『Discipline ディシプリン ジェレミア魔法学校の3年間』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。魔法学校といえば?「ホグワーツのインパクトが強すぎてなあ。あ、古代魔導スクールなんかも印象深いな」
与力藩の買掛担当。魔法学校といえば?「クイズマジックアカデミー。ごく短期間の通学でしたけれど」
ひとつ 魔法学校生は忠節をつくすべし!
与力ハイいいですかぁ、みなさん~。
奉行教師役で遊ぶからと言って、過度の鉄矢要素を前面に押し出すのは止めておかんか。
与力金字塔ですからねえ。ツカミとしてはいいのかな、と。
奉行似てないモノマネはその辺にして、早く準備をしてくれんかな。
ゲーム開始時、プレイヤーは担任カードを1枚ずつ受け取り、記載されているスートのクラス用の備品一式(席番号カード13枚、担任カード、生徒カード12枚、イベントシート)を手元に揃えます。
次に、生徒カードをよく混ぜ、裏向きのまま横3×縦4になるよう並べたあと、全て表にして最初の座席割を決定します。続いて席番号カードをよくまぜで3枚引き、対応する席の生徒カードにパワーマーカーを1個ずつ配置します。そのあともう一度3枚引き、今度はネガティブマーカーを1個ずつ配置します。最後に、全ての席番号カードをもう一度よく混ぜ、山札を作ります。
そして進行カードの「1st year」「席替え」の部分にターンマーカーを置いたら、ゲームの準備は完了です。
奉行ふむふむ…。察するにこのマーカーが拡散したり貯まり過ぎたりするのを防ぐというような塩梅なのであろうな。
与力ご明察にございます。それでこのゲームの勝利条件ですが。
奉行全員で花園へ行けば勝利か?
与力なんで今から全員殴る話になってるんですか。大体15人いないからラグビーはできないですよ。
奉行熱血教師はもうウケんかのう。
与力さて、ゲーム内時間が3年経過し、卒業式に到達した時点で、落第した生徒の数が定数以下であれば、程度の差はあれども勝利となります。
奉行それは各教師ごとにか?
与力いえ、プレイヤー全員合計で、です。今回は2人なので、両クラス合わせて5人以上落第した生徒が出たらアウトとお心得くださいませ。
奉行いやー、5人も落第なんかせんだろ~。大学の難しい授業の単位じゃあるまいしなぁ。
与力そうだといいんですがねえ。
ひとつ 魔法学校生は武勇を尚ぶべし!
ディシプリンの1年間は、まず席替えから始まります。そして6回の授業、2回の職員会議を経て、席番号カードの山札の作り直しを行い、終了となります。これを3回繰り返し、3回目の最後に待ち受ける卒業試験を潜り抜ければ、卒業式へと進んでそこでゲーム終了となります。
与力授業はマーカーの増減、職員会議はイベントが発生します。年間スケジュールは『授業3回・会議・授業3回・会議』の順です。
奉行ほほう、なるほどね。では学問を始めるといたそうか!
席替え
新たな1年の開始時、各プレイヤーは自分のクラスの生徒カード2枚の位置を入れ替えることができます。
与力これによって後ででてくるマーカーの拡散や、生徒同士の特性の喰いあわせを改善したりしていくということになりますな。
奉行厄介な生徒同士は離しておくに限るか?
