『花の三国志』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。好きな三国志作品といえば?「一時期、三国志大戦のプレイ動画をずーっと見ていたなあ」
与力藩の買掛担当。好きな三国志作品といえば?「人形劇三国志ですね」
子治世之能臣、乱世之姦雄
奉行クエーッ、クエー。
与力いや、そんな無理をして「花の」という部分を強調しなくても。
奉行すまん、実際、『嗚呼!!花の応援団』については聞きかじりだから相当無理をした。忘れてくれ。
与力では、無かったことにして話を進めましょう。
奉行このゲームは花札に着想を得た作品になっておるのだよな?
与力はい。全体的なデザイン思想とゲームのおおまかな説明については、デザイナーのかぶけん様ご自身のブログ記事をご覧いただけると大変よく分かるようになっております。
ゲームを始めるにあたり、まず最初のラウンドの親を決めます。親はカードをよくまぜ、相手に裏向きに3枚、場に表向きで3枚、自分に裏向きで3枚カードを配ります。同じことをもう一度くりかえし、プレイヤーの手札が6枚、場に表向きのカード6枚になったら、残ったカードから2枚を抜いてゲームから除外します。残ったカードは場に置いて山札とします。これで準備が終わりました。
与力この場が中原というわけです、古代中国的に言えば。
奉行古代中国的なのはよいとして、これが2人プレイの準備ということでよいか?
与力そうですね。最大4人まで遊べるゲームですが、人数によって準備やプレイの進め方が大きく変わります。ここは説明書をしっかり確認した方がいいですね。
奉行要注意、と。
士別三日、即更刮目相待
与力で、このゲームは基本的にカードの左上に書かれている「属性」が同じカードを出して場からカードを持ってくる、というプレイを繰り返すことで進めます。
奉行ふむふむ。
与力ですから基本的にプレイヤーが手番でやることは「カードを出す」だけですね。
奉行非常に分かりやすいな。
与力とはいえ、そこに駆け引きが見え隠れしてくる訳です。「属性ごとに何枚のカードを集めれば得点になるか」が決まっているので、うまいこと手札をやりくりして、場のカードをコントロールしながらかっさらっていきたい。
奉行文字通り謀略渦巻く戦国乱世が繰り広げられるという訳だな。
与力では実際の手番の進め方を確認いたしましょう。
各ラウンドでは親プレイヤーから時計回りに手番を進めます。自分の手番になったプレイヤーは、以下の3つのアクションを順に行います。
①手札の交換
与力この行動は、自分の手札を1枚山札の一番下に入れて、次に山札の1番上から1枚引いて手札に入れるというものです。
奉行手札に旨味が無いとかそういう時に使うべきなのかな。
与力限定的な状況ですが、取りたくない属性のカードをそっと手放す時にも使えなくはないかもです。あと、この行動をするかどうかは任意になりますよ。
奉行捨てるも捨てぬもお主次第ということか。
与力鶏肋です、鶏肋。
奉行なんか斬られるんだろ、そういうこと口走ると。
②手札からカードを場に出す。
与力主に場のカードを取るために行う行動で、必ず行います。手札からカードを1枚選んで出します。で、同じ属性のカードが場に並んでいれば、手札から出したカードと合わせて獲得できます。
奉行自分の手札でくっつけて持ってくるみたいな感覚でいいのかな。
与力ああ、人材登用していると思うと面白いかもしれませんね。三国時代は人のつながりが重要とか言う話もありますから。
奉行そういう余計なのは後にしてもらって、他に注意点は?
与力もしも場に同じ属性のカードが2枚すでに出ていれば、そのどちらか片方を取ります。ただし、3枚がすでに出ている状態であれば、総取りできますね。
奉行手札と合わせて4枚か。なかなか無さそうだがなあ。
与力そして最後に、同じ属性のカードが無ければ、出した手札は場に残り、新たな場札となります。
奉行野に下ってしまう、と。
③山札からカードを出す。
奉行山札?
与力山札です。山札から1枚カードをめくり、先ほどの手札からカードを出した時と同様に、合致する属性があれば獲得できます。これも
奉行どういうことなんだ…。知らない人が急に知らない人を連れてきた…。
与力ですから、徳を主とした人物評価が高ければ、自然と有為の人材は集まってくるんです。それが三国志なんですよ。
奉行そういう変換ができるんだな、お主は…。
与力で、これで手番が終了します。この手順をたがいに手札が無くなるまで繰り返したら、ラウンド終了ですね。
如其不才,君可自取
与力というわけで、ラウンドが終わったら得点計算です。この辺も実はすべてカードに書いてあります。
奉行至れり尽くせりじゃな。
与力基本は「同じ色のカード」を多く集めていること、あと「特別役が発動するカード」を揃えていることで点が入ります。
奉行なるほどなあ。
与力では具体的に見てみましょうか。
与力向かって右から。緑の「猛将」は3枚なので2点。弓アイコンを持つ呂布と太史慈がいたので、あとは夏侯淵がいれば特殊役「弓コンボ」の得点が有ったのですが。
奉行逆に言うと、そうはさせないことも大切になるのじゃろうな、相手的には。
与力次です。黄の「英雄」は1枚なので0点。ただ、劉備なので緑に関羽がいるため「義人コンボ」が発動し、3点になります。
奉行おお、これか。劉備+関羽、曹操+関羽でそれぞれ3点か。劉備と曹操では点にならんのだな?
