……。
奉行おお、そうそう、ちょっとコンポーネントがな。これは動画レビューの有名な方も仰っていたが、まずカードの材質がちょっと薄い。ペラペラだ。うっかり折ってしまうんじゃないかと思う。わしは一度ひやっとした。
与力カードをいじる回数が多い割には、耐久性に疑問符はつきますね。
奉行あと、指令コンソールな。これは日本語版だけなのかわからんが、なんか折り目の辺りにすごくシワが寄っていて、モノによってはテーブルにおいても平らにならん。
与力ちょっと気になりますね。先にあげた通り、カラーは綺麗なんですが……。
奉行そういう美観を重視したい方は取り扱いにご注意を、というところか。ま、ゲームの面白さには影響は無いけどもね。
奉行このデススターというかイゼルローン要塞というかな艦艇にも、色々背景設定があったのじゃな。
与力名指しでいいんですか? しかし、色んなところに艦艇の説明が書いてあって、飽きないですよ。
奉行シミュレーションゲームの攻略本でユニット解説を読んでる楽しさに近いな。