与力なお、休学している生徒も入れ替えの対象にできますぞ。
授業
授業はランダムなマーカー配置である「一斉授業」と、プレイヤーによる選択的なマーカーの増減「個別授業」に分かれています。
与力まず「一斉授業」ですな。これは『パンデミック』的な処理と言えばそうなるのですが、席番号カードの山札を1枚引き、対応する席の生徒にパワーマーカーを置きます。そしてもう1枚引いて、今度は対応する席の生徒にネガティブマーカーを置きます。
奉行ふうん、マーカーが2種類あるのがキモじゃな。これ、黒いのはネガティブという名だからまず良くなさそうというのが想像できるが、ちと両方とも詳しく説明してくれんか。
与力ははっ。まず赤色のパワーマーカーですが、まずそもそもこれが1個も載っていない生徒は、勉強していなかったということで落第します。
奉行なにィ、つまりは3年のうちに必ず1個は全員に載るようにせねばならんということか。
与力左様です。そして1人の生徒に載せられるのは5個まで。5個のマーカーが溜まった生徒は、ネガティブマーカーの拡散を引き起こさぬようになること、お知りおき下され。
奉行ふむ、5個が1つ目標になるのか…。
与力ただし、ネガティブマーカーの拡散は、そもそもパワーマーカーの多寡で決まりますゆえ、極端に少数が飛びぬけたパワーを持つと、それもまた問題となりましょうぞ。
奉行なんだかややこしい話になってまいったな。ではそのネガティブマーカーはどうなのじゃ。
与力は、まずネガティブマーカーが配置された時、基本的にはその生徒の前後左右に座っている生徒に影響が及ぶ可能性があります。
与力ネガティブマーカーが置かれた生徒より、パワーマーカーが少ない隣接している生徒は、影響を受けしまい、ネガティブマーカーを置かれてしまいます。要は拡散する訳ですね。
奉行ああ、判断基準はパワーマーカーなのだな。クラスで少し目立つくらいの感じの子がネガティブに入ると、周りの子が影響されるというような。
与力そしてネガティブマーカーが4個溜まってしまうと、その生徒は休学してしまいます。休学すると復学の可能性は残りますが、それもハードルが高いので、痛手になりますね。
奉行ふうむ、面倒じゃな。
与力教師ですから面倒とか言ってはいけません。基本はこんなところですかね。あと、一斉授業の時には、生徒が持っている特性が発動することがあります。
奉行なんだ、これではせっかく授業をした甲斐がないではないか。
与力他にも拡散のパターンが異なるとか、パワーマーカーの増える速度が早いとか、色々あります。
奉行まあそこら辺も考えて席を上手く操作していく必要があるのであろうな、あと2回しか席替えはないけど。
与力そして『個別授業』ですが、これは「特定の生徒にパワーマーカーを1個配置するか、配置されているネガティブマーカーを1個取り除く」ということになります。
奉行おー。ここがランダム要素ではなく、自分でなんとかできる部分か。
与力そうですね。あと、2人以上のプレイの場合、自分のクラスへの指導を放棄する代わりに、他のプレイヤーのクラスを個別指導することもできます。ここは協力ゲーム的な部分でしょうか。
奉行生徒個々の特性を見極めた個別指導に定評がある学校、な感じになるな。
ひとつ、魔法学校生は質素を旨とすべし!
職員会議
職員会議では、席番号カードを1枚引き、対応する生徒に関連するイベントが発生します。イベントは多くの場合においてクラスには大きな問題、ゲーム的には大きなマイナスをもたらすので、的確に対処する必要があります。
奉行このくらいの年頃の子は、やっぱり問題を起こしてナンボかね。
与力そりゃお奉行、我々のように少し大きめの石の下でじっとしている昆虫のような中高時代を送れる人間は、無風で過ぎ去る6年間を演出する術を身に着けていますが、そういう人ばかりではないんです。
奉行なんか上から目線で言っているが、そっちの方が良いのか? 本当に?
与力ともあれ、イベントはだいたい有難くない結果をもたらします。ただし、2人以上のプレイであった場合には、相談してどれか1つだけイベントを無効化することができますね。
奉行教師総出でなんとかするのか。恐ろしい絵面じゃな。これが年に2回か?
与力そうです。年に2回、生徒は問題を起こすことを覚えておいてください。
奉行現実的なんだが……しかしなんかこう、会議に明るい話題が提供されることはないのかね。問題ばかりでなく。
与力学校は大変なんですよ。さて、実は休学者が出ていた場合、この職員会議の時が復学のチャンスになります。イベントを決めるために引いた席番号が休学者のものであった場合、復学してきます。ただ、以前保持していたマーカー類は全てリセットされているので、学力不足の懸念は付きまといますが。
奉行最後の最後に復学してこられても困る、ということなのじゃな。ところで、授業ごとに2枚、職員会議で1枚カードを引いていると、カードが足りなくならんか? 全部で13枚だろ? ん、13枚?
与力気づかれましたか、その枚数に。席番号カードの中には1枚「Repeat」カードが混ざっており、それを引いたら今まで引いて捨て札にしたカードをシャッフルして、山の上に戻します。ですので、山札が足りなくなることはないですね。
奉行リシャッフル、山の上、エピデミック、メキシコシティ、うっ、頭が…!
卒業試験
3年目の山札の作り直しが終了すると、卒業試験に突入します。卒業試験では、通常の授業で行われていた“一斉授業の後に個別授業”という処理が逆になり、“個別授業の後に一斉授業”となります。ここをクリアすれば卒業式となり、落第者とプレイヤー人数に応じてゲームの勝敗と、付与される称号が決定します。
与力当然、落第者が少ないほどよい称号がもらえて、伝説の教師になれる訳です。
奉行そこまでいかにパワーマーカーとネガティブマーカーをやりくりできるか、か…。で、どうじゃな与力先生、お主のクラスの途中経過は。
与力それがですねえ、まあ彼女なんですよ、問題は。
与力このギザギザハートちゃんを、いかに周囲に配した生徒で封じ込めたまま卒業試験までいけるか、でしょうね。逆にお奉行のクラスはどうなんです?
