『オダノブなんだっけ?』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。織田信長を演じた役者さんといえば?「うーん、役者というか、大河ドラマ・真田丸で吉田鋼太郎さんの演じた信長様のブーツde座布団には驚かされた。まさに魔王だった。一瞬で退場となったのにも驚いたが」
与力藩の買掛担当。織田信長を演じた役者さんといえば?「歴代様々な方がいらっしゃいますが、大河ドラマ・武田信玄の石橋凌さんですね。見た目がハードロックで格好いいのに、早口で神経質そうで、うっかり失言でもしようものなら即座に切られそうな信長様でした」
鳴かぬなら…
与力当方にしては珍しく、2人では遊べないゲームの御紹介です。
奉行お主が「チョンマゲ要素のあるゲームだから!」とかで目の色変えて、対応人数はお構いなく買ってまいったのであったな。
与力ぶっちゃけ、パケ買いですよ。ハイ。
奉行わしもこのパッケージなら与力が暴走しても仕方ないと思った。ということで今回は、与力が持ち出して遊んでまいったてん末を、若干脚色してお届けいたす所存。であったな?
与力はい、そのような内容となる予定でございます。
奉行予定ではなく、きちんとやらぬか、きちんと。
与力いや、面白さが伝わるか自信がなくて。より分かりやすい遊び方については、マッチダンディズムさまが公開されている動画を観るのが手っ取り早いです。ホームページをご確認あれ。
奉行Web公開もされている説明書も分かりやすいが、動画まで準備されているとは至れり尽くせりじゃな。
ゲームを始める前の準備として、使用するジャンルカードを決めます。参加するプレイヤー全員でカードの内容を確認し、「これは出題できそうにない」というような苦手な題のカードを取り除きます。
与力使わないカードはゲーム中に「ほうび」として使用します。
奉行ふむふむ。
つづいて「オダノブ」(出題者)になるプレイヤーを決定します。残りのプレイヤーは「家臣」(解答者)となり、それぞれ役のカードと、家臣プレイヤーは判定カードも受け取ります。
与力そしてオダノブは先ほどのジャンルカードの中から1枚を選び、選んだジャンルカードから連想される「正解」と、家臣が絶対に口にしてはならないNGワードである「逆鱗」を考え、箱の裏にペンで記入しておきます。
奉行おっ、箱をホワイトボード代わりに使うのか。
与力もちろん、ゲーム中に正解は見せないようにしてくださいね。
是非もなし…
実際のゲームは、だいたい以下のように展開します。
家臣一同「ハ、ハハーッ!」
オダノブ「此度その方らを呼んだは他でもない、ワシは久しぶりに“あの国民的なゲーム”を遊ぼうと思うたが、うっかりタイトルを失念してしまった。そこで、その方らに思い出させてもらいたい!」
家臣A(お、思い出させてもらいたい…とは)
家臣B(こ、これはなんたる難題か…)
オダノブ「思うところある者は申してみよ。苦しゅうない。どうじゃ。ワシの遊びたいゲームは、なんじゃ!?」
家臣C(う、うーむ…!)
家臣たちはオダノブの堪忍袋MAXとならないうちに、正解を答えると勝利となります。一方で、家臣たちが正解できず、堪忍袋MAXとなってブチギレらればオダノブが勝利となります。
奉行ブチギレたら勝利、って。
与力だからといってあまりに理不尽な理由でブチギレても勝てないんですが、その辺はまた後で。
まず、解答する家臣の側は、オダノブに対して色々と質問をして、正解につながるヒントを引き出します。順番は決められていないので、質問を思いついたら「おそれながら」と挙手して発言の許可を求めましょう。オダノブは挙手した家臣がいたら、「申せ」と発言の許可を与えましょう。
与力「おそれながら」「申せ」のやり取りは世界観的にかなり重要ですので、ぜひやってみてください。
奉行どちらも日常会話レベルではなかなか口にする機会が無いヤツだな。
与力私は家でたまに使いますが。
奉行どんな家だ。大丈夫か。
プレイ風景
オダノブ「どうした、早う何か申せ!」
家臣A「殿、おそれながら…(挙手)」
オダノブ「うむ、申せ!」
家臣A「それは10年以上前のものにございましょうや?」
オダノブ「ふむ……10年以上前からあるタイトルではある。確か、そう覚えておる」
なお、オダノブは家臣の質問に対し、以下のルールに基づいて答えなければなりません。
ルール:ウソを答えてはいけない。
奉行そりゃそうだ。ウソまでつけたら理不尽にもほどが有るわ。
与力一方で、家臣の質問の作法にも、ルールによる縛りが有ります。
家臣はオダノブに質問する際、以下のルールに基づかなければなりません。
ルール:外国語を使ってはならない。
ルール:「逆鱗」を口にしてはならない。
与力実質的に注意したいのは、“外国語禁止”ルールですね。「逆鱗」は、そもそも口にした瞬間ゲーム終了になりますから。
奉行ふむう。だから「そのゲームは」とか「そのタイトルは」とか質問してないのか。……だが、オダノブはさらりと「タイトル」とか言っておるぞ?