与力箸を落とすぐらいしか起きないでしょうね。次、黒の「通常武将」9枚で、4点です。一番集まってきますが、得点にはしづらいです。ただし…。
奉行ただし?
与力11枚以上獲得できていると、「天下大乱」の効果が発動し、他のプレイヤー全員のそのラウンドの得点を0にすることができます。
奉行急に無茶苦茶な効果をぶち込んできたな。では狙ってかき集めるのもありということか。
与力逆転の一手として、覚えておいて損はないです。で、やらかし案件。青の「智将」は1枚で3点になる優秀なカードなのですが、2枚あると0点なのです。
奉行ん? あっ…。
与力竜虎相搏という訳です。はい。
奉行そらそうなれば、そうなるよな。おーん。
与力2人プレイなので、親を2回ずつ、つまり4ラウンド遊んだ合計得点で最終的な勝敗を決めます。もしも同点であれば、勝利を分かち合ってくださいね。
奉行そして引き上げる相手を後ろから奇襲する訳だな。
与力それは項羽と劉邦ですねぇ…。
『花の三国志』【ここがイカス!】
奉行実に手軽に遊べる。
与力その形容が全くしっくりくるゲームだと思います。
奉行ルール的に悩むところはない一方で、カードの構成を覚えてくると、どう取っていくのが手札的に良さそうか、何となくスジが見えてくるのよな。引き運だけではないよ。
与力繰り返しのプレイで上達するというか。
奉行うん、元々のルールが4ラウンド制になっているが、このゲームは何度も遊んで得点平均値の上下に一喜一憂すべきゲームだよね。一発勝負より、リーグ戦向き。
与力リプレイこそが重要と。
奉行あと、三国志はフレーバー程度なものなので、三国志知らないからできないってことは全然ない。コンボも色と顔で覚える。
与力顔ですか。
奉行やはり、気に入った顔の武将はひいきして使いたくなるでしょ?
与力まあ、歴史シミュレーションゲームあるあるではありますねえ…。
『花の三国志』【ここはちょっと…】
奉行ヒゲのオジサンのカードばかりで華が無い。
与力引っぱたきますよ。
奉行ごめんなさい。そうなあ、うーん、三国志ファン的には「三国志のゲームだ!」と思って遊ばない方がいいかも…?
与力なるほど?
奉行三国志の要素でがっつりはまっているんだが、そのフレーバーがゲーム性に大きな影響を与えるほどかっていうと、そうでもないと言える。
与力難しい評価ですね。
奉行ふっるいゲームだが、『三国志英傑伝』とかはゲーム的にそれらしい感じに三国志の世界を再現しようとしていたゲームな記憶がある。最近だと『サンゴク』とかか? あれは武将の数で三国志であることをアピールしていた感じだよな。
与力とはいえ、ウェートが違いますからね。
奉行その通り。このウェートでこのシステムに乗っけるテーマとして、よく三国志が出てきたなと思うよ。
与力そうですね。
奉行あと、ゲームは割とドライな感じで展開するんで、ドはまりする人はずっと遊べるけど、無味乾燥と感じる人もいるかもしれない。そういうときは人数を増やしてみるとプレイ感が変わるので面白いぞ。我々はダミーを置いて試してみたが、だいぶ違ったように思う。
奉行ちなみに、『武将名録』の方はいかがであったのだ。
与力そうですね、三国志をある程度知っている人向けのブックレットでした。なお、もうちょっと武将について基本的な所から色々手軽に知りたければ、今なら渡邉義浩先生が書かれた大修館書店の『三国志事典』が間違いないと思います。
奉行へえ。
与力まあ、現代における三国志界隈で渡邉先生の御著書を参照しないというのは…おっと誰か来ましたか?
奉行そういうのは危ないから止めておきなさい。
与力こうして三国志を楽しませて貰うと思うのは、四大奇書の『水滸伝』もあるじゃないですか。誰か重量級ボードゲームで作ってくれないですかね。梁山泊経営ゲーム。
奉行自分で作れよ。