奉行わしのクラスは一斉授業ではパワーマーカーを溜められないという“勉強が苦手”ちゃんがどうなるかじゃなあ。彼女を個別指導とかでケアできるほど余裕があればよいのだが。
『ディシプリン』【ここがイカス!】
奉行先生は大変だ。
与力そこからですか。
奉行いやあ、わしにはとても務まらん。で、ちまたで囁かれるように、随所に『パンデミック』的要素はありつつも、結構独特な動きが発生するよね。
与力どのような部分に、先駆者っぽさと独特さを感じられたでしょうか。
奉行前者で言えば、やはり山札の周り方かな。途中でRepeatカードを引くと、捨て札が山の上に戻ってくるところは正にそれじゃな。
与力変な扉が開いて頭痛を起こしておられましたもんね。
奉行いやもうリシャッフルして上に置くのは駄目だって。逆に、2種のマーカーのやりくりは、それぞれに独立して増減するものの、関係はあるという微妙な感じが独特よな。まあ調子がいいor問題が起きてしまっている時は続きやすい、というテーマをよく表現しているな。
与力パワーマーカーは上限の5個まで集めれば大きな強みになりますが、中途半端に溜まっている生徒が点在するとネガティブマーカーの拡散が広がるとか、そういうところですかね。
奉行結局やはり教師は至誠一貫、全生徒を公明正大に見ていきたいのじゃが、どうしても凸凹が出てくるからな。そういうところを席替え、個別指導などで上手く微調整しながら3年を駆け抜けられるかが鍵じゃ。ゲーム展開的には我慢の子でシビアなゲームじゃないかな。パッケージからはこういった方向性は想像もしておらんかったが、先入観でゲームを遊んではいけないな。
与力拡散しないようにパワーマーカーを上手く配してターゲットを囲んだりとか、なんかちょっとタワーディフェンスっぽいかなと思ったりもしました。
奉行お主はやたらと封じ込めとか遮断とか騒いでおったもんな。という訳で、最高の教師として名を残すのは並大抵のことではできぬと思う。我こそは、と思うゲーマーには是非新任教師として着任して頂きたいぞ。
『ディシプリン』【ここはちょっと…】
奉行これもパッケージとは裏腹に、ドライなゲームであったように思う。
与力ドライですか。
奉行教師側は能力的に画一で、スペシャルなプラス効果が発生するイベントもない。引き合いに出されてはいるものの、ここがプレイヤーいずれもが各分野のエキスパートである『パンデミック』とは大きく違うだろう。
与力そんなに違いますか。
奉行例えば職員会議にしても、誰かが誰かのクラスの問題を大きく転換できるようなことができるわけではなく。あくまでやれることの内容と手数は一貫して変化せず、それを如何に効率的に振り分けて状況に対処していくか。その点がこのゲームの特徴になるんだろうかね。なんというか、上手く対応できた、ギリギリでやりくりできたという安堵感が大きい。
与力なるほど。力技で突破できる可能性はほぼない訳ですね。寄り切りで勝負がつくタイプのゲームって感じですか。
奉行分かりづらい例えじゃな。この感覚は、たぶん高評価を目指して繰り返しプレイしていると、より強く感じるんじゃないかな。我々も連続で4回くらいプレイしたが、4回目辺りはもう教師どうこうとかの立場じゃなくなって、勝ちたいあまりにリソース管理官みたいになっていたもんな。
与力「貴様、一度休学せい!」とか言ってましたね。もはや教師失格の言動ですよ。
奉行いやもう、途中で「なんでこの秀才のカードだけ来ないの?!」みたいな悔しさがあって。男塾的にはありなんだな。という訳で、第一印象よりも理詰めなゲームだと思った。よって、山札の内容を常に把握してプレイに臨むと、かなり展開が読めるようになって楽になると思うぞ。
与力魔法学校ではありますが、「魔法でドカンと一発逆転」がないですからねえ。私としては、全ユニークな生徒たちだったので、全員の詳しい背景が分かったらより感情移入できそうだと思いましたよ。
奉行分かる。分かるけれど、「明るい性格だが、なかなか人には言えない苦労が……」なキャラとかだと、えこひいきしちゃうというか、休学させたら凹みそう……。
与力お奉行、割とそういうところ弱いですもんね。
奉行ところで「Repeat」カードのフレーバー的な部分。1年通して授業していく上で、急に指導が巻き戻るのって、何が起きたときなんだろう?
与力なんですかね、ちょっと想像つかなかったですね。
奉行まあ魔法的なトラブルで学園の隠し扉かなんかが開いて、全員の記憶が巻き戻ったりしたのかもしれんな。
与力魔法なら仕方が無いですね。