与力あ、オダノブは南蛮かぶれなので、外国OKです。
奉行なるほど、それっぽい。出題側は制限無しなのじゃな。
家臣が質問をした、あるいは失態を犯した等の際に、オダノブは堪忍袋ゲージを増減させます。堪忍袋ゲージが10まで溜まってしまうと、オダノブがブチレし、堪忍袋MAXフェーズへ移行します。
与力一回質問をするとゲージは1上昇します。外国語を使うと5上昇します。逆鱗を口にしてしまった場合、10上昇して一発アウトです。詳細は全部ボード下部に書いてありますので、ご参照ください。
奉行はーん、文字通りNGワードなのね。
与力あと、オダノブは自由に堪忍袋を操作できる、ということになっています。質問が無礼だったら増やし、面白い質問なら減らす、という増減のルールがありますが、この辺りのさじ加減がその時のオダノブ次第、という感じですね。
奉行オダノブプレイヤーの感性と機嫌によるのか…。
家臣B「おそれながら…」
オダノブ「申せ!」
家臣B「それは音楽が有名でございましょうか?」
オダノブ「おう、そうじゃ。数多の者が一度は耳にしておろうな。」
家臣B「なるほど…(しぼれてきたかな?)」
家臣C「おそれながら…」
オダノブ「申せ、なんじゃ?」
家臣C「それは「マリオブラザーズ」にござりましょうか?」
オダノブ「(ギラリ)」
家臣C「(ビクッ)」
オダノブ「で、あるか…。」
家臣C「は、外れ…。」
オダノブ「早う思い出させぬかァ!」
家臣たち「ハ、ハハーッ!」
家臣は質問の代わりに正解と思われる解答を言うことができます。ただし、外れだった場合には、質問したのと同様に、堪忍袋ゲージは1上昇してしまいます。
奉行なんにせよ、家臣が何か口にすると正解でない限りはゲージが上昇してしまう、ということじゃな。
与力そうです。ですから堪忍袋ゲージが1ずつしか上昇しなかったとしても、質問は最大9回までしかできない、ということです。
奉行それだと最後の解答一発にかけることになるな。キツイのう。
与力なお、「で、あるか」は、オダノブのモチーフになった人の口癖と言われていますので、ちょくちょく混ぜるとそれっぽくなるかもしれません。
奉行何を急に演技指導を始めておるのだ。
オダノブ「申せ!」
家臣B「はっ。さればそれは黒い箱に入っておりまするや?」
オダノブ「そうじゃな。左様であった。うむ、そうであったわ。」
家臣たち「(おっ、アレっぽいなあ…?)」
オダノブ「(ここでもう一手しぼりに来てくれると…)」
家臣A「おそれながら!」
オダノブ「申せ!」
家臣A「ハハッ、殿がご所望なのは「ドラゴンクエスト」ではございませぬか?」
オダノブ「「ドラゴンクエスト」と…!」
家臣A「(お、当たりか!?)」
オダノブ「…そうであった、ワシが遊びたかったのは「ドラゴンクエスト」であった。その方、よう答えた、褒めてつかわす!」
家臣A「ハハーッ!」
与力ちなみに、オダノブに対して家臣が「殿」と呼んでいますが、オダノブが家督を息子に譲っている設定で遊ぶならば、「大殿」あるいは「上様」と呼んであげると、よりいいんじゃないかと。
奉行どうでもいいわ、その細かい情報は。しかし、箱の色を聞くとはなあ。まず「逆鱗」に該当しそうにもないし、家臣たちは相当頭をひねったな。
与力まあ、そんな訳で家臣が正解を出した場合、オダノブが最も活躍した“今回のMVP”となる家臣を選び、「ほうび」を与えて終了です。
奉行ふむ、最終的に正解が出ず、堪忍袋MAXフェーズになると、どうなる?
堪忍袋MAXによってゲームが終了した場合、オダノブは「正解」と「逆鱗」を公開します。家臣たちはそれを見たあと、一斉に判定カードを「是非もなし」か「本能寺」、どちらかの面を向けて出します。
与力誰か1人でも「是非もなし」を出していた場合には、オダノブの質問に問題はなかったことになって、今回の「ほうび」はオダノブが獲得します。
奉行「本能寺」はどうなるのだ? 何となくわかるが。
与力全員が「本能寺」を出した場合には、「あまりにも質問が理不尽であった」ということで、家臣たちはスッキリします。
奉行え、燃やしちゃうの?
与力まあなんですか、この場合オダノブも「ほうび」を手に入れられないので、引き分けドロー決着って感じになるんでしょうね。
奉行ははあ。なるほど。理不尽に過ぎると、本能寺が燃やされるので勝てなくなるから、あんまり無茶な正解や逆鱗を設定しないでね、というところだな。
『オダノブなんだっけ?』【ここがイカス!】
与力このゲーム、要するにパーティ系クイズゲームなんですけど、相当漠然とした状態からスタートするんですよ。
奉行まあなあ。「ワシが食べたいと思っているものを当てろ」なんてクイズ、意味が分からんものな。
与力その理不尽な出題に対して、正解に近づくためのヒントをもらえる質問をしていく。解答する家臣側は、そこを上手く探る楽しさが有ります。
奉行ふむふむ。
与力回数制限が有る上に、NGワードは回避しなければならない、という二重の制限をどうくぐり抜けるか?という。
奉行「逆鱗」は一発アウトじゃものな。外国語禁止も結構厳しい。
与力逆に出題をするオダノブ側は正解を出させない、特に「正解を出すために家臣が質問してくる内容を想定して、逆鱗を設定する」という、罠を仕掛ける面白さがある訳ですね。
奉行家臣はその罠を想像しながら、うまくヒントを引き出していく作業が必要、と。
与力なんにせよ出題側も解答側もセンスが問われますが、特にオダノブ側は家臣から逆鱗を引き出せるように誘導できると、快感ですね。
奉行んで、それが理不尽に過ぎた場合には本能寺が燃やされる、と。
与力やり過ぎると勝てない、というのも上手い設定だと思いますね。
奉行ちなみに、最終的な勝利条件などの設定がないから、そこは適当に調整して良さそうだ。
『オダノブなんだっけ?』【ここはちょっと…】
与力ただ、オダノブの負担はかなり大きいですねえ。
奉行大きいのか。
与力ルール的には家臣が正解できなければ勝ちなんですが、そもそも正解が誰も連想できないようなものだとアウト。たぶんゲームとして成立しないです。
奉行どうしようもないもんな、そりゃ。正解聞いても釈然とせんだろうし。
与力あと、「逆鱗」が分かりやすすぎるというか、回避しようのない設定にしてしまうのも、理不尽と取られるのでアウト、だと思うんですね。
奉行要は質問のしようが無い、というような…。
与力なので、そういう正解と逆鱗をパッと出せるかどうか。
奉行最終的にどうあれ、正解と逆鱗は公開されることになろうが、それを見た家臣たちから「上手い!」「一本取られた!」となるような設定をできるのが理想なのであろうな。ううむ。
与力それに加えて、質問に対してどのくらいヒントを出すか?というのもオダノブ次第です。いわば進行役を上手く努めなければならない、と。これが出来ると「誰も正解にかすりもしない」ということは無くなりそうなんですが…。
奉行ふむう。つまり、ヒントを付け加えて次の質問を促したり、あるいはうまーくミスリードを誘うような文言を混ぜて、「逆鱗に誘導してるのか? それとも?」というような裏読みを誘えたりするとよい、となってくるのであろうか…。
与力でしょうね。ですから、質問に対して「そう」「ちがう」みたいな解答しかしないと、ちょっと盛り上がりに欠けるかもしれません。
奉行ふむう、思っているより色々考えることが多いな。
与力オダノブになって出題する上では、わりと慣れが重要になってくるように思われました。オダノブ側が勝つには、家臣に逆鱗を言わせて一発アウト、という展開が一番盛り上がるので、どうしてもそっちに行きたいんですよね。
奉行質問や誤答が積み重なってじんわり負けるという、「あー、答え分かんないわ…」みたいな、寄り切りられていく感じは、微妙な空気感になるのじゃな。
与力何度かそういう展開にもなりましたけどね、あまりにも家臣が正解に近づけないと、オダノブ側も苦しいですよね。やっぱり「正解か? 逆鱗か?」みたいな絶妙な二択を最終的に家臣に迫れるような出題ができてた時が、ゲーム中もゲーム後もみんな盛り上がりましたねえ。
奉行点火人への道は険しいのじゃなぁ。
奉行なお、本タイトルはゲームマーケット2020春で改良版が発売されるとのこと。今回ご紹介の初版からは、主に見た目の点でさらなる改良が為され、より楽しく遊べそうじゃぞ。
与力私個人的には、性急で短気、かつ威圧感の強いオダノブを演じるためには、皆様にぜひ池上遼一先生の『信長』を読んでいただきたいと存じます。ハイ。
奉行お前の好きな漫画を推薦して終わるのも、どうなのよ。